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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない 感想2:シリーズ最終巻なのに麻衣の活躍がなかったのは残念だし、大人になれば思春期症候群から解放されるというのはさすがに安直で陳腐な解決策じゃない?

2024-10-11 15:06:13 | 青ブタ
感想1もあります)

感想1では、最終巻、ちゃんときれいに着地できてよかったね、というトーンで書いたけど(実際、読後はそんな感じだった)。

でも、一晩過ぎて、頭がスッキリしたところで振り返ると、やっぱり、うーん、「ここは・・・」というところがいくつか浮かんでくる。

特に、本巻がシリーズ最終巻であることを考えると、あれ、ちょっと?と思うところも少なくなくて、そこをいくつか、忘れないうちに書いておきたい。

ひとつは、とにかく、シリーズ最終巻なのに、麻衣の活躍がなかったこと。

それは最終巻の表紙が美東美織だから仕方がないところでもあるのだが、それにしても麻衣の出番がなさすぎた。

あれ、麻衣って、一応、メインヒロインだよね? ・・・ ここが一晩明けて、一番疑問に思ったところ。


それから、咲太が「大人」になれば、思春期症候群の囚われから解放される、というのは、この大学編の話の解決策としては、やっぱり、あまりに陳腐で安易だと感じたこと。

その意味では、「子どもの頃は天井のシミがお化けに見えた」という説明は、それこそ子供だましすぎて、どうなの? それで納得していいの?と思わずにはいられない。

少なくとも、量子力学や可能世界論まで引っ張ってきて、もっともらしくSFしてたシリーズのオチとしては、え?そんなんでいいの?と思ってしまうくらい、率直に言って「残念」な解決策。

このオチのための、麻衣のアドバイスがただ「咲太、大人になりなさい」ということに落ち着いたのもガッカリ。

これも含めて、ホント、最終巻の麻衣の扱いはひどい。

これまでのシリーズの流れからすれば、麻衣は自分が早くから役者をやってたせいで、妙に世間ずれしていることを心のなかでは悔いていて(なぜならまともな青春を送れなかったから)、むしろ咲太に対しては、咲太が大人と子どもの気持ちの双方に気づくことができる繊細さの持ち主であることに惹かれていた、

そんなふうに麻衣の心情については思っていたので、正直、今回の麻衣の言動には違和感を覚えるところが多かった。

だって、思春期症候群についてデリケートに対処できる繊細さが、麻衣にとっても咲太の魅力だったんじゃないの?って。


その流れでいえば、咲太が教師になるのも安易すぎ。

むしろ、せっかくデータサイエンスを大学で学んだのだから、思春期症候群の対処の経験を活かして、IT企業の心理カウンセリング部門とかに進む、とかでも良かったと思うけど。

その方が、将来、美東美織と再会できる機会も増えそうな気がするし。

ていうか、「主人公が職業として高校教師を選択する」というオチは、『響け!ユーフォニウム』とかもそうだけど、ラノベではありがちな結末で、それだけで萎える。

これって結局、ラノベ作者の社会経験として、大きな企業で働いたことがないという事実から来る安易な選択でしかないと思うのだよね。

それをいったら、麻衣が女優というのも、なんとなく芸能界のことは知ってるし、編集者経由でマスコミのことは取材できるから・・・みたいな、これも安易な方法で。

いや、一応、最後の、「教育実習」のところは、咲太が、高3に進級した翔子ちゃんと、つまりは、物語の一番最初に登場した「翔子さん」になった姿を自然に見せるためだけの、いわばサービスタイムのためイベントだっただけだと思うので、そのまま咲太が教師にならなくてもいいんだけどねw


ちょっと脱線すると、これも含めて、最終章は、麻衣よりも翔子ちゃんの存在感がすごくて、もうこのまま、咲太を奪っちゃえよ!と思わせられたw

翔子ちゃん、どんだけ作者に愛されてるんだよ!ってねw

実際、咲太がどういう思いでどういう行動を取るのか、そのあたりの咲太の心理の機微を理解しているのは、麻衣よりも翔子ちゃんなんだよね。

まぁ、それは、咲太の行動原理の基礎となる教えをしたのが「翔子さん」だったりするから、ある意味、完全に咲太が調教された結果でもあるわけだけど。

でも、人の痛みを我がことのように感じる咲太の美徳は、かえでの件で憔悴していた咲太だからこそ養えたものだとは思うので、翔子さんはそのきっかけを与えただけでもある。

で、その点で、麻衣は、絶対的に、翔子さんには勝てない、だから、麻衣はずっと焦っていたわけでw

いきなり婚姻届に麻衣が執着し始めたのもそういうことでしょ?

なので、そんな麻衣が咲太に対して「大人になれ」は、ちょっと違うかなぁ、って。

で、こうした咲太をめぐる「麻衣vs翔子」の対決構図の間に割って入ったのが、美東美織だったと思うので。

将来的に美東美織を含めた三角関係があと10年くらいは続くといいなとw

なんていうか、美東美織って、その可能世界に対する特異体質wから、「観測者」という同じく特異体質の咲太と同類なので、その同類としてのつながりはどこまで行っても消えないと思っている。

ちょうど、阿良々木暦と忍野忍が、吸血鬼の眷属という血の繋がりから逃れられないように。

ある意味、咲太と美織の出会いは「運命」なんだよね。

出会うべくして出会った二人、という感じで。

だからこそ「ディアフレンド」と表現されたはずで。

こうした、麻衣、翔子、美織の関係が、中途半端なままで終わったのは、素直に残念。

美織については、赤城みたいに、むしろ霧島透子の事件のあとでこそ活躍すると思えるだけに、惜しい。


でもまぁ、だからといって、後日談は特にいらないかな。

少なくとも、各キャラのその後を描く「アフターストーリー」なら不要。

青ブタが面白かったのは、あくまでも思春期症候群があったからで。

その発症理由が微妙に量子力学してたから興味深かったわけで。

そういうSF的建付けを取っ払って、ただのキャラ小説にするなら、いらないなぁ。

もしもやるなら、

帰ってきた美織と可能世界レスキューをする話とか、

女子大生になって時間ができた翔子ちゃんに引き回されて、探偵もどきの謎事件解決をしていく話とか、
そういうのならありだと思うけどw

そうそう、今回、物語の仕掛け上、理央が全く活躍できなかったので、理央を交えたサイエンスミステリーでもいいw

理央の場合は最初から恋愛感情が外れた友人なのもいい。

あ、でもそうか、「ディアフレンド」という点では、美織と理央はバッティングするのか?

そこはちょっと知恵の使い所だなw

可能世界レスキューに行く美織と咲太の、こちら側の世界での司令塔が理央、というならありかもw

なんかね、物語の関係上、もう思春期症候群は使えないから、それに代わるなにか「症候群」が流行って、その解決に向かう、とかでもいいかなw

せっかく赤城とキグルミグマ咲太も、向こうにはいるわけだしw

そういうちょっとコメディタッチのミステリーSFなら、続編として読んでもいいかもw

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青春ブタ野郎はディアフレンドの夢を見ない 感想:なんと、霧島透子事件の真の元凶は咲太だった! そして長いエピローグが閉じ、咲太は思春期症候群から卒業する。ビバ!大団円!

