2022年2月のマリウポリ、AP通信のウクライナ人記者は現地に入り、通信状況が悪い中でもカメラを回して映像を海外に送り続ける。他の海外メディが状況が悪化し脱出するなかでも取材を続けるも、ロシア軍の侵攻が進む中、取材をし続ける事は難しく、軍の特殊部隊の掩護を受けて取材した映像を持って市内から脱出。そんな非常事態の中で、ウクライナ東部のマリウポリにロシアが侵攻してからの20日間を追った映像。
ニュースで観た映像が、砲弾、銃声の音、逃げ惑う人の声と恐怖に震える息遣いと共に目の前に現れる。
自衛のために侵攻するというプーチンの言葉、病院で傷を負った妊婦の映像に対する「フェイクニュース」と反応するロシア政府の幹部の対応、民間人を狙わないという言葉とは裏腹に砲撃を受け崩壊する住宅。
ニュースでは分からない、侵攻の状況がそこにはある。勿論ニュースの映像も衝撃であることに変わりはないのだが、映画は砲弾の音一つの後ろにそれに怯え逃げ惑う人が何人も存在する事、ひと時も休まる事がない恐怖との対峙、いつ終わるとも知れない侵攻への怒り等、何十倍もの情報量で迫って来る。
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自分の好みで映画を観ているだけなので、(ここに映画の感想を書いているのは自分のリアルな生活とは全くかけ離れている)実生活の中では、観た映画を人に勧める事はないのだが、この映画だけは、「見て欲しい」と声を上げたい。