BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

サマータイムレンダ 第25話 『ただいま』 感想: 最後まで丁寧に作られた物語で大満足! 潮、よかったね!

2022-09-30 11:04:10 | サマータイムレンダ
前回で、シデもを倒し、ヒルコの襲来も消去し、ウシオが世界の再構築をしようとして終わったところを受けての最終回。

要するに、ループを抜けた先の「未来」を実感するエピローグだったわけだけど。

うん、よかった!

もちろん、このエピローグの内容もすでに知ってはいたけれど、原作とはまたちがって叙情のあるつくりで仕上がっていたと思う。

なによりも島の人びとの日常が回復されたことが随所で表現されていてよかった。

それに、前回の最後でハイネが願ったとおりに、彼女がちゃんと成人した竜太郎の娘として登場したところもね。

再登場したひづるが、本編の時と同様に、慎平の話をちゃんと「あり得べき」物語として理解し、その出所を並行世界に定めるところとかも。

それをネタにして『サマータイムレンダ』なる小説を書こうとするのは、まぁ、ちょっと、作者、やりすぎじゃない?とは思ったけどw

でも、ひづる、という物語の効果に理解のある人物がいたからこそ、最初の頃は慎平は立ち上がることができたんだよな、って改めて思った。

なので、やっぱり、この作品、人物の配置が物語の展開にきっちりとハマっていて、びっくりなんだよ。

もちろん、メインの話は、慎平と潮の悲恋にあるわけだけど、その背後で、ひづると竜之介、そして波稲の過去の話がちゃんと効いてくる。

前回の感想でも書いたように、アニメでは、このループの物語を起動させて潮/ウシオにループからの脱出役を任せたのが、そのそも波稲だったことを思うと、ホント、このひづる、竜之介、波稲の3人は、物語に不可欠なバイプレイヤーだったんだよね。

潮と慎平が7月24日の惨劇を回避しようと懸命に戦ったの対して、ひづるたち3人は、その大本を叩かなくちゃいけないと思いながら、3人ともがかつて「失敗」してた人物として登場していた。

だから、3人が3人の方法で「贖罪」を試みようといていた。

過去のやり直しを望んだのは、慎平と潮以上に、ひづる、竜之介、波稲の3人だったんだよね。

その、この物語の根底にある「原罪」について、この最終話はより伝わるように描かれていたと思う。


まぁ、そういうところが、アニメの面白いところだよね。

マンガの方は強調したいキャラや場面を切り出して示すから、慎平と潮が前面に出てきて、後は皆、程度の差こそあれバイプレイヤーになってしまうけど、

アニメの場合は、コマのあいだをちゃんと動きで補わなきゃいけないから、それによって各人の行動の意味が言外で示されることになる。

要するに、ちょっとした動作やしぐさで、心情や意図を描くことができるわけで、ひづる、竜之介、波稲については、その点の補強が全25話の中で緻密になされていたんだな、と思う。

そういう意味では、終盤、原作とはちょっと違って、物語の厚みが増していたよね。

まぁ、そう感じるのも、第24話の最後でウシオが、自分がハイネに選ばれた理由に触れることで、物語起動の最初の一撃である、波稲が潮をコピーした意図が明らかにされたからだけどね。

あれはやっぱり大きかったなぁ。

見方がかわったもの。

でも、そういう、終盤で明かされた真実によって、それまでの物語全体の解釈にブレが生じるところが、ループものの面白いところだけどねw


ということで、とにかく面白かった!

