BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

バビロン 第12話 『終』 感想2 : 放送延期はこのラストの改変のためだった?

2020-01-28 10:28:54 | バビロン
12話の最後は、原作第3巻と違っていた。

(詳しくは、このサイトの

野﨑まど 『バビロン 3 ―終―』 感想

も見てほしい)

アレックスが自殺するのではなく、正崎がアレックスを銃撃して殺害するというオチだったのだけど。

これは、さすがに、アメリカ大統領に自殺させるわけにはいかないから、ってどこからか、クレームがついたのかな?

それとも、むしろ、積極的に、日本人(=正崎)の手でアメリカ大統領(=アレックス)を殺す、という、ちょっとナショナリズムが入った気分を高めようとしたのかな?

いや、だって、このバビロン、一応、第3部は、2ヶ月おいての放送だったじゃない。

で、きっかり第3部から延期、って、単純に制作が間に合わなかったから、という理由ではないよね。

となると、一度進めていたシナリオにクレームが付いて作り直した、と捉えるほうが妥当だよね。

そうすると、一番の改変であったアレックスの自殺の取り下げ、がその理由だった、ということなのかね。


うーん、それにしても、あの最後のくだりの改変は理解できないな。

もっとも、原作のほうが良かったとも思わないけど。

でも、総じて第3部のアレックス編においては、本当はキリスト教の七つの大罪の話をちゃんと納得しながら進まないと、あるいは、前回のトロッコ問題のような哲学的な対話を噛み砕きながら読み進めないと、ただの猟奇殺人の話にしかならないからな。

その意味では、そのあたりの原作にあった「難しい、重たい本質」をきちんと消化しきれなかった監督や脚本家に問題があったのだろうな。

その点では、決して好きな作家ではないけど原作者の野﨑まどが、この終わり方に納得しているのかどうか、が気になる。

あっさり、曲瀬だけが生き残ったかのような描写になっていたしね。

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バビロン 第12話 『終』 感想

2020-01-28 01:35:44 | バビロン
うーん、いろいろ原作から改変してきたね。

専業の通訳者は登場せずに、FBI捜査官が通訳を務めた。

なるほど、だから、前回、通訳者はでなかったのね。

まぁ、そんなに重要な役ではなかったけど、とはいえ「伝える」ことの意義を説くという点で、あの原作の通訳者の存在はちゃんと意味があったのだなと、逆に思ったり。


(詳しくは、このサイトの

野﨑まど 『バビロン 3 ―終―』 感想

も見てほしいけど)


もっとも、それ以上に、大きな改変は、最後だよね。

アレックス、自殺してないんじゃん。

自殺させられてないじゃん、曲瀬に。

代わりに、正崎に射殺させることで、アメリカ大統領が自殺する、という曲瀬が仕込んだスキャンダルを回避させたわけだけど。

でも、その代償として、今度は、事件現場に曲瀬が現れて、まぁ、ぼかして表現したけれど、結局、正崎自身も自殺させられた、ということだよね、曲瀬によって。

そして、曲瀬は引き続き、「終わらず」に生き「続けて」いる。

それが「正しい」ということだけど。。。


いや、でもさ、こう改変したからって、何?

これ、作者も原作で続編を書くのが面倒になったから、アニメのほうで、正崎は死んだ、ってことにして、原作もそう解釈してね?ってこと?

そうでもなければ、こんな終わり方しても、なんの意味もないよね。

というか、アニメの方だけ見た人からすると、結局、曲瀬って何?、曲瀬の異能って何なの?って疑問に思うだけのことで。

ヒドイのは、原作を読んでも、その答えが書かれてはいないことで。

なんだかなー。

これ、製作しようとした人たちは何、考えてたの?

てか、何、したかったの?

