BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

偽物語 第4話 『かれんビー其ノ肆』

2012-01-29 09:55:14 | 西尾維新
ようやく映像にする意味のある回がやってきた。

第1話が始まった時に、いくら何でも阿良々木くんの家の中、モダンでキッチュすぎるんじゃない、一軒家のくせに、てか、広すぎだろ、それ!、って思っていたのだが、しかし、今回の映像で納得。あ、この入浴場面をやりたかったからなんだ、と。

広い浴場に洋風の陶器製とおぼしき浴槽をおき、そこに薔薇を散らす、というのは、往年のフランス映画のようでいい。薔薇のところはむしろ『アメリカン・ビューティ』なのだろうけど。

原作の印象では、阿良々木家は普通の日本の一軒家のイメージだったから、お風呂場もそんなイメージで、だから、今回の忍との和解の場面も、そういう日本家屋の、決して広くない風呂場でのやりとりとしてイメージしていた。だから、なんだかんだいって、忍と阿良々木くんの対話は、アットホームなものをイメージしていた。

でも、今回のような背景だと、表面上はギスギスした、緊張感のあるやり取りにしながら、そのくせ、心の距離は詰めていく、という感じが出ていてよかった。これは、映像でないとできないから。

裏返すと、前回までは、映像による演出が過剰に見えて、どちらかというと『化物語』のパロディのようにしか見えなかった。それも無理矢理雰囲気を似せようとしてやっている感じで。なんか、映像づくり、無理してるなぁ、と。

でも、今回のは、よかった。

ただ、それも、この忍と阿良々木くんのやりとりだけは「本物」だからなんだよね。
彼らだけは、本物の「怪異」であるから。人外だから。
ヴァンパイアとしての、人とは異なる時間や生を持つ。
そのことの象徴として赤い薔薇の花弁もあったわけで。

それに比べて、他の面々は人外は知っているが今は異なる人ばかり。
少なくとも、今のところは。

その点では、むしろ羽川がイメチェンも含めて「猫」の片鱗を覗かせるような感じでちゃんと絵として描かれていたのは良かった。

こういう感じで次回以降も続いてくれることに期待w

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魔法先生ネギま! 350時間目 『果てのない旅路へ』

2012-01-25 18:01:15 | UQH/ネギま!
えーと、あまりにあっさり明日菜の卒業まで流れてしまって書くことがない・・・というのが正直なところ。

で、こういうことはあまり書きたくないのだけど、この流れは次のコミックで映画が付いてくる特殊版があるからだよね、きっと。うーん。だとしたら、この一年間ぐらいは、結局、そのスケジュールに合わせた展開がずっと続いてきたことになるのでガッカリかな。

今回も、お話として何か新たな動きがあったわけでもなく。
なんだかスカスカなんだよね、ここのところの数カ月のネギま!って。
もちろん、それが魔法世界編の厳しさから解放されて、皆が呆けてしまったということの描写と受け止めれば、そんなものだろうなぁ、とは思うのだが。でもね・・・。

麻帆良学園を卒業ということであれば、魔法先生というタイトルはもう意味がなくなるので、前から思っていたように、新章突入、ということなのだろうな。

それにしても、その明日菜の卒業の場面での、タカミチの描写はどうなのだろう?全くもってネギま!世界っぽくない湿っぽさで。ドン引きでしょ、これ。だって、バッドエンド過ぎる描写だから。

結局、ネギの計画が全く説明されずにここまで来てしまったわけで。

となると、次回からいきなり百年後、という世界になる可能性もあるね。

というか、むしろ、いきなり百年後の設定にしたいがために、ネギの人外化が進められたようにすら思えてくる。

で、今回のユエたちの決意の程からすれば、当然、彼女らも何らかの形で、というのは、魔法なり科学なりを使って、その百年後に乗り込んでくる、という感じなのかな。

つまり、ネギと明日菜が百年の眠り?という二人だけの世界を作ってしまったことに対して、いや二人の力を借りずともみんなで力を合わせれば結構なことができちゃうんだよね、ってことを示したのが、今回の体育祭イベントだと思いたいから。