2024-10-10 16:05:03 | 青ブタ
感想2もあります)

前巻で、ようやく霧島透子の正体が、咲太の大学の友人である美東美織であることが判明。

咲太は、翔子とともに美織を説得し、事態の収集を図ろうと麻衣のもとへ。

美織と、亡くなった霧島透子との関係は、霧島透子が残した楽曲“Turn The World Upside Down”の秘密のメッセージに気づいた翔子によって、歌詞を行単位で最後からリバースすることで、

「君に出会わなければよかった」

で終わる歌詞から

「君に出会ってよかった」

で終わる歌詞へと入れ替わり、透子が美織に伝えたかった気持ちがちゃんと伝わってきた。

この歌詞のリバースは、なるほど、これは一本取られた!やられた!と軽く興奮w

同時にそのひっくり返した歌詞を2番として歌った美織が、本物の霧島透子であると世間からも「認識」され、自分のことを霧島透子だと思い込んでいた麻衣も正気に戻り、これにて一件落着。

・・・のはずだったのだが、それでも元には完全には戻らない世界に直面し、では、だれがこの「世界改変」の首謀者か? ってことになったわけだけど。

いや、もうその答えはひとつしかなくて。

全ての元凶は、世界の観測者である「梓川咲太」であった。

しかも、この世界の「梓川咲太」が最強の改変能力をもつ観測者であることが判明。

まぁ、実態は、ウサギのキグルミを着た別世界の咲太が、咲太が告げたことで判明したのだけど。

(えーと、正直、この「種明かし」はあまり巧くないし美しくもないと思ったので、もしかしたら、このことについては別途書くかも。)

そこからは、咲太が思春期症候群のことを忘れろ、なかったことにしろ、とそのキグルミ咲太に言われたことへの応答として、長いエピローグが始まっていく。

要するに、前巻の感想4で書いた、この世界は咲太が作り出したものだった、ということとほぼ同じ種明かしだったということ。

ちょっと抜粋しておくと



********************

そうすると、俄然気になるのは、この物語のタイトル。

「青春ブタ野郎は、XXXXの夢を見ない」

で、青春ブタ野郎とは双葉による命名で咲太のことだから、要するに、

「咲太はXXXXの夢を見ない」

ということになって、つまりは、個々の物語は全て「咲太の夢」で、正確には、物語の最初で起こったような奇っ怪な夢のことだけど、それは咲太自身の関与によって解決される。

(中略)

なので、素直に、これまでの物語が全て咲太の見る夢と考えると、量子力学的摩訶不思議現象も含めて全てが上手く、というか、都合よく解釈できる。

だって、全部が夢オチになるのでw

さすがにそれはないと思いたいのだけど、根本的なところで、どうして物語のそもそもの発端で、咲太だけがバニーガールになった麻衣を「認識」できたのか、という話になる。

あれは、麻衣の思春期症候群が引き起こした事件だってことで決着はついたはずだけど、それにしたってどうして咲太だけが認識できたのか?

その説明って実はされていない。

だから、一番単純な解答としては、いやそれは咲太が見た夢で、咲太が一年先輩の桜島麻衣と特別な関係になりたいと思ったから、というのが一番もっともらしくなる。

それなら、ランドセルガールを生み出したのも咲太だった、で済むから。

**************



・・・という具合に書いていたのだけど、大体こういうことだった。

まぁ、美東美織についてひとつアクロバティックだったのは、彼女が全ての可能世界に同一人物として存在できる、いわば「特異点」となる存在で、本来なら彼女は、すべての可能世界をそれと意識することなく渡ることができたはずなのだけど、それを、この世界の(唯一の)観測者である「梓川咲太」が認識してしまったから、美東美織がいられる世界がこのひとつに限定されてしまった、ということらしい。

つまり、

美東美織は、全可能世界で同一性を維持できる「特異点」
梓川咲太は、その認識によって世界を固定させる「観測者」

という「異常者」どうしだったということ。

だから、最終的な事態の解決のための、美織は、すべての可能世界を渡り、霧島透子を救う、すなわち、美織が霧島透子の正体であるという「身バレ」をしにでかけなくてはならなくなり、

咲太は咲太で、自分にとって都合よい部分だけをパッチワーク的にかき集めた形で改変されたままで留まっている世界を、それぞれのパーツをそれぞれあった世界に戻しつつ、「#夢見る」を咲太が見る前の世界に戻さなくてはならない。

で、結局、咲太がしたことは、思春期症候群のことを「忘れる」のではなく「思い出にする」ことで、つまり、自分にとって、「今とは地続きになっていない世界」として観測し直すことで、元に戻すことだった。

この過程を、本巻の半分以上を使う長いエピローグとして描かれることで、読む側もそういうことかなあ、と(論理ではなく)心情的に、パフォーマティブに追認させられた、って感じかな。

つまり、ある夢からハッと即座に覚醒する!ってことではなく、ダラダラと夢の部分を整理して、夢=思い出と現実の間に線を引いていったという感じ。

要するに、咲太とともに読者もここまでの全巻の内容を振り返りながら「思い出にする」過程を経験して終わり、という感じ。

なので、正直に言えば、歯切れはあまり良くはない。

なんとなくわかったようでわからないような終わり方。

ランドセルガールにしても、どうやら「世界の観測者たる梓川咲太」を支援するプログラムに人型のイメージが与えられたような存在だったみたいだしw


ということで、ともあれ、終わった。

正直、まだ全然、感想の言語化ができていないし、シリーズ全体に対しても言いたいことはあるけど、とはいえ、まだ考えがまとまっているわけではないので、それは、多分、後で書くと思う。

たとえば、この最終巻のヒロインが、麻衣でなく美織だったことの意味は何なのかな?とかね。

「ディアフレンド」は美織のことで、最後の方の描写だと、むしろ咲太は、他の可能世界に旅立った美織との再会を心待ちにしているように見えて、そこから美織は、麻衣とも翔子ちゃんとも違う、咲太にとってかけがえのにない大事な人、って感じがするんだよね。

こういってよければ、美織は、咲太の半身のような存在。

それは「特異点」と「観測者」という、この可能世界SFにおける「対」のような存在に思えるから。

なんだろうな、『化物語』でいえば

梓川咲太  → 阿良々木暦
桜島麻衣  → 戦場ヶ原ひたぎ
牧之原翔子 → 羽川翼
美東美織  → 忍野忍(キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード)

って感じかな。

それぞれ、余人に代えがたい存在であって、恋人とかパートナーとかいう言葉でひとつにくくることができないような、かけがえのない存在である。

で少なくとも、最終巻である本巻を見る限り、ちょっと面白いのは、美織の存在感が一番大きく、次点が翔子ちゃん、で、麻衣が実はほとんど活躍していなかった。

まさに釣った魚には餌をやらない的な希薄な存在感に麻衣がなっていたことは、最終巻だけにちょっと意外だった。

麻衣が、咲太に、大人になれ、って言ったのも、これまでの流れからすると意外。

もっと素朴に、麻衣は、咲太にベタ惚れで、むしろ麻衣が咲太に依存していたように見えていたから。

特に大学生編からは。

なのでちょっと、麻衣に対する心理描写が最後は足りないかなと、思った。

翔子ちゃんはあんなに魅力的に、むしろ蠱惑的に描かれていたのにねw

やっぱり、作者は、翔子ちゃんのほうが麻衣よりもお気に入りなんだな、って思ったものw

それから、結局、咲太が「大人になる」ことの象徴が、スマフォを持つことだったというのも、阿良々木くんの「友だちはいらない、人間強度が下がるから」と似たようなことを、物質として象徴するものだったんだな、というのにはちょっと笑ったw


とまれ、そんな感じで、全然書き尽くしている感じがしないので、また書きます。

とりあえず、読後直後の感想?はこんな感じで。

あー、でも終わっちゃったなぁ。

結構、脱力感とか、喪失感がある。

やっぱり気に入っていたんだな、この物語って思うよw

いいよね、青春SF!



感想2へ)

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想4:「ランドセルガール」を生み出したのは、実のところ誰なのか? 麻衣なのか? 咲太なのか? はたまた翔子ちゃんなのか? 

2024-08-11 16:29:08 | 青ブタ
感想1感想2感想3もあります)

今回ようやく霧島透子の正体がわかったところで、じゃあ、結局、大学生編の青ブタって、

「ランドセルガール」って何なのか? 
誰が生み出したのか?

という問いに行き着くしかない気がしてきていた。

以前書いたときは、そもそも大学生編そのものが、麻衣が翔子さんに対する嫉妬から生み出したもう一つの世界だと思って、その世界の案内役として登場したのがランドセルガールだと思っていたのだけど、

今回、とうとう翔子ちゃんが大学生編のストーリー、それも霧島透子の謎解きにダイレクトに絡んできたことで、これは麻衣が生み出した世界ってわけでもなさそう、という感じがしてきた。

なぜなら、大学生編を生み出した麻衣が、嫉妬深い麻衣だとすれば、翔子ちゃんをできるだけ遠ざける、本音を言えばいなくなってもらっても構わないと考えると思っていたから。

でも、翔子ちゃんは戻ってきた。

それも咲太が大ピンチの中にいるという、絶妙のタイミングで。

そんな大逆転を、この世界が生み出したゲーマスたる麻衣が許すはずがない。

となると、麻衣ではない他の人物が、ということになるのだけど。

で、そうなると、俄然、浮上してくるのが、咲太がこの世界を作った、ってこと。

だって、翔子ちゃんの生存のための帳尻を今回も合わせないといけないから。

つまり、高校生編と大学生編はメタなレベルでより大きな世界として一つの世界に統合されている。

そうすると、俄然気になるのは、この物語のタイトル。

「青春ブタ野郎は、XXXXの夢を見ない」

で、青春ブタ野郎とは双葉による命名で咲太のことだから、要するに、

「咲太はXXXXの夢を見ない」

ということになって、つまりは、個々の物語は全て「咲太の夢」で、正確には、物語の最初で起こったような奇っ怪な夢のことだけど、それは咲太自身の関与によって解決される。

ただ、別に咲太が探偵のように正解を引き当てて問題が解決されるのではなく、咲太が他のキャラたちとやりとりすることで、その困った状況、多くは思春期症候群の結果と解釈されるやばい状況、が消失するような形で決着が図られる。

なので、素直に、これまでの物語が全て咲太の見る夢と考えると、量子力学的摩訶不思議現象も含めて全てが上手く、というか、都合よく解釈できる。

だって、全部が夢オチになるのでw

さすがにそれはないと思いたいのだけど、根本的なところで、どうして物語のそもそもの発端で、咲太だけがバニーガールになった麻衣を「認識」できたのか、という話になる。

あれは、麻衣の思春期症候群が引き起こした事件だってことで決着はついたはずだけど、それにしたってどうして咲太だけが認識できたのか?