全く、意味不明だよ。

いや、「野﨑まど」って意味不明の、その意味でいい加減なホラーもどき、ミステリーもどきの小説を書く詐欺師なんです、ってのを伝えたい、っていうのならわかるけど。

いろいろな意味で視聴者や読者をバカにしてるにもほどがある。

ホント、ヒドイ作品だ。ヒドイ作家だよ。

いや、今回については、製作者の酷さが極まっていると思うけど。

ホント、くだらない。

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バビロン 第11話 『開幕』 感想

2020-01-21 15:40:25 | バビロン
いよいよ、G7サミットと新域サミットが同時並行で開催。

山場となるのは、アレックスたちG7首脳たちによる善悪談義。

・・・だったはずなのだけどw

何なんだ? あの不思議宇宙空間みたいなところでのディスカッションは?

あんな、なんちゃってニュータイプwみたいな感じで演出するくらいなら、普通に議論している様子をとればいいのに。

トロッコ問題のところは、あんなに力をいれて、トロッコ問題の状況を背景にアレックスを線路に寝かせるようなアホな演出をしているくらいなのだから、原作者に了解をとった上で、他の倫理問題ネタを入れるなりして、絵面的には繋げばいいのに。

ホント、製作者は、なんにも考えてないんだな。

もう一つ、原作既読者としては、この先で重要になる同時通訳の話が全部すっ飛ばされていたのだけど、それは次回冒頭で補うのかな?

といっても、次回が最終回だよね?

あと、演出的にあれれ?と思ったのは、あの自殺しようとする女性、まだ顔を見せちゃダメだよねw

あんなふうに見せちゃったら、この女、曲瀬じゃないの?、って丸わかりだよね。

少なくとも正崎のカットを入れたので、それがもうわかっちゃう感じなんだけど。

となると、あそこで、物語を切ったのも失敗でしょ。

あのシーンは、曲瀬かどうか、わからないまま、一気に観てしまうように、次回冒頭に持ち越した方がよかったろうに。。。

ホント第三部(原作第3巻)に入って、演出がダメすぎる。

正解のカド、の終盤と全く同じようなダメ感w


しかしこうなってくると、原作第4巻がちゃんと出るのかどうか、心配になってくるな。

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バビロン 第10話 『決意』 感想

2020-01-14 13:57:12 | バビロン
うん、これこれ。

原作を読んだ時、あーあ、と思ったところ。

正崎がアレックスからFBI捜査官に任命されて、拳銃の携帯を許可されるところ。

でも、必ず家族のもとへ帰れ、と、大統領から命令されてしまうところ。

要するに曲瀬愛を殺すな、ということなのだけど。

いわゆる「不殺(殺さず)」をアメリカ大統領に命じられる、日本の元公安検事、って、いろいろな意味で象徴的すぎて、笑うに笑えなかった。

こういう命令を発することのできる「父」にあたる存在が、「父」として絶対視される存在が日本の中にはない、ということでもあって。

きっと、同じことを日本の首相や検察のトップから言われても、リアリティがないんだろうなぁ、と。

そもそもアレックスの、自分の頭で熟考するトップ、というのが、考えられないからね。

だからこの物語では、アレックスのカウンターパートとなるのが、齋開化という架空の都市「新域」のトップにならざるを得ない、という。


このあたりは、原作を読んでいて、まぁそうだよな、と思うとともに、ある意味で、超ステレオタイプのG6外交での各国首脳の役割分担に、げんなりしたところでもある。

第3部は、それまであったリアリズムがどこかに消し飛んでしまうくらい、カリカチュア過ぎてツライ。

まぁ、今回の画面もマンガ的過ぎて(いや、まぁ、マンガなんだけど)、結構残念。

物語の重さに、画面が全然追いつけていない。

特に、十戒を教会で司祭と語るところには、なんの荘厳さもないものね。

なんたって司祭のCV、あの「慎重勇者」のセルティウスの人でしょ?

