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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- 第11話 『姉妹』

2013-12-17 20:01:02 | アルペジオ
いやー、前回が超神回だっただけに、今回は一見すると地味な気がするけど、とはいえ、よく出来ている。これ、やっぱり、脚本がいいんだな。

前回の流れがないと、こうはならないよなー、ということばかりで。

まず、今回は、イオナと同型艦=姉妹の400、402との交戦が中心だったわけだけど、姉妹に刃を向けることに躊躇するイオナを描くにあたって、タカオと融合した新401であることがとても生きている、ということ。

操舵をタカオに委ねることで、イオナは400や402と交戦中にも拘わらず、会話を交わすことが出来た。イオナ自身、最初から「姉妹」という言葉を使っていることからわかるように、400や402を他の霧の艦隊とは異なるものとみなしている。あたかも三つ子であるかのようなメンタルモデルの外観を、今回、執拗に強調しているのも、そのあたりをはっきりさせるため。そして、その姉妹を傷つけることと群像を守ることを天秤にかけて、後者を選択する。その躊躇や迷い、葛藤をイオナは表情に表すわけだけど、そんな余裕は従来だったら交戦中はありえない。となると、タカオに操舵を預けられる現状があればこそ可能になった展開といえる。

それに、イオナって、実はずっと「私は霧だ」と自分をアイデンティファイしているんだよね。そのことが今回も強調されたわけで。この自問自答は、前々回あたり、タカオから、「群像の船になる」ことが「命令」だからしてるのね、と指摘されたあたりから継続されている。そして、イオナ自身は、それが命令からなのか、自発的意志からなのか、名状しがたいことに当惑している。その当惑を扱う上で、同型艦=姉妹との交流は状況として上手い。なぜなら、姉妹とのあいだで、鏡像的な関係がどうしても想像されるから。要は、もしかしたら、イオナではなく400や402が群像の船になっていたという展開もあったはずという疑念。

このあたりは、イオナが自身を個体として捉えているか、それとも、アドミラリティコードという大きな意志から役割を与えられた存在でしかないのか、という戸惑いでもあるわけで。

そのあたりの疑念があるからこそ、躊躇が生じる。

けれども、その躊躇を振るい払うために効いてくるのが、前回、400と402にイオナが撃沈されたという冷徹な事実。そして、その結果、群像が瀕死の状態にしてしまったという事実。その後悔が躊躇を振るい払うために効いている。

このあたりが脚本が上手いなと思うところ。

その意味で、今回、物語展開上、地味に重要な役どころを演じているのがハルナ。

冒頭、群像に対して、ハルナは「前回沈められているのに、400、402と交戦するとは、勝算はあるのか?」と問い詰めるわけだけど、この辺りの冷静な発言は、とてもハルナらしい。

もちろん、これは、ハルナからすれば、勝算のない戦いに巻き込まれることで、蒔絵を危険な目に合わせたくない、という判断からなのだけど、そういうハルナの態度が、現在、401に集っている者達が、一種の呉越同舟状態であることを再確認させるわけで。

その上で、群像の戦術に納得した上で、実際に、ハルナ、キリシマも今回の作戦に協力することになる。面白いのは、ハルナ、キリシマ、ヒュウガは今回、群像の作戦に協力するうちに、しっかり、群像の指揮下でそれぞれの役割を自発的に果たしてしまうのだよね。

このあたりも上手い。

つまり、当初は、互いに利するところがあるために始まった暫定的な共闘も、その共闘を繰り広げるうちに継続的な信頼関係に変わってしまうというところ。むしろ、関係は強固で確かなものになってしまう。

このあたりも、前回、401が撃沈されている、という事実があればこそのリアリティ。

こういうところが、脚本として上手い、と思うのだよね。

なぜなら、登場人物それぞれの思惑を見る側に勝手に想像させて、そうやって彼らの行動を納得させることで、ドラマを引き起こしているわけだから。

うーん、やっぱり、この物語は良く出来てるなー。
ホント、面白い。

そうそう、タカオがちゃんと401内に存在していて一安心w
さすがにメンタルモデルは失っていたけれど。
まぁ、それくらいの代償がないと、前回の内容が薄れてしまうから、やむなしなんだろうけれどね。

ただ、結果的にはタカオの望んだ通りになっていて。

新401にはタカオの兵装も上乗せされていて、その分、群像の願望の実現に寄与できるし、間接的にではあれど、群像から「命令」してもらえるのだから。
まぁ、群像になかなか気持ちを推し量ってもらえないのは不憫だが。
でも、別に、この物語は、群像のハーレムワールドでもなんでもないわけだから、多少、群像が鈍感?であっても、全然気にならないところがいい。

というか、今回は、初めて401クルーとメンタルモデルたちが共闘したのだけど、そんな雰囲気の中で、群像ラブ!なことを明示しているのはタカオだけだから。そういう意味でも、ハルナの存在は大きいよな。

しかし、こうなると、実体はなく二次元の存在になっているタカオと、実体はあるけれどその実クマのぬいぐるみのキリシマと、どっちがいいんだ?という究極の選択にもなってくるわけで。ちょっと面白いw

まぁ、どちらもその存在のあり方が、ちゃんと物語にフィットしているからいいんだけどね。あと、ナノマテリアルさえ調達できれば、もとのメンタルモデル体?にもどることもできることはわかっているわけだから。

しかし、なんか、タカオはナビAIみたいになってるなw

それにしても、冒頭のハルナの「惜しい船を失った」という発言のくだりは、ハルナだからこそできる、シリアスを装ったボケだったわけでw

うん、今回の話で、ハルナの株はまた随分とあがった。

てか、ハルナ、物語を進める上で、やっぱり重要な役回りだなw

結果的に彼女の判断が、振動弾頭だけでなく、その開発者である蒔絵まで401に乗船させることになったわけだから。

そして、彼女の判断によって、もれなくキリシマもついてくるわけだからw

・・・ということで今回も面白かった。

そうそう、最後のコンゴウの変化ぶりには驚いたけど、でも、あの、マヤとの融合?を図るところを見ると、今回のタイトルの「姉妹」は、実は、コンゴウとマヤとの関係でもあった、ということだよね。

この場合は、同胞という意味での姉妹、ということだけど。

そして、誰もが期待したとおり、コンゴウの口から「401を倒すのは私だ!」という、あんた、ラオウか!と思わせるような発言が出てきてニンマリ。

最終回の展開はとても綺麗に予想出来てしまうわけだけど、その王道的展開をベタベタに画力で見せてくるのか、それとも、さらにもう一回何かひねりを加えてくるのか。

いやー、しかし、ホント、この物語は、しりあがりにどんどん面白くなっていく。

次回の最終回が楽しみだ!

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