その説明って実はされていない。

だから、一番単純な解答としては、いやそれは咲太が見た夢で、咲太が一年先輩の桜島麻衣と特別な関係になりたいと思ったから、というのが一番もっともらしくなる。

それなら、ランドセルガールを生み出したのも咲太だった、で済むから。

その意味では、桜島麻衣を想った咲太が作った世界に、同じく桜島麻衣の大ファンだった生前の霧島透子が作った世界が鑑賞してきた世界が、大学生編、ということになるのかもしれないけれど。

なんか、領域展開の対決みたいだがw

まぁこんな「夢オチ」ですべて説明されるとは、はなから思ってはいないけど、そもそもどうして、咲太だけが麻衣を認識できたのか、という疑問は消えないんだよね。

要するに、

麻衣のバニーガールで高校生編が始まり、
麻衣のランドセルガールで大学生編が始まった。

どちらも咲太だけが麻衣を認識している。

本巻でも冒頭の麻衣のコンサート会場に現れたランドセルガールほかの麻衣の姿を、咲太以外は認識していない。

赤城だけでなく、麻衣自身も認識していない。

それってもう咲太の脳内イメージが現実に漏れ出たとしか思えないじゃない。

だから、やっぱりこの世界の「夢の調律」をしているのは咲太じゃないのかな、と思うんだよね。

その方が「~の夢は見ない」というシリーズ全体のタイトル回収にもつながるから。

どうだろう?

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想3: この青ブタ世界はシステムとしての霧島透子によって「スマホが現実を作り出す」という原理が支配する世界と考えてよいのだろうか?

2024-08-11 12:34:06 | 青ブタ
感想1感想2感想4もあります)

今回、ようやく霧島透子の正体、というか出自が美東美織だったということがわかったわけだけど、

相変わらず、ではなぜ、霧島透子という存在が伝播していくのか、そして、その結果、どうして現実が上書きされていくのか、は、まだわからずじまい。

いや、一応、その理由は、美東美織が友達だった霧島透子を失って思春期症候群を発症したから、ということで説明されてしまうのだけど。

でも、美織によれば、スマホを使わない咲太と出会うことで「私の現実は書き換わらなくなったから」のだという。

つまり、同じくスマホを使わないけれどそれだけでは美織の現実改変を変わらなかった。

実際、何人もの違う咲太と出会ってきたというし。

正直、そんな現実改変が続く状態を記憶して今に至っている美織の精神状態がどうなってるのか、とても心配なのだけど。

というか、今まで何人もの咲太に会ったことがあるなんて素振りを一切見せずに咲太を友達ごっこをすることができた美織がちょっと怖いのだけど。

だって、彼女は自分が霧島透子現象を起こしながら、その一部始終を知りつつ、かつ透子がファンだった桜島麻衣の彼氏にアクセスする、ってそのストーカーぶりが怖いし。

まぁ、そのあたりが10月に出る最終巻で明らかにされるのだろうけど。

とんでもないアクロバティックな理屈で決着が付きそうだけどw

それにしても、スマホを持っていない咲太が美織にとって何らかの意味で「特別」だから、きっと現実改変が起こらないんだよね。

正確には「美織の現実」の改変が起こらない。

あー、でもそれが今回の鍵なのかな?

つまり、「現実」とは万人に共通する「現実」があるわけでなく、あくまでもある特定の「個人の現実」があるだけ。

といっても、ある程度知り合った中、つまりグループとかコミュニティとかのあいだでは相互に矛盾が生じないような現実に調整される必要があるのだろうけど。

そのあたりの「パッチワーク化された現実」というのが、麻衣を救って、美織を救って、さらには翔子ちゃんも救って、当然、咲太も死なない「現実」として調律するのに必要な見解なのかもね。

高校編の、牧之原翔子編の「現実」は、あくまでも翔子ちゃんが夢見た「現実」だったけど、今回の夢はそれこそ「#夢見る」の形で世の中に流通して相互に調整サれたもののように思えるから。

まぁ、その場合、「#夢見る」に書くのが先か、実際に夢に見るのが先か、という問題はありそうだけど。

でもそうか、まずは「#夢見る」にその人の夢を書くのが先なのか。

だったら、咲太がスマホを通じて「#夢見る」に彼にとって最も都合の良い夢を書き込むのが一つの手なのかもしれない。
だって、霧島透子が支配する世界では、「夢見た」ものが現実として現れるから。

ハッシュタグを付けて公開しないといけないのは、霧島透子が、いわばネットワーク上のAIみたいなものとして、各自がアップした夢を互いに矛盾しないように帳尻を合わせてその都度修正するためなのだろうな。

そういう意味では、きっと正しく「霧島透子」とは、AI化されたアルゴリズムである。

「霧」のように靄がかかったかたちで人びとに間に広がり、
その中である程度の集団にとって都合の良い「島」のような現実を作り、
でも、その現実は島の外からも「透」けて見える、
そんな現実を生み出していくユニット=「子」。

そんな存在なのだろうね。

だから、霧島透子というシステムにアクセスしない咲太は、夢を見たとしてもスタンドアロンの、外から隔絶した夢しか見ないから、システム霧島透子の干渉を受けない。

同時に、システム霧島透子が改変した現実の齟齬にも気づけてしまう。

同じことが美織にも当てはまるのだろうな。

だから正確に言うと、スマホを持たない咲太に出会うまでの美織が感じていた現実とは、実は「彼女の現実」ではなく「彼女の周りにある現実」でしかなくて、きっと「彼女の現実」はずっと変わっていない。

それは多分、「友達の霧島透子の死と向き合えてない美織の現実」のままなのだろうな。

なので、そのこじらせた想いが解消できれば、霧島透子現象も解決できるのかもしれない。

ただし、問題があるとすれば、システム霧島透子が改変してきた現実は、局所的に可変されたもののパッチワークだから、実のところ、何が「真の現実」か、多分、判別がつかないことで。

その帳尻をどう合わせるのか?

その方法はまだわからないのだけど、でも、この霧島透子現象の最初にあったのが、例の「ランドセルガール麻衣」だったことを思うと、やっぱり、この「ランドセルガール麻衣」が、霧島透子事件が解決したあと、現実修復の鍵なのだろうなぁ。

なんとなくのアイデアはあるのだけど、そのことについては、もう少し考えてからw

感想4へ)

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想2: 翔子ちゃんが咲太の相棒を務めるということは、大学生編のメインヒロインは麻衣ってことでいいんだね?

2024-08-11 09:56:37 | 青ブタ
感想1感想3感想4もあります)

それにしても最後に咲太を救うのはやっぱり翔子ちゃんなんだな!

