アマゾン・プライムで見つけて、なんとなく見始めたら、そのまま最後まで見てしまった。
素朴に面白かったw
原作は未読。
森見登美彦は、全体的に持って回った言い回しとか、めんどくさいキャラがてんこ盛りになるので、あまり好きな作家ではないのだけど、そのあたりを映像化することで、だいぶオブラートに包むことに成功している。
そうして、森見らしい「奇天烈な事態」を逆に、映像でうまく表現している。
アオヤマくん、という主人公のマセた小学生男子も、当初は何だこいつ?と思ったけれど、物語が進むにつれ、気にならなくなってきた。
むしろ、彼の利発さが、本来なら語り部が必要なところを一人分、減らすことができたため、全体のテンポもよくなっている。
同様に、もうひとりの主人公である「おねえさん」も、最初は妙にババ臭い感じがしていたのだけど、こちらも物語が進むに連れ、彼女自身が、そもそも人なのか?という疑問が生じてくるため、むしろ、その年相応に見えない「おねえさん」の感じがしっくりきて、良かった。
物語自体は、山間の、多分海からは結構離れたアオヤマくんの街に突然、ペンギンが出没したという怪事件から始まり、その怪事件に対して、自他ともに認める利発な青山くんが夏休みの自由研究のような形で手を出すところから始まる。
このペンギン話が物語の縦糸。
その一方で、小学生のアオヤマくんと、彼が憧れる歯医者の受付の「おねえさん」との間の不思議な関係の力学が、物語の横糸として動き出す。
その上で、やがて縦糸と横糸が重なりあり、よじれあって、物語が疾走する、という感じかな。
途中、アオヤマくんのクラスメイトの、こちらも利発な女子ハマモトさんが加わり、アオヤマくんとおねえさんの間に、事件解明の点でも、多分淡い恋心の点でも、介入してきて、話がさらによじれる感じw
ポイントは、なにかと大人びた発言をするアオヤマくんだけど、素で小学生なので、いわうる恋愛ごとに疎い「難聴主人公」になっても、まったく違和感がないこと。
むしろ、そちらは年相応で、微笑ましく見えてしまう。
もう一つ、素直に感心するのは、アオヤマ君のお父さんがピンポイントで適切な助言をアオヤマくんに与えながら、きちんと息子を導いていること。
その傍らで、ハマモトさんと、そのお父さんとの間の、いわゆる、父―娘の関係の置き方も上手くて、二人の間の近さとすれ違いもまた、物語を想定外の方向に向かわせて面白かった。
全体的に、とても気持ちの良い物語に仕上がっていて、改めて、本当にこれ、森見原作なの?と思ってしまうくらい。
その意味では、映画スタッフは優秀だったんだな、と思う。
多分、ポイントは、画面を徹底的、空と海をモチーフに「青く」したところなんだろうな。
その背景によって、森見作品にありがちな、ジメッとした自意識野郎の暴走が、まったくネットリした感じを与えなかった。
逆に、とてもカラッとした清々しさがあって。
雨降りのシーンすら、必要以上にジメッとさせないのはホント、上手いなぁ、と。
物語の最後は、もちろん、アオヤマくんが事態の解決に動き出すわけだけど、それもまた、少年らしい淡い決心から発していて、それがまた、心地よい。
お姉さんを救い出す、という点では、ある意味ではセカイ系といえなくもないのだけど、でも、二人の世界で決して閉じないのがいい。
アオヤマくんの方にはきちんと両親も妹もいて、つまり家族があるし、学校でもクラスメイト全員と友だちなわけではないけど、でも、ちゃんと友達もいる。
だから、ちゃんとアオヤマくんには家族も社会もある。
その点で、むしろ一見すると孤独に見えるのは「お姉さん」の方なのだけど、でも、一応自立した若い女性、という位置づけなので、それも気にならない。
というわけで、キャラ配置も上手いんだよね。
で、あとはCVのキャスティングなわけだけど、それはぜひ、実際に見て確認してほしい。
いい塩梅なんだよ、これが。
ということで、休みの日に、ダラーッとした気分で見るには丁度いい作品。
