ワシントン・ポーシリーズの5作目。
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メディアで偏った意見を声高に叫ぶ者を狙ったと思われる事件が起こる。
「ボタニストの殺人」というタイトルに繋がるように、標的となった者に押し花と詩が送られてくるのだ。
警察の威信をかけ、被害が発生する前に全力で対象者を守ろうとするものの、それを嘲笑うかのように殺人は確実に行われるのだ。どんな風にして殺人を行っているのか、簡単には分からない・・・
そして時期を同じくしてポーが担当する事件に協力してきた病理学者のドイルが殺人の疑いで逮捕される。
ドイルを同志と思うポーは、無理やり2件の事件を同時に担当することになり、同じようにポーの友人であるブラッドショーも両方の事件にかかわる事になる。
西表島のエピソードやフグの毒について言及があったりと、直接目に見えない方法での殺害に空恐ろしい思いもする。人の気持ちもそうだが、目に見えない物を相手するのは非常にコントロールが難しい事を実感する。
ポーの身辺に起こる変化については、このシリーズのファンにとっては意見の分かれるところだと思う。私はこれまでそのような展開になるだろうと思いながら読み進めてこなかったので、虚をつかれる。初めから読み返してみたらそれに対する答えらしきものが見つかるだろうか。正直、この変化が今回の一番のミステリーにも思えたりする。
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今回は以前の事件にもまして、各所で女性の警察関係者が登場する。これはポーの関係する事件が直接の銃撃戦が少ない事によるものなのかとも思うが、私が「警察関係者が女性か否か」を気にする事が、世の中の流れとずれているのかもしれず。