感想1でも触れたけど、今回、一番ビックリしたのは、ここまで咲太の大学生編では療養のために沖縄に引っ越したため影を潜めていた翔子ちゃんが、万策尽きた咲太の前に現れたこと。

それも、咲太と最初にあったときと同じ峰ヶ原高校の制服を着ての登場なのだから。

これはズルい。

さらにズルいのは、翔子ちゃんが高校に進学することができた、というイベントが達成されたことで初めて翔子ちゃんも自分に心臓をくれたドナーが誰か、わかったということ。

しかも、その名前が「霧島透子」というのだから。

それを知った瞬間、翔子ちゃんは翔子ちゃんで、いろいろと合点がいってしまったのだと思う。

と同時に、今の霧島透子事件の発端が翔子ちゃんへの心臓移植が発端だったことにも気づいてしまったのだと思う。

となると、事件の中核にいるのが、もともと翔子ちゃんに心臓を与えてくれるはずだった咲太と麻衣であることにも思いが及んだはずで。

いやー、この展開は本当に上手い。

やられた、と思ったよ。

結局、この青ブタの物語はすべて大元で翔子ちゃんの心臓移植の問題を抱えた世界の上で成り立っている。

ある意味で、翔子ちゃんが咲太の世界の重心になる。

ほんと、翔子ちゃんの再登場の理由は、盲点だった。

でも、その結果、終盤の物語が、面白いことに、咲太の高校生編、いってしまえば、牧之原翔子編のリバースのようになっていること。

どういうことかというと、

牧之原翔子編では、翔子ちゃんを救うために、咲太を麻衣が奔走したのだけど、

今回は、麻衣を救うために、咲太と翔子ちゃんが奔走することになる。

そうすることで、翔子ちゃんに対しても、麻衣が咲太の正ヒロインであることを納得させるプロセスを具体的に描くことができる。

前にも書いたけど、牧之原翔子編を経て、それ以前と明らかに変わったのは、麻衣が咲太のことを絶対離さないと宣言したこと。

いつか家族になろう、という言葉もそのことを表している。

それは、咲太にとって、翔子ちゃん・翔子さんが、初恋の相手として特権的な存在であるから。

要は、恋のライバルとして、というか、超強敵として、翔子ちゃんを捉えていること。

麻衣の翔子さんに対する嫉妬は半端ない。

だから、翔子ちゃんが翔子さんになる前に、先行逃げ切りで咲太をゲットしようと考えるようになった。

大学生編の麻衣って、突き詰めればそういう咲太絶対奪取するマン(レディだけど)w

その麻衣は霧島透子になることで全世界のアイドルになる、そうなると簡単には咲太を結婚するなんてこともできなくなる。

それこそ社会のしがらみによって。

多分、そうして麻衣が手をこまねいているうちに翔子ちゃんが泥棒猫してしまえる機会も増えるのだろうけど、でも、きっと翔子ちゃん自身がそれを望まないという選択をするようになるのかもしれない。

なぜなら、翔子ちゃんは咲太に麻衣も好きだから。

なんていうか、そのような、翔子ちゃんが咲太に対する想いに決着をつけることも、次の最終巻のテーマのひとつにあるような気がする。

だから、改めて、この青ブタの物語は、咲太、麻衣、翔子の物語だった、ってことを痛感させられて終わるんじゃないかなぁ。

そのためにもきっと「ランドセルガールの麻衣」が鍵を握るように思えるのだけど、そのことについてはまだ考えがまとまらないので、機会を改めたい。

感想3へ)

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青春ブタ野郎はガールフレンドの夢を見ない 感想: 結局、霧島透子の正体は予想通りの美東美織だったわけだけど、その結果、咲太はとんでもないジレンマに直面せざるを得ないのが辛い!

2024-08-11 09:55:56 | 青ブタ
感想2感想3感想4もあります)

前巻によって、一旦白紙になった霧島透子の正体。

で、その時の感想では、もう候補として残ってるのは桜島麻衣か美東美織しかないじゃん!って結論したわけど。

予想の通り、概ね、その方向で収束しそうな気配だった。

というのも、まずは、麻衣が「私が霧島透子」だと宣言し、ということは、本当は違うよね?・・・というところからの真の正体は美東美織だった・・・という展開。

この14巻の紹介に、「わたしが霧島透子です」と語る麻衣が使われてからこうなる予感はすでにしていた。

つまり、麻衣と見せかけて実は美織が霧島透子だった、という展開。

正確には、ネット上の(架空の)アーティストである「霧島透子」を生み出したのが美東美織だったということだけど。

ただ、この二人のどちらかだと思っていたので、この展開そのものは、まぁ、そうか、と思ったわけだけど。

ただ、美織が霧島透子をネット上で、あるいは芸名として霧島透子を想像したわけではなく、霧島透子本人が実在して、しかし、すでに他界しているとは思わなかった。

しかも、その生前の霧島透子が、まさか、この世界の翔子ちゃんに心臓を与えたドナーだったとは思ってなかった。

完全にブラインドサイドをつかれた。

霧島透子の正体を探るうえで一番の障害は、「可能な未来」を全て見てきたはずの翔子ちゃんでも、一度も霧島透子という名には出会わなかった、ということだったわけど、それが、翔子ちゃんが見れた「全ての未来」とは、咲太が麻衣がドナーになった時の未来に限られていた、というのは気づかなかった。

確かにそう言われればそうだよね。

今、翔子ちゃんが生きていられるのは、本物の霧島透子が、咲太と麻衣の代わりに死んで、心臓を提供してくれたから、ということになる。

しかも、この本物の霧島透子がドナー登録をしたのは、大好きな桜島麻衣の映画に触発されたから・・・、となると、ますます咲太と麻衣の代わり身のように思えてしまう。

今更だけど、今、咲太が生きている世界は、翔子も咲太も麻衣も死なない世界としてすでに、一度やり直された(書き換えられた?)世界なんだよね。

正確には、すべて翔子が見た未来として扱われることで、翔子が生きられる世界線を見つけた後の世界だということで。

なので、翔子は全ての世界の記憶、というか、翔子の中でシミュレートされたことになっているすべての未来の結末に関する記憶を持ち合わせたまま、この世界に存在していて、そんな翔子を再開したことをきっかけにして、咲太と麻衣も自分たちのどちらかが死ぬ世界線のことと思い出したわけだった。

なので、とにかく咲太がいる世界は、読者が初期の頃に読んでいた世界とは違っていることになる。

で、その異なる世界線の世界、翔子も咲太も麻衣も死なない世界で、代わりにババを引いてしまったのが霧島透子だった。

そして、その霧島透子の死によって思春期症候群を発症させたのが美東美織だった。

・・・という、こう、どこを見ても、えー、どうしてこんなことになった、という嘆かわしいもの。

美織は、仲直りを考えていた透子が死んでしまったことをきっかけに、彼女の残した楽曲を歌って、ネットにアップしたら、それをきっかけに少しずつ世界が書き換えられる経験をしていった、という。

これは、要するに、翔子ちゃんと同じように、複数の世界の可能性を導き出す「発端」になったということなのだけど、美織のケースが翔子ちゃんの場合と違うのは、翔子ちゃんが知る世界は、すべて翔子ちゃんを基点にして発していたのだけど、美織の場合は、あくまでもきっかけを与えただけで、彼女が霧島透子をやめた後も、ネット上でその模倣者が続出し、第2、第3の霧島透子が生まれていったことで、それは、遂には麻衣の意識まで書き換えてしまった。

ということは、美織の意志を越えて霧島透子は増殖しているように思えるけど、実は、美織は無意識のうちに、誰かが霧島透子を継続してくれることを望んでいるということになる。

多分、その美織の、意識と無意識のズレが、彼女の思春期症候群の原因なんだろうね。

それが、最後に翔子ちゃんが、美織と透子の交換日記の中で見つけた、透子が死ぬ日に残した

「君に出会わなければよかった」

という言葉、というか、呪い。

美織としてはもう一度会いたいけれど、そもそも透子は美織との出会いからして望んでいなかった、という歪んだ理解だけが残った。

だから、翔子ちゃんの場合とは違って、美織だけが全ての未来を見渡したうえで選択できるような統制力がなくなった。

それをバタフライ効果という言葉で、回復不可能、ってことにしてるようだけど。

ただ、それでも、美織自身は、そうした「霧島透子効果?」によって、世界が少しずつ書き換えられることには気づいていて、記憶している。

だから、今の咲太とは違う別の世界線の咲太にも出会ってきた、ということなのだけど。

つまり、翔子ちゃんと同じように、美織も世界改変に関する「特異点」になっていて、ちゃんと世界が変わったことの記憶を保持しているんだよね。

だからやっぱり、美織の思春症候群を解決しないことには、この増殖する「霧島透子」の世界を停めることはできない。

うーん、これどうすればいいんだ?

