今中東ではないが起きているだろう。イラクでは、数人規模の自爆テロ死亡者では記事にならない。10人もの死亡者が出ると国内では1ヶ月ぐ らい延々と報道される。イラク側の報道によると、アメリカ人の死亡者は、2万人を越えているらしい。アメリカの発表の3倍の数である。
現在18万人のアメリカ兵の増派をめぐって、ブッシュ大統領は議会の圧力を受けながら、強行している。これが更なる、周辺へのテロの波及になっているようである。
イランでは、核開発についての国連決議をアフマデネジャド大統領は拒否した。その一方で、イギリス海兵隊員を15名を拘束した。国境を越えてきたとしているが、イギリスではこれを認めていない。イギリス艦隊の示威行 動を行なっている。アメリカ主導のイラン制裁も、ロシアや中国の非協力からとても実効的なものが生まれそうにない。アメリカが北朝鮮に見せた和解案すら提示することない。
アメリカよりで、スンニー派である最大の産油国サウジアラビアは、長年の確執を越えてイランと話し合うところまで来ている。この2国の接近はアメリカにとって頭の痛い出来事である。
イスラエルはレバノン攻撃の失敗から脱却していないし、パレスチナとの一時的な和解も停戦もなく、自爆攻撃と空爆のジレンマから脱していない。シリアとはハマス、ヒズボラ 支援を理由に依然として敵対関係にある。
その一方で、ソマリアのタリバンを攻撃したとするアメリカに対する反感が、それを援助したとするソマリア政府に向けられ内戦状態になっている。
アフガニスタンでは、タリバンが勢いを回復しつつあり、各地でEU軍を打ち負かすまで回復してきている。
こう見ると中東から戦火がなくなるのは、極めて悲観的でるように見える。そのほとんどをイスラムを理解し得なかったブッシュの、偽情報ではじめたテロ戦争が引き金となったものである。アメリカの武力政策は、徒に反米感情を煽る結果になっているといえる。いまや、アメリカは中東の問題に油を注ぐ政策しか持たず、どれ一つとして解決する能力を持ち合わせていない。