空々くんシリーズの第三弾。
で、四国編の第二弾。
前作の『悲痛伝』が今ひとつな読後感だったのに対して、
今回は、四国編全体の物語の向かう先が見えてきたので、大分スッキリした。
といっても、相変わらず、途中は冗長なわけですが。
この伝説シリーズは、第一作の『悲鳴伝』が、かつての戯言シリーズの、西尾維新的二周目の世界、という感じだったのだけど、第二作目の『悲痛伝』からの四国編突入で、結構としてはかつての『刀語』のようだなー、と思えてきた。
で、今回の『悲惨伝』を見ると、多分四国脱出ゲームという設定もあるからなのだけど、中身的には、西尾維新版『禁書目録』のように思えてきた。
というか、『禁書目録』に限らず、この数年の「人気のある作品」のいいとこ取りをした作品のようになってきた。
なにしろ、四国編の基本が「魔法vs科学」という構図になって。
しかも、絶対平和リーグが、今回の魔法実験をしてることから、四国全体が、『禁書目録』の学園都市ならぬ「魔法都市」って感じになってきたのだから。
加えて、空々くんはもう、すっかり魔法少女とデスゲームに参戦してしまったので、ゲームなのにマジモンで死んでしまう、という設定は『ソードアートオンライン』のようなもの。
なにしろ、「死んだ人間を生き返らせる」魔法まで出てきたら、もうなんというか、これ、魔法ファンタジーワールドでしかないでしょ。
というか、四国、完全に単なる結界だよね。
むしろ、スティーブン・キングの『アンダー・ザ・ドーム』に近い。
完全なる密閉空間。
ただし、キングと違って、その結界を張っているのが、結局のところ、神ではなく人間であり、そこでは魔法が使えるファンタジー系デスゲーム、というのが今回の設定。
神ではなく人が敵、というのが、実は救われないのだけど、
そう感じさせないのは、そもそも空々くんたちの本当の敵は「地球」だから、なんだよね。
でそういう設定の中で、人工的な「魔法少女」に対して、天然物の「魔女」まで登場してくると、『まどマギ』みたいでもあるし。
いやー、なんか物凄いマッシュアップになってきた気がする。
しかも、最後に、科学側、つまり、空々くんの所属する地球撲滅軍の最終兵器が、人造人間『悲恋』というのだから、これは新約『禁書目録』に出てきた「恋査」のように思えてくる。あるいは、風斬氷華のような人工天使のようなもの。
で、西尾維新としては、前巻の段階で予告していたとおり、あと二冊で四国編を終わらせるようだけど、あとがきによれば、これにさらに、和歌山編がオチとしてつくみたい。なので、ますます、『刀語』のようになってきた。
でも、多分、その流れは、地球撲滅軍vs絶対平和リーグ、すなわち、科学vs魔法の、地球人同士の闘いに過ぎないから、その後に、本丸である「地球」自体との対決に向かう最終章?が待ってるはず。
となると、この伝説シリーズも結構、長い物語になりそうで。
大変なことになりそう。
それにしても、この厚さで、この遅々として進まない感じの物語展開は、なかなかに厳しいところもある。
いや、「伝説」シリーズ、として、「悲X伝」というように、「伝え聞いてものを書き記している」という形態をそもそも宣言しているから仕方ないのだけど、空々くんたちの心理をくどいくらい丁寧に追っていくだけでなく、途中で空々くんという英雄の「伝説」を語る語り手が、延々と状況設定の描写や、物語の流れの予告を比較的に頻繁に挿入して来るので、思いの外、本編が進まない。
前者の、長々と続く空々くんたちの心理描写は、四国編に入ってからの設定が完全にデスゲームになってしまって、文字通り、ゲーム的心理戦を繰り広げざるを得ないので、仕方ないのだけど、それにしても長い。
なんというか、『HUNTER×HUNTER』を絵なしでネームだけで読んで言ってるようなもので、結構しんどい。
この手のゲーム的心理戦の場合は、どれだけ合理的に事態を捉えるか、そして、その判断をどの程度、他のプレイヤーも行って来るか、というように、とにかく推測のれんぞくになるわけで、それを延々やられるのはツライ。
で、その辛さは、結局のところ、何のゲームをしているのか、そして、そのゲームのルールが何なのか、が判然としていないから。
なので、心理描写といっても、もっぱら空々くんが中心になってくるので、途中、さすがにうんざりさせられるところがある。
とはいえ、四国ゲーム自体が、そのゲームのルールを集めよ、という、いわばゲームのバグ取りをプレイヤーにさせているようなところがあって、もうただでさえメタ語りな傾向のある西尾維新をさらにメタゲーム化していて。。。
なので、これはいくらでも冗長に書けてしまう。
となると、この先は、いかに、その、その気になればいくらでも書き続けられてしまう設定、という西尾維新本人的に美味しすぎる状況を、いかに禁欲して、物語をエンタメとして加速させるかに、残り二冊+アルファの成功が掛かっているように思える。
その意味でも「伝」の語りの部分をどれだけコンパクトにするか、もね。
ということで、次は9月かー
鋼矢さんやかんづめ、ジャイ子が、次の物語で死なないことを願うばかり。
というか、キャラの配置的には、実は化物語風になってきてるのも確かで。。。
何だかんだ言って、続きが楽しみになるところは、
西尾維新の面目躍如たるところだね。
さてさて、どうなることやら。
てか、いきなり悲恋が仲間になったりしてね。。。w