咲太にとっての問題は、美織も突きつけてきたように、咲太なら元の世界線に戻すことができるのかどうか?ということなのだけど。

問題は、理論的にできるのか?ということと、咲太がそれを望むのか?ということにある。

だって、霧島透子が死なない世界を作るなら、もう一度、翔子か咲太か麻衣の誰かが死ぬ世界線を考えないといけない。

仮に、透子も救ったうえで、翔子、咲太、麻衣も救われる世界線を選べたとしても、そこでは、今度は、透子の代わりに誰かがドナーになるために死ななければならず、透子と美織のような悲劇が別の誰かで起こるのかもしれない。

つまり、今回の透子のような事件はいつまでも続いていく。

だからといって、翔子や麻衣が死ぬ世界は咲太は認めらないはずで、そうなると大本の咲太が交通事故にある世界に戻ってしまう。

・・・という具合に堂々巡りが続いてしまう。


もうひとつ、咲太にとっての問題は、咲太以外の人たちは、別に透子によって改変された世界を不都合だとは思っていないこと。

むしろ双葉のように、佑真と恋人でいられるこの世界のほうがいいと積極的に改変を拒む人もいる。

にしても、この理由で、咲太が双葉の助力を期待できないのは痛い。

まぁ、だから代わりに翔子ちゃんが、今回、咲太の相棒役になれるわけだけど。

ほんと、どうするのだろう?

いくつかヒントになりそうなのは、まず、美織が、今のスマフォを持たない咲太に出会ってから、世界改変を経験していない、ということ。

となると、この咲太には何らかの抑止力が伴っているはずで。

まぁ、それが次巻のタイトルにある「ディアフレンド」、つまり「友達」になるということなのだろうけどね。

友だちになることは、きっかけなのか、結果なのか、という問題はあるけれど。

もう一つのヒントは、赤城との連絡が途絶えていること。

別世界通信ができるw赤城がいることが、霧島透子の維持に不都合だと感じられるからなのかもしれないけど。

でもそうなると、赤城との交信回復が一つの鍵になるのかもしれない。

三つ目は、かえでと花楓が共存していることの意味。

世界改変が個々人の夢=願望に基づいているとしたら、少しずつ融通を付けて、玉虫色の世界に調整可能かもしれない。

で、最後に、未だに謎のランドセルガールの麻衣。

以前に咲太が別世界に渡った時、ランドセルガール麻衣は、どうやら咲太の「界渡り」を導いてくれたので、またなんかしてくれるのかもしれないw(テキトーw)

あとは、翔子ちゃんの未来視?みたいな力もあるのだろうけど、思春期症候群が解消された今、それはないのだろうな。

まぁ、なんにしても2ヶ月後の「ディアフレンド」を待てば正解はわかるんだけどね。

でもとにかく、咲太は、どうやって誰も傷つけない世界線を引き寄せるのか?

なんか、それにしても、ひとりで全部できるとは思わずに、少しずつ他人に任せればいい、というような世渡りの知恵で解決らしき終幕をもって終わりそうな気もするけどw

ということで、とりあえず読後直後の感想はこれくらいに。

もう少し考えてまた書くかも。

しかし、ここはもう、翔子ちゃんしかいないじゃん!って思ったところで、ホントに翔子ちゃんが現れたときは、ものすごいヒーロー感があったな。

咲太さんとはやっぱり運命で結ばれている、

というのも、ホントにそうだね、って思ったよw

ただ、最終章の前半で翔子ちゃんが出張ってきたということは、後半は麻衣が巻き返してくるのだろうなw

ただそれとは別に、咲太は美織と友だちになる、というのが最終巻の山場になるのだろうけど。

さてさて、どんな終りを迎えるのだろうね、青ブタ最終巻は!


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青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない 感想: で、霧島透子って、結局誰なの? もう麻衣か美織しか候補は残ってないじゃんw

2023-07-08 17:29:14 | 青ブタ
前巻の『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』からほぼ半年後に、本巻『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』が刊行されるという奇跡w

しかし、真夏を迎える7月にサンタクロースとは、作者、絶対狙ってるよねw

赤城がもう一つの世界から警告してきた危機から、はたして咲太は麻衣さんを救うことができるのか?

とりあえず、スペース、空けときます。



























で、本巻を読み終わった後の第一声は、

なんだよ、これ、振り出しに戻っちゃっただけじゃないか?

というもの。

もっと本音を言えば、思い切り肩透かしを食らわされた、というもの。

だって、前巻で明らかにされた、霧島透子の正体は岩見沢寧々というのが、盛大なミスディレクションだったからw

正解は、
霧島透子が岩見沢寧々である、
ではなく、
岩見沢寧々が霧島透子(のひとり)である、
だった。

寧々はあくまでも多くの自称・霧島透子のうちのひとりでしかなかった。

サンタクロースのコスは、霧島透子になりきるための指標でしかなかった。

つまり、霧島透子の属性として明かされていたのが、サンタクロース全般への嗜好だけだった、ということ。

なので、「霧島透子」を騙るなら、サンタコスをすればいい、という安易な対応をした人が、寧々の他にも数多くいた。

そして、そのサンタ軍団wから麻衣を救ったのが咲太だった、というオチ。

これじゃ、マジで、ただの肩透かしだよねw

しかも、その寧々の恋人が、咲太の大学での知り合いの福山拓海だった、というのだから、そりゃ、さすがに安直過ぎない?って思うよね。

今回、霧島透子の真相が明かされる、と思っていたら、こんな感じなんだものw

結局、霧島透子の正体はわからずじまい。

でも、麻衣の危機は引き続き継続中で、咲太の心労は絶えない。。。


・・・にもかかわらず、次巻以降、青ブタは最終章に突入すると、作者あとがきにあった。

いま、次巻以降、って書いたけど、ぶっちゃけ、次巻が最終巻になってもおかしくはない。

なにしろ、冬には『ランドセルガール』の劇場版が控えているからね。

多分、そのタイミングで、次巻が刊行されるのだろうな、と思うじゃない。

となると、もう霧島透子の正体って、当初から疑問視されていた桜島麻衣か、あとは、大学編で登場していまだメインをはってない美東美織しか、候補が残っていないw


実際、本巻で美織は、咲太の他に寧々の姿が見えるため、咲太の相談役を務めるという活躍ぶりを示していた。

ただ、なぜ、美織も寧々が見えたのか、という謎は解明されずじまいで終わった。

普通に考えて、咲太並みの思春期症候群の経験をしたからなのか、あるいは、単純にスマフォを使っていないからなのか。

いずれにせよ、そのあたりの美織の過去を明らかにするのが次巻のポイントなんだろうね。

となると、牧之原翔子編の最後のように、最終章は、前後編扱いで2巻に分かれるのかも。

で、最初の方が、美織の話で、最後になるのが、麻衣さんの話、というか、「ランドセルガール」の話になるのかな。

個人的には、『ランドセルガール』の頃から書いてきたように、大学生編のラスボスは、翔子に嫉妬した麻衣が引き起こした事件だと思っているのだけどね。

ランドセルガールも霧島透子も麻衣が生み出した存在。

ただ、そう推測するのは簡単だけど、それがどういう理由で生じているか、だよね。

そこで、青ブタっぽい、量子物理学がらみのウルトラCなトンデモ解決が図られるのだろうけど。

問題は、麻衣がすでに思春期症候群を発症してそこから解放されていることなんだよね。

となると、思春期症候群以外の理由を考えないといけない。

もちろん、思春期症候群は一回で完治するわけではない、となれば簡単なんだけど。

もうちょっと複雑な気がする。

で、鍵を握るのは、あいかわらず「#夢見る」。

ヒントになりそうなのが、今回、郁美が言っていた「未来ではなく可能世界である」というものね。

皆が見ているのは「夢」と言う名の「可能世界」である。

これ、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で言ってた理屈そのものだけどね。

本巻の冒頭でも、未来の麻衣のコンサートで、別世界の、スマホを使う咲太と郁美がこの世界の咲太と郁美に警告をしていたわけだし。

ていうか、別世界の郁美を出している時点で、可能世界は存在するのが当たり前の世界になっているし。

となると、霧島透子の正体についても、こうした可能世界からなる舞台設定の影響をきっと無視できないのだろうな、

マルチバースってやつねw

咲太の界渡りも、マルチバース間の移動なのは間違いないし。

そうなると、存在の確定しない霧島透子は、他世界の麻衣の影、という可能性もある。

なにしろ、翔子ちゃんの「未来視」でも補足できなかったのが霧島透子だからね。

多分、マルチバース的には、別の世界線にある可能世界からの介入、ってことなんだろうな、霧島透子は。。。

あとは、本巻の自称霧島透子でサンタコスした人たちは、大なり小なり、桜島麻衣の存在によって、自分の承認欲求を満たす回路が絶たれた人たちだったようだから。

その点で、霧島透子って、「アンチ桜島麻衣」の集合意志みたいなものなのかなー。
うーん、全然違うかも、だけどw

結局、実存の危機に瀕すると人は思春期症候群を発症する、というのが、本作の公理だしね。

そこに、美東美織がどう絡むかだよなぁ。

彼女がスマフォを捨てた理由、が鍵なのかなぁ。。。


ちょっとまだ書き足りてないことはあるのだけど、ひとまず、ここで終わりにして、また思いついたり、整理できたりしたら書くつもり。

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青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない 感想: やっぱり、霧島透子の誕生を含めて、桜島麻衣が大学編の全ての元凶なのではないか?