なんかとりあえず凄みのある声あてとけばいいよね、くらいのものでしかなくて。

いやー、全てが軽い。

自殺という重い話をしているのに、第3部に入ってから、全てが軽い。

一番重厚性のある画面が、冒頭のツインエンジンのロゴが出るプロダクション紹介部分、というのはさすがにイタすぎるw

原作や原作者に対して思い入れのある方ではないので、本来なら拘る理由はないのだけど、とはいえ、さすがに、この軽さはないなぁ。

宮崎駿がCVに俳優を抜擢するのも、なんか理解できる。

アニメのCVって、結局、使い捨ての場内アナスンス程度のものなんだな、と思ってしまうから。

結構驚いているのは、それが比較的芸歴のある男性CVでもそうなんだ、というのに、今回気付かされた。

いや、アレックスはいいんだけどね。

正崎も、これはフィクションの主人公だから、でいいのだけど。

でも、それ以外の取り巻きが、皆、軽すぎて。
芝居になっていない。

こんなので、この先に控える陰惨な世界の陰惨さをちゃんと伝えることができるのだろうか?

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バビロン 第9話 『連鎖』 感想

2020-01-07 17:02:44 | バビロン
アレックスと正崎がようやく対面。

フランス大統領のルカも登場。

しかし、日本だと「新域」なんていう架空の特区でなんとなくホンモノっぽく見せることができたけど、話がアメリカにまで飛ぶと、スケールが大きくなった分、ウソっぽさが増したように見えるから不思議。

というか、大統領の距離が近すぎでしょ、いくらなんでも。

あと、ホワイトハウスだけでなくワシントンDC自体がペラペラに薄く見える。

原作の文章を読んでいるときには気にならなかったけど、映像にすると、とたんに、制作スタッフの理解度の薄さが露呈してしまう感じ。

というか、監督の絵コンテが貧弱なんだろうけど。

せめてドラマの『ホワイトハウス』ぐらいは見て、感じを掴んでほしかったなぁ。

FBI長官のブリーフィングがあるなら、当然、大統領執務室におかれたソファを使いながらのものになるんじゃない?

そこで、大統領、首席補佐官、国務長官、FBI長官が着席して内容確認をしているところに、正崎が呼ばれて着席(当然末席)を勧められる、という感じじゃない?

なんか、アレックスを囲んだやり取りが、ホワイトハウスというよりも、日本の官庁のようなやり取りになってしまっていて、リアリティがだだ下がりだよ。

この作品、というか、野﨑まどの小説って、ギリギリまでリアリズム的な描写を保ちながら、その限界でオカルトの世界、完全フィクションの世界に入っていくから、逆に言うと、オカルトが発生するまでの描写はリアリズムに徹さないと、本当にオカルトになった時にサプライズが起こらずに、ただの茶番になってしまう。

7話で、曲瀬が猟奇殺人に至る場面も、そこまでの描写が、たとえば暗い地下、捜査車両での情報収集など一定レベル以上のリアリティを確保していたからこそ、バラバラ殺人の凄惨さも増したわけでしょ?

だったら、8話以降のアメリカ編でも、そうしたリアリズムの担保は必要なはずなのに、たとえば、アレックスにしても、ゲーム画面を眺めているだけになる。

まぁ、こちらがすでに、この先の原作の展開を知っているから、というのもあるのだろうけど、それにしても、背景描写を含めて、製作サイドの勉強が足りない感じがする。

これはあんまり意味のない想像だけど、たとえば、この作品の製作をボンズが元請けしていたら、きっとワシントンDC取材とかして、背景に対する一定のリアリズムを確保できるよう、事前に動いていたと思うのだよね。

しかも、今回、自殺法がもつ「人類史における革新性」という、結構重い話を、アレックスと市長の間でやり取りしていたはずなのだけど、そこも徹底的に軽かった。

もうちょっと、やる気を見せてくれないかなぁ。

もっとも、今さら言っても詮無いことなんだけどね。

でもね、とにかく絵が軽い。物語が軽い。リアリズムがない。

さすがに東京が舞台のときはここまで軽くはなかったのだけど。。。

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バビロン 第8話 『希望』 感想

2019-12-31 16:33:23 | バビロン
1ヵ月半ぶりの第8話。

このエピソードから原作第3巻のはずなのだけど、冒頭、いきなり正崎が普通に出てきていて、第7話最後の惨劇の事後処理をしていたので、あれ、もしかして、アニメは原作とは違ってオリジナル展開?とか思ったのだけど、後半になって舞台はアメリカ・ワシントンDCに移って、あぁ、やっぱり、原作通りか、と思ったのだった。

