18年前の夏の台湾。大学入学前の夏、台南のカラオケ店でバイトをするジミーの前に突然現れた日本人バックパッカーのアミ。
「財布を無くしたので、旅行資金を稼ぎたいからバイトをさせて欲しい」と突然バイト先にやって来た彼女の存在は大学入学前の彼にとっては不思議でもあり眩しくもあり。中国語も分からない彼女の教育係になった事で彼女との仲はどんどん近づいていき、バイト先にもあっという間になじんでいた彼女だが、あまりにも唐突に日本へと戻ってしまう。
18歳の青年にとってはショックな出来事だ。そしてその出来事は、18年後、36歳になった時に彼女からの一枚のはがきを手に日本に旅立つ位に大きな出来事だったのだ。
18歳と36歳を完璧に演じ分けるシュー・グァンハンの存在感がこの映画の全て。
台湾での少し年上のお姉さんであるアミへの淡い思いと、突然自分の目の前から姿を消した彼女に36歳になって日本で再び近づこうとする大人の男性。
18年後の彼の様子からどんな事があったかは大方予想がつく。それでも18年前の思いを大事にするジミーの姿からは、思い出を胸に前に進もうとする真摯な思いが伝わってくる。
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台北よりも南国風でノンビリした雰囲気のある台南の雰囲気も素敵だったが、飯山線を途中下車し、雪原の中に入っていくシーンが印象的だった。40年前、飯山線の戸狩(当時はまだ温泉が出ていなかった)のスキー場の民宿で泊まり込みでバイトをしていた。バイト先に向かう為、長野から乗り込んだ飯山線でトンネルを通り抜ける度に雪景色が広がっていく様はまさに映画のシーンと一緒だった。映画のおかげで私も40年前に旅する事が出来た。バイトの思い出とともに自分の若い時の事も思い出しながら雪景色を楽しむ。
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