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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

響け!ユーフォニアム3 第13話 『つながるメロディ』 感想2: 最終話が実質的なシリーズ総集編で終わったのは残念この上ない。久美子の未来はもっと可能性に満ちたものとして描けたはず。

2024-07-01 20:42:41 | 京アニ
感想1からのつづき)

感想1で、とりあえず見終わった直後の印象を書いたけど、その後、落ち着いて考えると、やっぱり、最終話が事実上の総集編だったのは、率直に言って悲しい。

多くの人が言っているように、今の京アニには、演奏者の指先の動きとか、息継ぎの様子とか、あるいは、楽団全体の動きをダイナミックに描く構成とか、とにかくそういう細かいシーンを描く力一切なくなったんだな、ってことを思い知らされた。

まぁ、それは、京アニを襲って多数の死傷者を出す蛮行を行った青葉という殺人者がいけないのだけれど。

でも、その事情をわかったうえでも、今回の最終話の出来は悲しい。

結局、3期を通じて、一度も北宇治吹奏楽部の演奏がフルで描かれることはなかった。

京都府大会はもとより関西大会も全国大会も吹部全体で演奏している様子が描かれないのは、さすがにそれ、吹奏楽部を舞台にした作品としては致命的でしょ?

野球アニメで、試合の間ずっと球場の青空を見せているだけのようなものでしょ?ときどきカキーンって球を打つ音が入るくらいの。

それくらい、今回の『ユーフォ』はひどかった。

そうなると、感想1でも触れたように、吹奏楽部の演奏シーンが描けないことをできるだけ隠すために、物語のテーマを、新参者の黒江真由を真ん中において、久美子が自問自答を繰り返しなんとか成長するという、なんとも息苦しい、久美子の私小説に成り下がってしまった。

これは、本当にひどい。

第12話で久美子が麗奈とのソリを失ったことに対する憤りは、その時の感想でさんざん書いたので、ここでは触れないけど、それにしてもひどい。

最終話まで見て思ったのは、なるほど、この3期の物語は

「(演者ではなく)部長の黄前久美子が北宇治を全国大会で金賞を取らせる」物語

であることはわかった。

マネージャーとして奔走して、あちこちで噴出する不満分子をなだめ、演奏技能の高い子のやる気が落ちないよう心理面を支え、問題が噴出する前に悩み相談に応じる。

最後には「実力主義」を掲げてきた手前、その原則を曲げては部内の士気がさがるとばかり、真由に負けた事実も受け入れ、それをむしろ部員の意識統一のために活用する。

なんなのこれ?って思うけど、でもまぁ、その理由が、麗奈の目標を叶えてやりたいという一心から来てるのだから、まぁ、納得しようとすればできなくもない。

ただね。

そういうマネージャー久美子としての目覚めを主題にするならもう少し描きようがあったと思うんだよね。

たとえば、3年になってやってきた転校生・黒江真由が、実はものすごい演奏能力を持っている奏者であることを知って、久美子自身がスカウトに行って、むりやり拝み倒して吹部入りさせるとか。

物語の途中で、その真由と麗奈との間で、実力者どうしならではの会話をさせて、早い段階で、麗奈も一目置く奏者として真由を物語の中で位置づけるとか。

その経験から、麗奈が久美子にアラームを鳴らすとか・・・ね。

そういうプロセスがあれば、久美子がソリを失うという、オーディションの結果に対する受容も随分変わっていたと思う。

というか、そうでもして真由の技能をある程度揺るぎないものとして作中で理解させて置かなければ、全国大会でゴールド金賞を取った、という話も、そこだけ原作と辻褄合わせしたご都合主義にしか見えない。

そういう意味では、ゴールド金賞をとったあとで、麗奈が久美子にありがとうの一言も言わないのは、いくら尺がなかったとはいえ、ありえないと思うのだよね。

結局、久美子は、麗奈が望む最強の北宇治を作るために尽力して、実際、自分の身を切りながらもそれを実現させてくれたのに。

久美子の成長?というか覚醒に対して、麗奈があまりに呑気な少女、というかガキのままで、そこは真面目にガッカリ。

まぁ、すでに、久美子は音大に進まない未来を選択した時点で、麗奈離れが必至であることは悟っていたので、むしろ、ゴールド金賞を取れたことで、スッキリしたのだと思うけど。

でもね、そういう意味では、全国大会の演奏シーンは、久美子の回想という総集編ではなく、久美子が部長として自分がここまで作り上げた吹部の演奏を、各自の部員の演奏に目を向けながら逐一確認していく、という描き方が欲しかった。

つまり、北宇治の演奏を描くにあたり、神視点で全体をくまなく映すのではなく、あくまでも部長黄前久美子の視点で、皆の演奏を眺めていくという様子。

少なくとも真由にソリを譲って聞いている場面くらいは、そうした部長黄前久美子としての自負を確認するシーンが挟まれても良かったと思うんだよね。

そうすれば、久美子の音楽に対する姿勢が、麗奈や真由とは違う、オーケストラを調和的に作りだすというものになっていたはずだから。

そういう意味では、指揮者を務めた滝に準じる位置に久美子がいたわけで。

要するに、久美子は、麗奈が憧れる滝先生そのものに、最も近づいた人間になったということ。

その事実はもっとわかりやすく描いたほうが、ゴールド金賞の獲得によって久美子が得た、皆とは違う充実感が伝わったのだと思う。

で、それはまた、後に久美子が教職につく、という未来を説得的なものにするためにも必要だったと思う。

そういう意味では、マネージャーとして大成した久美子が、母校の教職に就く、というのはあまりにも陳腐で、ここは、原作と変えても良かったのではないかと思った。

サファイアでさえ社会人になったというのだから、久美子も教職ではなく、どこかのプロのオーケストラ職員にでもなって、オーケストラの演奏を側面から支えるマネージャーやプロデューサーとしての道を歩む、というほうが夢があったと思う。

それなら、ある日、麗奈と再会することもあるかもしれないしw

全体を統括しマネージするというのも、社会では大事な資質だから、部長をやり遂げた久美子にはそうして可能性が開けた未来に向かってほしかった。

やっぱり母校の教師ってのは、あれだけのことをしたのに陳腐すぎだよ。

全体の構成をあれだけ改変したのなら、久美子の未来も相応に改変してほしかったな。

だって、「正しさ」を実践する場は、学校の外にもいくらでもあるのだから。

でもまぁ、そういうところは、京アニが地方のスタジオであることの限界なのだろうな。

広い外の世界のことを知らないから描けない。

そういう意味で、京アニの限界を痛感した3期だった。

それがとても悲しい。

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響け!ユーフォニアム3 第13話 『つながるメロディ』 感想: 全国大会の演奏シーンを久美子の回想で手を抜いちゃだめでしょ。ゴールド金賞も台無しだよ。