アニメという原作の翻案を得たことで、原作の方の読みにも深みが増したので、なんかこうやって書いていると、いくらでも新たな解釈が浮かんできそうなのだけどw

慎平についても、潮についても。

もちろん、澪やひづるについても。

なので、もしかしたら、この後、また全25話についての感想とか書くかも、だけど、とりあえず、今はこのあたりで。

ただ最後にひとつだけ。

やっぱり潮の物語だったんだよね。

オリジナルの潮が殺された時点で、ウシオの行動は、いわば潮の残留思念、亡霊のようなもので。

その潮の怨念が、たまたま得ることができた波稲の「影」のボディを得たことで、現実世界にとどまることができた。

その時限付きの現実世界への残存が、全てだったんだよね。

なので「影」とはよくいったもので、本当に影だったんだよね、潮の。

その潮の未練があったからこそ、慎平は仮初のリーダー役を務めることができた。

怨霊になってもおかしくなかった潮が、聖霊として慎平の守護者になった。

それだけ聞くとなんだかFATEみたいだけど、でもまぁ、そこに意味があった。

そもそも、潮は殺された時点で、慎平と恋に失敗して、いわば「失恋」していたわけだから。

そういう意味では2クール目のEDは、最高だったね。


とまれ、こんな感じで止まらなくなるのでw、とりあえず今はここまでw

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第24話 『Summertime re-rendering』 感想: 最後の潮の一言でこの物語がハイネ作であったことがようやく理解できた!

2022-09-23 12:52:04 | サマータイムレンダ
遂にシデとの決戦が決着。

最後は、呪術廻戦の領域展開wみたいな異世界で、
ジョジョ真っ青のスタンドバトルみたいになっちゃったけどw

もっともシデの目的が、

世界の行く末を見届けたいと思って、身体を乗り越えて300年あまり生き流れてきたのに、ハイネがどんどんポンコツになってきて、どうやらもう生きながられることは難しくなってしまったので、だったら、自分でこの世界を終わらせれば「世界の最後」まで見たことになれるジャン!俺って頭いい!!

・・・って感じだったのには苦笑せざるをえないよねw

手段と目的がいつの間か入れ替わってるし、そもそも「世界の果て」を確認したい、というのがあまりにも稚気すぎて。

一応、神職にあったからそんなこと思いついちゃったのかな、とも思うけど、でも、まぁ、そこをあまり突っ込んでいいことはないので、これくらいにw

で、シデを倒した後に「常夜」から現世に戻ったわけだけど、そこは300年前の現世で、そうなったのはハイネ、というかヒルコが、すべての発端となった島に打ち上げられたクジラの姿の自分から「消して」ほしいと願ったからだった。

その意をくんで、ヒルコの力を宿したウシオがクジラを消去。

そして、いよいよウシオと慎平の離別に。

これまでの長い戦いの経緯がある分、ここはやっぱりグッとくるよね。

ていうか、ウシオ、男前すぎw そして、ヒロインすぎw

「あっぽけ」

というウシオの一言は、ホント、カッコよかったし、このセリフ、中の人の演技も素晴らしかった。

この言葉に、これまでのウシオの想いが全部こもっていたからね。

そして、ウシオも慎平も消えた。

長かったループの旅もこれでようやく終わり。

ただ、そこからのウシオの動きだけど、かなり重要な改変がされていた。

300年前の現世から消えた後のウシオは次のように語っていた。

「時間を超える力、
わたしね、
やっとわかったよ、
これは偶然なんかじゃない、
大切な人に、
もう一度会いたい気持ちが、
私とハイネを結びつけた
託されたこの力で、
ループを飛び越えて、
あの夏を描き直す」

これ、実は、原作のセリフと違うんだよね。

「大切な人に、もう一度会いたい気持ちが、私とハイネを結びつけた」
「託されたこの力で、ループを飛び越えて、あの夏を描き直す」

はともに原作になかったもので、原作ではここまで明示的には言われてなかったところで、原作ではただ「いろいろわかった」ってだけだったんだよね。

とくに前者の「大切な人に、もう一度会いたい気持ちが、私とハイネを結びつけた」はとても重要。

なぜなら、この気持ちが、右目と影として存在していたハイネと、慎平と離れて不機嫌になっていたオリジナルの潮とを引き合わせたから。

実は、原作を読んだ後、ずっと、なぜそもそもハイネの右目の影は、潮をコピーしようと思ったのだろうか? ということが謎だった。

その謎にこの一言が応えてくれた。

もうひとつ、大事なことは、ということは、ハイネの右目の影にも、このおかしくなってしまった世界をなんとかしたい、という意志があったってことね。

むしろ、ハイネの右目の影のそうした「意志」の実現を託せる相手として、潮を見出した、ってことになる。

で、そうであれば、今回の最後のように、ハイネの意をくんで、クジラのときのヒルコを消すことをウシオが行ったこともわかるし、

そこから、「託されたこの力で、ループを飛び越えて、あの夏を描き直す」ということになるのも理解できる。

つまり、ハイネ=ヒルコのほうが、自分の存在によっておかしくなってしまったこの島の歴史を「描きなおしたい」と思っていたことになるから。

そして、そうなるとあくまでもウシオは、そのためにハイネ=ヒルコに選ばれたエージェントだったってことになる。

ものすごいスッキリ!