実際、人外として、ヴァンパイア(エヴァ)はいるわ、魔族(ザジ)はいるわ、ハーフ魔族(刹那、龍宮)はいるわ、マッドサイエンティスト(葉加瀬、超)はいるわ、ロボ(茶々丸)はいるわ、魔法のお姫様(木乃香)はいるわ、・・・、とイレギュラーな存在はいくらでもいるわけで、彼女らが結集したら、割と簡単に無茶なこともできるような気がする。

しかも、これまでの描写でいけば、多分、魔法世界の方が現実世界よりも時間の流れが遅いはずなので、それこそ、ユエやのどかは改めて魔法世界に「修行」に向かうこともあり得る。ユエは留学すると言ってるしね。のどかもトレジャーハンターとしてのスキルアップに勤しむように思えるし。そうして、時間稼ぎをしながら自分を磨いていく。

千雨だって、ラカンとの繋がりがあるから、向こう側で何かしようと思うかもしれないし。千雨については、今回、ネギを巡るライバル達の中には入らずに傍観しているところがなんともいえず千雨らしくて、やっぱり本命っぽいよなぁw

そういえば、亜子があっさりネギの追っかけに加わっていたのはちょっと笑ってしまったが。まぁ、ナギのことは吹っ切れてネギに切り替えたというのは、彼女の話としてはポジティブでいいとは思ったのだけどね。

ということで、やっぱり百年後、あるいは、途中でトラブルが発生して十年後くらいの所で続きが始まる、って感じかな。今、書きながら、確かに十年後くらいが順当だな、と思ったw 24歳ぐらいのクラスメイトたちなら十分まだ活躍できるじゃない、そのままの時間で。

しかし、魔法世界編を通じて誰が一番変わったかといえば、やっぱりユエだよな。もはや、魔法世界編前と比べたら別人といってもいいくらいの、ポジティブな感じ。実際、優秀な魔法使いになってしまったわけで。一気に物語の中心を担えるキャラになってしまった。このまま、ユエ押しが続くのかな。

それにしても、ネギは一体どうなってしまうのだろう。そのことが全く明かされていないのが不思議といえば不思議。もっとも、だからまだ終わらない、と確信することもできるのだけど。

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アクセル・ワールド 10巻 感想

2012-01-22 00:12:02 | SAO/AW
短篇集でかつ時系列上は5巻より以前ということで後回しにしていたのだけど、想像していた以上に面白かった。というか、このアクセル・ワールドには、毎回いい意味で予想を裏切られて、心地よいw

エレメントの一角のアクア・カレントが登場したり、黒雪姫が活躍したり、あるいは作者の別作品の主人公キリトとハルがガチバトルしたり、・・・、というのが大方の感想なんだろうけど。

でも、一番気になったのは、この短編でそれとなくではあるけれどかなり明確に、ニューロリンカーの秘密、というか機能についてヒントとなる描写や事件が多かったところ。

で、それはいずれも「記憶」に関わる。

一つには、アクア・カレントが示した「記憶消去」の能力。
今一つは、黒雪姫の友達である若宮恵に生じた、消去されていたはずのバーストリンカーの記憶の、一時的復活、という事象。

これらに、9巻で示されたアッシュ・ローラーのエピソードを加えると、多分、加速世界での出来事の記憶は、バーストリンカー本人の脳ではなく、ニューロリンカーの記憶装置に書きこまれ、そして、おそらくはそのバックアップがシステムサーバーの方に置かれているであろう、ということ。

今風にいえば、バーストリンカーとしての記憶や経験値は、ニューロリンカーを端末にして「クラウド化」されているということ。

であれば、強制アンインストールされた後に全記憶が完全に消去されるというのも納得がいく。そもそも脳の記憶=ニューロンを操作する必要はなく、本人からすれば外部記憶にしか存在しない記憶へのアクセス権が、アンインストールによって「断線」されるだけのことだから。

