亡くなった祖母の家を片づける為に森の中の家にしばらく滞在することになる母マリオンと娘のネリー。
自分が幼い頃書き溜めたノートや読んでいた本を整理しながらも、母が亡くなった辛い事実を受け入れられずにその家を出て行ってしまう母マリオン。
父親と亡くなった祖母の家で片づけをしながら過ごすネリーは森の中で自分と同じような年恰好の少女に出会う。その少女が「自分の家」と言いながらネリーを招き入れたのは、なんとネリーの祖母の家だったのだ。
8歳の少女となって自分の前に現れた母と、森の中で遊びながら一緒の時間を過ごすネリー。
シンプルな祖母の家の窓から小さく見える森の様子からして、静謐な油絵のような美しさなのだ。娘のネリーが足を踏み出す森の中は、木の枝や葉の一枚一枚までに光が当たり和らな日差しが感じられる。木々の葉が風にこすれる音と、彼女が歩を進める足の下で落ち葉がカサカサとなる音が小さく聞こえる。
二人の少女は、その時間が長く続かない事が判っていても、ただただ穏やかに森の中で静かに遊び、二人一緒の時間を過ごす。
そして穏やかに過ごす二人の後ろには、驚くような静かな美しさを見せる森がある。
******
見終わった後、あの森の様子を何度も思い返したくなる。あの森の中にいた二人の少女を見ていた自分も穏やかな気持ちになっている事に驚く。
映画『秘密の森の、その向こう』予告編