奴婢として父親と一緒に両班の家で働くクドクは、逃亡資金をこっそり稼ぎながらその機会をうかがっていたものの、自分が仕える両班の娘との婚姻が決まっているソインと偶然出会った事から運命が急に動き出す事になる。
横暴な両班の娘が、未来の夫とクドクの間柄を疑った事で逃亡を決行する決心をした彼女。雪深い中、父と一緒に海辺の街を目指すものの、娘の足手まといになる事を恐れた父は姿を消し、一人働く山中の宿で、偶然立ち寄った両班親子に気に入られるクドク。聡明で決断力のあるクドクを助けたいというその親子の家族として暮らしていくことになるものの、暴漢に襲われ、彼女以外は全員命を落としてしまうのだ。
両班の娘オク・テヨンと勘違いされ、オク・テヨンの祖母の元に送り届けられた彼女だが、ここで嘘をつく事なく早々に、自分の出自を祖母に告白。しかし、奴婢の証言では暴漢は見つけられないという祖母の判断で、クドクはしばらくオク・テヨンとしての人生を生きる事になるのだ。横暴な両班の娘の替わりに全ての事をしてきた彼女は、自分を受け入れてくれた祖母の元、両班の娘としても通用する振舞とその聡明さで図らずも自分の居場所が出来るのだ。
更に、逃げたクドクが追手に追われないように裏から手を回してくれたソインとの偶然の再会。両班の息子の地位を捨て、彼女との思い出を朗読劇にして各地を回る芸人になり、手配書がある事が彼女が生きている証拠と、彼女との再会を求めていた彼と案外あっさりと再会するのだ。見ていてハラハラするすれ違い・・・等は全くなく「どうしよう・・・」などと逡巡することもない。とにかくスピード感が凄い。
ばれたら困ると言いながら思い出話に興じるものの、彼女を探し続けたソインとはやや温度差のあるクドク。ソインの華麗なる転身にも驚くが、それの上をいくドラマティックな人生を生きるクドク。初めての海辺でやや心が揺れるクドクだが、自分の世話をしてくれていた女性が、自殺に見せかけて殺された事で、その夢もまた遠くに行ってしまうのだ。
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戦の場面などはないのに、クドクがオク・テヨンとして生きるしかないような、一瞬で人生が変わるドラマティックな展開が次々と押し寄せている。