2024-06-30 23:47:25 | 京アニ
感想2もあります)

終わってみれば、何よりも「コスパの時代」のユーフォニアム!って感じの、すっきりしない幕切れで残念だった。

前回の真由のソリ勝利!で、なんかもういいや、と思って迎えた最終話だったのだが。

それでも一応、最後くらいは、ちゃんと演奏シーン、やってくれると思ったのだけど、まさか、全国大会での演奏中の映像が、ほとんど久美子の3年間の回想で終わるとは思ってなかった。

なんか、これだけ見ると、結局、演奏シーンを1期や2期の密度で描く体力が今の京アニにはないから、ユーフォのソリを真由にした、って感じにしか見えなかったな。

いや、だって久美子がソリを取っていたら、絶対、最終話では、全国大会の演奏で、久美子と麗奈がソリで掛け合いをするシーンが描かれていたはずでしょ?

そして、そこが、一番、最終話で、感極まるシーンになっていたはずだよね?

それこそ、1年のときの誓いを、今、成し遂げた!って感じで。

万感の思いで、演奏も聞けていたはずなのに。

それが、結局、久美子の回想シーンだけだもの。

つまり、私、よくやったよ、ここまで!という、自画自賛だけで終わってしまった。

これは悲しい。

しかも、そのよくわからない演奏で、それこそここは予定調和で、ゴールド金賞を取ってしまう、というオチ。

ごめん、なにがよくて、北宇治が評価されたのか、全然わからなかった。

演奏前に、あんな取ってつけたように、北宇治のメンバー紹介をカット割りして3人ずつ紹介するくらいなら、ちゃんと、演奏シーンを描いて欲しかった。

マジで残念でならない。


なので、結局終わってみれば、北宇治は、全国大会に向けて「コスパの良い布陣」を組むことができたから勝てました!・・・みたいな結果にしか見えなかった。

実際、部長としての久美子がやったことって、その多くが、いわゆるHR、つまり人事管理の仕事ばかりだったよね?

プレイヤーと言うよりは、マネージャー。

で、奏者久美子ではなく、マネージャー久美子からしてみたら、自分よりも上手い真由が演奏してくれることで、チーム北宇治の勝利を得ることができたってことで万々歳!ってことだったんだろうな。

音大に行かないという選択をした時点で、自分は奏者としての実力はここまで、って見切っていたところもあったし。

ただなぁ。。。

そういう久美子の心の変遷だけを映す、いわば鏡として北宇治吹奏楽部が使われていた、というのが、最後まで見ると分かってしまったので、それはやっぱり、1期や2期を見てきたものからすると、最大の肩透かしだった。

北宇治の実力主義って、結局、勝つために効率的なチーム編成をしましょう、というだけのことだった。

コスパ重視の吹部経営! って感じ。

最適化重視、ってところは、現代的といえば現代的だし。

だって、奏が最終的に久美子と一緒にステージの上で吹けなかったのも、要するにチューバの奏者たちが実力不足で、去年までなら3人で出せた音を4人使わないとだめだから、だったからでしょ?

つまり、チューバを一人増やした分、ユーフォが一人減った。

まさに「最適化」の弊害で、奏は久美子と最後の全国大会で一緒に吹く機会を失った。

えーと、だからさ、今回のゴールド金賞の獲得で、本当のところ、だれが喜ぶことができたの?

具体的に示されたのって、滝が亡き妻の夢を叶えた、それと麗奈が一年のときからの夢を叶えた!ってだけだよね?

その結果、データ野球みたいな吹奏楽部ができあがった。

正直、3期は、演奏が全然なかったこともあって、吹奏楽部として、音楽として、これは素晴らしい!と思えるシーンが一つもなかった。

率直に残念。

最終話で感じたことは、とにかく「コスパの時代のユーフォニアム!」。

全国大会の演奏シーンを、久美子の回想を装うことで、過去の映像の編集で済ます、というコスパの良い制作を行い、

久美子がソリに選ばれないことを正当化した「実力主義」で、コスパの良い楽団が結成された。

そこに、美学的な崇高や、互いに切磋琢磨することのすばらしさ、とか、そういうものは一切、描かれなかった。

その上で、滝の言う「正しさ」が最優先される部活になっていた。

控えめに言って、3期の内容って、どこにも作品に対する「愛」がなかったよね。

それが、とにかく残念だった。

規定演技として、予定調和な「ゴールド金賞」をとっても、その演奏シーンも演奏者たちも、みな「コスパ」の成果、って。。。

前回の無念さ以上に、おいおい、10年前の感動を返せよ、京アニ、花田、って思うよ。

もういろいろ残念だよ。。。

最後に久美子が教師になって吹奏楽部の副顧問になるって展開も、あのマネージャーとして私は全国金賞をやり遂げたって流れのあとでは、違和感しかわかない。

ソリを演奏してまかりなりにも音楽の魅力に、麗奈とは違う意味で取り憑かれたというのならその後の進路として了解もできるけど、むしろ、久美子の場合は、部長として北宇治を全国で金賞を取れた時点で、完全燃焼して、これで私のやることはやった、という感じだと思ったのだけど。

なんか、そういう細部が、12話の改変で辻褄が合わなくなっていると思う。


とまれ、とりあえず、最終話鑑賞直後の感想はこれくらいで。

落ち着いたら、もうちょっと冷静に書けると思うけど。


感想2へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想8: しかし、なんでここまで黒江真由を隠し玉みたいにしたのかね?

2024-06-28 20:49:47 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4感想5感想6感想7もあります)

最終回が近づいてきたから、またちょっと考えてしまったのだけど、そもそも、どうして黒江真由を、ここまで隠し玉的に扱ったのだろう?

久美子よりも「実力のある」ユーフォ吹き、というのなら、その実態をもう少し12話の前までにちゃんと表現していくれていたら、まだましだったのだけど。

なんで、いつの間にか、久美子vs真由、の構図に収まってしまったのだろう?

だって、多分、3期のテーマって、

北宇治が全国に行けるか? そこで金が取れるか?