要するに、このループする物語を最初に企画したのはハイネ=ヒルコだったってことで、彼らの目的を達成するために見つけられたのが潮だった。

正確には、慎平にもう一度会いたくて仕方がない、それくらい恋い焦がれている潮だった、ってことで。

そういう意味では、もしかしたら、ハイネ=ヒルコが選ぶ相手が澪だった可能性もあったってことなんだよねw

裏返すと、潮の気持ちのほうがよりストレートで強烈だった、ってことだけどw

ともあれ、最後の一言で、いままでずっと疑問に思っていた、「それにしても、なぜハイネの右目の影が潮を選んだのだろう」という謎が解明された。

これ、脚本家のグッジョブ!なのか、それとも、原作者の意向だったのか、製作舞台裏の話としても気になるところ。

ということで、次回、エピローグ。

一話分と随分尺があるけど、これ、もしかして、春先に出た後日談のひづるとハイネの話にまで触れるのだろうか?

そのあたりのアレンジも気になるところw

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第23話 『常夜』 感想: なるほど、そうしてウシオの右目、そして慎平の右目ができたのか!

2022-09-16 11:53:08 | サマータイムレンダ
いよいよ大詰めだけど、今回は、シデとの最終決戦の場である「常夜」の状況説明でほぼ終わった感じだった。

次回、シデとの最終決戦で、その次に最終回で●●●●・・・ってことだねw

しかし、途中いくつか原作の描写を省いている分、ハイネとウシオとの関係が詳しく説明されている、という感じだった。

結局、例の竜太郎がハイネに食われそうになって殺された事件のときに、ハイネから分離した右目の部分が、オリジナルの波稲の意識・人格を奪ってそのまま存在し、途中、どういう経過があったかはわからないけど、あの右目ハイネ影が、オリジナルの潮をコピーして今に至った、ってこと。

ただし、コピー直後のウシオにおいては、まだハイネの右目の能力は覚醒していなくて、それが4周目のときにはウシオ内部のバグデータwとして、スキャンしたハイネには理解されていた、ということ。

で、あのとき、シデが奪った慎平の右目は、後で覚醒したウシオから更にその後の未来に慎平に譲渡されたものだったので、完全に奪うことはできなかった。

そのあたりをシデは「卵」と言っていた。

つまり、

ハイネから右目(の影)が分離

その右目がウシオをコピー

オリジナルの潮が死んだ後は、ウシオが慎平のパートナーに。

コピーされた直後のウシオは、まだ右目の能力に覚醒していない。

一方、慎平は、すでに未来で覚醒したウシオの右目を、物語冒頭で何らかの形で譲渡されていたから、最初からループ能力を得ていた。

物語の過程で、ウシオは徐々にハイネの右目の能力を成長させていった。
(多分、だから、未来で譲渡したその右目を持つ慎平と接触した状態なら、ともに次のループに慎平同様、意識を保ったまま移動することができた。)

常夜突入前に、ウシオが、ハイネの本体たる影を叩き潰そうとした時点で、自分の右目ならび影の部分がもともとハイネのものであったことに気がつく。

常夜に行くことで、ウシオの影の中に潜んでいた波稲の意識が目覚め、常夜ゆえに、意識に合わせて波稲の身体を作り出し分離することができた。

この先の未来のどこかで、ウシオが右目を慎平に渡す。

・・・という感じかな。

地味に挿入された竜太郎へのメッセージを伝えるひづるの回想で、ウシオが自分のオリジナルがハイネであったことに気づき、いつか意識を乗っ取られるのではないかと思っていた、というくだりはちょっとびっくりしたし、若干後出しじゃんけんっぽくはあったけど、でも、それなら納得、という感じ。

因果の逆転、未来と過去の逆転は、ある意味でループもののお約束だから、それほど気にならないけどw

ともあれ、次回、VSシデ戦に決着、だろうな。

しかし、本当に最後まで作画が崩れなくて凄いな。

アビスとともに称賛されるべきクオリティの高さ!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第22話 『帰還』 感想: 本物の慎平のほうが影シンペイよりも俯瞰が高く、だから出し抜けた!

