朝鮮がのちに清となる後金に攻め込まれ、清を宗主国とすることになった丙子の乱の足音が聞こえて来る所から始まる時代劇。
しかし、再び攻め込まれる事はないだろうと、自分の恋物語だけを夢見る両班のお嬢様ギルチェ。都から離れた村の中で、「一番聡明で機敏で誰よりも男性の注目を浴びている私・・・」と幸せな夢物語の中で生きている彼女の前に突然現れたジャンヒョン。
成均館(ソンギュンガン)で学ぶヨンジュンしか目に入らない彼女にとって、実社会でしたたかに生き、うわべの愛国心などは見せないジャンヒョンは全く関係ないはずだったのだが、ジャンヒョンには自信満々で明るい未来しか見ていないギルチェの存在が眩しいものに思えたらしい。
「都の流行りものを知りたい」というギルチェを連れて夜の街に繰り出し、村の中では目にする事のなかった新しい世界を見せるのだ。
ジャンヒョンはギルチェの中に無限のポテンシャルを見つけたようなのに、彼女は自分の中の可能性にも気づかず、友人のウネと穏やかな愛情を育てているヨンジュンの事で頭が一杯なのだ。
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自信満々で機転が利いて困難にも屈しないギルチェと、彼女を優しく見守る友人のウネ。優しさあふれるヨンジュンは教養もあるがちょっと理想論に傾きがちで、世間の荒波を渡り歩くのに長けていると思われるジャンヒョンは理想など語らないどこまでも現実主義だ。
ギルチェとジャンヒョン、ウネとヨンジュン。平和な世の中であれば、ちょっとした恋の駆け引きに心揺れる4人だったはずなのに、後金の侵攻で4人の人生は全く違った景色になるだろうことは簡単に予想が出来る。
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侵攻に揺れる4人の運命は、どことなく南北戦争に翻弄される「風と共に去りぬ」に似ているではないか・・・
気の強いスカーレットと、慈愛に満ちたメラニー。メラニーを愛しながらもスカーレットにも心が動いてしまうアシュレーと、南北戦争で南軍に勝機がないと判断して船を動かす事で最終的に巨額の利益を生む事に成功するレット・バトラー・・・・
洋の東西を問わず、戦争に翻弄されて運命が変わってしまうのは一緒らしい。