で、四国編の第二弾。
前作の『悲痛伝』が今ひとつな読後感だったのに対して、
今回は、四国編全体の物語の向かう先が見えてきたので、大分スッキリした。
といっても、相変わらず、途中は冗長なわけですが。
この伝説シリーズは、第一作の『悲鳴伝』が、かつての戯言シリーズの、西尾維新的二周目の世界、という感じだったのだけど、第二作目の『悲痛伝』からの四国編突入で、結構としてはかつての『刀語』のようだなー、と思えてきた。
で、今回の『悲惨伝』を見ると、多分四国脱出ゲームという設定もあるからなのだけど、中身的には、西尾維新版『禁書目録』のように思えてきた。
というか、『禁書目録』に限らず、この数年の「人気のある作品」のいいとこ取りをした作品のようになってきた。
なにしろ、四国編の基本が「魔法vs科学」という構図になって。
しかも、絶対平和リーグが、今回の魔法実験をしてることから、四国全体が、『禁書目録』の学園都市ならぬ「魔法都市」って感じになってきたのだから。
加えて、空々くんはもう、すっかり魔法少女とデスゲームに参戦してしまったので、ゲームなのにマジモンで死んでしまう、という設定は『ソードアートオンライン』のようなもの。
なにしろ、「死んだ人間を生き返らせる」魔法まで出てきたら、もうなんというか、これ、魔法ファンタジーワールドでしかないでしょ。
というか、四国、完全に単なる結界だよね。
むしろ、スティーブン・キングの『アンダー・ザ・ドーム』に近い。
完全なる密閉空間。
ただし、キングと違って、その結界を張っているのが、結局のところ、神ではなく人間であり、そこでは魔法が使えるファンタジー系デスゲーム、というのが今回の設定。
神ではなく人が敵、というのが、実は救われないのだけど、
そう感じさせないのは、そもそも空々くんたちの本当の敵は「地球」だから、なんだよね。
でそういう設定の中で、人工的な「魔法少女」に対して、天然物の「魔女」まで登場してくると、『まどマギ』みたいでもあるし。
いやー、なんか物凄いマッシュアップになってきた気がする。
しかも、最後に、科学側、つまり、空々くんの所属する地球撲滅軍の最終兵器が、人造人間『悲恋』というのだから、これは新約『禁書目録』に出てきた「恋査」のように思えてくる。あるいは、風斬氷華のような人工天使のようなもの。
で、西尾維新としては、前巻の段階で予告していたとおり、あと二冊で四国編を終わらせるようだけど、あとがきによれば、これにさらに、和歌山編がオチとしてつくみたい。なので、ますます、『刀語』のようになってきた。
でも、多分、その流れは、地球撲滅軍vs絶対平和リーグ、すなわち、科学vs魔法の、地球人同士の闘いに過ぎないから、その後に、本丸である「地球」自体との対決に向かう最終章?が待ってるはず。
となると、この伝説シリーズも結構、長い物語になりそうで。
大変なことになりそう。
それにしても、この厚さで、この遅々として進まない感じの物語展開は、なかなかに厳しいところもある。
いや、「伝説」シリーズ、として、「悲X伝」というように、「伝え聞いてものを書き記している」という形態をそもそも宣言しているから仕方ないのだけど、空々くんたちの心理をくどいくらい丁寧に追っていくだけでなく、途中で空々くんという英雄の「伝説」を語る語り手が、延々と状況設定の描写や、物語の流れの予告を比較的に頻繁に挿入して来るので、思いの外、本編が進まない。
前者の、長々と続く空々くんたちの心理描写は、四国編に入ってからの設定が完全にデスゲームになってしまって、文字通り、ゲーム的心理戦を繰り広げざるを得ないので、仕方ないのだけど、それにしても長い。
なんというか、『HUNTER×HUNTER』を絵なしでネームだけで読んで言ってるようなもので、結構しんどい。
この手のゲーム的心理戦の場合は、どれだけ合理的に事態を捉えるか、そして、その判断をどの程度、他のプレイヤーも行って来るか、というように、とにかく推測のれんぞくになるわけで、それを延々やられるのはツライ。
で、その辛さは、結局のところ、何のゲームをしているのか、そして、そのゲームのルールが何なのか、が判然としていないから。
なので、心理描写といっても、もっぱら空々くんが中心になってくるので、途中、さすがにうんざりさせられるところがある。
とはいえ、四国ゲーム自体が、そのゲームのルールを集めよ、という、いわばゲームのバグ取りをプレイヤーにさせているようなところがあって、もうただでさえメタ語りな傾向のある西尾維新をさらにメタゲーム化していて。。。
なので、これはいくらでも冗長に書けてしまう。
となると、この先は、いかに、その、その気になればいくらでも書き続けられてしまう設定、という西尾維新本人的に美味しすぎる状況を、いかに禁欲して、物語をエンタメとして加速させるかに、残り二冊+アルファの成功が掛かっているように思える。
その意味でも「伝」の語りの部分をどれだけコンパクトにするか、もね。
ということで、次は9月かー
鋼矢さんやかんづめ、ジャイ子が、次の物語で死なないことを願うばかり。
というか、キャラの配置的には、実は化物語風になってきてるのも確かで。。。
何だかんだ言って、続きが楽しみになるところは、
西尾維新の面目躍如たるところだね。
さてさて、どうなることやら。
てか、いきなり悲恋が仲間になったりしてね。。。w