日々の暮らしから

「街中の案山子」「庭にいます。」から更にタイトル変更します。

ある光景

2013-02-10 08:02:20 | 私の雑感あれこれ
夕食後コーヒー豆が切れていたこともあり、近所のスーパーへ行った。
このスーパーには本屋さんも入っております。但し今月10日で店じまいのチラシが張ってあります。売れ行きもイマイチだったのでしょう。
買物したあと、ふと本屋さんの絵本コーナーに立ち寄りました。小さな女の子がモミジのような手で、絵本をめくっています。こんなに小さくても本をめくって眺めるものだということが判っているのだー、などと、小さい子の仕草などすっかり忘れてしまった私には楽しい眺めでした。女の子は新刊書に挟まっている付箋が邪魔なので引き抜きました。小さいから本が商品である、ということは理解できていないのです。
ま~、とは思いました。つぎは隣にあったカルタや小物グッズが入っているらしきものに興味が移り、モミジの手で中身を引っ張りだそうとしたら、床に散らばりました。
これじゃあ本屋さんもたまらないだろう、と近くで立ち読みしている男性に声をかけました。
「(こんなことをしているので注意してあげてね、という意味をこめて)お宅のお子さんですか」と。
「いいえ」と返事が返ってきました。
すると、そばにいたモミジの手の女の子よりも少し年上と思われる男の子が私のほうへ「すみません」と頭を下げて近寄ってきました。そしてもう少し年上の女の子が、「ダメじゃない」と小声でつぶやきながら落ちたカードや小物をケースに入れて棚に戻しました。
「すみません」と近寄ってきた子は、小さな子の横、私の目の前で本の立ち読みを始めました。
「ボク、りっぱだねー、『すみません』って言葉が出るなんて。いくつ?」と聞くと、右手の親指をひとつ折って差し出しました。
4つなのです。
「妹さんは2歳?」
男の子は、こっくりとうなずきました。
2歳ちゃんは、またまた小物の入った商品に興味があるらしく、引っ張り出します。
お姉ちゃんは、「ダメよ」と小声で諭すように言いながら片づけしています。
男の子は、本の側に向いたまま、振り返りもしません。

2歳と4歳とその上の6歳ほどの3人兄弟です。
お母さんが、このスーパーで働いているのかもしれません。
家で留守番していたけれど、お母さんの帰宅時間が待ち遠しくて、待ち遠しくて、お店まで迎えに来ているのかもしれません。
スーパーの中は暖かい。絵本コーナーは待ち時間をやり過ごすのに最適な場所でしょう。

声をかけてきたおばさんなんて、うっとうしいに違いありません。
ボクタチはお母さんを待っているのだ。お母さんと早く家に帰りたい。
そんなところでしょうか。

勤務時間が終わったお母さんにきっとしがみつくのだろうな、2歳ちゃん。
お姉ちゃんの妹弟の世話係は、お母さんにバトンタッチするまで続きます。
きっと、あと少しの時間でしょう。
そう思いながら、店を出ました。
10日で本屋さんは終わりです。時間つぶしのベストコーナーがなくなって、また暖かくていい場所、あるといいのだけれど。

コメント (3)
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