BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想7: 黒江真由にとって北宇治吹奏楽部に囚われるのは、自由意志を奪われた地獄じゃないのかな?

2024-06-26 19:12:08 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4感想5感想6、もあります)

もうこれも思いつきなのだけど、12話のオーディションの結果って、黒江真由にとって不幸なことではなかったのかな?

だって、あれって、結局、オーディションを通じて、「みんなで仲良く楽器を吹きたい」だった、いわばスローライフ派だった真由を、無理やり「北宇治イズム」や「滝イズム」に染めた、ってことだよね?

なんていうか、スローなんかダメだ! 金賞目指して精進しなくちゃダメだ!って。

それ、単純に「洗脳」だよね?

なんていうか、真由は、いわば麗奈の思考の対抗、極北として、でも、そんな人でも北宇治では演奏する機会がある、という感じの、いわば、一種の音楽「弱者」の象徴のような存在だったと思っていたのだけど、そういう「スローなダメな感じは受け付けない。頑張るの一択が北宇治」という思考に矯正するための装置が、あのオーディションになってしまったと思うのだけど。

一種の思考統制だよね?

別に特段に真由というキャラに思い入れがあるわけではないけど、真由という存在は、久美子や麗奈といった主人公サイドが3年生になって、みんな部の「指導」を行わなくちゃいけなくなって、その分、公の場での発言にも制約が出てくるから、それを補う意味も含めてのキャラだと思ったのだけど。

吹奏楽部の強豪校からの転校生で、しかも3年生。

だったら下級生はもとより、同級生もその言動に一目を置く、ということで。

その意味では、一種の清涼剤とか、緩衝材くらいの位置付けだと思っていた。

そのいわば、貴重な「外部異端者」の存在をどうしても許さない、というのが、あのオーディションの結果、真由に強いられたことだったと思うのだよね。

自分のためではなく、北宇治のために吹く。

でもさ、それって、本当にいい話なの?

感想2で、麗奈による滝ファシズムが完成した、というのは、真由の処遇についても当てはまると思うのだよね。

別に、北宇治は、アイドルユニットではないから、芸能界的な圧は、本来、必要ない世界だと思うし、教師は、そうした真由のような存在も認めるべきだと思う。

それが、皆、オーディションを受けて、技能の優劣をはっきりさせなければならない、というのは、やっぱりやりすぎだと思う。

それが許されるのは、それだけの技能の優劣を判断できる技能と経験を持った人たちが判断する場合に限られる。

だって、オーディションなんだから。

それを、学生の間の投票にしたのは、完全に趣旨を履き違えているし、その結果、真由も、そうした集団の圧に抗う余地を失ってしまった。

つまり、真由からすれば、あのオーディションは、お前、北宇治でこれからも吹きたいか、吹きたくないか、という「踏み絵」にもなっていた。

選ばれた人をみずからの名乗りで一歩前に出させるところなんて、マジで踏み絵じゃない。

だって、自分で踏み出さないとその場が収まらないのだから。

残酷だよね。

なんていうか、そういう暴力性があのオーディションにあったことは、もっと注目されていいと思う。

つまり、オーディションという言葉だけに囚われて、それを芸能プロダクションのアイドルオーディションと勘違いした制作陣がおかしい、ってこと。

北宇治の吹奏楽部は、商業ユニットじゃなくて、高校の部活なんだよ。

そのあたりを完全に履き違えたのが、どうにも12話の内容に納得がいかない理由。

だって、自由に吹きたかった真由の気持ちまで、踏みにじるのだから。

しかもそれを真由もまた自分の意志で選択した、という形で強いたのだから。

これをファシズムと言わずになんと言おう、ってことだと思うよ?

人の自由を奪い、その人の居場所を奪う形で、むりやり包みこんでいくのだから。

とても怖い話だと思うのだけど。

残酷だよね?

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想6: アニメ勢と原作勢の対立とか言ってるやつ、脳死してないか?

2024-06-25 23:28:05 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4感想5、からの続き。感想7もあります。)

ユーフォ12話については、もうあらかた語ったので、もういいや、と思っていたのだが、一つ、どうにもネットを見ていて引っかかったので、書いておく。

よく見かけるものに、「アニメ勢と原作勢の対立」とか、まるっとくくって、

原作勢は、原作改変したことに騒いでいて、
原作知らないアニメ勢は感動の嵐!

みたいな対立を紋切り型に作り出して、偉そうに語ってるやつがいるけど、いや、それ嘘だから。

原作通りに作っていないからダメだ!なんて単純な話ではないから。

だって、ここでこれだけ12話、ダメだろ!って書いてる本人は、原作、そもそも読んでないし。

一応、読もうと思って手に取ったことはあったけど、久美子たちの言葉が京都弁?なので、あー、これ、絶対細かいニュアンス理解できないから、無理だ、やめとこ、って思って、原作には手を付けずじまいだったから。

まぁ、それでもユーフォくらい以前からやっているものだと、その都度、その後の展開は目に入ってきたりするので、漠然と展開は知っていた。

でも、上でも書いたように、そもそも京都弁の主人公たちを、標準語で話させている時点で全く印象は異なるのだから、それも含めてどうアレンジしてくるのか、とは思っていた。

でもさ、あの12話は、ないよ。

それは、1期、2期、あるいは、劇場版とか含めて、これまで積み上げてきたシリーズの記憶を、根こそぎ、ぶっ壊すものだったでしょ、物語として。

そういう過程を無視して、文句言ってるのは原作期読者で、連中は原作通りにつくらなかったから暴れている、というのは、あまりに無知で無理解。

むしろ、お前、今まで何見てきたんだ?ってそのまま返したいくらい。

読解力とか理解力とかすっ飛ばして、お前、ただ涙腺、緩ませたいだけなんだろ? とか、思ってしまうよ。

むしろ、それでオッケーな連中がこれだけいるのが悲しい、というふうに、自分の残念さの矛先もずれてきているのに、忸怩たる思いもしてきている。

あと、これも紋切り型だけど、解釈は人それぞれだから、という、相対主義をしたリ顔に持ち出してくるやつも見かけるけど、おいおい、そういうのは、まともに自分の言葉で物語を論評できるやつが言う言葉で、単に自分の感情を代弁してくれる文章に一票いれる奴らが言っていい言葉じゃないぞ、と言い返したい。

