地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

ミャンマーのLRBE兄弟 (斎藤幹雄様ご撮影)

2013-04-09 00:00:00 | 頂き物画像


 先日アップしたミャンマーの怪物レールバスにつきまして、RP誌でおなじみミャンマー鉄道車両研究の第一人者にして、いつもお世話になっております斎藤幹雄様から、実に濃いぃ画像とともにご感想・詳細な解説を頂きました! そこで、メールの内容を一部編集して、読者の皆様のご参考に供したく存じます~!
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 さて、怪物レールバスのレポートは大変読み応えがありました。同形式はおっとっとさんが述べておられる通り、同国内の零細ローカル線向けに、それこそ町工場で作ったようなシリーズで、同じタイプは2両となく、国内に100両以上が配置されています。形式・LRBEの「L」とはLightの略で「軽量・レール・バス・エンジン」となります。同形式牽引列車は「カー・ヤター(CarYather)」と呼ばれ、ガイドの解説でも「直訳すると車列車」といっていました。床下のゴムタイヤ駆動とあわせて、まさに的を得た呼び方でしょうか。基本的に片運転台方式(単端式)で、構造が極めて簡易であるため、メンテナンスが簡便ですむ反面、事故や故障も多く、軍事政権時代は基本的に外国人乗車は禁止されており、確か2009年頃までは断られていたはずです。



 2009年の訪問時はガイドが交渉してくれましたが、やはり×で、その理由を聞くと、駅長曰く「カーヤターは事故が多い。乗客がミャンマー人だけなら全員死んでも軍や警察がもみ消せるが、外国人が怪我すると国際問題になってしまうから」と物騒なことを真面目顔で言われました。さすがは軍事政権だなぁ、と妙に納得したものです。
 2007年頃まではヤンゴンにも乗り入れる運用があり、インセイン駅では車両基地門前にある転車台をつかって方転していました。転車台は今でも残っていますがもう運用がないので荒廃しています。
 一昨年インセインで撮影したこの画像は、日本でいう重要部検査出場後の試運転のようで、撮影許可証を持ってはいましたが、許可が日本型車両だけ、と限定されていたこともあり、私服の軍人か警察官がこちらを睨んでいるのが分かります。このあと駅構内の警察官詰所からバラバラと警官が出てきて撮影中止となり、ガイドさんは怒られっぱなしでした。形式がない方が非運転台なのですが、何故か前照灯が付いていますな。
 なお、LRBEはやはり徐々に数を減らしているようで、現時点では日本型DCの不調のため置き換えが遅れていますが、今後民主化の進展で日本からもメンテナンスパーツが潤沢に補充されれば、あっという間にスクラップになってしまうのではないかと思われます。
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 う~む、今回頂いた画像の車両、運転台側はどこかで見覚えがあるな……と思ったら、そういえばジャカルタの都営6000系改造カッパ顔に似ていると思うのは私だけでしょうか? 東南アジアのセンスで、流線型的でカッコ良い車両を作ろうとすると、こんな雰囲気になりがちなのかも知れませんね (^^;)。後ろ側の一つ眼小僧顔に思わずブッと吹き出してしまいました……(汗)。しかし、こんな車両たちも、あくまでミャンマー経済が苦しかった時代の産物ということで、しかもそもそもミャンマー鉄道省側が外国人に撮られるのを嫌っていたことが斎藤様のお話からも伺えます……。つい先日までそんな時代が続いていたことを改めて生々しく知ると同時に、怒られながらも何とか残った記録の貴重さをも痛感します。そして今はまさに、(割と容易に?) 撮影が可能で、しかもこの手のLRBEが各地でそれなりに走っているという点で、実に貴重なタイミングなのかも知れません。というわけで、画像と回顧録をお送り頂いた斎藤様にはこの場ながら心よりお礼申し上げます~!!


 【マンダレー近郊ヤトン駅のLRBE72】(今年1月)……ち、小っちゃ! (爆) ヒカリエ号はこの塗装をパクったのではないか?としか思えませんね~(笑)。ゴムタイヤが見当たらない……(汗



 【ヤトン工場内に放置されたDMU301】(今年1月)……ミャンマー国鉄は小型レールバスだけでなく、一般DCも国産による量産化を目指していたのではないか?ということを匂わせる一品。斎藤様は「大型一枚窓とこの塗装の組み合わせはなかなかおしゃれだ」とおっしゃっていますが、私も全く同感です。何と申しますか、思わずフリーランス模型を作りたくなってしまう存在感がある意欲作だと思います♪ あるいはひょっとすると、一枚窓やヘッドライトは日本の中古バスから拝借したものだったりして (^^;;)。しかし……結構新しそうに見えるこの車両ですが、台枠がグニャリ……(@o@)。ここらへんから、中型~大型動力車用の台枠を自国で安定的に生産する技術がイマイチであるが故に、日本の中古DCを喉から手が出るほど欲する……ということにつながっているのでしょうか?


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