私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

香港警察東京分室

2023-07-18 20:36:34 | たまに読んだ本

香港で民主化デモを先導、その後助手を殺害して日本に逃亡してきた元教授を逮捕すべく、香港警察と日本警察の共同案件(いや共助か・・)として事件の捜査に当たる日本警察及び香港警察の計10人のメンバーたち。

香港ノワール映画が好きな私には、香港警察が日本で事件解決の為に尽力するという題材の小説は、その設定だけでも胸が躍るものだ。更にそれらがありえない規模での突入シーン、銃撃シーンによって描かれるのだ。エンターテイメント万歳という気持ちで読み進める。

香港警察と日本警察の共同案件(いや共助か・・)という設定からして、エンターテイメントなのだが、今も日々刻刻と状況が厳しくなっている香港の様子を考えると、このエンターテイメント的な設定も妙にリアルに感じられる。何よりも、権力闘争の面から考えると、実際に矢面に立っている者はあくまでもダミーでしかないという現実と、それでも矢面に立っている者は各自の矜持を胸に自分に課せられたミッションに立ち向かうしかないという現実がぶつかり合う様が、エンターテインメント性とリアルさの両方を感じさせるのだ。

荒唐無稽と思わせながらも時に現実を感じさせつつ、あまりにも闇を感じさせそうになるとエンタメを全面に押し出す展開がやってくる。その匙加減が絶妙だと思った。

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中国は香港が戻って来るまで100年間も待っていたのだ。それだけ考えても、彼らの時間軸が私たちのそれとは違うのではないかと思わずにはいられない。この本の中でも2047年という時代が隠れキーワードのように薄っすらと浮かび上がってくる。

100年間待つことが出来たのだから、50年間一国二制度を守る事も出来るはずだと思ってしまうのは、権力闘争の中に身を置かない者の甘い考えなのだろう。