という話と、

主人公の久美子が3年間でどう成長したか?

の2つだったのでしょ?

それは独立して描かれてもよかったはずなのに、どうしてその両者で、黒江真由という隠し玉、というか、爆弾を用意しなくちゃいけなかったのか?

せめて彼女の「実力」を入部当初にでも示してくれたら、オーディション以後の確執もわかったし、それなりに真由の支持者がいるのも理解できたけど。

でも、そもそも、演奏の「実力」ってよくわからないんだよね、視聴者には。

さらにいえば、吹部全体の演奏のいい悪い、という要素が来るとほんとにわからない。

それを、たとえば、葉月みたいな部員たちに選ばれる意味がさらにわからない。

結局、滝が、教師としての、というよりも、指導者としての「説明責任」を、最後の段階で放棄したのが、残酷だった、ってことになるのだけど。

うーん、だから疑問なのは、なぜ、わざわざそんなひねくれた物語構成にしたのかな?ということ。

ひとつには、原作既読者に対して、あれ、これ原作と違う、と気づかせないために、12話のギリギリまで、原作に準じた展開にしたこと。

まぁ、その結果、12話がサプライズになって、多くの視聴者がとにかく「泣いた!」を連呼するような、お涙頂戴のオチにすることができた、ということ。

あとは、それを、それこそ、久美子と麗奈が迎える「青春の蹉跌」みたいな言葉で、上手く視聴者に言わせるための布石。

いや、だからね、とっても、なんだか、人工的な作りが透けて見えてくるんだよ。

それを緻密な構成、ということももちろん可能だし、実際、「泣いた!」しか言わない視聴者が相当数いることも、放映後数日が経ってよくわかったので、ものすごくゲンナリしているのだけど。

でも、オーディションの結果を12話のようにするなら、もっと早い段階で、理想的には、入部の段階で、顧問の先生あたりから、黒江真由という新キャラが、転校前の強豪校で、ユーフォのエースだった・・・くらいの情報を、久美子にちゃんと教えておく、というようなフックを仕掛けておいても良かったと思うのだよね。

そういうのがないまま、ただ、真由の自己申告で、私、本当は実力あるけど、みんなを困らせたくないから実力は隠します、という、なんか陰湿なチート・ムーブと、あとは、夏合宿で、麗奈が、久美子に、もっとちゃんとやらないと真由に抜かれるよ、という忠告くらいしかなかった。

で、正直、久美子は、ユーフォの演奏力を上げることもよりも、部の運営と、自分自身の進路のために、それどころではなかった、ということで。

これじゃ、奏じゃないけど、久美子にとって、アンフェアな状況が続きすぎでしょ?

結局、そういうパーツパーツの準備のされ方が、原作の構成をギリギリまで残しながら、12話でサプライズを起こすための作為にしか見えないんだよね。

冷静に12話まで見直すと、やはり、そういう構成上の「小賢しさ」が目立って、嫌になってきた。

結局、全ては12話でできるだけ多くの人を「泣かせて」、「感動した」と言わせて、神回だ!認定させるための仕掛けにしか見えない。

で、そういう小賢しさは、1期や2期、あるいは劇場版にはなかったじゃん、と思って。

そういうことで、なんか、物語への関心とか、期待とかの糸がプチンと切れた感じ。

まぁ、多分、こういう視聴者は、今の京アニが欲しいお客さんじゃないんだろうな、と思って、余計にどうでも良くなった。

さて、最終回、どうなるのかね?

秀一が、ちゃぶ台ひっくり返して、退部届を出してくれると、かっこいいんだけどな。

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想7: 黒江真由にとって北宇治吹奏楽部に囚われるのは、自由意志を奪われた地獄じゃないのかな?

2024-06-26 19:12:08 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4感想5感想6感想8もあります)

もうこれも思いつきなのだけど、12話のオーディションの結果って、黒江真由にとって不幸なことではなかったのかな?

だって、あれって、結局、オーディションを通じて、「みんなで仲良く楽器を吹きたい」だった、いわばスローライフ派だった真由を、無理やり「北宇治イズム」や「滝イズム」に染めた、ってことだよね?

なんていうか、スローなんかダメだ! 金賞目指して精進しなくちゃダメだ!って。

それ、単純に「洗脳」だよね?

なんていうか、真由は、いわば麗奈の思考の対抗、極北として、でも、そんな人でも北宇治では演奏する機会がある、という感じの、いわば、一種の音楽「弱者」の象徴のような存在だったと思っていたのだけど、そういう「スローなダメな感じは受け付けない。頑張るの一択が北宇治」という思考に矯正するための装置が、あのオーディションになってしまったと思うのだけど。

一種の思考統制だよね?

別に特段に真由というキャラに思い入れがあるわけではないけど、真由という存在は、久美子や麗奈といった主人公サイドが3年生になって、みんな部の「指導」を行わなくちゃいけなくなって、その分、公の場での発言にも制約が出てくるから、それを補う意味も含めてのキャラだと思ったのだけど。

吹奏楽部の強豪校からの転校生で、しかも3年生。

だったら下級生はもとより、同級生もその言動に一目を置く、ということで。

その意味では、一種の清涼剤とか、緩衝材くらいの位置付けだと思っていた。

そのいわば、貴重な「外部異端者」の存在をどうしても許さない、というのが、あのオーディションの結果、真由に強いられたことだったと思うのだよね。

自分のためではなく、北宇治のために吹く。

でもさ、それって、本当にいい話なの?

感想2で、麗奈による滝ファシズムが完成した、というのは、真由の処遇についても当てはまると思うのだよね。

別に、北宇治は、アイドルユニットではないから、芸能界的な圧は、本来、必要ない世界だと思うし、教師は、そうした真由のような存在も認めるべきだと思う。

それが、皆、オーディションを受けて、技能の優劣をはっきりさせなければならない、というのは、やっぱりやりすぎだと思う。

それが許されるのは、それだけの技能の優劣を判断できる技能と経験を持った人たちが判断する場合に限られる。

だって、オーディションなんだから。

それを、学生の間の投票にしたのは、完全に趣旨を履き違えているし、その結果、真由も、そうした集団の圧に抗う余地を失ってしまった。

つまり、真由からすれば、あのオーディションは、お前、北宇治でこれからも吹きたいか、吹きたくないか、という「踏み絵」にもなっていた。

選ばれた人をみずからの名乗りで一歩前に出させるところなんて、マジで踏み絵じゃない。

だって、自分で踏み出さないとその場が収まらないのだから。

残酷だよね。

なんていうか、そういう暴力性があのオーディションにあったことは、もっと注目されていいと思う。

つまり、オーディションという言葉だけに囚われて、それを芸能プロダクションのアイドルオーディションと勘違いした制作陣がおかしい、ってこと。

北宇治の吹奏楽部は、商業ユニットじゃなくて、高校の部活なんだよ。

そのあたりを完全に履き違えたのが、どうにも12話の内容に納得がいかない理由。

だって、自由に吹きたかった真由の気持ちまで、踏みにじるのだから。

しかもそれを真由もまた自分の意志で選択した、という形で強いたのだから。

これをファシズムと言わずになんと言おう、ってことだと思うよ?