ちなみに、この放映休止期間の間に原作第3巻は読んでしまったので、気になる人はそちらの感想を見てください。

この先、原作通りの展開でいくのか、それともアニオリを埋め込むのか。

どっちにしても、原作が未完なので、アニメの方も未完で終わることになるはずで。

そうなると、ちょっとアレンジを加えてくるのかな?とは思う。

ただ、原作を読んでしまった後だと、やはり、以前のような緊張感はなくなるので、素直に今後の放送を待ち続けたほうが楽しいのかもしれない。

あ、そうそう。

てっきり、年末に一気に4話放送と思っていたらけど、違ったね。

だとすると、ホントに落としていたのか。

それとも、内容の本来の結末に、どこかからか物言いがついて、といってもアメリカ政府くらいしか思いつかないけど、結末にアレンジが加えられた、とか、かな。

まぁ、そんな邪推も込みで、放送休止を選択したのかもしれないけれどw

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野﨑まど 『バビロン 3 ―終―』 感想

2019-11-28 00:57:55 | バビロン
予想通り、手を出してしまった。。。
で、読み始めたらあっという間。
相変わらずリーダビリティは高い作品なのだが。

だがね・・・

・・・というわけで、出版からすでに2年経っているから、ネタバレとか気にする必要はないのだろうけど、でも、バビロン第7話でお預けを食らったせいで、同じように第3巻に向かう人もいるだろうから、一応、スペース、空けときます。













































で、
結局、読んじゃいました。
そして改めて痛感しました。
やっぱり、野﨑まどは鬼門だなぁ、合わないなぁと。

なんだろうなぁ、読者をも弄んで悦にいってるのが透けてみえるというか。
これで面白いという人たちは、ただのマゾなんじゃないの?と思わずにはいられない。
そして、そうしてこちらが憤る感じすら、えーい、ざまー見ろ、狙い通りだぜ―、とか言ってそうで・・・
心底ムカつく。

人の感情を弄ぶのが実にうまい。
もちろん、それは作家としては褒められるべきものだけど。

でもねー。
やっぱ、気持ち悪い作家だわぁ。
好きか嫌いかと問われれば、大嫌い!

『know』の時は、単に物語の結末のつけ方に、なに、そんな手を使うの? キモチワル!、って思っただけだったのだけど、今回は、なんていうか、単に展開の残念さに不愉快になるだけでなく、というよりも「それ以上」に、書き手の底意地の悪さを感じないではいられなかった。

作品ではなく作者自身に嫌悪を抱かせる、というのも書き手としては一つの才能なのだけどね。

でもね、ほんとにね、この人、性格が悪すぎる。
「曲世愛」とは「野﨑まど」の別名である、といいたいくらい。

だって、言葉だけで、人をこれ以上ないというところまで不快にさせるのだから、やってることは曲世と野﨑とで、全然変わらない。

いや、だから、きっと『know』のときも不愉快な気分になったんだろうなぁ。


実のところ、第3巻を読むとわかるのは、この展開なら、むしろ、1ヵ月くらい空けての放送の方が確かに適切なこと。

だって、あまりに物語の舞台が変わりすぎるから。

なにしろ、舞台は、ワシントンDCだからね、ホワイトハウスだからね。
主人公は、アメリカ大統領になるからね。
少なくとも最後の50ページまでは。

だって、その大統領であるアレックスも、曲世の魔の手、というか「魔の言葉」にかかって、最後で自殺と遂げてしまうから。

そして、もしかしたら、残り4話、全部一気に放送/配信するのかもしれない。
でも、第3巻の内容を思うと、その方が適切だな。
なにしろ、後半はずっと世界の首脳が一室にこもってずっと「善悪とはなにか」という哲学談義にふけるのだから。
そんな内容を、4話に分断されて放送したところで、絶対、物語の勢いを削ぐだけのことなので。