そもそも、「加速世界」のあり方が、心拍数に準じた「人間の時間」のリズムを逸脱したところで成立するという説明からすれば、加速世界、つまり、1000倍の速度で行動する世界が、物理的に人間の脳=ニューロンの速度では対処しきれない、と考えるのが筋だろう。

だとすれば、加速世界での出来事は、加速世界の速度で記憶できるような「もう一つの脳」でなければ記憶することは無理、ということになるだろう。そして、その記憶装置としてあるのがニューロリンカーということになる。

もっとも、作中のニューロリンカーは、いずれも一般発売された品であるはずだから、それを物理的にバージョンアップすることは不可能なはずで、となるとむしろニューロリンカーはゲートウェイとしてだけあって、常にBrain Burst 2039のシステムサーバーの側にあてがわれたメモリの方に書きこまれている、ということになるのだろう。さらにいえば、ニューロリンカーのCPUの標準品であることを考えれば、処理の方もサーバー側で行なっている、あるいは少なくともサーバー側のCPUの支援を受けていると考えるのが妥当だろう。

裏返すと、B rain Burstの加速世界のほとんどのデータはシステムサーバー側にあり、そのための信号をバーストリンカーの脳が送っているに過ぎない、ということになる。

・・・って考えると、だんだんヘビーになるからこれくらいにしておくけど、システムがどうかはさておき、記憶については外部化されているのはほぼ明らかなのだと思う。

ついでに言えば、作中の心意技というのは、作中でもあるようにサーバー側のクロックスピードを越える速度で信号を送るということなのだろうな。なんというか、そのまんま映画のマトリックスの中でネオがシステムプログラムの存在に気づいて以後、チートな力を発揮したのに近いかな。

要するに、Brain Burst 2039で経験されたことのほとんどは外部化されている。
そうすると、この先問題になりそうなのは、では、その時、ハルユキらバーストリンカーたちのアバター時の記憶というか人格とは一体なんなのか、というような話だよね。

いまだ黒雪姫らに合流していない、エレメンツの二人(アクアとグラファイト)は、このあたりの話で絡んできそうな気がする。

ま、加速世界の話は続く11巻から本格的に探求されていくのだろう。

で、そういった物語世界の背景のことを除くと、やはり黒雪姫のキャラクターが掘り下げられたところが面白かった。

彼女の場合、物語の構造上どうしても高嶺の花として崇められてしまうから、彼女の信条、あるいは彼女の物事の捉え方/考え方を知る機会はとても限られている。そのため、9巻までの彼女の行動はいずれも常に唐突な感じが拭えなくて、なんでそんな行動をするのか、よくわからなかった。

そのうえ、1-4巻まではもっぱらハルユキ、タクミ、チエ、の幼なじみ三人の話が中で黒雪姫の関わり方は限定的。逆に、5巻以降は、レイカーをはじめとするエレメンツの面々が加わってくるため、かつてのネオ・ネビュラスの思い出話が出てはくるものの、その語りの多くはレイカーやメイだったりしてここでも黒雪姫は主要な語り手ではない。

ということで、どうも今一つ良くわからなかったのが、今回の短編の話で、だいぶわかりやすくなった。この先は、時々視点人物を変えて作中内の時間や空間をうまくコントロールしないと厳しいと思うので、今回のような短編、ないし連作短編の回は時々必要な気がする。

あとは、ロボの登場の話や、量子コンピュータ的邂逅の話とか、見た目の派手さがあって面白かった。

なんだかんだ言ってお気に入りのシリーズになりつつある。
早く11巻が出ないかな。次は3月かね。

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魔法先生ネギま! 349時間目 『ネギを守りたいっ』

2012-01-11 17:58:59 | UQH/ネギま!
あれー、これで終わり?
結局、今回のイベントは、アキラのパクティオーのための前フリだったってことでw