人の自由を奪い、その人の居場所を奪う形で、むりやり包みこんでいくのだから。

とても怖い話だと思うのだけど。

残酷だよね?


感想8へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想6: アニメ勢と原作勢の対立とか言ってるやつ、脳死してないか?

2024-06-25 23:28:05 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4感想5、からの続き。感想7感想8もあります。)

ユーフォ12話については、もうあらかた語ったので、もういいや、と思っていたのだが、一つ、どうにもネットを見ていて引っかかったので、書いておく。

よく見かけるものに、「アニメ勢と原作勢の対立」とか、まるっとくくって、

原作勢は、原作改変したことに騒いでいて、
原作知らないアニメ勢は感動の嵐!

みたいな対立を紋切り型に作り出して、偉そうに語ってるやつがいるけど、いや、それ嘘だから。

原作通りに作っていないからダメだ!なんて単純な話ではないから。

だって、ここでこれだけ12話、ダメだろ!って書いてる本人は、原作、そもそも読んでないし。

一応、読もうと思って手に取ったことはあったけど、久美子たちの言葉が京都弁?なので、あー、これ、絶対細かいニュアンス理解できないから、無理だ、やめとこ、って思って、原作には手を付けずじまいだったから。

まぁ、それでもユーフォくらい以前からやっているものだと、その都度、その後の展開は目に入ってきたりするので、漠然と展開は知っていた。

でも、上でも書いたように、そもそも京都弁の主人公たちを、標準語で話させている時点で全く印象は異なるのだから、それも含めてどうアレンジしてくるのか、とは思っていた。

でもさ、あの12話は、ないよ。

それは、1期、2期、あるいは、劇場版とか含めて、これまで積み上げてきたシリーズの記憶を、根こそぎ、ぶっ壊すものだったでしょ、物語として。

そういう過程を無視して、文句言ってるのは原作期読者で、連中は原作通りにつくらなかったから暴れている、というのは、あまりに無知で無理解。

むしろ、お前、今まで何見てきたんだ?ってそのまま返したいくらい。

読解力とか理解力とかすっ飛ばして、お前、ただ涙腺、緩ませたいだけなんだろ? とか、思ってしまうよ。

むしろ、それでオッケーな連中がこれだけいるのが悲しい、というふうに、自分の残念さの矛先もずれてきているのに、忸怩たる思いもしてきている。

あと、これも紋切り型だけど、解釈は人それぞれだから、という、相対主義をしたリ顔に持ち出してくるやつも見かけるけど、おいおい、そういうのは、まともに自分の言葉で物語を論評できるやつが言う言葉で、単に自分の感情を代弁してくれる文章に一票いれる奴らが言っていい言葉じゃないぞ、と言い返したい。

よく言われることだけど、キャラクターも物語の中で生きているし、キャラクターにもそれぞれ物語の中で積み上げてきた経験がある。

その積み重ねに対して、創作者はちゃんと寄り添いながら、物語を紡ぎ出す必要がある。

しかも、長年かけて作られてきた物語に対しては、当然、それとともに育った読者なり鑑賞者もいる。

物語とは、だから、創作者だけでなく読者も含めてものである。

その基本的な認識を、3期の制作者たちが、無視とはいわずとも、軽視したことに対して、憤りを感じている人たちが多い、ということ。

まぁ、だから単純に残念だし、そう思った読者たちが、自分の感じた無念を表明するのも当然の権利でしょ。

それをあたかも原作厨が改悪に激怒!みたいな理解で済ますのは、さすが脳死してるとしかいいようがない。


ということで、12話はひどかった。

ブルーレイの予約をキャンセルした、って人が出てくるのも理解できる。

そういうこと、結局、「裏切られた」という思いからでてるんだよ。


感想7へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想5: なんかもう「心底どうでもいい」よ、これ。

2024-06-25 13:52:10 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4、からの続き)
感想6感想7感想8もあります)

一通り、感想を書いてきて一息ついたら、なんかもうどうでもよくなった。

一気に関心を失ったというか。

多分、ここまで積み上げてきたと思っていたものが12話で根こそぎぶち壊されて、修復不能になってしまったのだろうな。

一応、最終話も観るつもりではいるけど、でも、もうどうとでもなれ、という気しかしない。

久しぶりだなぁ、ここまでの、どうでもいい感。

多分、それって、この作品には、ここのところ欠けていた、「正しい意味で」良い王道展開を期待していたと思っていたのだけど、どうやら、それが裏切られてプッツリと糸が切れてしまった感じかな。

要するに、甲子園に出場して今度こそ優勝して帰ってこようぜ、と言っていたのが、予選を通過して全国大会になったところで、突然競合から転校してきた凄腕のキャッチャーにスタメンを取られた感じ。

しかも、今までバッテリーをくんできたピッチャーは、いや、オレ、上手いヤツと組むほうがいいから、お前、もういらない!っていわれたような感じ、といえばいいかな。

もちろん、優勝を目指すならそれが合理的、ってことなのだろうけど、え、それ、マジで言ってる?ってことで。

麗奈の心情がどうこうとか、久美子も麗奈のことを慮ったのだからとか言われても、いやー、論点そこじゃないんですよ。

そもそもの裏切り行為がもう、ダメなんです、って感じかな。

まぁ、でも、この甲子園の比喩で行けば、せっかく甲子園にでれるんだから、今さら退部なんかしないよね、優勝目指そうぜ!、って流れで、しれっと北宇治も、全国に行くんだろうな、と感じていて、それも含めて、げんなり感がハンパない。

まぁ、まだわからないけどねw

でもねー、こうした「心を折られた感」は、ぜひとも、秀一がブチ切れて発してほしいところなのだが、でも、どうせ今どきの高校男子なんてどいつもこいつもヘタレだらけだろうから、そんな蛮勇は、見せないんだろうな、と。

そこも期待できないのがどうにもやるせない。

まぁ、でも、今更何かが覆されるわけでもなく。

いっそのこと、久美子が退部届けでも出してくれたら、個人的には久美子という人間を大絶賛したいのだけどなぁ。

高校生ってそういう飛翔が一気にできるときでしょ?