2022-12-13 11:19:29 | 青ブタ
実に2年ぶりの新刊。

あまりに時間が経ちすぎて、これまでの内容を綺麗さっぱり忘れていたw

なので、いつものように「前巻で・・・」というリードはなしで、いきなり感想ということで。

一応、スペース空けときます。








































実は「2年ぶり」というのも本巻を手に取ってから気づいたことで、てっきり1年ぶりだと思っていたので、本気でびっくり。

もっとも、だからといって前巻を読み直す、なんて殊勝なことはせずに、いきなり読み始めてしまったのだけど。

予想を超えて一気に読めてしまった。

いつもどおり、舞台設定があらかた終わった100頁過ぎる辺りからはあっという間。

気になっていた前巻までの内容についても、なんとなく触れる記述がいくつかあって、あー、そういえばそんなことあったなぁ、って思い出しながら、最後まで。

このリーダビリティの高さは凄いと思う。

実は、『メイジアン・カンパニー』の5巻も、発売後あまり時間を開けずに読未把持得ていたのだけど、こちらは一向に読み進めずにいるのに、青ブタはスルスルと読めてしまった。

まぁ、やっていることは、咲太がその巻のヒロインの思春期症候群を治す、という基本プロットの反復なので、当然といえば当然なのだが。

あとは途中、藤沢や江ノ島や鎌倉や逗子や金沢八景や横浜や・・・といった街の様子がちゃんと描写されて落ち着く、というのもあるからなのだけど。

これはラノベであって、なろうではない、って強く感じたw


それで、今回のヒロインは、咲太の塾の教え子で、咲太の高校の後輩でもある姫路紗良。

ただ、当たり前だけど、桜島麻衣という完璧ヒロインをすでに社会公認wの恋人にしている咲太が紗良を一人の女性としてみるわけもなくw

紗良の役割は古賀朋絵と同じ後輩枠の末の妹みたいな位置づけだった。

そもそも紗良の思春期症候群じたい、発症の経緯は朋絵のケースと似ていたしw

そのあたりは咲太も手慣れたもの。

なので、結果から見れば、紗良の役割は、いよいよ霧島透子が表舞台にあがる次巻に向けたムード作り、ってところかな。

そもそも紗良の目論見は、麻衣さんが完膚なきまで粉砕したしw

ただ、次巻以降の展開を考えた時、というか、『ランドセルガール』から始まった新章の流れを考えた時、むしろ、この麻衣さん無双のほうが書きたかったことなんだろうな、と思っていたりする。

それは前から(といってもそれも読みながら途中で思い出したのだけど)考えていたように、『ランドセルガール』以後の物語が、基本的に、それまでの牧之原翔子編の物語に対して著しく嫉妬した麻衣さんが生み出した世界の話だと思っているからで。

なので、あいかわらず、この大学生編は限りなくデカくて長い「夢」だと思っているのだけどw

でも、まぁそれは置いておいてw

今回、麻衣さんが強行した、いわば霧島透子の曲が誘う「#夢見る」による集団予知夢の粉砕、ということ自体が、今回の本当の事件だったと思うんだよね。

つまり、咲太が今いる世界そのものの成り立ちにおいて「桜島麻衣vs霧島透子」の対立がある。

ほとんど二律背反というか。

実際、本巻でどうやら霧島透子の正体が判明したし。

霧島透子の本名は岩見沢寧で、北海道出身の咲太たちの大学の2年先輩。

ね、「岩見沢(市)/北海道 vs 桜島/鹿児島」って、いかにも対立項っぽいじゃんない?

しかも、この霧島透子/岩見沢寧々は、昨年の、ということは、咲太と麻衣さんが入学する前年の大学ミスコンだったという。

となると、これ、単純に、今回の紗良と同じように麻衣に対する嫉妬としか考えられないのだけれど。

だって、麻衣が入学する前までは、岩見沢寧々が大学一の人気者の美人さんだったってことでしょ?

それが、麻衣が入学してきたことでナンバーワンの座は無条件で麻衣に決まってしまった。

で、それに対する挫折が寧々の姿を消してしまう、という思春期?症候群を発症させてしまったのではないか?

なので、岩見沢寧々からすると、霧島透子名義でのヒット曲のネット提供は、体の良い、桜島麻衣に対する意趣返しだと思うのだよね。

だって、わざわざ桜島麻衣の声を真似てまで歌っているのだから。

姿が見えなくても声なら似せることができるから。

というか、もともと、桜島麻衣をもとにして(憧れて?)、桜島麻衣似の美人キャラを演じていたのかもしれない、寧々がね。

その特性も含めて、霧島透子を麻衣と誤認させることで一矢報いたつもりでいた・・・とか?

次巻では再び、桜島麻衣が消失しそうだし。


・・・と最初は思っていたのだけど、よくよく考えると、実は寧々の嫉妬の対象が麻衣だったというのはミスリードで、本当の嫉妬対象は、日常的にナチュラル美人の美東美織だった、というオチではないかと思っていたりして。

その場合、むしろ、岩見沢寧々は、桜島麻衣という、いかにも自分と対になるような名前の国民的美少女に、勝手に運命を感じてしまっていたのかもしれない。

そういう意味では、桜島麻衣の究極の追っかけが岩見沢寧々。

だから、霧島透子のミニスカサンタの姿は、麻衣ラブの咲太にしか見えない。

そもそもミニスカサンタの姿すら、麻衣の真似だったのかもしれない。


ともあれ、岩見沢寧々が一連の事件の原因になってしまうとシリーズ的には困ってしまうと思っている。

だって、それだと『ランドセルガール』の麻衣の話につながらないから。

そもそも、霧島透子の本名が岩見沢寧々だというバレがない間は、『ランドセルガール』で始まった新章としては、霧島透子の正体は桜島麻衣に違いない!という思い込みで読ませることができるから。

でも、実は違った、ということなら、じゃあ、あの桜島麻衣の小学生版のランドセルガールは誰? というか何?、ということになる。

ランドセルガールはやっぱり、麻衣の潜在意識が生み出した、牧之原翔子に対する嫉妬の顕在化なんじゃないか、と。

まぁ、最悪のメタネタは、岩見沢寧々が、前回の赤城郁実のように別の世界からやってきた麻衣さんの生まれ変わりとかで、寧々が元いた世界では、この「青ブタシリーズ」が、普通にラノベとして売られていた世界だった、とかなんだけどw

さすがにそれはないと思うけどw

ただ、『ランドセルガール』の物語で、咲太は、平行世界の自分と入れ替わるという一種の「界渡り」を実現してしまったわけで、その触媒に当たるのがランドセルガールだったんだよね。

あの咲太の能力(というか思春期症候群)とランドセルガールは絶対関わっているので、となると、そもそも『ランドセルガール』以後の話は全部、咲太とランドセルガールで生み出した世界だった、というのも可能で。

気になるのは、ランドセルガールが頑なに咲太のことを「おじさん」と呼んでいたことで、これは、実は本当にそうだったんじゃないの?と思ったり。

つまり、未来の咲太と麻衣の娘が過去の咲太の前に現れた、という展開w

ただそうなると、牧之原翔子が言っていた「霧島透子のいる未来は知らない」という事実と同整合性がつくのか、がいまだに謎なのだけど。

そういう意味では、満を持して、翔子ちゃんが帰ってくる、というのもあるのかも。

ということで、続きがとても気になる。


あとがきを見ると、次作タイトルは『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』となっていて、あ、このタイトルだと続きは1年後?とか思ってしまったのだけど、どうなのだろう?