思わず見つけた良作だったw
素朴に面白かったw
原作は未読。
森見登美彦は、全体的に持って回った言い回しとか、めんどくさいキャラがてんこ盛りになるので、あまり好きな作家ではないのだけど、そのあたりを映像化することで、だいぶオブラートに包むことに成功している。
そうして、森見らしい「奇天烈な事態」を逆に、映像でうまく表現している。
アオヤマくん、という主人公のマセた小学生男子も、当初は何だこいつ?と思ったけれど、物語が進むにつれ、気にならなくなってきた。
むしろ、彼の利発さが、本来なら語り部が必要なところを一人分、減らすことができたため、全体のテンポもよくなっている。
同様に、もうひとりの主人公である「おねえさん」も、最初は妙にババ臭い感じがしていたのだけど、こちらも物語が進むに連れ、彼女自身が、そもそも人なのか?という疑問が生じてくるため、むしろ、その年相応に見えない「おねえさん」の感じがしっくりきて、良かった。
物語自体は、山間の、多分海からは結構離れたアオヤマくんの街に突然、ペンギンが出没したという怪事件から始まり、その怪事件に対して、自他ともに認める利発な青山くんが夏休みの自由研究のような形で手を出すところから始まる。
このペンギン話が物語の縦糸。
その一方で、小学生のアオヤマくんと、彼が憧れる歯医者の受付の「おねえさん」との間の不思議な関係の力学が、物語の横糸として動き出す。
その上で、やがて縦糸と横糸が重なりあり、よじれあって、物語が疾走する、という感じかな。
途中、アオヤマくんのクラスメイトの、こちらも利発な女子ハマモトさんが加わり、アオヤマくんとおねえさんの間に、事件解明の点でも、多分淡い恋心の点でも、介入してきて、話がさらによじれる感じw
ポイントは、なにかと大人びた発言をするアオヤマくんだけど、素で小学生なので、いわうる恋愛ごとに疎い「難聴主人公」になっても、まったく違和感がないこと。
むしろ、そちらは年相応で、微笑ましく見えてしまう。
もう一つ、素直に感心するのは、アオヤマ君のお父さんがピンポイントで適切な助言をアオヤマくんに与えながら、きちんと息子を導いていること。
その傍らで、ハマモトさんと、そのお父さんとの間の、いわゆる、父―娘の関係の置き方も上手くて、二人の間の近さとすれ違いもまた、物語を想定外の方向に向かわせて面白かった。
全体的に、とても気持ちの良い物語に仕上がっていて、改めて、本当にこれ、森見原作なの?と思ってしまうくらい。
その意味では、映画スタッフは優秀だったんだな、と思う。
多分、ポイントは、画面を徹底的、空と海をモチーフに「青く」したところなんだろうな。
その背景によって、森見作品にありがちな、ジメッとした自意識野郎の暴走が、まったくネットリした感じを与えなかった。
逆に、とてもカラッとした清々しさがあって。
雨降りのシーンすら、必要以上にジメッとさせないのはホント、上手いなぁ、と。
物語の最後は、もちろん、アオヤマくんが事態の解決に動き出すわけだけど、それもまた、少年らしい淡い決心から発していて、それがまた、心地よい。
お姉さんを救い出す、という点では、ある意味ではセカイ系といえなくもないのだけど、でも、二人の世界で決して閉じないのがいい。
アオヤマくんの方にはきちんと両親も妹もいて、つまり家族があるし、学校でもクラスメイト全員と友だちなわけではないけど、でも、ちゃんと友達もいる。
だから、ちゃんとアオヤマくんには家族も社会もある。
その点で、むしろ一見すると孤独に見えるのは「お姉さん」の方なのだけど、でも、一応自立した若い女性、という位置づけなので、それも気にならない。
というわけで、キャラ配置も上手いんだよね。
で、あとはCVのキャスティングなわけだけど、それはぜひ、実際に見て確認してほしい。
いい塩梅なんだよ、これが。
ということで、休みの日に、ダラーッとした気分で見るには丁度いい作品。
思わず見つけた良作だったw