もっとも、途中でザジが、ネギの今後の灰色の人生云々を語り始めたところは、もしかしてこのイベントだけでなく、ネギま!そのものが終了なんじゃないかと思って(それくらいまとめに入っていたように思えたので)、ちょっとビックリしたのだけど。

まぁ、結果的には、ネギを取り巻く人々の想いのレベル付けみたいなことが明らかにされた、ってことかな。パルやゆうなのように明らかに勢いと状況でパクティオーしてしまった人たちをふるいにかけるというか。

で、その分、魔法世界編で麻帆良学園に留守番していた、エヴァを含む旧超一味wがむしろ、今後の鍵を握る、というよう、キャラの出入りのためのイベントだったというか。

だって、ここでエヴァをここまでネタにする必要もないかとw(←良い意味ですw)

調子こいてネギをいたぶっていたエヴァを、四葉が説教するとか。
エヴァの魔法をあっさりカバーしてしまうザジとか。
そもそも、皆の懸念を、超の家系図(改変されたもの)で収める葉加瀬とか。

いやー、なんだか、フェーズが、ちょっと超=火星=未来ネタに移ったような気がするじゃないですか。

それにしても、ザジ無双だな。
てか、魔族ってもう物語のフェーズを変えちゃうんじゃないの?ってぐらい。
裏返すと、エヴァがどうどうとクラスでネタにされうるようになったわけで、きっとアルも図書館島の下で爆笑していたことでしょうw

そうそう、桜子の勘はもはや魔法といっていいんじゃない。
実はゆうなみたいに、彼女の家族も魔法一味だったとかね。

ともあれ、一応、これでネギま!が終わるわけではないことは一応大丈夫そうだから、前にあった夏休み前の回みたいな、「幕間」の一騒動、という感じで、とりあえずはよかったかな。

なんにせよ、山場はアキラのパクティオーだったわけで。
というか、今回のネギの反応からすると、カモではないけど、ネギの本命はアキラだった、という感じがしなくもない展開でw

ただ、アキラのアーティファクトは今一つわからないね。
能力限定と言うよりも、人魚形態って、普段どうするの?と素朴に疑問に思うなぁ。
一応、ジーンズみたいのを下半身の魚的部分にかぶさっていたから、普段は、二本足になって、泳ぐときだけ、人魚形態になるとかなのかな。
どう考えても、拳法士っぽい出で立ちだしね。グローブをしてるところとか。
楓とは違った意味で、身体能力を全開にして、力やスピードで戦うタイプなのかな。
それはそれで楽しみではある。
ユエやのどかがすっかり魔法少女的になっているから、ここでガチなファイターが登場するのは面白いと思うな。

まぁ、あっさりザジが指摘していたように、ネギがその人生を魔法世界救済に捧げることはどうやら確定したようで。しかも、それを少年漫画的に失敗の結末とまで自嘲的に言ってるところからすると、それは無理矢理ひっくり返すのが今後の物語の中心になるのだろう。

ということで、ネギの計画が、計画の漏れ、あるいは、外部からの邪魔、という形で、頓挫しそうになるような展開と、ナギ=始まりの魔法使い=造物主の救済という展開をクロスさせつつ、魔族+メガロメセンブリアと火星=超=科学という要素が、適宜、物語の進行を混ぜっ返すようにして蛇行させていくような展開が、次回休載(エー、マジかよ-w)の後に、展開されるのだろう、と期待。