2022-09-09 10:16:47 | サマータイムレンダ
電光石火の10周目決戦!

やっぱりすごいな、この9周目から10周目への展開。

完全に慎平の知略がハイネを上回っている。

でも、これ、慎平が、ハイネが影シンペイで考えてくると見抜いたからこそ、出し抜けた、ってことだよね。

つまり、俯瞰しすぎて、ときに臆病になりすぎる。

ウシオが2人になる懸念なんて、まさにそれで。

その点、オリジナルの慎平はここまで、その慎重さが仇になって、何度も失敗してきた経験がある。

その意味では、影シンペイは、このループゲームが本格化する前の3周目‘だっけ?)の慎平なんだよね。

でも、今の9周目の慎平は、俯瞰に頼りすぎる欠点を克服した上で、ひづるから竜之介の能力も引き継いでいる。

その分、今までは後方に控える指揮官タイプだったのが、自ら前線に立つこともできるようになった。

少なくともその意識の変化が、慎平の判断を大胆なものに変えている。

だからこそ、ハイネたちは今回、慎平たちに出し抜かれることになった。

ギルに潜めばハイネは慎平のことを探査できない、という事実も、9周目で自害する直前に確認しているし。

全くすきがない。

もちろん、それもこれも今まで何度も煮え湯を飲まされてきたからなんだけど。


あと、この最終局面において重要なのは、影ミオが味方になっていること。

影ミオの慎重な、裏のある性格がいい意味で作戦の失敗を減らしているし、

ウシオとの性格の違いがはっきりすることで、むしろ、ウシオがこれまで以上に、直情型のヒーロー役を演じられるようになった。

てか、今回の突入なんて、完全に勇者パーティがラスボスの部屋に突入するイメージそのものだしw

完全に影ミオ、アサシンだよねw

ここまでの苦労があったからこそ、最後に、このパーティでラスボス退治に迎えたわけで。

カタルシスあるなぁw


で、次回から、ほんとうの意味でラスボス・シデとの対決になるわけだけど・・・。

残り3話か。

いよいよ大詰めだな。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第21話 『網代慎平の一番長い日』 感想:やっぱりボーイミーツガールものは空から二人で落ちてこないとねw

2022-09-02 11:09:33 | サマータイムレンダ
いやー、最高の回だったね。

前半、静かに前回失ったひづるのことを偲びつつ、

そのことを話す場面で、慎平の中に竜之介が移ったことを匂わせる描写をし、

ウシオ救出・復活作戦の概要を皆に説明させる、

という今後の大きな流れを伝えながら

その一方で、

とうとう澪に慎平に対する告白をさせて、結果的に撃沈させつつ、

その澪への反応を通じて、慎平の口から潮/ウシオのことが好きだと言わせた上で、

終盤のウシオ救出作戦の決行につなげ、

その間、ウシオの回想として、慎平が上京する際に喧嘩別れしたことを後悔していたところで、

その恋しくてたまらない慎平その人が自分のことを迎えに来てくれたのだから。

しかもその再会は、暗い海中から一転して明るい空中に移ってからなされ、

シデの攻撃を避けた結果、ウシオと慎平が二人で空と海の青さに囲まれながら落下していく、というのだから。

これもう完璧でしょ!

