コンテンツ(content)を英和辞典で調べると芸術等の内容を指すと書かれている。今、カタカナで表記されるコンテンツは、映像や音声そしてゲーム等の、商品としての価値のある情報内容を指しているんだろう。
同じようにエンターテイメント(entertainment)を調べると、人を楽しませるもの、(娯楽用の)軽い読み物と書かれている。
私はコンテンツそのものにも楽しさを感じさせる意味が入っているものと思っていたので、意味を調べてちょっとびっくりした。
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コンテンツという言葉の意味が気になったのは、無断で映画を10分ほどに編集して公開する「ファスト映画」の投稿者に対し、大手映画会社等が5億円を求めるという新聞記事を目にしたからだ。
映画好きだが、正直このニュースを目にするまで、ファスト映画の存在そのものさえも知らなかった。倍速で映画を見たりする人が増えているという話は聞いた事はあっても、映画の本体を無断で10分ほどに編集し公開する事が商売(違法ではあるが)になるということも知らなかったのだ。
自分では単純に成果物という意味だと思いコンテンツという単語を使っていたりしていたが、コンテンツはあくまでも作り手側からの言葉であり、受け手としては、情報という言い方よりも、楽しませてもらえるものつまりエンターテイメントと考えるのがピッタリくるなと思っていた。
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この賠償提訴の件は、どのニュースでも「情報を手軽に手に入れたい人にはファスト映画はピッタリのもの」と紹介されていた。楽しさというニュアンスはどこにもなく、とにかく無駄なく手早く情報を手に入れたいという効率だけを求める気持ちしかないようだった。
私にとって映画は娯楽そのものだ。楽しさ以外のなにものでもない。映画を情報と思った事がない私には、ファスト映画の存在は想像もつかないものだった。
ファスト映画では情報は手に入れられても、楽しさは手に入れられない。でも手に入れたい目的が違うのだからそれでもいいということなのだろう。
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このファスト映画の提訴を取り上げている記事の下には、『古典や名著は実は、自分で読まなくても、面白くて、ためになる』と社会学者の古市氏が書いた「10分で名著」という本の広告が載っていた。
ファスト映画も10分、名著も10分・・・でも面白くてためになるなら、私は10分で名著がいい。私にとっては面白いが一番大事だ。