2018年に公開された search/サーチ は、妻亡き後、娘を一人で育てる男性が高校生の娘が居なくなった事を知り、彼女のSNSにログインして手掛かりを掴もうとする話をパソコンの画面上だけで追っていく映画だったが、この映画の設定も同じだ。(search/サーチの監督アニーシュ・チャガンティ原案でsearch/サーチの編集を担当したウィル・メリックとニック・ジョンソンが監督)
ただ、今回はスピード感が前作に比べて倍速だ。前作は娘が戻ってこない事を心配した父親がデジタルデバイスの取り扱いに戸惑いながら捜索するストーリーだったが、今作は、デジタルネイティブ世代の高校生の娘が、新しい恋人と向かったコロンビア旅行から戻ってこない母親を捜索する。
検索サイト、チャット、各種SNS。。。。それらを瞬時に選択判断し、用途別に巧みに使い分ける。狙いが外れて思ったような検索結果が出なかった時のリカバリーの速さにも目を見張る。デジタルデバイスに振り回されず、自分が主導権を握って母を探そうとする強さが感じられるのだ。
映画を観ている私たちは捜索の全てを画面越しに眺める事になるが、その捜索はまるで刑事のそれと同じだ。現場に足を運べない彼女は、自分が使っている家事代行サービスがコロンビアでも営業していると目星をつけて、あっという間にサイトを見つけ出し、単価がお手頃な担当者を探し出す。嫌がる担当者と交渉してその中年男性の懐にサクッと入り込む。(コロンビアでの捜索を手伝う家事代行サービスの担当者を演じるのはヨアキム・デ・アルメイダ。遠隔地でありながら女子高生ジューンとのやり取りに生身の温かさを感じる。)彼の目を通して現場の状況を確認し、それでも足りないとなるとライブ配信カメラを探し出し、リアルタイムで現場の状況を確認しようとする。更に母の恋人の動向を調べる為に彼のパスワードを再発行してその行動パターンを探り、携帯の位置情報から母と恋人の足取りを追う。(FBIの捜査官を演じるダニエル・ヘニーに、その違法性を問われてもひるむ事はない。)彼女自身は動く事はないのに、そのフットワークの軽さは、足で情報を調べ、聞き込みを行う刑事そのものなのだ。
デジタルデバイスを使っても、謎を解く手法は手堅いので、サスペンスの面白さはたっぷり感じられるのだ。