よく言われることだけど、キャラクターも物語の中で生きているし、キャラクターにもそれぞれ物語の中で積み上げてきた経験がある。

その積み重ねに対して、創作者はちゃんと寄り添いながら、物語を紡ぎ出す必要がある。

しかも、長年かけて作られてきた物語に対しては、当然、それとともに育った読者なり鑑賞者もいる。

物語とは、だから、創作者だけでなく読者も含めてものである。

その基本的な認識を、3期の制作者たちが、無視とはいわずとも、軽視したことに対して、憤りを感じている人たちが多い、ということ。

まぁ、だから単純に残念だし、そう思った読者たちが、自分の感じた無念を表明するのも当然の権利でしょ。

それをあたかも原作厨が改悪に激怒!みたいな理解で済ますのは、さすが脳死してるとしかいいようがない。


ということで、12話はひどかった。

ブルーレイの予約をキャンセルした、って人が出てくるのも理解できる。

そういうこと、結局、「裏切られた」という思いからでてるんだよ。


感想7へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想5: なんかもう「心底どうでもいい」よ、これ。

2024-06-25 13:52:10 | 京アニ
感想1感想2感想3感想4、からの続き)
感想6感想7もあります)

一通り、感想を書いてきて一息ついたら、なんかもうどうでもよくなった。

一気に関心を失ったというか。

多分、ここまで積み上げてきたと思っていたものが12話で根こそぎぶち壊されて、修復不能になってしまったのだろうな。

一応、最終話も観るつもりではいるけど、でも、もうどうとでもなれ、という気しかしない。

久しぶりだなぁ、ここまでの、どうでもいい感。

多分、それって、この作品には、ここのところ欠けていた、「正しい意味で」良い王道展開を期待していたと思っていたのだけど、どうやら、それが裏切られてプッツリと糸が切れてしまった感じかな。

要するに、甲子園に出場して今度こそ優勝して帰ってこようぜ、と言っていたのが、予選を通過して全国大会になったところで、突然競合から転校してきた凄腕のキャッチャーにスタメンを取られた感じ。

しかも、今までバッテリーをくんできたピッチャーは、いや、オレ、上手いヤツと組むほうがいいから、お前、もういらない!っていわれたような感じ、といえばいいかな。

もちろん、優勝を目指すならそれが合理的、ってことなのだろうけど、え、それ、マジで言ってる?ってことで。

麗奈の心情がどうこうとか、久美子も麗奈のことを慮ったのだからとか言われても、いやー、論点そこじゃないんですよ。

そもそもの裏切り行為がもう、ダメなんです、って感じかな。

まぁ、でも、この甲子園の比喩で行けば、せっかく甲子園にでれるんだから、今さら退部なんかしないよね、優勝目指そうぜ!、って流れで、しれっと北宇治も、全国に行くんだろうな、と感じていて、それも含めて、げんなり感がハンパない。

まぁ、まだわからないけどねw

でもねー、こうした「心を折られた感」は、ぜひとも、秀一がブチ切れて発してほしいところなのだが、でも、どうせ今どきの高校男子なんてどいつもこいつもヘタレだらけだろうから、そんな蛮勇は、見せないんだろうな、と。

そこも期待できないのがどうにもやるせない。

まぁ、でも、今更何かが覆されるわけでもなく。

いっそのこと、久美子が退部届けでも出してくれたら、個人的には久美子という人間を大絶賛したいのだけどなぁ。

高校生ってそういう飛翔が一気にできるときでしょ?

開眼した!って。

滝イズムの異常さに今更ながら気づいて「降りる」というのも、大事な選択だと思うし。

そういう意味では、これもまた、久美子が1年生のときに3年生だった「葵ちゃん」の反復でもあるのだけど。

まぁ、そういったリアリズムは、滝イズムの台頭でもみ消されちゃったからなぁ。

だから、確かに2年前のあすな先輩の頃のほうが、北宇治は自由だったんだよ。

選択肢を用意して選べる権利を部員の手にちゃんと残していた。

それが、ファシスト麗奈のせいで完全に抹消された。


とはいえ、そんな2年前の鏡写しみたいな世界をわざわざ3期でやってることがやっぱり理解できない。

いやまぁ、もう、「心底どうでもいい」。

まさかここに来て、あすな先輩に最も共感するとは思わなかったよw


で、ついでにいえば、京アニ神話も今回ので完全に消えた。

少なくとも往年の輝きはない、というか、ただの田舎の逆張りスタジオにしか思えなくなった。

青葉事件はマジでヒドイ話なので、会社の存続は心配したし、同情もしたけれど、でも、じゃあ、作品としてはどうか、というと、これじゃない感のほうが強い。

もともと『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のあたりから、何この自己満足なメンヘラアニメって疑問には思っていたのだけど、今回の件で、そういうキモい人しかきっともう制作陣に残っていないんだな、と痛感した。

絵がちょっときれいなだけの田舎のアニオタの会社。

だって、女子を痛めつけて、その痛みを涙腺の刺激に変えて、エモさを確保する、という姑息な手段に訴えるばかりで。

画面のリアリズムもそちらに完全に振っている。

その結果、なんらポジティンなものが感じられる。

ただ虚無的なだけ。

それを退廃的な美と勘違いしているだけで。

心底、気持ち悪い。


感想6へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想4: なんで3期の制作陣はちゃんと『リズと青い鳥』を観直さなかったのだろう? あそこに麗奈と久美子の答えも描かれていたのに。

2024-06-25 13:43:30 | 京アニ
感想1感想2感想3、からの続き。感想5感想6感想7もあります。)

今回のオーディションで麗奈と久美子の関係性にもピリオドが打たれてしまった。もう以前のような関係性は戻らない。

一つ、今回の12話の感想の中で、巷に流れているもので、どうにも理解できないのがあるのだけど、それは、久美子と麗奈が最後にいつもの高台で逢瀬をもって、互いに泣きじゃくって場面に感動した!ってヤツ。

感動した?