開眼した!って。

滝イズムの異常さに今更ながら気づいて「降りる」というのも、大事な選択だと思うし。

そういう意味では、これもまた、久美子が1年生のときに3年生だった「葵ちゃん」の反復でもあるのだけど。

まぁ、そういったリアリズムは、滝イズムの台頭でもみ消されちゃったからなぁ。

だから、確かに2年前のあすな先輩の頃のほうが、北宇治は自由だったんだよ。

選択肢を用意して選べる権利を部員の手にちゃんと残していた。

それが、ファシスト麗奈のせいで完全に抹消された。


とはいえ、そんな2年前の鏡写しみたいな世界をわざわざ3期でやってることがやっぱり理解できない。

いやまぁ、もう、「心底どうでもいい」。

まさかここに来て、あすな先輩に最も共感するとは思わなかったよw


で、ついでにいえば、京アニ神話も今回ので完全に消えた。

少なくとも往年の輝きはない、というか、ただの田舎の逆張りスタジオにしか思えなくなった。

青葉事件はマジでヒドイ話なので、会社の存続は心配したし、同情もしたけれど、でも、じゃあ、作品としてはどうか、というと、これじゃない感のほうが強い。

もともと『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のあたりから、何この自己満足なメンヘラアニメって疑問には思っていたのだけど、今回の件で、そういうキモい人しかきっともう制作陣に残っていないんだな、と痛感した。

絵がちょっときれいなだけの田舎のアニオタの会社。

だって、女子を痛めつけて、その痛みを涙腺の刺激に変えて、エモさを確保する、という姑息な手段に訴えるばかりで。

画面のリアリズムもそちらに完全に振っている。

その結果、なんらポジティンなものが感じられる。

ただ虚無的なだけ。

それを退廃的な美と勘違いしているだけで。

心底、気持ち悪い。


感想6へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想4: なんで3期の制作陣はちゃんと『リズと青い鳥』を観直さなかったのだろう? あそこに麗奈と久美子の答えも描かれていたのに。

2024-06-25 13:43:30 | 京アニ
感想1感想2感想3、からの続き。感想5感想6感想7感想8もあります。)

今回のオーディションで麗奈と久美子の関係性にもピリオドが打たれてしまった。もう以前のような関係性は戻らない。

一つ、今回の12話の感想の中で、巷に流れているもので、どうにも理解できないのがあるのだけど、それは、久美子と麗奈が最後にいつもの高台で逢瀬をもって、互いに泣きじゃくって場面に感動した!ってヤツ。

感動した?

あの場面で?

どうして?

少なくともあの場面でなされたのは、吹奏楽部の表舞台では決して出せない、互いに私秘的な感情的な部分をさらけ出しただけのこと。

でも、だからといって、その結果、互いにスッキリして悶々とした思いに決着がついた・・・なんて、まさか思ってないよね?

あの場面は要するに、二人はすでに別々の道を歩み始めた、ってことの確認で、おむ互いに肩を並べながらこの先を歩いていくことはない、ってことの確認でしょ?

要するに、決別の場面だよ。

それがあの涙の意味でしょ?

麗奈は、久美子との友情を捨ててでも、全国大会で、万に一つでも勝率を上げるために真由の方をソリのパートナーに選んだわけで。

それは要するに、久美子じゃ、力不足、ってことでしょ。

で、久美子の方からすれば、ずっと麗奈に音大の進学を勧められながら、うーん、なんかそれは違う、とずっとぼんやりと疑問に思っていたわけで。

その「なんとなく」の感じは理屈じゃないからどうしようもない、それに素直に従うべき、というのが、大学進学で失敗した姉の貴重なアドバイスだったのだし。

で、その「なんとなく」スッキリしていなかった感覚に対して、久美子にとって「特別」な麗奈から、「戦力外通告」されることで、むしろ、ようやく具体的な形を和え耐えることができたってことでしょ。

麗奈が求める高みにまでは私は上るだけの力はないし、別段特に、上りたいとも思わない。

その久美子の実力不足ならびに不適正性について、先んじて言い当てていたのが、前回コンサート会場で会った不思議天然ちゃんでクラリネットバカの「鎧塚みぞれ」だったことで。

あの久美子が同じ音大にいることなんて想像できない、というみぞれの天然の返答は、要するに、みぞれから見たら、久美子は音楽の神様に祝福された子ではない、ってのが見えていた、ってことなわけで。

要するに、麗奈の本質は、みぞれ、だった、ってこと。

それはまた同時に、なぜかこの3期の前半で、真由が『リズと青い鳥』に触れて、なんでリズは青い鳥を逃がしたのだろう、とか疑問を述べて、『リズと青い鳥』の結末に反することを言っていたかの説明にもなる。

まさに、久美子と麗奈の関係は、久美子がリズで麗奈が青い鳥、つまり、希美がリズで、みぞれが青い鳥だったのを、そのまま反復した、ってことでしょ?