ていうかさ、読者は、ちゃんとナギや造物主や魔族や超や火星のことをずーっと気にやんでるのだから、いい加減、話を前に進めてくれ~。いや、まじでw

それにしても、ザジ、無敵だなぁ。。。
彼女の今後の活躍が、超楽しみw

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偽物語 第一話 『かれんビー 其ノ壹』

2012-01-11 12:46:21 | 西尾維新
あれー、期待してたほど、面白くないぞ。

多分、アニメ、というか、映像で見る楽しみが、『化物語』と比べて格段に減った気がするのだけど。

もちろん、原作通りにすれば、このダラダラした会話が全面展開するのはわかっているのだけどね。

今回のように会話をトレースするだけの展開だったら、むしろ、ドラマCDくらいでちょうどいい感じ。

今回の最後にあった、八九寺と阿良々木くんの会話(八九寺に何かあったら阿良々木くんが助けに行く)は、さんざんっぱらバカな話をした後で来る、今後の、この物語の展開を暗示するようなメタ発言で、原作読んだ時にはとても印象に残っている箇所だったのだけど、今回の映像ではそうした雰囲気が無理矢理作られているようで、がっかり。

たぶん、それまでの「バカな話」の部分が、映像的に過剰にエフェクトされてつくられていたことが、マイナスに働いた感じかな。

つくづく、西尾維新という作家は「言葉で物語をつくる」人だということで。

これは『化物語』が映像化されるときにも懸念されていたことだけどね。
でも、西尾維新的「言葉遊び」の部分を、前作の『化物語』では、複雑で濃密なカット割りを繰り返すことで(あと今思えばイヌカレー的背景のびっくりさも)、その重層性をうまく表現していたのだけどね。

今回は、それがない。というか、あってもせいぜいスタイル程度になっているのがどうも。

いや、もちろん、西尾維新の原作自体が、『傷物語』以後、この間の『恋物語』で終わった第二シリーズまで、どんどん内容がスカスカになっていくので、そもそも言葉遊びの裏にあった重層性そのものも希薄になっていくから、仕方ないのだけどね。

つまり、原作がどんどん読者に擦り寄って、文字面での分かりやすさばかりが強調される。もちろん、語り手の変更という多少のサプライズは仕込まれるけど、ほとんどそうした展開は、相撲の取り組み早々に行われる猫騙しのようなもので、一発芸なんだよね。

戯言シリーズや化物語の初期にあった、西尾作品の「怪しさ・妖しさ」がどんどん希薄になって、戯画化されたキャラクター小説に変わってきているから仕方ないのだろうが。

(まぁ、だから、漫画原作に手を出したり、最近出たジョジョオマージュ本が酷評されたりしてしまうのだろうが。)

ただ、わざわざ映像でやるなら、前回の『化物語』のように、映像としての愉悦があるものにして欲しいなぁ。いや、今回の第一話は、あまりにも平板だよ。

とはいえ、『傷物語』は二冊とも話としては、あまり怪異話ではないんだよね。下巻の方はちょっと違うといえば違うけど、それも最後のバトルだけだからな。

原作自体がスカスカになってきているから仕方ないのかもしれない。

むしろ、今やるなら、戯言シリーズにチャレンジする方がいいんじゃないかと思うくらい。なんていえばいいのだろう、あの毒々しさがどう映像になるのか、は楽しみだよ。

あー、そうか。西尾作品はどんどん毒がなくなってきてるんだな。
西尾維新のラノベ化。

そういう意味では、春先にノベルスから出る新作(『悲鳴伝』)に期待したいところだが・・・。
しかし、ここのところ、ずっとその期待に裏切られてるしなぁ。。。

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アクセル・ワールド 1-9巻 感想

2012-01-11 11:03:34 | SAO/AW

4月からアニメ化するということで、評判もいいようだったので、年末年始にまとめて9巻まで一気に読んだのだが、これは想像していた以上に面白かった。

こんなに初読で面白いと思ったのは、西尾維新の戯言シリーズ以来かな。そういう感じ。

簡単に言うと、物語として、わかりやすい駆動力が複数あって、それが微妙に重なりあいながら、それなりの驚きを伴いながら進んでいく。

わかりやすい駆動力というのは、

ダメな主人公(デブでいじめられっ子)の成長物語
彼を巡る(まさかの)ラブコメ
昔の仲間と今の仲間
男子二人、女子一人の(定番的)幼馴染みの微妙な関係
ツンデレ、姉キャラ、妹キャラ、不思議ちゃん、の定番キャラ配置
仲間や絆の多様性 (チーム、思慕、尊敬、師弟、・・・)
敵対と友情、和解
どす黒い(それとわかりやすい)悪意
ブレインバーストという仮想世界の設定の妙
リアルとバーチャルのズレ
とりわけ、体感時間の違い
夢、脳、・・・、の不思議さ
見え隠れするゲームマスター
機械に宿る意志・精神
・・・