気分的には冬の間なら「サンタクロースの稼働期間」認定としてギリギリOKなので、春先くらいに『サンタクロース』が出てくれるといいのだけど。

さすがに2年も時間があくと、流れを忘れちゃうんだよね。

本当は『ランドセルガール』のあたりからまとめて読み直す必要があると思うのだけど、それも億劫なんだよなぁ。

なにしろ、咲太にかかわるヒロインたちが、麻衣さんの存在がある以上、どの人をとってももはや第2列の人たちにすぎないので。

ただ、霧島透子だけはもしかしたら正ヒロインの桜島麻衣に並ぶ存在なのではないかと思ったりしていて。

だから、次巻では、いきなり、岩見沢寧々が咲太の恋人になっていて、麻衣が消失した世界として始まるのではないかと思っているのだけどw

だって、次巻は、本巻の最後で皆が見た「#夢見る」で描かれた12月25日から始まるはずだから。

そこでは、桜島麻衣が消えて、岩見沢寧々が麻衣のいた場所を占めている世界になっているはずだから。

ただ、『麻衣さんが危ない』という表現は、本巻でも何度か冗談で言われていた「麻衣自身が危険要因である」という解釈の要素もあると思うのだよね。

その意味で、やっぱりラスボスは桜島麻衣その人ではないかと思ったりw


ということで、早めに『サンタクロース』を出してくださいね!

ていうかさ、「XXXの夢を見ない」というタイトルを付けたシリーズで、「#夢見る」なんてものが出てきたら、そもそもこのシリーズそのものが、咲太の見た夢だった、という十数巻に渡る壮大な「夢オチ」の危険性が常にあるのだと思っていてw

そういう意味でも『サンタクロース』のオチが今からとても気になっているのです!



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青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない 感想: 終わってみれば、次巻に続く長い序章だった!・・・ハズ!

2020-12-15 19:45:44 | 青ブタ
前巻の最後に咲太の前に現れたミニスカサンタ姿の霧島透子。

果たして彼女は味方なのか、敵なのか、はたまた、ただの道化なのか?

だんだんなにをしているのかわからなくなりつつある咲太の大学生活はどうなるのか?

ということでスペース、空けときます。





































とりあえず、今回の話のポイントは、終わってみれば、本巻は次巻のためのプロローグであり、そのための道具たてを用意するものくらいでしかなったことね。

ヒロインは、咲太の暗黒史たる中学時代の同級生で、いままた同じ大学に通うことになった赤城郁実。

お前は衛宮士郎かよ!、と思わずツッコまずにはいられないような正義ウーマンである赤城が抱えた傷は、中学のときに咲太が起こした「思春期症候群」事件に同級生としてなんの対処もできなかったことへの苦悩が生み出したもの。

つまり、中学時代の咲太の思春期症候群事件で傷ついたのは、当事者である咲太だけでなく、彼の同級生たちもそうだった、という、ちょっとなんとも言えない話。

当然、咲太からすればかつてのクラスメイトたちは簡単に許せる存在ではないわけだが、だがその中でただ一人苦悩し続けた赤城だけはなんとか救おうとする話。

実際、そういうオチで、赤城以外には容赦ないのは、いつもどおりの咲太クオリティw

で、赤城がかかった思春期症候群は、異世界線上の自分と入れ替わる、というものだったわけだけど、結局、最後に、それが消えるわけではなく、むしろ、その症状は、今後も理異様されることがほぼ決定しているw


赤城郁実の話はややこしいが、ちょっとここで、一度整理しておくと。

多分、牧之原翔子編から霧島透子編になって変わったことは、まず、

牧ノ原翔子編における量子力学の原理は、同一物理世界内における変化であったこと。

そこでは、一応、過去や未来との行き来もあったけど、それも同一物理世界内、いわゆる、同じ「世界線」の中で行われていた。

つまり、思春期症候群は、同一世界線上のものに限られていた。

けれども、牧ノ原翔子編の最後で、咲太と麻衣が、自分たちも生きることができて、かつ、翔子ちゃんも(咲太と麻衣から以外の心臓移植を受けて)生き残ることができる世界を見つけることができたことで、つまり異なる世界線へと移ることになるわけど、その際、利用される量子力学の原理は、いわゆる並行世界理論にまで、つまり「エヴェレットの多世界解釈」理論までになり、平行世界が普通に登場する世界に変わった。

ただし、その際に物語構成上アクロバティックだったのは、咲太と麻衣が翔子を再会することで、三人ともが、自分たちが不幸になるしかなかった世界のことを、あたかも同じ夢を見ていたかのように思い出したこと。

つまり、咲太、麻衣、翔子の三人だけは、平行世界の経験を記憶として引き継いだまま、今いる世界での生活を続けている。

加えて、その副作用として、この結末がきっかけになったのか、以後に続く霧島透子編では、咲太をはじめに、他の世界線へと跳躍することが可能になった。

その際の導き手は、咲太の目には、麻衣に似た「ランドセルガール」。

と同時に、翔子ちゃんが、かつての世界線から引き継いだ記憶――それには彼女の「思春期症候群」で見た、その世界線上での多分岐した未来のすべての記憶を含む――にはなかった「霧島透子」なる存在が登場する。

この人物は、SNSを通じてミュージシャンとして存在し、どうやら、SNS上に頒布する楽曲を通じて、狙った人物に「思春期症候群」を発症させる能力をもっている。

もっとも、これは霧島透子の自己申告に過ぎないので、真偽の程は定かではない。

霧島透子は、今の所、咲太の目にしか映らず、現れるときに20歳くらいの姿でミニスカサンタの格好で現われるという不届き者w

しかも、霧島透子が現れたあとには麻衣が現れることが多く、だが、麻衣が現れた途端、霧島透子は消えてしまうので、いまだに麻衣と霧島透子がはちあったことはない。


普通に考えれば、咲太との関わりを考えれば、麻衣、霧島透子、ランドセルガールが、それぞれの世界線上での「桜島麻衣」なる存在、すなわち「桜島麻衣」の同位体である可能性は高い。

となると、今回の最後に、異世界線上の咲太が警告してきた「霧島透子を探せ、麻衣が危ない」というメッセージは、麻衣と霧島透子が出会うと対消滅してしまう可能性がある、ということなのかもしれない。

しかし、今回、最後に笑ってしまったのは、いまだに思春期症候群が完治していないことをいいことに、赤城郁実の身体がまるで「異世界通信ボード」の様になってしまったことw

これは次巻でも間違いなく、咲太はもう一つの世界の咲太と、郁実の身体を使って連絡し合うようになるのだろうなw

いや、笑うしかないのだけど。

でも、まさか、今後のそんな役割のために、郁実が今回のヒロインになったとは思っていなかった。

作者、結構容赦ないなw てか、絶対、キャラで遊んでるよねw

ということで、次回は、

走れ!咲太!世界線を越えて麻衣を救え!

ということになりそうw


・・・ということで、一旦ここで終わりにしておく。

実は、読み終わったばかりでは、まだちょっと頭が整理しきれていないので。

細かいところで、過去の話とも関わっていることは間違いないので、そのあたりも見直してから、気づいたことがあれば、改めて書こうと思っている。

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青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない 感想: 霧島透子とは誰なのか? いや、何なのか?