その、希美とみぞれの関係のオチを、久美子と麗奈の場合は、もっとダイナミックに面倒くさい感じで再演したのが今回の公開処刑だった。


なので、あの高台の場面は、個人的には、全然感動できるなんてものではなく、むしろ、そこまで冷たい関係に落とせる深い共依存の関係にビビった、というのが本音。

まぁ、それだけ、麗奈と久美子は共依存していたからこそ、百合めいた関係性にも見えたわけで。

ただ、その思春期特有の、女子の間の共依存を描くうえで、男性脚本家の花田十輝は不適格だったのだと思う。

それは、『リズと青い鳥』の山田尚子や、原作者の武田綾乃にはあって、花田十輝には持ち得ない、女性どうしの微妙な関係性に対する直感的な理解、ってことで。

結局、花田は、男から見た、ホントは男女の恋愛関係にしたいところの疑似関係の百合的なものに還元して代替しちゃうんだよね。

だから、情念=パトスばかりが前面にでて、あんな号泣になってしまう。

多分、同じ涙を流すにしても、あそこは山田尚子だったら、もっとすっきりと、涙が一筋流れて終わるくらいの、抑えの効いた描き方で終わってたはず。

そして、そのほうが今回の流れでは正しいと思う。

というのも、少なくとも、卒業後の進路を含めて、もう久美子の心は決まっていたから。

それこそ、オーディションの前に。

だから、もう、ある意味、久美子は久美子でやけっぱちになっていたところもあるんだよね。

あー、もうめんどくさい、これで決まりだ、えい!!!って。

そういう意味では、無常にも、久美子はだいぶ前から、麗奈との関係をどこかで精算しようと思っていたのだけど、対して、麗奈はそうではなかった。

ていうか、久美子はあのめんどくさがりの性格だから、とりあえず麗奈に話すのは、吹部の活動が終わってから、と何処かで直感的に決めていたと思うのだよね。

そういう意味では、麗奈には、あの公開処刑のような、無骨なやりかたしかできなかったし、それが本質的に、麗奈が、みぞれ同様、音楽バカの、心は幼児なままの未熟者、の現れだったってこと。

でも、その不器用さを認めるのは、音楽家は特別な人間だから、でごまかすだけにしか見えなくて、とても嫌だ。

きっと、そこも山田尚子なら、さらっとそんな特別はない、って言い切らせていたと思う。


・・・ということで、なんかやっぱり、チグハグなんだよ。

わざわざ『リズと青い鳥』を、男の脚本家の「女を愛でる男」タイプの野暮な演出で再演しようとしたのが失敗だった。

素直に原作通りの王道展開にしておいて、その細部に、麗奈と久美子のこれからの進路のズレを挟み込んでいけば、もっときれいな、でもリアルな『ユーフォ』の終幕が得られただろうに。

ほんと、その点だけは、変わらず、アホらしいし、バカらしい。

今からでもいいから『リズと青い鳥』、見直してこい、と言いたい。

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想3: もしかしてユーフォ3期は、1期から無条件に続いていた「滝イズム」からの久美子の解放が目的?

2024-06-24 14:39:07 | 京アニ
感想1感想2、からの続き)
感想4感想5感想6感想7感想8もあります)

冷静に考えると、やっぱり、麗奈の滝イズムへの入れ込み方って異常だよね。

「愛」って言っておけばとりあえず看過できるような類いのものじゃないよね?

で、そうした、なんとなく1期から漠然とそういうもんか?と当たり前のように思ってきた、とにかく何が何でも「全国金を目指す!」という滝イズムが、学校教育から考えてもおかしい、異常だった、ってことを示して「正す」のが、もしかして3期のテーマだったのかね?

その意味では、カルト宗教「滝イズム」から久美子の目を覚まさせるのが目的。

そのための当て馬が、転校生の真由だった、というオチ。

だって、真由はまさにそうした「吹奏楽部・全国常連校」の、ガンバリズムや勝利ゼッタイのファシズムが嫌だったから、「みんなで楽しく・・・」を信条にしたわけでしょ?

つまり、真由の目から見たら、久美子たちのほうが異常一歩前のヤバい集団だったわけで。

でもさ、実際、よくよく考えてみたら、この「滝イズム」も、もともと滝自身の詐欺みたいなやり取りから始まったわけだし。

1期が始まってそうそうの「なんですか、これは?」という失望の表明がそれだし。

そもそも、いきなり「楽しくやるか? それとも(厳しくやって)全国を目指すか?」って二択をせまるあたり、軽くカルト宗教の勧誘めいた発言だものね。

そこで二択にするところが、実は「詐欺」なわけで。

久美子からすれば、いきなり、はぁ???って疑問に思って当然だったはずなのに、それを、傍らにいた麗奈の言葉でさらにだまされて、あっさり「滝イズム」への入会が確定してしまった。

正確には、麗奈が面白いから、麗奈がベタ惚れしている滝を悪く言わないでおこう、って感じ。

でも、今思うと、きっとそんな久美子を見ながら、あすな先輩あたりは、「心底どうでもいい、滝(先生)なんて」とか思ってたんだろうな。

だって、あすな先輩の音楽の心の師は、幼い日に別れた実父なわけだから、そこに小僧の滝が入る余地なんかなかっただろうから。

そういう意味で、ほんとに冷静に久美子のことを見ていたんだろうな、あすな先輩は。

だから、彼女が、自分が送った絵葉書を頼りに自分のところを訪ねてくるのは、麗奈と喧嘩した時、というのは、本気でそう思ってたのだろうな。

裏返すと、麗奈と上手くやっている限り、久美子の目は曇ったままだと。

で、多分、そんなあすな先輩と同様に、久美子がちょっと麗奈の影響でカルトしてることに疑問を持っていたのが、幼馴染で、麗奈に感化される前の久美子を知る秀一だっただな、と改めて気付いた。

なので、マジで、詐欺師滝の手から久美子を解放するのに、秀一が一肌脱いてほしいところ。

まぁ、とにかく、冷静に考えれば、この久美子を巡る惨状を生み出した根本原因は、滝の根拠希薄な滝イズムなのだから。

正確には、その滝イズムへの久美子の洗脳を、「私は特別になりたい」と言って、そのためには「滝先生が一番」といって成し遂げた麗奈が最悪なのだけど。

でもまぁ、こうやって、1期からのこのかたの、久美子を中心においた北宇治のドタバタの原因に、麗奈が「推した」滝イズムがあったと考えるなら、そりゃ、そんな魔手から久美子を救ってやりたいと、制作陣が考えても仕方なかったのかもしれない。

まぁ、何にしても、物語を支える大きな世界観の転換が、3期を始まる前にあったのだろうと思わずにはいられず。

そう思うと微妙にNHKの影響もあるような軌道修正なのかもしれない。

とにかく公平が一番、正しいことを正しく行うことが一番、というあたり。

ただのガンバリズムは、生徒の中から落伍者をだしていけない、とか。

そう考えると、ガンバリズムの世界から逃げてきたのに、結局、滝イズムというがなリズムの餌食となった真由とか、目も当てられないのかもね。


とまれ、ここまで改変したのだから、最終話も、北宇治が全国金を取る、なんてハッピーエンドにならないことに期待する。

あんな痴話喧嘩ばかりしている北宇治が、あんな体たらくで全国金なんてとっちゃいけない。

それはダメなロールモデルにしかならないよ。


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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想2: 結局、ユーフォ3期は、滝ファシストの麗奈が、親友の久美子を滝ファシズムの盲信に準じて公開処刑しただけの話だった。

