というわけでソードアート・オンライン プログレッシブ(SAOP)の第1巻についてw
一応、SAOPが何かを記しておくと、単行本だと第一巻で終わってしまったアインクラッド編を、第一層の攻略から順に記していくもの。もともとのアインクラッド編は1巻だけで駆け足で終わってしまったのがもったいないということで、一層ずつコツコツとキリトとアスナの物語を記していく。SAOPの第1巻は、第一層と第二層の攻略が記されている。意外と、第二層の方を読むのに手間取って、今までかかってしまった。
これは、作者自身が後書きで、既刊本との矛盾が生じることを重々承知の上で書いたと断っているのだけど、いきなり第一層でキリトとアスナが出会ってしまい、パーティならぬコンビを組んで進んでいく。実は、既に第三層の物語もウェブ上では記されていて、そこでも二人はコンビを組んでいるから、暫くの間はキリトとアスナは出ずっぱりなのだろう。
最終的に、アスナがデレることがわかっているからなのかw、アスナは終始ツンで一貫していて、その分、キリトが弄られまくっているのが可笑しいといえば可笑しい。
で、その二人を中心に、商人になる前のエギルや、後に軍を率いるキバオウ、それに、情報屋の鼠のアルゴらが登場する。このあたりは、アニメの第3話ぐらいまでがわりとSAOPに忠実な感じだった。
要するに、アインクラッドをキリトとアスナの二人が、もちろんデスゲームの攻略に勤しむのだけど、その反面、珍道中を繰り広げていく感じで面白い。アスナとキリトによる、SAO世界の、いわば弥次喜多道中って感じw
これは、最後が既にわかっているから出来る物語だなと思えて、むしろ、作者が二次創作を楽しんでる感じ。
で、その中で、前にも書いたとおり、アインクラッドのシステム、というか、SAOのシステムの不思議な奇妙な現象についても触れることがあって、それがなんとなく、茅場の考えの現れなんだろうな、という気にさせる。
なにしろ、アインクラッドを攻略した後の、アルヴヘイムオンラインは、SAOシステムの簡略版だし、その後のGGOなどの、ザ・シードが発芽したVRゲームシステムは、いずれもSAOの簡易版なので、実は茅場自身がデザインしたVRゲームシステムはアインクラッド編のSAOだけなんだよね。だから、そこでの不思議現象は、むしろ、茅場が自身の脳をスキャンしオンライン的コピー体になってまで実現したかったことが具体的に仕込まれていると見たほうがいい。というか、SAOでしかそれは発見できない。
ということで、これも前に書いたとおり、SAOPの狙いの一つは、この茅場の真意を想像させるための伏線作りではないかと思える。で、これは、後の、アリシゼーション編や、アクセル・ワールドの加速世界に繋がっていくのだろう。というか、繋がるんじゃないかな?と思わせて、読者を楽しませるのだと思う。
もう一つこのSAOPの第1巻で気になったのは、第二層の攻略のところで、どうもラフィン・コフィンらしき存在がチラチラ見え始めたところ。
このあたりは、実際には本編を読んで欲しいのだけど、この作者が上手いな、と思えるところ。ラフィン・コフィンによるPKの登場で、茅場が提供したシステムによるデスゲームとは異なる意味で、同じプレイヤーによる殺人行為というデスゲームの可能性がアインクラッドの世界にはびこることになる。
そして、そのラフィン・コフィンが仕組んだ、プレイヤー間の不信感の焚付、を何とかして防ごうとしているのがキリトでありアスナである、という物語の構図になっている。
つまり、茅場というGMとの、世界との戦いと、同じプレイヤーどうしで信頼・不信の間を揺れ動く戦いが二重に展開される。
実際、アリシゼーション編まで読んだ後で、キリト目線で見直すと、茅場はキリトの終生のライバルという位置づけになり、一方、ラフィン・コフィンは何が何でも倒すべき敵=悪=外道として位置づけられる。とはいえ、後者の位置づけは、GGO以降、徐々に大きくなっていったように思えるので、最初のうちはその要素がよくわからない。
そのキリトとアスナにとって終生の敵であるラフィン・コフィンをいかにして川原礫的な外道として導入するかが、SAOPの、多分、裏の狙いなんだと思う。
とにかく、警察や裁判所がないSAOの世界では、悪や非道までもプレイヤー達が扱わなければならなくなり、その分、どうしてもテンションは上がってしまう。