2020-02-10 10:52:42 | 青ブタ
待ちに待った青ブタの新刊。

前巻の最後で、大学に進学した咲太。
でも、その時の感想にも書いたように、本当に「大学編」は始まるのか?
それが一番の疑問なのだけど・・・。

ともあれ、まずはスペース、空けときます。

































で、一応、大学編は始まった。

キャンパスは金沢八景にある、というから、これ、ほぼ実在の横浜市立大学(横市)が舞台。

咲太が通う「統計科学学部」も、名前こそ違え、「データサイエンス学部」というのが、実際に横市にはあるし(2018年の新設)。

ちなみに、この統計科学学部には、それなりに今後の展開を予感させるところがあるのだけど、それはまたあとで。

ともあれ、横市を新たな舞台に作者が選んだのは、神奈川県の名所として、江ノ島に続くものとしたらどこか?って考えて、あ、八景島があるじゃん? なら金沢八景の横市だ!、ってな発想で選ばれたのだろうね。

横浜といっても、金沢八景は、また独特の鄙びた感じがあるから。

作者は、どうしてもこの咲太の物語を湘南の香りとともに綴りたい、という思い入れがあるのだろうな。

実際、今回、咲太は、今回のヒロインである「ずっきー」こと卯月とともに、三崎まで電車で遠出して、そのままサイクリング・デートをしていたくらいだから。

確かに、三崎港の魚って美味いよね!、みたいな感じで。

なので、大学編を始めたかったことは、よくわかる。

・・・といっても、まだ、この大学編はほんとに大学編なのか?とも思っているけれど。それもまたあとで。


加えて、これも本巻を読むとわかるけど、まどかやずっきーを、咲太と日常的に出会う機会があるようにしたいから、みな、大学生にした、というのもあるのだろうな。

これは、作中でも説明されていたけど、大学は、高校と違って、固定された「学級」や「教室」があるわけではないから、その分、作中人物の出入りが自由にできる。

少なくとも、大学キャンパスが舞台でなければ、今回のように、咲太がずっきーと日常的に話す、なんてことは書けなかっただろうから。

しかも、進学ということで、いきなり距離を詰めることができる。

なんたって、ずっきーは、咲太と同じ統計科学部だったわけだから。

もっとも、最後に、ずっきーは、入りたての大学をあっさり辞めてしまうのだけどね。

それも含めて、モラトリアムの感じは強い。

そして、それゆえ、「え? 思春期症候群って、高校で終わりじゃないの?」という素朴な疑問にも答えようとしている。

そう、自分が進むべき道を探している段階にまだあるなら、それはみなまだ思春期のなかにあるのだ、ということ。

だから、どうどうと、この物語は、大学において「思春期症候群」を扱おうとする。

もっとも、咲太ですら忘れていた「思春期症候群」を思い出させたのは、大学で新たに知り合った美東美織だったのだが。

そして、多分、この美東が次巻のヒロインなのだろうけどね。


ということで、本巻は、基本的に、「大学編」という名でとりあえず始まった新章の、まさにプロローグ的な物語だった。

だから、その巻で、ずっきーがヒロインだったのも、まぁ、当然といえば当然の展開。

正直、え、ずっきーって誰?、って最初、思っていたものね。

で、最後に彼女は、再び、咲太の日常からは消えてしまうのだから、ホント、つなぎに使われたキャラという感じは否めない。

もっといえば、最後の最後で、今後の物語の鍵を握る謎の人物?「霧島透子」を呼び出すための鍵でしかなかった、ってことで。

いや、ホント、最後にミニスカサンタの格好で「梓川くん」なんて、いかにも咲太をよく知っている風を装って、突如として登場するのだから、ずるいw


でも、この霧島透子の登場まで含めて、この大学生編って、単純に、のどかや、今回のヒロインとなる卯月を、咲太の日常世界に組み込むための舞台設定だった、ってことじゃないの?って思ってしまうのだよね。

だいたい、このシリーズにおいて「・・・の夢を見ない」っていうのは、要するに「・・・のような未来を求めない」ってことだから。

だから、相変わらず、いつか「本当の夢見人」が現れて、大学編の話が全部、その人がみた夢としての未来でした、というバレが来ても全然驚かない。

だいたい、思っていたとおり、声の感じから、霧島透子は桜島麻衣じゃないか説、すでに作中で登場してきているわけだしw

ミニスタサンタで現れるあたり、麻衣さんのバニーガール姿とかぶるところもあるし。

とはいえ、この霧島透子については、いまのところ、全然、情報がない。

いや正確には、前前巻の『お出かけシスターの夢を見ない』で、翔子ちゃんが少し触れているのだけど。

その時の話では、未来の記憶を全部持っている翔子ちゃんの記憶の中にも「霧島透子」という存在はまったくなかった、ということだった。

つまり、単純に考えて、いまある大学編は、牧之原翔子が夢見た、彼女の思春期症候群が得た「未来の束」からは外れているものであるということ。

そして、その鍵を握るのが、「霧島透子」という、なぞのシンガーだった、ということ。

まぁ、だから「迷えるシンガー」というタイトルを聞いたら、主人公はずっきーではなく霧島透子だと思ったのだけどね。

でも、それはミスリーディングでもあり、そうでもなかった。

結局、ずっきーは、霧島透子のナンバーをフィーチャーして、「空気が読める」自分になってしまったから。

そして、最後に登場した「ミニスタサンタの霧島透子さん・二十歳w」は、それが意図的であったことも明かしているから。

もっといえば、それは、どうやら、彼女の曲である“Social World”の歌詞に仕込まれていた暗示だったようだけど。

それは、本書の冒頭に引用された、歌詞を読めばわかるようになっている。

どこまでが「みんな」で、どこからが自分なのか?

LINEやインスタが横行しているSNSの現代では、この「自分」の境界線が曖昧になって、だから、ことさらに「空気を読む」よう同調され、その反動で「自分探し」にでかけてしまう、という展開。

まさにこの犠牲者が卯月だった。

でも彼女がそもそも、統計科学学部なんてところに進学したのは、この「みんな」の実態を統計科学を通じて理解することができるのではないかと思ったからみたいだし。

というか、それは、どうやら咲太がこの学部を志望した理由でもあったみたいだけどね。

でも、確かに、この方向性は面白くて。

なぜなら、ここまで「量子もつれ」のような量子力学の考え方が思春期症候群の根幹にあると説明してきたこのシリーズからすると、もともと量子力学の誕生の前には統計力学があった、という科学史の史実があるから。

そして、統計力学で説明できない現象が、量子力学を生み出すきっかけになったから。

その史実からすれば、咲太は、今後、統計科学の観点から、理央に頼るのではなく、自力で「思春期症候群」の発生理由に迫っていくように思えるから。

要するに、統計科学の臨界点に量子力学的な思春期症候群が生まれる、という発見。

そういう意味では、今回の卯月は、そのテストケースの第1弾だったことになる。

霧島透子いうところのSNSで満たされた「ソーシャル・ワールド」を通じて、自己の変革を強いられたのだから。

そういう意味では、この「ソーシャル・ワールド」そのものが、一緒の巨大な思春期症候群生成装置であり、そのシステムデザインを行ったのが霧島透子である、ということになる。


で、そこで嫌でも気になるのが、この霧島透子なのだけど。

でも、この霧島透子って、物語の扉裏にその歌詞が引用されているのを見ると、明らかにこれ、上遠野浩平のブギーポップシリーズに出てくる「霧間誠一」へのオマージュだよね?

ついでに、霧島透子という名前のほうは「水乃星透子」すなわちイマジネーター。

だったら、もう、この霧島透子が、この大学生編を「イマジン」していることは、物語の冒頭に明記されているようなものだと思ってきた。

そして、その霧島透子を生み出した存在が、前にも書いたように、牧之原翔子に嫉妬した桜島麻衣である、というのが、いまのところの推測。

そして、その霧島透子の一種の手先のような存在が赤城郁実。

なぜなら、赤城の「意識高い系」の呼びかけを見て、卯月は、自分の空気を読まない発言がいままで「みんな」の嘲笑の対象になっていたことを悟ってしまったから。

いわば、郁実は、透子の実行部隊。

とうのも、どうやら霧島透子は、咲太にしか見えない存在であるようだから。

だから、透子と郁実の関係は、アドミニストレータとカーディナルのような存在なのかもしれない・・・とも思うのだけど、まぁ、それは次回以降だよね。

ともあれ、霧島透子が今後の物語のゲーム盤を握っているのは間違いなくて、それは、ブギーポップの「霧間誠一」と「水乃星透子」の合体したような名前からも明らか、というのが、今回、最後に感じたことかな。


そういうことで、ようやくエンジンがかかり始めた「大学編」(という誰かの夢の世界w)、次巻も楽しみだ。

新登場の美東美織は、はたしてどういう役割を果たしていくのだろう?

麻衣さんの存在ゆえに、当初から霞んでしまう美織だけど、でも、それは、仕事柄、咲太を常時ベタベタできない麻衣さんの代わりを務めることになるのかな?

でも美織すら、麻衣さん=霧島透子がつくったテリトリー内における、咲太番のようにも見えるからなぁ。

なんか、すべてが霧島透子の手のひらの上にあるようで。

それはいうまでもなく桜島麻衣の手のひらの上であるようしか思えない。

ちょうど、まどマギの映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』の世界が、ほむらが夢見たせかいであったように。

だから、やっぱり、この「大学編」の解決の鍵を握るのは、咲太と理央に加えて牧之原翔子だと思うのだけど。

でも、それはきっとまだ、4-5巻くらい先のことなのだろうなぁ。

とまれ、次巻が楽しみ。

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