2024-06-24 14:09:33 | 京アニ
感想1感想3感想4感想5感想6感想7感想8もあります)。

何が凄いか、って、12話の結末って、誰一人、ハッピーにならない展開だってこと。

久美子は、おそらくは3年間思い描いてきたであろう、最後のステージで麗奈とソリを吹きあう、という願いを儚くも失ったこと。

麗奈は、自分のわがままに付き合いここまで献身的に尽くしてきた親友の久美子を、よりにもよって、部員の面前で、ソリ落ちを宣言したこと。しかも、全国大会金賞という自らの欲望を優先した結果。

真由は、最後の最後まで、自分がおじゃま虫でしかないことをアピールし続けながら、最後に我を通して演奏した結果、自分が最も望まない「みんなで楽しく演奏する」機会を奪われたこと。

結局、起こったことといえば、麗奈が1年のときのトランペット・ソロの最終選考の意趣返し。

あの時、麗奈が香織から奪ったものを、今回は麗奈が奪い返された、ということ。

しかも自分の意志で。

にしたって、こんな意趣返し、この最終局面でほんとに必要なドラマか?

その結果、「久美子擁護」の発言を繰り返してた奏まで、香織擁護に奔走したリボンちゃんの再演にしか見えなくて、不憫この上ない。

まぁ、奏が久美子に寄り添うのも、所詮は劇場版の1シーンの出来事でしかない、って解釈なのだろうけど。

よくもまぁ、そこまで薄っぺらくしたものだよな。

ていうか、あすか先輩から受け継いだ「響け!ユーフォニアム」は何だったわけ?最終局面で、久美子の初心を振り返させるきっかけとなるような神アイテムではなかったの?とか、もう、ガッカリだよ。


結局、3期で描かれたこととは、滝ファシズムの専横がもたらした「正しさの惨劇」でしかなくて、この結末、いったい、誰得なんだよ?

「正しさ」を追究するだけの純粋主義者で、亡き妻の亡霊を追いかけ続けるガキの滝と、その子ども大人への盲目的シンパのゲシュタポ麗奈が滝への憧憬から、それまでの親友を部員の面前で公開処刑する、というだけの話。

おまけに、久美子の代わりにソリになった真由は、自分の信条に反して、これ以上ないくらい部の空気のすべてをぶち壊して全国大会でパフォーマンスしなくちゃならなくなった。

さすがに、この先、何を久美子が檄として言ったところで、その言葉を額面通りに受け取るような、空気の読めないアホな部員はいないよね?

いや、3期は意図的に、空気の読めない後輩ばかり配したようにも思うけど。

でもまぁ、普通に考えれば、頭のいい子ほど忖度して当たり障りのないことしかいわないし、基本的に口をつぐむだろう。

こういう状況下で喋るのは、基本おバカ属性の葉月やつばめのような、音楽「弱者」の連中くらいでしょ?

実際、葉月は、2番目の演奏が久美子のものだと気づいていなかったみたいだし、ひたすら、自分がオーディションに残ったことを「実力がついた」と考えるしかない、視野の狭いやつだから。

さすがは元テニス部の脳筋だけのことはある。

頑張れば成果が出る、と無邪気に信じられるのがアホな体育会系。

にしても、葉月はマジで株を落としたな。

ともあれ、そうやって久美子を公開処刑したことで、誰も逆らえない、麗奈によるファシスト体制が完成した。


要するに、滝ファシストの麗奈が、自らの信念で親友を殺す物語であり、葉月のような音楽「弱者」が、努力を実力と勘違いし続けるだけの「エセ実力主義」の世界。

それもこれも、まぁ、滝が自分の判断を放り投げて、みんなの投票制なんかに剃りの決定を丸投げしたからせいでしょ?

どんだけヘタレなんだよ、滝って、

教育者としての「責任」をまるっと放棄しただけじゃん。

さすがは、ゆとり教育、なのか?

アスカ先輩が、卒業したらいきなり「滝さんはさ・・・」とか言ってたけど、それが正解だったってことだよね。

音楽しかできないただの変人、それが滝。


でもさ、部員の間に「音楽の耳」に差があることなんて、1期の頃からわかっていたことじゃん。

だから、そこに「平等な一票」なんてものはあるはずもなく、あると信じるなら、それはただの幻想でしかない。

まさに悪平等の極みでしょ?

なんのために専門教育を受けた教師がそこにいるんだよ?

だいたいさ、音楽の質について、たとえば葉月とサファイアの会話とか、全く成立してなかったじゃない?

その点で、結局、良識があるのは、サファイアだけだった、というオチ。

音楽の才能もありながら、アンサンブルするためには、集団の協調というロマンも必要だとわかっていた。

でもそんな好人物はサファイアくらいで、代わりに来たのが烏合の衆の一年生。

そんな一年が大量に入部したっていうのだから、基本的に、ほぼ素人の一年生たちが、気分で真由を選んだから、あの均衡した票の結果でしょ?

こんなのただのアホを動員するポピュリズムと変わらないじゃない。

どこをとっても、ろくなことはない。

ていうか、事実上の「好み」の投票でしかない。

その結論を読めない、滝って、ホント、ただの音楽バカ。


しかしさぁ、こうなったらさぁ、もう全国大会の直前に、真由が退部届け出すしかないじゃん。

でも、あれだけ久美子にまとわりついてきてたのだから、それくらいは、ぜひ、やってほしいけどね。

久美子が自分の信念を貫いたように、真由は真由でその信念を貫いて、一度は決まったソリを、自らの意志で辞退すべきでしょ。

あそこまで久美子に食って掛かっていたのなら。

でなければ、むしろ、真由って、原作以上にただのヘイトを集めるだけのヴィランでしかないじゃん。

ていうか、今回ので、今まで曖昧だったけど、ヴィラン、確定だよ。

ただのビッチ! まぁ、とっても戸松の担当キャラっぽいんだけどねw


で、真由がそういう行動を取らないのなら、秀一たちが集団で、全国大会直前に退部届を出して、麗奈がパニックして終わり、ってことくらいやってみせろよ。

だって、麗奈が久美子を公開処刑したのだから、もはや麗奈と久美子の関係は以前のようには戻れないでしょ?