むしろ、アリシゼーション編まで読むと、この、プレイヤー間での安全の確保、すなわち、プレイヤー同士で集団の秩序を作っていくのも、一種のゲームを通じた社会シミュレーションのように見えてくる。どうやって、プレイヤー同士で絶望せずに、集団殺戮ないし集団自殺をせずに生き残るのか、というのが茅場のやりたかったことの一つに思えてくる。そのあたりの社会シミュレーションの話も多分、SAOPの狙いの一つなんだと思う。
というか、結末が既に決まっているわけだから、そこに至る過程をいかに厚く語るか、ってことだよね。
感覚的には、スターウォーズの第二の三部作みたいなものw アナキンがダークサイドに落ちてダースベーダーになることは既定路線であることはもう最初からわかっていて、いかにしてそこに至るか、そのアナキンの心理の変化(当然、歴史のいたずらも含む)を描くのが第二の三部作の目的だった。
SAOPはそういう感じがする。
上に書いたように、既に作者のサイトでは、第三層の攻略の話がちょこっと書かれているのだけど、それでいくと、SAOのNPCってホントにNPCなの?と思わせる記述もある。これも、既にユイの存在を知っているので、作中用語で言うところのトップダウンAIは相当程度にまで作りこまれていることもわかっている。あるいは、アインクラッドのシステムの平衡を保つために常時稼動しているカーディナルの存在も。
ということで、SAOPの続きも楽しみ。
とはいえ、これ、仮に75層で終わるとしても、先は長いw
とりあえず、アスナの牽制役として、「キー坊」とキリトを呼ぶ「オネーサン」のアルゴが登場したりして、これはこれで面白い。しかし、MORE DEBANの二人は登場するまでは遠い。。。 それに対して、何気にエギルさんが最初から男前過ぎて凄い。
でもねー、一番うまいな~、と思ったのは、ちょっとした興味から、誤って兄が買ったナーブギアを被ってしまってSAOに囚われてしまった、ゲーム初心者でヤサグレていたアスナに希望を与えたのが、実はキリトだった、というのは、ホント、川原礫節が炸裂で上手い。
ということで、川原礫については、たまたま電撃文庫からデビューしたからラノベ作家にカテゴライズされているけど、実際は、講談社ノベルスでデビューした西尾維新あたりと大して変わらないのかも、と思い始めてきた。少なくとも、ストーリーテリングの盟主であることは間違いない。
ということで、川原礫の作品には要注目。
で、次はAWの13巻かぁーw
一応、SAOPが何かを記しておくと、単行本だと第一巻で終わってしまったアインクラッド編を、第一層の攻略から順に記していくもの。もともとのアインクラッド編は1巻だけで駆け足で終わってしまったのがもったいないということで、一層ずつコツコツとキリトとアスナの物語を記していく。SAOPの第1巻は、第一層と第二層の攻略が記されている。意外と、第二層の方を読むのに手間取って、今までかかってしまった。
これは、作者自身が後書きで、既刊本との矛盾が生じることを重々承知の上で書いたと断っているのだけど、いきなり第一層でキリトとアスナが出会ってしまい、パーティならぬコンビを組んで進んでいく。実は、既に第三層の物語もウェブ上では記されていて、そこでも二人はコンビを組んでいるから、暫くの間はキリトとアスナは出ずっぱりなのだろう。
最終的に、アスナがデレることがわかっているからなのかw、アスナは終始ツンで一貫していて、その分、キリトが弄られまくっているのが可笑しいといえば可笑しい。
で、その二人を中心に、商人になる前のエギルや、後に軍を率いるキバオウ、それに、情報屋の鼠のアルゴらが登場する。このあたりは、アニメの第3話ぐらいまでがわりとSAOPに忠実な感じだった。
要するに、アインクラッドをキリトとアスナの二人が、もちろんデスゲームの攻略に勤しむのだけど、その反面、珍道中を繰り広げていく感じで面白い。アスナとキリトによる、SAO世界の、いわば弥次喜多道中って感じw
これは、最後が既にわかっているから出来る物語だなと思えて、むしろ、作者が二次創作を楽しんでる感じ。
で、その中で、前にも書いたとおり、アインクラッドのシステム、というか、SAOのシステムの不思議な奇妙な現象についても触れることがあって、それがなんとなく、茅場の考えの現れなんだろうな、という気にさせる。
なにしろ、アインクラッドを攻略した後の、アルヴヘイムオンラインは、SAOシステムの簡略版だし、その後のGGOなどの、ザ・シードが発芽したVRゲームシステムは、いずれもSAOの簡易版なので、実は茅場自身がデザインしたVRゲームシステムはアインクラッド編のSAOだけなんだよね。だから、そこでの不思議現象は、むしろ、茅場が自身の脳をスキャンしオンライン的コピー体になってまで実現したかったことが具体的に仕込まれていると見たほうがいい。というか、SAOでしかそれは発見できない。