で、物語そのものに触れると、
すでに書いたように、舞台はアメリカ、主人公はアメリカ大統領。

じゃあ、正崎はどうなったかというと、その大統領の権限で、FBIの捜査官になる。

そうして、銃の携帯を許されるものの、しかし、その銃で曲世愛の殺害は許されず、必ず君の家族のもとへ帰れと、大統領から命令される。

このあたり、物語世界の構造的には、アメリカのトップに叱咤激励されないと、「自殺法」という日本発のトラブルも、日本人自らの才覚では解決できないものと一瞬、思わされる。

その上、アメリカトップの大統領の頭にあるのは、キリスト教の神と愛の話であるのだから。
そして、そこから、本作タイトルの「バビロン」が、黙示録に現れる「大淫婦バビロン」であることも示される。

つまり、曲世愛こそが、7つの王を従えて世界を滅ぼす「大淫婦バビロン」ということ。
だから、タイトルの「バビロン」とは「曲世愛」その人のことだった。

終わってみれば、このタイトルの理由を明かすために、深いキリスト教の説明が必要で、そのためには、日本人ではない、思索家の西洋人インテリを舞台に登らせる必要があった。
そうして、この物語の外枠は、西洋における「神」「死」「自由」という観念なくしては設定できなかったことが、今更ながら示されることになる。

その役割を担わされたのが、他でもないアレックス大統領だった。

アレックスが、正崎に、曲世を殺すな、家族のもとへ必ず帰ってこい、というのも、こうしたキリスト教的善意のもとでのものだった。

実際、このあたりはいい話だったのだけど、でも、最後にあっさり、そんな西洋的な「人間的な」対応では、曲世の「極悪」は崩せないことが明らかにされてしまう。

大統領のアレックス、そのギークな感じがちょっと新鮮だっただけに、その真実に肉薄できる「知性」は、曲世にとっての邪魔になり、結局は自殺に追い込まれてしまうという顛末。

アレックスに愛着が湧いてきたところで消されてしまうのはやはり衝撃は大きい。

それにしても、どうして誰もアメリカの現場に、曲世がすでに潜入していると思わなかったのだろう? 
読む側としては、ずっと、その可能性を気にしていたのに。

あとは、自殺を巡るイデオロギー闘争だから仕方ないのだろうけど、G7サミットがニューヨークで開催されるのだけど、その様子が、まんま『沈黙の艦隊』の中の国連安全保障理事会みたいで笑った。
日本発でとんでもない新種のイデオロギーが提案され、その抑止にアメリカが登場するところが。

しかも、各国首脳に与えられたキャラまでそっくり。
斜に構えて皮肉ばかり口にするフランス大統領
権力者に伴うノブレス・オブリージュを説くイギリスの女性首相とかね。

このあたりは、そもそも、日本でなにか世界をひっくり返すような突飛なアイデアを出すと、その突飛さに先進諸国がこぞって反対に当たる、という定番のプロットでもあるのだろうか。
それとも、そうしたプロットは、日本の書き手の中に潜む欧米先進国に対する一種のコンプレックスとして根付いているのだろうか。

それにしても、放送されたバビロン第7話の感想でちょっと書いてはいたけれど、まさか、本当にあの絶望的な結末の続きが、アメリカから始まるとは思わなかったよw
さすがに、諸外国が「新域」に介入する、というところまでは行かなかったけれど。

代わりに、生きるとは続くこと、死ぬとは終わることと、アレックスによって喝破されたわけだけど。
そして、それは、ユダヤ・キリスト教に根ざす「原罪」に通じるものだった。
蛇の誘惑で知恵の実を食べてしまったばかりに、アダムとイブは楽園を追放され、死を迎えることになった。
そこから「知ってしまう」ことが、原罪を介して、死をもたらすことになる。
アレックスはその展開を見事になぞらされてしまった。
曲世愛によって。

とはいえ、それがゆえに、副題が「終」となるとはね。
それもまたとんでもないミスリーディング。
だって『バビロン』は終わらずに続くから。
だまされた。
というよりは、やっぱりコケにされた、というのが実感かな。

もっとも、いっそのこと、これで終わりにしても実はそれほど問題もないような気がする。

だって、曲世は「大淫婦バビロン」なんだよ。
とても勝ち目があるとは思えないから。


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バビロン 第7話 『最悪』 感想

2019-11-19 13:44:05 | バビロン
なんかすごいところで終わったね。
なのに、次の第8話が12月30日って、どういうこと?
本当に万策尽きたの?
それとも、原作の購入を誘うジラシ商法?