なによりチキンハートの麗奈が無理なはず。

だったら、そこで、秀一が、麗奈をバッサリ捨てて久美子を取る、位のことをしてみせろよ。

だって、結局のところ、このユーフォの3期は、滝ファシストの麗奈のわがままな吹奏楽部支配の物語、政治ゲームになってしまったのだから、それならそのための暴動を、秀一が示して、麗奈との格の違いを見せつけるしかないじゃん。

そうして、3期の北宇治の諸悪の根源が、麗奈であることを秀一がちゃんと糾弾すべきなんだよ、だってこれは、もうただの「推し」を巡る政治ゲームになってしまったのだから。

花田十輝の失敗は、ユーフォを、ラブライブとかああいうアイドルオーディションものと勘違いしちゃったところでしょ?

だから、この最終局面において、演奏の話を一切飛ばして、ただの吹奏楽部内のグダグダした人間関係に堕してしまった。

いやー、1期や2期、劇場場の積み重ねはなんだったのさ?

あれもアイドルものに見えたのかね?


とにかく、ここまでぐちゃぐちゃのめちゃめちゃにしたのだったら、真由なり秀一なりが退部届をだして、彼らなりの矜持を示させることで、麗奈がいかに愚かな人間だったか、公に思い知らせるくらいのことはしてくれないとつまらない。

それくらいまでやったうえで、結局、滝の教師としての指導力に問題があった、って責任問題にまで発展させたほうがいいよ。

そこまでやるならこの脚本でも認めなくはない。

要するに、滝イズムへの攻撃であり、滝ファシストである麗奈にトラウマを植え付けさせる展開。

そうでないと、久美子がただの殉職だからね。

多分、奏の言動が最も正しくて、最もここまでシーズンを通じて見てきた視聴者を代弁している。

あれをただの不満で終わらせるなら、ただの茶番でしかない。

久美子の主観で、久美子が泣き寝入りして終わり、みたいな終わり方だけは嫌だ。

あと、どうやら原作では久美子は、音楽教師の道を歩みみたいだけど、この状況でそうなるなら、単に滝イズムのファシスト2号になるだけだから、ぜひとも、あすか先輩あたりに久美子を思いとどまらせて、少なくとも、一度は音楽とは縁のない世界に久美子を導いて、久美子の洗脳を解いてやってほしい。

そういう意味で、麗奈が間違っていて、真由は正しかった、というのなら、このめちゃくちゃな改変も、意味があったものとして理解できる。

とにかく、「正しいことをするのが正しい」みたいな、ダメなポリコレの肯定で終わることだけはやめてほしい。

麗奈は特別だから、をマジックワードとして使える夢は、儚くも冷めちゃったんだよ、今回。


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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想: これは最悪の改変、全く擁護の余地がない、制作者は「正しいは残酷」を描きたいだけなの? だったら本気で性根が腐ってる。

2024-06-24 00:41:19 | 京アニ
感想2感想3感想4感想5感想6感想7感想8もあります)

なぜ久美子がソリ、取れないんだよ、これこそ逆張り狙いだけの改悪でしかないだろ?

いやー、これはささすがにないだろ?

なんで、久美子が最後に、公開処刑されなくちゃいけないんだよ?

これが平等な教育なの?

それも死刑宣告が麗奈の口から、って。

脚本家、アホなんじゃないの?

脳味噌、膿んでるだろ、さすがにこれ?

あー、バカバカしい。

何が楽しくて、ここまで来て、こんな結果、見せられるんだよ?

しかも、原作改変なんだろ?

アホらしくて、もうどうでもよくなった。

これこそ、茶番じゃん。

王道の結末は結末で大事なのに、何、こんなところでちゃぶ台、ひっくり返して、悦に入ってるんだよ?

あー、マジでバカバカしい、何、自己満足、浸ってるんだよ、制作陣?


もちろん、久美子にせよ、麗奈にせよ、彼女らの心情をフォローすることは可能だし、そこに意味ある解釈を与えることできるけど。

でもね、物語には大きな流れがあるんだよ。

そこにはカタルシスが必要なんだよ。

そんな基本もわかってないなんてどうかしてる。

解釈とか、評価とか、以前の問題だよ、これ。

物語への期待を丸ごと、裏切ったんだから。

バカバカしい。。。

まぁ、でも、こんな破綻したシナリオで、感動した、最初か最後まで涙が止まらなかった、なんていって満足しているアホな視聴者ばかりじゃ仕方ないのか。

あのさ、ただ感動できればいいのか? 感涙できればスッキリするのか?

なに、心情操作されてるんだよ?

それじゃ、ただのイヌと変わらないだろ?

そんなん奴らばっかりだから、こんなただ泣ければいい、なんて馬鹿げた話がまかり通ることになる。


そういう意味では、

北宇治の連中も、麗奈も、全部まるっと嫌いになるよ、これじゃ。

まんま、幼児の、小学生の残酷さそのものだから。

アレで高校生なのは、さすがにおかしい。あいつら、頭、おかしいよ、全員。

これでも、全国金には届かない、という結末ならまだわかるけど。

しかし、だとすれば、若者には夢なんて見させるな、ってことになるし、

久美子みたいに、麗奈と違って「特別」になる気が最初からないやつは、部長みたいな縁の下の力持ちだけやらせておけばいい、ってことににしかならないだろ?

なんだか、真由が不憫だったから、この結果もわかる、とか、バカみたいな喧嘩両成敗的な感想を漏らしているバカもたくさんいるみたいだけどさ。

いや、それ違うだろ?

キャラに平等に機会を与えなくちゃいけない、なんて誰が決めた?

そんなの「悪平等」でしかないだろ?

いいじゃん、黒江真由はただの当て馬のモブで。

少なくとも、今回、多少なりとも心情吐露できたんだから、それで十分じゃん。

そういう意味では、今回、一番怖かったのは、滝先生が言った「正しくありたい」という言葉。

あれって、「正しければすべて許される」という、ただの正義マンしかないし、そんな杓子定規な教師なんて信じられない。

実際、最後は、久美子の公開処刑をもたらすのだから。

滝が、久美子か真由か、決めれば済んだことで、それを生徒に丸投げするから、あんな残酷なことを平気でやれてしまう。

まあ、麗奈は、あれでもまだ滝シンパであるなら、もう自分から久美子とはやっていけないと、久美子との関係を切らないと失礼だよね。

どいつもこいつも人格破綻者で、それでも芸術家だから許されるというのは、傲慢極まりないだろ?

いやー、クリエイターってそういうものなんですよ、て、作中で自分の人格の異常さをキャラの言動で正当化してんじゃないよ、制作陣。

あー、マジで最悪だよ。


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