物語の流れとしても、動きのシークエンスとしても。

ウシオと慎平の再会が、空中の落下中になされる、というのは、ボーイミーツガールもの超定番だしw

いやー、もうびっくりだよ。

しかも、作品全体の流れとしては、前回、ひづるを失う、という精神的大打撃を受けたあとでの、ウシオ復活劇だからね。

そりゃ、慎平だけでなく、読者/視聴者の喜びもひとしお、ってもの。

ホーント、よく練られているよなぁ。

しかも、途中で、失恋した澪の横で、影ミオに「お姉ちゃん消えたらワンちゃんあるかもって聞いた?」なんて言わせて、ちゃんと笑いも取るのだから。

この影ミオのツッコミがいいのは、そう言った影ミオ自身も、ウシオ同様、消えてしまう、というところで。

その影ミオの事情を踏まえれば、単に笑うだけで済まないところが、凄いよね。

あとは、前半の雷の場面で竜之介の存在を匂わせておいて、さして時間をおかずに、根津の前で慎平の中の竜之介が語りかける場面が描かれて、答え合わせも済ませてしまうのも。

キャラどうしのひとつひとつのやり取りを通じて、同時に状況変化も伝えてしまうのだから。

ホント、正しい意味で、ちゃんと文学してるんだよな。

なにもかも主人公に説明させようとする昨今とは大違い。

こういうところは見習ってほしいよね。


あと、今回、へぇー、って思ったのは、原作だとウシオとの再会は、とはいえ、これまでの物語のトーンを反映してもっと陰鬱な感じがしていたのだけど、

アニメの方は色がつくのと動きがあることを反映して、むしろ、再会の喜びを前面に出す形で描かれていたこと。

ここは、モノクロの漫画とカラーのアニメの違いを考えての演出の変化なんだろうな、と思った。

ということで、この作品は、本当に丁寧に作られているな、と再認識した。

作画も全然崩れないしね。


ともあれ、ここから怒涛の最終決戦へ流れ込むわけで、次回がまた待ち遠しい。

原作を読んでしまってもこんなに楽しめる作品って、そうそうないので、むしろ、残り4話となってすでに名残惜しくなってきているw

にしても、空から落下してくる少年と少女・・・王道だよなぁ!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第20話 『All is (Not) Lost』 感想:とうとうここでひづるが退場かぁ。。。

2022-08-26 14:13:20 | サマータイムレンダ
わかってはいたけど、ウシオに続いて、ひづるも退場。

苦しいなぁ。

これでもう慎平には影ミオしかいなくなった。

にしても、まさか、あの影ミオがここまで慎平のアシスト役になるとは思わなかった。

もちろん、ウシオの退場と、さらにはひづるの消失がなければ、こうまで彼女が前面に立つことはなかったと思うけど。

なにがいいって、影ミオは、完全に澪の気持ちがわかっていて、動いているところ。

慎平のためになにかしたいとずっと思っているのに、非力ゆえに力になれないことがわかっている澪の想いに答えているところ。

それで思うのは、影って、単純なコピーじゃないよね。

もちろん、オリジナルが死滅すれば、コピーのほうがオリジナルに完全になりきれるという事情もあるのだろうけど。

コピーしてできた影には、ちゃんと自分は影でオリジナルのいる場所を占めて、オリジナルになりきらないといけないという自覚はちゃんとある。

その上でオリジナルを演じていくうちにだんだんその自覚も薄れていく、ということなのかな。

もちろん、ハイネの呼び出し、という自分が影であることに気付かされるイベントが適宜起こるわけだけど。

なんかちょっと不思議なんだよね、あの慎平殺すガール!だった、出刃包丁をふりまわす澪が、いまや最も頼りになる味方になっていることが。

それもこれもウシオが退場しないことには実現しない場面というのがね。

そういう意味でも、ループのやり直しは、作劇上、面白いことができる、ということだよね。


で、今回、ひづるが退場したわけだけど、代わりに竜之介は慎平の中に残ったわけで、そういう意味では、師匠たるひづるの言葉を胸に刻んだだけでなく、彼女の力も引き継いだことになる。

ここも上手いよね。

その上で、ひづるの遺志をつぐのだから。

逆に言うと、今までのところが、ひづるの監督の下での修行期間だったみたいなもので。

前回と今回で話が分けられたので、ちょっと忘れてしまうけど、シデとの戦いでひづるが負けた理由のひとつには、前日、シデに左肩?腕?を撃たれて万全のたいちょうではなかったってこともある。