あの場面で?

どうして?

少なくともあの場面でなされたのは、吹奏楽部の表舞台では決して出せない、互いに私秘的な感情的な部分をさらけ出しただけのこと。

でも、だからといって、その結果、互いにスッキリして悶々とした思いに決着がついた・・・なんて、まさか思ってないよね?

あの場面は要するに、二人はすでに別々の道を歩み始めた、ってことの確認で、おむ互いに肩を並べながらこの先を歩いていくことはない、ってことの確認でしょ?

要するに、決別の場面だよ。

それがあの涙の意味でしょ?

麗奈は、久美子との友情を捨ててでも、全国大会で、万に一つでも勝率を上げるために真由の方をソリのパートナーに選んだわけで。

それは要するに、久美子じゃ、力不足、ってことでしょ。

で、久美子の方からすれば、ずっと麗奈に音大の進学を勧められながら、うーん、なんかそれは違う、とずっとぼんやりと疑問に思っていたわけで。

その「なんとなく」の感じは理屈じゃないからどうしようもない、それに素直に従うべき、というのが、大学進学で失敗した姉の貴重なアドバイスだったのだし。

で、その「なんとなく」スッキリしていなかった感覚に対して、久美子にとって「特別」な麗奈から、「戦力外通告」されることで、むしろ、ようやく具体的な形を和え耐えることができたってことでしょ。

麗奈が求める高みにまでは私は上るだけの力はないし、別段特に、上りたいとも思わない。

その久美子の実力不足ならびに不適正性について、先んじて言い当てていたのが、前回コンサート会場で会った不思議天然ちゃんでクラリネットバカの「鎧塚みぞれ」だったことで。

あの久美子が同じ音大にいることなんて想像できない、というみぞれの天然の返答は、要するに、みぞれから見たら、久美子は音楽の神様に祝福された子ではない、ってのが見えていた、ってことなわけで。

要するに、麗奈の本質は、みぞれ、だった、ってこと。

それはまた同時に、なぜかこの3期の前半で、真由が『リズと青い鳥』に触れて、なんでリズは青い鳥を逃がしたのだろう、とか疑問を述べて、『リズと青い鳥』の結末に反することを言っていたかの説明にもなる。

まさに、久美子と麗奈の関係は、久美子がリズで麗奈が青い鳥、つまり、希美がリズで、みぞれが青い鳥だったのを、そのまま反復した、ってことでしょ?

その、希美とみぞれの関係のオチを、久美子と麗奈の場合は、もっとダイナミックに面倒くさい感じで再演したのが今回の公開処刑だった。


なので、あの高台の場面は、個人的には、全然感動できるなんてものではなく、むしろ、そこまで冷たい関係に落とせる深い共依存の関係にビビった、というのが本音。

まぁ、それだけ、麗奈と久美子は共依存していたからこそ、百合めいた関係性にも見えたわけで。

ただ、その思春期特有の、女子の間の共依存を描くうえで、男性脚本家の花田十輝は不適格だったのだと思う。

それは、『リズと青い鳥』の山田尚子や、原作者の武田綾乃にはあって、花田十輝には持ち得ない、女性どうしの微妙な関係性に対する直感的な理解、ってことで。

結局、花田は、男から見た、ホントは男女の恋愛関係にしたいところの疑似関係の百合的なものに還元して代替しちゃうんだよね。

だから、情念=パトスばかりが前面にでて、あんな号泣になってしまう。

多分、同じ涙を流すにしても、あそこは山田尚子だったら、もっとすっきりと、涙が一筋流れて終わるくらいの、抑えの効いた描き方で終わってたはず。

そして、そのほうが今回の流れでは正しいと思う。

というのも、少なくとも、卒業後の進路を含めて、もう久美子の心は決まっていたから。

それこそ、オーディションの前に。

だから、もう、ある意味、久美子は久美子でやけっぱちになっていたところもあるんだよね。

あー、もうめんどくさい、これで決まりだ、えい!!!って。

そういう意味では、無常にも、久美子はだいぶ前から、麗奈との関係をどこかで精算しようと思っていたのだけど、対して、麗奈はそうではなかった。

ていうか、久美子はあのめんどくさがりの性格だから、とりあえず麗奈に話すのは、吹部の活動が終わってから、と何処かで直感的に決めていたと思うのだよね。

そういう意味では、麗奈には、あの公開処刑のような、無骨なやりかたしかできなかったし、それが本質的に、麗奈が、みぞれ同様、音楽バカの、心は幼児なままの未熟者、の現れだったってこと。

でも、その不器用さを認めるのは、音楽家は特別な人間だから、でごまかすだけにしか見えなくて、とても嫌だ。

きっと、そこも山田尚子なら、さらっとそんな特別はない、って言い切らせていたと思う。


・・・ということで、なんかやっぱり、チグハグなんだよ。

わざわざ『リズと青い鳥』を、男の脚本家の「女を愛でる男」タイプの野暮な演出で再演しようとしたのが失敗だった。

素直に原作通りの王道展開にしておいて、その細部に、麗奈と久美子のこれからの進路のズレを挟み込んでいけば、もっときれいな、でもリアルな『ユーフォ』の終幕が得られただろうに。

ほんと、その点だけは、変わらず、アホらしいし、バカらしい。

今からでもいいから『リズと青い鳥』、見直してこい、と言いたい。

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想3: もしかしてユーフォ3期は、1期から無条件に続いていた「滝イズム」からの久美子の解放が目的?

2024-06-24 14:39:07 | 京アニ
感想1感想2、からの続き)
感想4感想5感想6感想7もあります)

冷静に考えると、やっぱり、麗奈の滝イズムへの入れ込み方って異常だよね。

「愛」って言っておけばとりあえず看過できるような類いのものじゃないよね?