まぁ、こんなに焦らされたら、原作に手を出しちゃうかも…、なのだが。

でも、これ、野﨑まどが原作なんだよね?
うーん、野﨑まど、って微妙だからなぁ。

以前に『know』を読んだときも思ったけど、野﨑まど作品って、イントロこそ、思いきり現代的、ないしは近未来的な設定で、妙にリアリティ重視の世界を描くのだけど、そう思っているうちに、途中でたいてい2度ほど作風をガラッと転調させるんだよね。

まず、リアルな現代世界に、なにか超常的な不思議な事件が発生して、で、その解決が、文字通り超自然的な方法を疑似科学を纏った形で、もっともらしく図られるタイプの話になりがちだから。

だから、読後感が、なんか狐につままれたみたいな感じで、うーん、求めていた結末はこれじゃないなーって感じが半端ないんだよね。

なんていうか、シリアスからオカルトへの転調が強引、かつ臭すぎる、というか。

だから、この『バビロン』もそんなオチになりそうな気がするんだよなぁ。

まぁ、きっと読んじゃうんだろうけど。

で、あと、今回のエピソードについては、猟奇的殺人の表現にトライした!ってところに注目するバズ?が、制作サイドを含めて流れているけど、でも、そのタブーに挑戦!ってのも、テレビ放送としては、という条件付きのものだよね。

これくらいの猟奇性なら映画では普通に扱われているし、そもそも今回の表現にしても、ずいぶんとオブラートに包まれていたものだったので、これで神回とかいわれてもなぁ、と。

いや、息を呑むシーンはたしかにあったけど。

でも、それにしたった曲世愛の能力?があまりにイレギュラー過ぎてよくわからない。

というか、曲世の能力って、一種の「魅了」で、男性をたぶらかして好きに扱える、というものなんじゃないの? それこそ、九字院がセックスのたとえ、というか、男性の射精の比喩で、その興奮ぶり、ならびに反動としての虚脱感、について語っていたように。そうした人間の本能的部分に直接刺激を与えるなにかを曲世は備えている、ということだよね。

となると、わざわざ正崎の前で、猟奇殺人を実行してみせる必要があるのか?

多分、 野﨑まど的な疑似科学の理屈で行くと、脳科学あたりを引用して、その人間の「情動」を扱う脳の部位を直撃する化学物質とか電気信号とかを発することができる能力を生まれながらにして持つ特異体質の人間が曲世、ということになるのだろうけど。

あとは、その能力が、曲世による教唆の介在をほのめかす自殺や、今回のような曲世による直接的な殺人行為をどう絡んでくるのか。

もともと、正崎善なんて名前の検事という、正義=法の執行官を主人公にしているあたり、その正義の執行を揶揄するのは見えているのだけど。

そういう意味では、今回、曲世が、正崎との対比で「悪」を自称していたのも、なんかちょっと不思議。

本当の悪なら、わざわざ悪を名乗る必要なんてないはずだから。

というわけで、確かに、なんかヤバいことを仕掛けてきたなぁと、という気はする。

にしても、今回のエピソードで、事実上、正崎側のスタッフは皆、曲世に殺害されたことになるので、次回からは、キャストの総入れ替えになるのかな?

野﨑まど的展開だと、このあたりで唐突に自殺法を潰すために他国の勢力が介入する!なんてことがありそうなのだけど。。。

なんか、やっぱり後味が悪いんだよなぁ、野﨑まどって。。。

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