北朝鮮がいくら待っても、寧辺の核施設を停止する気配がない。アメリカが、資金凍結解 除したが、不正資金や口座の不透明などを理由に、世界の銀行が事務手続きに応じようとしない。これを理由にしている。
北朝鮮が世界の銀行から締め出される結果になったことを、アメリカが当初から目論 んでいたかどうかはわからない。外交的にごねる手腕は世界常識を外れた信じられないものがあるが、一般的世界の事情に疎い北朝鮮のもろさが露呈した形になっている。
韓国は、北へ送る予定だったコメも送れず、相当いらだっている。太陽政策を何とか維持したいようだが、結果的に裏切られて困惑しているようでもある。
北朝鮮が、どう見ても内政的に行き詰っていると思われるが、それを救っているのが中国である。今までは、中国に政治的な援助として庇護されたり、外交的に利用されるような形で生き延びてきた金正日体制である。ところが、最近になって実質的な資本主義自由経済体制になった中国は、政治的に見放して今日に状況になっている。
それでも、金正日体制が命脈をつないでいるのは、北朝鮮の鉱物資源の切り売りである。北京オリンピックで世界、とりわけ東南アジアで金属類の高騰が起きている。日本で思わぬものが、盗難にあったりして騒がれたりしているが、北朝鮮がこの金属類の高騰の恩恵を一番受けている。
金正日が何とかやっていけるのも、高級官僚が豊かな生活を楽しめるのも、外貨を稼いだ鉱物資源で購入した中国製品である。それが今後も、この国の体制を維持させるかどうかは疑問が残るところである。
いずれにしても、少なくとも国連の経済制裁は意味をもっていないし、6者協議の申し合わせもほとんど機能していないようである。したたかな北朝鮮は、現政治体制と核を外交的に内政的に何処まで引っ張っていられるか、中国が一番大きな鍵を持っている。アメリカ頼りの日本にはもどかしさだけが残ることになる。