と言った具合に、登場人物についても、設定についても、比較的定番的なものをてんこ盛りにしているわけだけど、それでいながら、飽きさせない物語展開の妙。

物語に、喜怒哀楽の起伏があり、適宜、サプライズも用意されている。
主人公が構造的にコミカルに設定されているので、当然、そこから笑いも生じる。

いやー、読んでいて楽しいお話で。
とにかく、読みやすい。

きっと、定番的な要素によって、読み手に一定の方向に物語の予測を向けさせながら、それが「あ、やっぱりそうか」「え、そう来ましたか」、という納得と驚きの振幅をうまく調整しているからなのだろうな。

お約束を愚直に実現するところと、気持よく裏切るところと。

もっとも、キャラの登場や背景説明が不十分だった4巻ぐらいまでは、ちょっと微妙かなと思っていた。特に、3巻と4巻の部分は、準主人公である黒雪姫に出番がなく、そのぶん、ハル、タク、チユ、の三人で完結した話になっていて、あれ?と思っていたのだけど。

でも、9巻まで読むと、4巻までは物語全体の仕込みであったことがよくわかった。
5巻以降、それまでの蓄積(人物も背景事情も)が全てうまく繋がって物語が流れていて、一気に読めてしまった。

もちろん、その5巻以降は、裏返すと、定番的ラノベ臭さが増したことも確かで、たとえば、フーコのキャラが最初に登場した3巻と5巻以降では、慈悲的な暴力性を伴うw姉キャラにシフトしているとか(それはういとの対比もあるのだろうけど)、9巻でバラされたまさかのアッシュさんの中の人、とか、ええ!?、と思うところもあるのだけど、そのエフェクトの効いたキャラ付けが鼻につかないのが面白いところ。

それは一方で、物語の背景、というか、ブレインバーストの「世界」に関わる秘密がだんだん前面に出てきたこともあるのだろうけど。普段行う格ゲー対戦の「日常(といってもぶれいんバースト内の)モード」を面白おかしく記すために、キャラ属性のはっきりした人達によるボケ/ツッコミが、物語の憩いとして必要になるとと言うか。

でないと、バーストリンカーの中のエリート(王やその側近)が対峙するグランドマスターの思惑、それをハッキングしようとする(悪の)勢力=加速研究会、とか、話としては重たい要素は増えているわけで(3,4巻がイヤーな感じがしたのは、そういう重たい要素が多かったから)。

こういう、異能の仲間が知らず知らずのうちにチームを作っていくところが、最初期の戯言シリーズを書いていたときの西尾維新に近い印象を受けたところ。

ともあれ、想像以上に面白かった。ストーリーテリングが凄いしっかりしていて、へぇ、と驚くことも多かったし。

物語が多重進行していくホライゾンとは違って、アクセル・ワールドの物語自体は、一歩一歩前に進んでいく構成なので、確かに、これは、素直にアニメで見てみたい感じはするし、実際、楽しみ。

2クールということだから、ぜひとも9巻まで、というか「災禍の鎧」編まできちんと描いてほしい。5巻ぐらいまでを1クールで、後半の1クールを「災禍の鎧」編として扱うと物語としてはとても厚みがあるものになると思うのだけど。でも、ちょっと無理かなぁ。

ともあれ、4月に映像で見られるのが楽しみ。
そうだ、10巻も読まないとねw
しり上がりにどんどん面白くなってきているだけに、今後のラノベの展開も超楽しみ。

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