で、そうした、なんとなく1期から漠然とそういうもんか?と当たり前のように思ってきた、とにかく何が何でも「全国金を目指す!」という滝イズムが、学校教育から考えてもおかしい、異常だった、ってことを示して「正す」のが、もしかして3期のテーマだったのかね?

その意味では、カルト宗教「滝イズム」から久美子の目を覚まさせるのが目的。

そのための当て馬が、転校生の真由だった、というオチ。

だって、真由はまさにそうした「吹奏楽部・全国常連校」の、ガンバリズムや勝利ゼッタイのファシズムが嫌だったから、「みんなで楽しく・・・」を信条にしたわけでしょ?

つまり、真由の目から見たら、久美子たちのほうが異常一歩前のヤバい集団だったわけで。

でもさ、実際、よくよく考えてみたら、この「滝イズム」も、もともと滝自身の詐欺みたいなやり取りから始まったわけだし。

1期が始まってそうそうの「なんですか、これは?」という失望の表明がそれだし。

そもそも、いきなり「楽しくやるか? それとも(厳しくやって)全国を目指すか?」って二択をせまるあたり、軽くカルト宗教の勧誘めいた発言だものね。

そこで二択にするところが、実は「詐欺」なわけで。

久美子からすれば、いきなり、はぁ???って疑問に思って当然だったはずなのに、それを、傍らにいた麗奈の言葉でさらにだまされて、あっさり「滝イズム」への入会が確定してしまった。

正確には、麗奈が面白いから、麗奈がベタ惚れしている滝を悪く言わないでおこう、って感じ。

でも、今思うと、きっとそんな久美子を見ながら、あすな先輩あたりは、「心底どうでもいい、滝(先生)なんて」とか思ってたんだろうな。

だって、あすな先輩の音楽の心の師は、幼い日に別れた実父なわけだから、そこに小僧の滝が入る余地なんかなかっただろうから。

そういう意味で、ほんとに冷静に久美子のことを見ていたんだろうな、あすな先輩は。

だから、彼女が、自分が送った絵葉書を頼りに自分のところを訪ねてくるのは、麗奈と喧嘩した時、というのは、本気でそう思ってたのだろうな。

裏返すと、麗奈と上手くやっている限り、久美子の目は曇ったままだと。

で、多分、そんなあすな先輩と同様に、久美子がちょっと麗奈の影響でカルトしてることに疑問を持っていたのが、幼馴染で、麗奈に感化される前の久美子を知る秀一だっただな、と改めて気付いた。

なので、マジで、詐欺師滝の手から久美子を解放するのに、秀一が一肌脱いてほしいところ。

まぁ、とにかく、冷静に考えれば、この久美子を巡る惨状を生み出した根本原因は、滝の根拠希薄な滝イズムなのだから。

正確には、その滝イズムへの久美子の洗脳を、「私は特別になりたい」と言って、そのためには「滝先生が一番」といって成し遂げた麗奈が最悪なのだけど。

でもまぁ、こうやって、1期からのこのかたの、久美子を中心においた北宇治のドタバタの原因に、麗奈が「推した」滝イズムがあったと考えるなら、そりゃ、そんな魔手から久美子を救ってやりたいと、制作陣が考えても仕方なかったのかもしれない。

まぁ、何にしても、物語を支える大きな世界観の転換が、3期を始まる前にあったのだろうと思わずにはいられず。

そう思うと微妙にNHKの影響もあるような軌道修正なのかもしれない。

とにかく公平が一番、正しいことを正しく行うことが一番、というあたり。

ただのガンバリズムは、生徒の中から落伍者をだしていけない、とか。

そう考えると、ガンバリズムの世界から逃げてきたのに、結局、滝イズムというがなリズムの餌食となった真由とか、目も当てられないのかもね。


とまれ、ここまで改変したのだから、最終話も、北宇治が全国金を取る、なんてハッピーエンドにならないことに期待する。

あんな痴話喧嘩ばかりしている北宇治が、あんな体たらくで全国金なんてとっちゃいけない。

それはダメなロールモデルにしかならないよ。


感想4へ)

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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想2: 結局、ユーフォ3期は、滝ファシストの麗奈が、親友の久美子を滝ファシズムの盲信に準じて公開処刑しただけの話だった。

2024-06-24 14:09:33 | 京アニ
感想1感想3感想4感想5感想6感想7もあります)。

何が凄いか、って、12話の結末って、誰一人、ハッピーにならない展開だってこと。

久美子は、おそらくは3年間思い描いてきたであろう、最後のステージで麗奈とソリを吹きあう、という願いを儚くも失ったこと。

麗奈は、自分のわがままに付き合いここまで献身的に尽くしてきた親友の久美子を、よりにもよって、部員の面前で、ソリ落ちを宣言したこと。しかも、全国大会金賞という自らの欲望を優先した結果。

真由は、最後の最後まで、自分がおじゃま虫でしかないことをアピールし続けながら、最後に我を通して演奏した結果、自分が最も望まない「みんなで楽しく演奏する」機会を奪われたこと。

結局、起こったことといえば、麗奈が1年のときのトランペット・ソロの最終選考の意趣返し。

あの時、麗奈が香織から奪ったものを、今回は麗奈が奪い返された、ということ。

しかも自分の意志で。

にしたって、こんな意趣返し、この最終局面でほんとに必要なドラマか?

その結果、「久美子擁護」の発言を繰り返してた奏まで、香織擁護に奔走したリボンちゃんの再演にしか見えなくて、不憫この上ない。

まぁ、奏が久美子に寄り添うのも、所詮は劇場版の1シーンの出来事でしかない、って解釈なのだろうけど。

よくもまぁ、そこまで薄っぺらくしたものだよな。

ていうか、あすか先輩から受け継いだ「響け!ユーフォニアム」は何だったわけ?最終局面で、久美子の初心を振り返させるきっかけとなるような神アイテムではなかったの?とか、もう、ガッカリだよ。


結局、3期で描かれたこととは、滝ファシズムの専横がもたらした「正しさの惨劇」でしかなくて、この結末、いったい、誰得なんだよ?

「正しさ」を追究するだけの純粋主義者で、亡き妻の亡霊を追いかけ続けるガキの滝と、その子ども大人への盲目的シンパのゲシュタポ麗奈が滝への憧憬から、それまでの親友を部員の面前で公開処刑する、というだけの話。

おまけに、久美子の代わりにソリになった真由は、自分の信条に反して、これ以上ないくらい部の空気のすべてをぶち壊して全国大会でパフォーマンスしなくちゃならなくなった。

さすがに、この先、何を久美子が檄として言ったところで、その言葉を額面通りに受け取るような、空気の読めないアホな部員はいないよね?

いや、3期は意図的に、空気の読めない後輩ばかり配したようにも思うけど。

でもまぁ、普通に考えれば、頭のいい子ほど忖度して当たり障りのないことしかいわないし、基本的に口をつぐむだろう。

こういう状況下で喋るのは、基本おバカ属性の葉月やつばめのような、音楽「弱者」の連中くらいでしょ?

実際、葉月は、2番目の演奏が久美子のものだと気づいていなかったみたいだし、ひたすら、自分がオーディションに残ったことを「実力がついた」と考えるしかない、視野の狭いやつだから。

さすがは元テニス部の脳筋だけのことはある。

頑張れば成果が出る、と無邪気に信じられるのがアホな体育会系。

にしても、葉月はマジで株を落としたな。

ともあれ、そうやって久美子を公開処刑したことで、誰も逆らえない、麗奈によるファシスト体制が完成した。


要するに、滝ファシストの麗奈が、自らの信念で親友を殺す物語であり、葉月のような音楽「弱者」が、努力を実力と勘違いし続けるだけの「エセ実力主義」の世界。

それもこれも、まぁ、滝が自分の判断を放り投げて、みんなの投票制なんかに剃りの決定を丸投げしたからせいでしょ?

どんだけヘタレなんだよ、滝って、

教育者としての「責任」をまるっと放棄しただけじゃん。

さすがは、ゆとり教育、なのか?

アスカ先輩が、卒業したらいきなり「滝さんはさ・・・」とか言ってたけど、それが正解だったってことだよね。

音楽しかできないただの変人、それが滝。


でもさ、部員の間に「音楽の耳」に差があることなんて、1期の頃からわかっていたことじゃん。

だから、そこに「平等な一票」なんてものはあるはずもなく、あると信じるなら、それはただの幻想でしかない。

まさに悪平等の極みでしょ?

なんのために専門教育を受けた教師がそこにいるんだよ?

だいたいさ、音楽の質について、たとえば葉月とサファイアの会話とか、全く成立してなかったじゃない?

その点で、結局、良識があるのは、サファイアだけだった、というオチ。

音楽の才能もありながら、アンサンブルするためには、集団の協調というロマンも必要だとわかっていた。

でもそんな好人物はサファイアくらいで、代わりに来たのが烏合の衆の一年生。

そんな一年が大量に入部したっていうのだから、基本的に、ほぼ素人の一年生たちが、気分で真由を選んだから、あの均衡した票の結果でしょ?

こんなのただのアホを動員するポピュリズムと変わらないじゃない。

どこをとっても、ろくなことはない。

ていうか、事実上の「好み」の投票でしかない。

その結論を読めない、滝って、ホント、ただの音楽バカ。


しかしさぁ、こうなったらさぁ、もう全国大会の直前に、真由が退部届け出すしかないじゃん。

でも、あれだけ久美子にまとわりついてきてたのだから、それくらいは、ぜひ、やってほしいけどね。

久美子が自分の信念を貫いたように、真由は真由でその信念を貫いて、一度は決まったソリを、自らの意志で辞退すべきでしょ。

あそこまで久美子に食って掛かっていたのなら。

でなければ、むしろ、真由って、原作以上にただのヘイトを集めるだけのヴィランでしかないじゃん。

ていうか、今回ので、今まで曖昧だったけど、ヴィラン、確定だよ。

ただのビッチ! まぁ、とっても戸松の担当キャラっぽいんだけどねw


で、真由がそういう行動を取らないのなら、秀一たちが集団で、全国大会直前に退部届を出して、麗奈がパニックして終わり、ってことくらいやってみせろよ。

だって、麗奈が久美子を公開処刑したのだから、もはや麗奈と久美子の関係は以前のようには戻れないでしょ?

なによりチキンハートの麗奈が無理なはず。

だったら、そこで、秀一が、麗奈をバッサリ捨てて久美子を取る、位のことをしてみせろよ。

だって、結局のところ、このユーフォの3期は、滝ファシストの麗奈のわがままな吹奏楽部支配の物語、政治ゲームになってしまったのだから、それならそのための暴動を、秀一が示して、麗奈との格の違いを見せつけるしかないじゃん。

そうして、3期の北宇治の諸悪の根源が、麗奈であることを秀一がちゃんと糾弾すべきなんだよ、だってこれは、もうただの「推し」を巡る政治ゲームになってしまったのだから。

花田十輝の失敗は、ユーフォを、ラブライブとかああいうアイドルオーディションものと勘違いしちゃったところでしょ?

だから、この最終局面において、演奏の話を一切飛ばして、ただの吹奏楽部内のグダグダした人間関係に堕してしまった。

いやー、1期や2期、劇場場の積み重ねはなんだったのさ?

あれもアイドルものに見えたのかね?


とにかく、ここまでぐちゃぐちゃのめちゃめちゃにしたのだったら、真由なり秀一なりが退部届をだして、彼らなりの矜持を示させることで、麗奈がいかに愚かな人間だったか、公に思い知らせるくらいのことはしてくれないとつまらない。

それくらいまでやったうえで、結局、滝の教師としての指導力に問題があった、って責任問題にまで発展させたほうがいいよ。

そこまでやるならこの脚本でも認めなくはない。

要するに、滝イズムへの攻撃であり、滝ファシストである麗奈にトラウマを植え付けさせる展開。

そうでないと、久美子がただの殉職だからね。

多分、奏の言動が最も正しくて、最もここまでシーズンを通じて見てきた視聴者を代弁している。

あれをただの不満で終わらせるなら、ただの茶番でしかない。

久美子の主観で、久美子が泣き寝入りして終わり、みたいな終わり方だけは嫌だ。

あと、どうやら原作では久美子は、音楽教師の道を歩みみたいだけど、この状況でそうなるなら、単に滝イズムのファシスト2号になるだけだから、ぜひとも、あすか先輩あたりに久美子を思いとどまらせて、少なくとも、一度は音楽とは縁のない世界に久美子を導いて、久美子の洗脳を解いてやってほしい。

そういう意味で、麗奈が間違っていて、真由は正しかった、というのなら、このめちゃくちゃな改変も、意味があったものとして理解できる。

とにかく、「正しいことをするのが正しい」みたいな、ダメなポリコレの肯定で終わることだけはやめてほしい。

麗奈は特別だから、をマジックワードとして使える夢は、儚くも冷めちゃったんだよ、今回。


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響け!ユーフォニアム3 第12話 『さいごのソリスト』 感想: これは最悪の改変、全く擁護の余地がない、制作者は「正しいは残酷」を描きたいだけなの? だったら本気で性根が腐ってる。

2024-06-24 00:41:19 | 京アニ
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なぜ久美子がソリ、取れないんだよ、これこそ逆張り狙いだけの改悪でしかないだろ?

いやー、これはささすがにないだろ?

なんで、久美子が最後に、公開処刑されなくちゃいけないんだよ?

これが平等な教育なの?

それも死刑宣告が麗奈の口から、って。

脚本家、アホなんじゃないの?

脳味噌、膿んでるだろ、さすがにこれ?

あー、バカバカしい。

何が楽しくて、ここまで来て、こんな結果、見せられるんだよ?

しかも、原作改変なんだろ?

アホらしくて、もうどうでもよくなった。

これこそ、茶番じゃん。

王道の結末は結末で大事なのに、何、こんなところでちゃぶ台、ひっくり返して、悦に入ってるんだよ?

あー、マジでバカバカしい、何、自己満足、浸ってるんだよ、制作陣?


もちろん、久美子にせよ、麗奈にせよ、彼女らの心情をフォローすることは可能だし、そこに意味ある解釈を与えることできるけど。

でもね、物語には大きな流れがあるんだよ。

そこにはカタルシスが必要なんだよ。

そんな基本もわかってないなんてどうかしてる。

解釈とか、評価とか、以前の問題だよ、これ。

物語への期待を丸ごと、裏切ったんだから。

バカバカしい。。。

まぁ、でも、こんな破綻したシナリオで、感動した、最初か最後まで涙が止まらなかった、なんていって満足しているアホな視聴者ばかりじゃ仕方ないのか。

あのさ、ただ感動できればいいのか? 感涙できればスッキリするのか?

なに、心情操作されてるんだよ?

それじゃ、ただのイヌと変わらないだろ?

そんなん奴らばっかりだから、こんなただ泣ければいい、なんて馬鹿げた話がまかり通ることになる。


そういう意味では、

北宇治の連中も、麗奈も、全部まるっと嫌いになるよ、これじゃ。

まんま、幼児の、小学生の残酷さそのものだから。

アレで高校生なのは、さすがにおかしい。あいつら、頭、おかしいよ、全員。

これでも、全国金には届かない、という結末ならまだわかるけど。

しかし、だとすれば、若者には夢なんて見させるな、ってことになるし、

久美子みたいに、麗奈と違って「特別」になる気が最初からないやつは、部長みたいな縁の下の力持ちだけやらせておけばいい、ってことににしかならないだろ?

なんだか、真由が不憫だったから、この結果もわかる、とか、バカみたいな喧嘩両成敗的な感想を漏らしているバカもたくさんいるみたいだけどさ。

いや、それ違うだろ?

キャラに平等に機会を与えなくちゃいけない、なんて誰が決めた?

そんなの「悪平等」でしかないだろ?

いいじゃん、黒江真由はただの当て馬のモブで。

少なくとも、今回、多少なりとも心情吐露できたんだから、それで十分じゃん。

そういう意味では、今回、一番怖かったのは、滝先生が言った「正しくありたい」という言葉。

あれって、「正しければすべて許される」という、ただの正義マンしかないし、そんな杓子定規な教師なんて信じられない。

実際、最後は、久美子の公開処刑をもたらすのだから。

滝が、久美子か真由か、決めれば済んだことで、それを生徒に丸投げするから、あんな残酷なことを平気でやれてしまう。

まあ、麗奈は、あれでもまだ滝シンパであるなら、もう自分から久美子とはやっていけないと、久美子との関係を切らないと失礼だよね。

どいつもこいつも人格破綻者で、それでも芸術家だから許されるというのは、傲慢極まりないだろ?

いやー、クリエイターってそういうものなんですよ、て、作中で自分の人格の異常さをキャラの言動で正当化してんじゃないよ、制作陣。

あー、マジで最悪だよ。


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響け!ユーフォニアム3 第11話 『みらいへオーケストラ』 感想2: なぜ真由は久美子に執拗に絡んで来るのか?それは彼女が久美子の欲望の塊イドだから。

2024-06-18 22:47:15 | 京アニ
最初の感想では書けなかったのだけど、今回のエピソードで一つ、あぁ、なるほどなぁと思ったシーンがあったので、そこをちょっと掘り下げて取り上げてみたい。

それは、いつもの校舎裏で久美子が一人で練習している場面に、真由がやってきて、また、「私ソロ辞退するから」宣言を持ちかけて去っていったところであり、その直後にたまたま(?)立ち聞きしていた奏が、逆に、あんな話聞くことな無い、そもそも真由はそんな気ないんだから、と返した場面。

