『定額減税 “給与明細へ明記など手取り増加の実感を”岸田首相』
私も小さな会社ではあるが企業内で給与計算処理を行う担当者なので一言も二言も言いたい事がある。
今更これをアピールする意味が分からない。
国税庁のHPでは『給与等の源泉徴収事務に係る令和6年分所得税の定額減税のしかた』
というアナウンスが今年の1月の時点で既にアップされており、その9頁の(1)給与支払い明細書への控除額の表示という箇所では
【給与の支払者が月次減税額の控除を行った場合には、給与等の支払の際に従業員の方へ交付する給与支払明細書の適宜の箇所に、月次減税額のうち実際に控除した金額を「定額減税額(所得税××円)」または「定額減税××円などと表示します。】
と書かれている。
どこにも義務とは書かれていないが、企業内の実務担当者は、国税庁のHPに掲示されている「○○のしかた」に書いてある事には従わねばならない事は良く分かっている。システムベンダーも自分たちの管理している給与ソフトもそのように変更を施しているはずだ。本当に今更アピールするなんてなんの意味もないのだ。もうそのように準備済みなのだから。
本当にアピールしたいんだったらもっとずっと前にやっていなければならなかった話だ。
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担当者として、負担だなと思う事は、月次減税額の対象となる扶養親族が、所得税法上の扶養親族だけでなく、16歳未満の扶養親族も含まれる事だ。
以前は、16歳未満の扶養親族も所得税法の扶養親族だったが、こども手当の増額がなされた際に、16歳未満の扶養親族は所得税法上ではカウントされないことになったのに、それをこの定額減税の際には使用することになったのだ。
(話が少しそれてしまうが、この16歳未満の扶養親族の取り扱いは、住民税では違う為、「給与所得者の扶養控除申告書」という給与の税金計算に使用する書類の下部には、住民税対応で16歳未満の扶養親族を記載する箇所がある。ごくごく普通の会社員の人で、この違いをはっきり把握している人はそう多くないと思う。それだけ、あちこちの取り扱いが複雑になっているのだ)
又、所得者の合計所得金額が900万円を超える場合には、所得税の配偶者控除には制約があるのだが、この各種制約を定額減税では考えない事となっている。16歳未満の扶養親族の件、配偶者控除の件、普段給与計算を行っている実務担当者の肌感覚としては、ダブルスタンダード故、負担感が半端ない。それで、また年末調整には各種特別に調整作業が待っている。
「定額減税のしかた」に引くマーカーも、このどこにぶつけていいか分からない負担感故、乱雑になる。