しかも、その原因が、慎平を守るためにわざと盾になって被弾したことだったので。

つまり、ひずるはずっと慎平の守護者だったんだよね、ウシオとは違う意味で。

だから、最後に大往生と遂げた、ともいえる。

しかもズルいのは、彼女がここまでハイネとシデを止めようとした背景には、ここで命を賭すことが、彼女の中では、竜之介を死なせたことに対する贖罪であったこと。

だから、最後までひづるはぶれなかった。

といっても、最初に彼女が登場した時には、まさかそこまで意志の人だとは思っていなかったわけで。

この作品の良いところは、こういうふうにそれぞれのキャラクターが、物語の進展の中でちゃんと変貌していくところだよね。

ちゃんとドラマになっていて、やっぱ、スゴイや。


ということで、残り5話。

まだまだ紆余曲折ある展開が待っているので、今から楽しみ。

いろいろな意味で、影ミオの存在がカギを握るはず。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第19話 『メイドインブラック』 感想:ひづるのメイン回、そして影ミオの浮上回、とうとうここまで来ちゃったか…

2022-08-19 10:55:52 | サマータイムレンダ
当然と言えば当然だけど、最大戦力のウシオが退場した以上、次点のひずる/竜之介がハイネとシデと対決しなければいけなくなったのだけど。

これはキツイが、しかし、ひずるが全面に出る、という意味では燃えるんだよね。

彼女は彼女で、ずっとハイネとの因縁を抱えてここまで生きてきていたわけだから。

その分、慎平とは別の意味で、ハイネとの決着に執着がある。


しかし、このウシオのいない8周目の攻防、ホント、面白いな。

終盤の最初のメイン回ってことで。

地味に、ウシオがいなくなったことで空いた「慎平のバディ役」を影ミオが行うことになるし。

ここであのヤンデレ的影ミオのクールさが生きてくるとは思わなかった。

「ここで・・・」という意味では、もちろん、ハイネ、ここで影シンペイになるか?とは思ったけどね。

でもそれ以上に驚きなのは、7周目の最後で、シデの中の人である雁切が2人いることが判明したところで、間髪入れず、その2人を使って、チーム慎平の分断を図ってきたところ。

これ、ホント、お話の転がし方として上手いよね。

慎平からすれば、トロッコ問題に直面したようなもので、澪とひづるの両方を助けることはできない。

そうなると必然的にどちらかを選択しなくちゃならない。

となると、この状況で、影ミオを仲間に引き入れた前回の7周目の判断が正解だったことになるわけで。

何が言いたいかというと、慎平サイドもハイネサイドも、手持ちの戦力の増減や新たな情報の取得をもって、ともに戦略を立て直してくるところ。

その状況の変化をうまく物語に落とし込んでくるんだよね。

ということで、次回の、ひづる/竜之介VSシデ(のかたわれ?)の戦いは、終盤の最初の山場になる。

すでに感じているけど、これ、やっぱり全部終わったあとで、イッキ見したらものすごく面白いんだろうな。

だって、原作のほうも、このあたりからもう一気に最後まで読んでしまったから。

それくらいこの先の展開は素晴らしい。

次回が楽しみ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第18話 『対面』 感想:シデの正体がついに判明したものの、さてこれからどうする?

2022-08-12 17:16:41 | サマータイムレンダ
・・・っていっても、わかっていたことだけどね、消去法でw

でもまぁ、まさか「中の人」である雁切が2人いるとは思わないよね。

もちろん、シデが「四手」なのだから、中の人が2人というのは想像できる話だし、

そもそも、その直前で雁切がハイネに出産させることで、人のままコピーを繰り返してきたという説明もあったわけだから。

でも、まさにその説明の直後に起こった2人目の登場だからこそ、サプライズ!でびっくりできたわけで。

いや、最初に原作を読んだときも、ここは驚いたもの。

あー、そう来たかー!って。

その流れで、まさかのウシオの殺害だから。

次回以降、最大戦力であるウシオを失っての苦闘が続くわけだど。

でもここから先の流れは、ホント、ノンストップで、どんどん加速していくのがスゴイ。

何がスゴイって、あー、このために、影ミオが味方になるって、イベントがあったのか、って思ったもの。

とにかく、物語の進め方がこの作品、本当によく考えられている。

緩急の付け方まで含めて、最高だと思うよ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第17話 『決断』 感想:ようやくやってきた澪のターン?