あの場面を見返して、思いついたのが、

久美子 → 自我
奏 → 超自我
真由 → イド

という配置。

要するに、奏で真由は、久美子の心理的葛藤を読者や視聴者に向けて、目に見えてわかりやすくするために用意された、いわば久美子の分身のような存在であるということ。

久美子という「自我」は、
奏という正しさを統御する「超自我」と
真由という本音ただ漏れの欲望に火を付ける「イド」によって成立している。

で、久美子の心理を、この3人に振り分けることで、3期のユーフォのドラマは基本的に成り立っている。

裏返すと、結局、3期は、久美子の物語に終止する。

どうも私小説っぽくて、いまひとつドラマに欠けるのもそのせい。

単に吹奏楽部の演奏シーンがないのが、イマイチ感の理由ではない、ということ。

ひたする、久美子はどうしたいのか?というのを常に問い変える構図になっていて、それが、ちょっと疲れる。

いや、だって、少なくとも1期や2期のときは、部があって、先輩がいて、部内でのわだかまりがあって、麗奈がいろいろやらかして、久美子がそうしたあれこれを「皆家政婦は見た!」的な、本来関係ないはずのところからあれこれ発言して畳んできた話だった。

もちろん、久美子の手に負えず、事態の流れを見守るしかなかったことも多かった。

ただ、その分、久美子は好き勝手なことを言えたし、極論すると、久美子のいないところで、新たな問題が生じても、問題なかった。

つまり、久美子は自由に動けていた。

ところが、3年になって部長になると、彼女自身が、吹奏楽部をマネジメントしなければならない立場になってしまい、基本的に、個人的見解を挟み込む余地がなくなった。

まぁ、だから多分、久美子は久美子で、実はとても窮屈な思いをしていた。

その久美子の窮屈さを表すために用意されたのが、真由と奏だった、ということ。


この見方が妥当と思われるのは、実このトライアングルに、麗奈ですら全く関与できないところからわかる。

なぜなら、麗奈は、ある意味イドだけが突出した「子ども」のままだから。

むしろ、作中の三大演奏達人と思われる、みぞれ、麗奈、サファイア、の3人ともが、基本的には、このイドが突出したまま今に至っている人たち。

いわゆる「天才」。

もともと才能があって、その才能を素直に修練によって延ばしてきた結果、自分の願望と自分という存在が矛盾なく成立している人たち。

その代償として、彼らは大なり小なり、自分以外の人たちとの接し方に難を抱える。

みぞれは希美がいなければ外部とコミュニケーション取れなかったし、

麗奈は久美子と仲良くならなければ、今のように吹奏楽部で活躍できてはいなかっただろうし、

サファイアにしても、久美子たちと吹部初日に友好関係を築けたからこそ、破綻する機会に至らずに済んだ。

葛藤があったとしても、自己完結的に解決できてしまうのが彼女たち。

なので、麗奈は、久美子に進路のことを質すことしかできず、なんら有効なアドバイスも助力もできなかった。

まぁ、要するに、久美子の場合、絶対的に先輩という、あからさまにレイヤーの違う他者が必要だった。

それが最上級生の3年になって皆無になったところで、作劇上の都合から、やむなく登場させられたのが黒江真由、という異物だった、ということなんだろうな。

黒江、って、きっと、冗談抜きに「黒い久美子」、「闇落ちした久美子」だったんだよ。

この「闇落ち久美子」たる真由が、ひたすらホラーのように、久美子に対して、何、気取ってんだ、おめぇ、さっさと本心明かしちまえよ、ホントは功労者の自分がソロ吹きたいんだろ?、って悪魔の囁きを続けることになった。

部長という体面を重視して、北宇治は実力主義という原則に固執する久美子の心を折ろうとしてきた。

で、真由がそういうイドを演じることになった手前、むしろ、正しさの正しさを補強するために発言する役割を担うことになったのが奏だった。

なので、久美子が高2のときはやたらと手のかかる後輩だった奏が、学年が一つあがったシーズン3では、むしろ、久美子をからかいつつも久美子の完璧は補佐役を務めることになった。

まぁ、要するに、久美子におとされちゃってたわけだけどw

ただ、それは奏の内面の変化だけでなく、真由という、ホラーな久美子のイドが登場した手前、バランスを取るためにも必要な役割だった、ということになる。

それが、冒頭指摘した、校舎裏での、久美子、真由、奏、の3人の協演シーンだったということ。

まぁ、こういう構図がずっとあったから、3期の物語って今ひとつ面白みに欠けるような気がしたんだな、と改めて痛感。

そりゃ、久美子の心理描写、私小説に特化してたら、サプライズのあるドラマなんて起こりませんよ。

なので、そうなると、この久美子の黒いドッペルゲンガーたる真由との決着は避けて通れないだろうし、その結果が3期の山場ということになりそう。

そりゃ、演奏シーンがないはずだよね。

物語の根幹が、演奏ではなく、久美子の成長にあるのだから。


となると、真由問題を強制的にでも解決したところで、多分、ほぼ自動的に、久美子の卒業後の進路も決まるのだろうな。

でもさ、それももうほとんど想像がついて、演者にならないなら、久美子は、指導者の道を歩むしかないじゃん。

まさに、ハーモニー=調和をいかにして調達するか、そこに尽力する存在。

まぁ、だから、なんだかんだ言って3期になって、久美子と滝が二人で話をする機会が増えたのだろう、と納得してきた。

こんなふうに言ったら多分麗奈は起こりそうだけどw、多分、久美子が取るべき役割は、滝のなくなった奥さんがやろうとしていたこと。

「賽の河原の石」ではなく「人」を扱う仕事。

ありていに言えば先生なんだろうな。

ちょっとそのオチはさすがにちょっと萎えるところもあるけれど。

でも、あの関西大会前の演説ができてしまう久美子は、類まれなるそのバフを通じて、指導者になるのが適している、ということで。

多分、その指導者としての才覚を久美子自身に確信させる障害として用意されたのが、真由という困った迷い猫のような転校生だったということなのだろう。

まぁ、だからといって、真由がウザいのは変わらないのだけど。

久美子はどうやってあの真由の頑なさを解決するのだろうね?

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響け!ユーフォニアム3 第11話 『みらいへオーケストラ』 感想: 奏が言う通り、真由はわかって久美子に絡んでるよね?

2024-06-17 13:32:35 | 京アニ
感想2もあります)

前回ラストの久美子による檄?の後で、北宇治が全国大会に進まない展開は想像できなかったので、冒頭で選出されたのは納得なのだけど。

それにしても、結局、演奏描写がないまま、ここまで来てしまった。

なんか淡白すぎない?

もちろん、作中での久美子たちの喜びようは理解できるけど、同じような気持ちに観ている側はなりにくいよね。

やっぱり、これ1クールに話数を収めなくちゃいけない弊害のようにしか見えない。

特に今回はそれが目立ってひどかった。

作劇上どうしても外せないセリフだけ抜き出して、その台詞のあるシーンをとにかく全部つなげました!という感じにしかみえなかったなぁ。

ていうか、今回、ものすごい駆け足だよね?

せっかく麗奈と初めて?ちゃんと?喧嘩できたのに、あっという間に仲が戻ってるし。

しかも、関係が修復したのって、北宇治が全国大会に進むことができたからでしょ?

それも久美子のぶっちゃけちゃいますけど!な檄があればこそで。

麗奈って何にもしてないじゃん。

そのくせ、久美子が音大には行かない、と決めたら、じゃ、ここで二人の関係も終わり、とか勝手に宣言しだすしw

麗奈も相当やばいよ。

まぁ、そのまえに、もっとヤバいみぞれが出ていたから、なんとかごまかせたけど。

音楽やる奴ら、おかしいヤツしかいないの?って思うくらい。

そりゃ、久美子があたしには無理、って思うはずだよね。


とまれ、次回、またもやオーディション。

なんかずっとオーディションやってるなぁ。

ていうか、オーディションしかやってないと言ってもいいくらい。

で、ここに至ってもなお真由は「ソロを降りる降りる詐欺」を示してくるのだから、困る。

ていうか、もはや普通にホラーなんですけど。

なんなの、あの真由の久美子に対する執着は?

どうやら次回あたり、高1のときのあすか先輩、高2のときの奏、に続いて、高3の久美子に言葉責めで癒やされるのが真由になりそうな気配。

問題があるとすれば、これまできちんとした接点描写がされてこなかった真由に対して何を言うかな、ってことで。

正直、真由ってキャラは、高3になった久美子が順風満帆の部活経営をしていくうえでの障害としてだけ造形されたキャラにしか思えなくて、うーん、この子、救済する必要ある?って思うんだよね。

奏が言う通り、ほんとに「ソロを辞める」なら、あんなに何度も久美子のもとにやってきて言うはず無いもの。

それを奏は「嘘」だと見て、対して久美子は、何らかのSOSだと思ったってことなんだろうけど。

でも、それにしたって、真由、うざい

ほんと、こういう自分の世界の繭のなかに住まうタイプのメンヘラ系を演技させたら戸松ってうまいよね。

セリフ聞かされるだけで、真面目に神経、逆なでされるので。

でも、話の流れ的には、麗奈と一瞬でも別れ話wが出たあとでのことだから、そして、今の今まで、久美子の進路が定まらないという話を引っ張っているから、麗奈とは違う未来を久美子が描くうえで指針となる何かを得るきっかけを与えるのが真由なんだろうなぁ、と思ったり。

でもまぁ、それならより一層、作劇上の都合で造形されたキャラって評価は強まってしまうのだけど。

にしても、あー、真由、うざいw

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響け!ユーフォニアム3 第10話 『つたえるアルペジオ』 感想: 久美子のぶっちゃけ本音発言は常に最大最強のバフだった件!w

2024-06-10 01:08:45 | 京アニ
いやー、もう今回はとにかく久美子のぶっちゃけで、部にかかっていた暗雲が一気にかき消されただけでなく、それ以上に、皆のやる気を引き出してしまったことに尽きるw

こんな最強最大のバフはないでしょw

さすがは、これまで、あすかと奏という、先輩・後輩の超曲者二人を虜にしてきただけのことはあるw

そのバフを、部員全員にかけてしまうという超絶魔法!

むしろ、久美子の成長を示す力の入った回だったってことね。

しかし、その前に、もう麗奈からは嫌われるし、滝先生からはとぼけられるし、秀一は怒るし。

なんかまた真由が余計なことを言い出しそうなところは、久美子スキーの奏が未然に防いでいたけれど。

でもまぁ、普通に考えて、もう部の崩壊目前のところまで追い詰められていたところで。。。

予想通り、久美子はあすかパイセンのところに出向いたわけだが。。。

しかし、そこでまさか香織先輩までセットでいるとは思わずw

これ、絶対、デカリボンが嫉妬の嵐でしょ!

まぁ、それはいいとして。

しかし、あすかがマジでいやらしいところは、久美子が自分のところに駆け込んでくるときは、きっと麗奈と喧嘩したときだ!と香織に言っていたことで。

これ、どう考えても、あすかが、久美子の愛人ポジションを気取ってるってことでしょw

要するに、奥さんの麗奈に愛想つかされたときに限って泣きついてくるダメ男の久美子w

でもそんなときにあたしのところにゴロニャンしにくるんだからカワイイw とかマジで愛人あすか先輩は思っていたってことでw

これは奏がガチで対抗心燃やしそうだけど。

で、愛人気取りのあすかが久美子に掛ける言葉は、基本的に激励なしのただの「叱咤w」。

もう2年前の久美子のぶっちゃけ発言に対する、満を持しての意趣返しにしか見えないw

どんだけ、あすか先輩、久美子が好きなんだよw

マジで久美子の愛人(自称)じゃんw

でも、そのあすかの言葉で、結局、久美子が部全体にぶっちゃけバフをかけて演奏に臨んだのだから。

これで次回、関西大会敗退ってことはないでしょ?

残念だったのは、その演奏が全く描かれなかったことで。。。

これじゃ、久美子のバフがどれだけすごかったか、全くわからない。。。

せめて、全国大会では演奏を見せてほしいけどなぁ。

ともあれ、久美子のバフがとにかく超絶!ってことばかりが際立った回だったw

さすがにこれはちょっとズルいんだけどね!

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