ということで、これも前に書いたとおり、SAOPの狙いの一つは、この茅場の真意を想像させるための伏線作りではないかと思える。で、これは、後の、アリシゼーション編や、アクセル・ワールドの加速世界に繋がっていくのだろう。というか、繋がるんじゃないかな?と思わせて、読者を楽しませるのだと思う。
もう一つこのSAOPの第1巻で気になったのは、第二層の攻略のところで、どうもラフィン・コフィンらしき存在がチラチラ見え始めたところ。
このあたりは、実際には本編を読んで欲しいのだけど、この作者が上手いな、と思えるところ。ラフィン・コフィンによるPKの登場で、茅場が提供したシステムによるデスゲームとは異なる意味で、同じプレイヤーによる殺人行為というデスゲームの可能性がアインクラッドの世界にはびこることになる。
そして、そのラフィン・コフィンが仕組んだ、プレイヤー間の不信感の焚付、を何とかして防ごうとしているのがキリトでありアスナである、という物語の構図になっている。
つまり、茅場というGMとの、世界との戦いと、同じプレイヤーどうしで信頼・不信の間を揺れ動く戦いが二重に展開される。
実際、アリシゼーション編まで読んだ後で、キリト目線で見直すと、茅場はキリトの終生のライバルという位置づけになり、一方、ラフィン・コフィンは何が何でも倒すべき敵=悪=外道として位置づけられる。とはいえ、後者の位置づけは、GGO以降、徐々に大きくなっていったように思えるので、最初のうちはその要素がよくわからない。
そのキリトとアスナにとって終生の敵であるラフィン・コフィンをいかにして川原礫的な外道として導入するかが、SAOPの、多分、裏の狙いなんだと思う。
とにかく、警察や裁判所がないSAOの世界では、悪や非道までもプレイヤー達が扱わなければならなくなり、その分、どうしてもテンションは上がってしまう。
むしろ、アリシゼーション編まで読むと、この、プレイヤー間での安全の確保、すなわち、プレイヤー同士で集団の秩序を作っていくのも、一種のゲームを通じた社会シミュレーションのように見えてくる。どうやって、プレイヤー同士で絶望せずに、集団殺戮ないし集団自殺をせずに生き残るのか、というのが茅場のやりたかったことの一つに思えてくる。そのあたりの社会シミュレーションの話も多分、SAOPの狙いの一つなんだと思う。
というか、結末が既に決まっているわけだから、そこに至る過程をいかに厚く語るか、ってことだよね。
感覚的には、スターウォーズの第二の三部作みたいなものw アナキンがダークサイドに落ちてダースベーダーになることは既定路線であることはもう最初からわかっていて、いかにしてそこに至るか、そのアナキンの心理の変化(当然、歴史のいたずらも含む)を描くのが第二の三部作の目的だった。
SAOPはそういう感じがする。
上に書いたように、既に作者のサイトでは、第三層の攻略の話がちょこっと書かれているのだけど、それでいくと、SAOのNPCってホントにNPCなの?と思わせる記述もある。これも、既にユイの存在を知っているので、作中用語で言うところのトップダウンAIは相当程度にまで作りこまれていることもわかっている。あるいは、アインクラッドのシステムの平衡を保つために常時稼動しているカーディナルの存在も。
ということで、SAOPの続きも楽しみ。
とはいえ、これ、仮に75層で終わるとしても、先は長いw
とりあえず、アスナの牽制役として、「キー坊」とキリトを呼ぶ「オネーサン」のアルゴが登場したりして、これはこれで面白い。しかし、MORE DEBANの二人は登場するまでは遠い。。。 それに対して、何気にエギルさんが最初から男前過ぎて凄い。
でもねー、一番うまいな~、と思ったのは、ちょっとした興味から、誤って兄が買ったナーブギアを被ってしまってSAOに囚われてしまった、ゲーム初心者でヤサグレていたアスナに希望を与えたのが、実はキリトだった、というのは、ホント、川原礫節が炸裂で上手い。
ということで、川原礫については、たまたま電撃文庫からデビューしたからラノベ作家にカテゴライズされているけど、実際は、講談社ノベルスでデビューした西尾維新あたりと大して変わらないのかも、と思い始めてきた。少なくとも、ストーリーテリングの盟主であることは間違いない。
ということで、川原礫の作品には要注目。
で、次はAWの13巻かぁーw