2022-08-05 10:24:12 | サマータイムレンダ
嵐の前の静けさ、という感じの、いわば休息回。

実際、慎平も睡眠を取っていたしね。

とはいえ、そうした非アクション回には、ちゃんと次に繋がる人間関係や個人史の綾や襞が描かれる。

根津さんの奥さんの影化の話とか、
慎平たちの先生の話とか、
その先生の影に襲われる子どもたちの話とか。

モブの話といえばそうなのだけど、その分、島の空気を伝える。

子どもたちが潮のことをすぐ認識できてしまうところか、島の生活がどれだけ濃密なコミュニティからなっているか、がわかる。

だから、ウシオや慎平が村の人たちを守りたい、というのも、よくある(抽象的な)市民を守りたい、というのではなく、自分たちもよく知る「隣の誰か」を守りたい、という、ちゃんと切実な思いであることもわかる。

そういう背景描写はいいよね。

あとは、影ミオにつつかれてようやく慎平に自分の気持ちを伝えようと思った澪とか。

てか、あの澪を影ミオとの会話は、もう完全に個人の内面の葛藤が表現されたようなものだから。

影という設定が可能にした内面描写の外面化なんだけど、そういうところもこの物語は上手い。

ていうか、澪、今頃どうなってるー?って思っていたところで、ヤンデレ影ミオが仲間になった途端、おもむろに澪のターンになっていくのだからw

静と動の使い分けが上手い。

で、次回はまた、ものすごいクライマックスだからなぁwww

楽しみ。

しかし、今回、ウシオがハイネの思いを代弁する場面があったけど、あれ、原作にあったっけ?

原作を読んだときには確信が持てなかった、ハイネが分離した右目がウシオのもととなった影だったのか?という疑問に、ストレートにウシオ自身が答えているのだけど。

まぁ、そうでないと、話がおかしくなるのだけどね。

ともあれ、次回は大きな分岐点になるわけだけど・・・。

それで18話か。

まだまだ先は長いなw

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サマータイムレンダ 第16話 『オリジナル』 感想:影ミオの味方化はやっぱり頼もしいw

2022-07-29 15:31:47 | サマータイムレンダ
というか、影ミオ、ヤンデレというよりもクールなアサシンwで笑う。

ウシオのきっぷの良さといい、ミオのツッコミの良さといい、小舟姉妹の影がどちらもキャラが立ちすぎなのがスゴイ。

なんで、影ミオは、あんなにクール補正が効いたのか、よくよく考えると不思議。

ウシオの方はオリジナルと大差ないのにね。

影ミオの場合、オリジナルの澪がまだ生存しているからなのかな?


とまれ、この先、影ミオは、ものすごく活躍するからね。

なんていうか、澪が慎平に対して抱いている気持ちをそのまま素直に実現していく存在、という感じで。

あと、意外と勢いで何でもやろうとするウシオに対するストッパー役にも、影ミオはなるから。

実はあるタイミングから、慎平、ウシオ、ミオ、の3人がほとんどツーカーで連携できてしまうようになるし。

そういう意味では、ウシオとミオで飛車角なんだよね。

慎平的には、剣と槍を手に入れた感じ。

まぁ、ミオの得物はヤンデレっぽく出刃包丁なわけだけどw

ただ、ミオが仲間になったおかげで、影の能力を使った「意外性」が増して、物語的にも面白くなる。

オリジナルの澪のなかばキューピット的役割にもなるしw


しかし、ループものだからなんとなくうっちゃっていたけど、確かに影の設定だと、オリジナルを消さないと、1週間で影は形をなくすんだよね。

ハイネを倒せば、ウシオもミオもこの世から消える運命にある。

ウシオのいう通り、今のウシオは、オリジナルの潮のボーナスタイムを使っているようなもの、というのはそのとおりなのだけど、でも、その、いわば未練を成就させることで成仏できる、という設定もまた、この作品の物語展開に深みを与える要素だったんだな、と改めて気づいた。

ホント、よく考えられてる。

やっぱり、この作品、傑作でしょ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする