(感想1もあります)
感想1では、最終巻、ちゃんときれいに着地できてよかったね、というトーンで書いたけど(実際、読後はそんな感じだった)。
でも、一晩過ぎて、頭がスッキリしたところで振り返ると、やっぱり、うーん、「ここは・・・」というところがいくつか浮かんでくる。
特に、本巻がシリーズ最終巻であることを考えると、あれ、ちょっと?と思うところも少なくなくて、そこをいくつか、忘れないうちに書いておきたい。
ひとつは、とにかく、シリーズ最終巻なのに、麻衣の活躍がなかったこと。
それは最終巻の表紙が美東美織だから仕方がないところでもあるのだが、それにしても麻衣の出番がなさすぎた。
あれ、麻衣って、一応、メインヒロインだよね? ・・・ ここが一晩明けて、一番疑問に思ったところ。
それから、咲太が「大人」になれば、思春期症候群の囚われから解放される、というのは、この大学編の話の解決策としては、やっぱり、あまりに陳腐で安易だと感じたこと。
その意味では、「子どもの頃は天井のシミがお化けに見えた」という説明は、それこそ子供だましすぎて、どうなの? それで納得していいの?と思わずにはいられない。
少なくとも、量子力学や可能世界論まで引っ張ってきて、もっともらしくSFしてたシリーズのオチとしては、え?そんなんでいいの?と思ってしまうくらい、率直に言って「残念」な解決策。
このオチのための、麻衣のアドバイスがただ「咲太、大人になりなさい」ということに落ち着いたのもガッカリ。
これも含めて、ホント、最終巻の麻衣の扱いはひどい。
これまでのシリーズの流れからすれば、麻衣は自分が早くから役者をやってたせいで、妙に世間ずれしていることを心のなかでは悔いていて(なぜならまともな青春を送れなかったから)、むしろ咲太に対しては、咲太が大人と子どもの気持ちの双方に気づくことができる繊細さの持ち主であることに惹かれていた、
そんなふうに麻衣の心情については思っていたので、正直、今回の麻衣の言動には違和感を覚えるところが多かった。
だって、思春期症候群についてデリケートに対処できる繊細さが、麻衣にとっても咲太の魅力だったんじゃないの?って。
その流れでいえば、咲太が教師になるのも安易すぎ。
むしろ、せっかくデータサイエンスを大学で学んだのだから、思春期症候群の対処の経験を活かして、IT企業の心理カウンセリング部門とかに進む、とかでも良かったと思うけど。
その方が、将来、美東美織と再会できる機会も増えそうな気がするし。
ていうか、「主人公が職業として高校教師を選択する」というオチは、『響け!ユーフォニウム』とかもそうだけど、ラノベではありがちな結末で、それだけで萎える。
これって結局、ラノベ作者の社会経験として、大きな企業で働いたことがないという事実から来る安易な選択でしかないと思うのだよね。
それをいったら、麻衣が女優というのも、なんとなく芸能界のことは知ってるし、編集者経由でマスコミのことは取材できるから・・・みたいな、これも安易な方法で。
いや、一応、最後の、「教育実習」のところは、咲太が、高3に進級した翔子ちゃんと、つまりは、物語の一番最初に登場した「翔子さん」になった姿を自然に見せるためだけの、いわばサービスタイムのためイベントだっただけだと思うので、そのまま咲太が教師にならなくてもいいんだけどねw
ちょっと脱線すると、これも含めて、最終章は、麻衣よりも翔子ちゃんの存在感がすごくて、もうこのまま、咲太を奪っちゃえよ!と思わせられたw
翔子ちゃん、どんだけ作者に愛されてるんだよ!ってねw
実際、咲太がどういう思いでどういう行動を取るのか、そのあたりの咲太の心理の機微を理解しているのは、麻衣よりも翔子ちゃんなんだよね。
まぁ、それは、咲太の行動原理の基礎となる教えをしたのが「翔子さん」だったりするから、ある意味、完全に咲太が調教された結果でもあるわけだけど。
でも、人の痛みを我がことのように感じる咲太の美徳は、かえでの件で憔悴していた咲太だからこそ養えたものだとは思うので、翔子さんはそのきっかけを与えただけでもある。
で、その点で、麻衣は、絶対的に、翔子さんには勝てない、だから、麻衣はずっと焦っていたわけでw
いきなり婚姻届に麻衣が執着し始めたのもそういうことでしょ?
なので、そんな麻衣が咲太に対して「大人になれ」は、ちょっと違うかなぁ、って。
で、こうした咲太をめぐる「麻衣vs翔子」の対決構図の間に割って入ったのが、美東美織だったと思うので。
将来的に美東美織を含めた三角関係があと10年くらいは続くといいなとw
なんていうか、美東美織って、その可能世界に対する特異体質wから、「観測者」という同じく特異体質の咲太と同類なので、その同類としてのつながりはどこまで行っても消えないと思っている。
ちょうど、阿良々木暦と忍野忍が、吸血鬼の眷属という血の繋がりから逃れられないように。
ある意味、咲太と美織の出会いは「運命」なんだよね。
出会うべくして出会った二人、という感じで。
だからこそ「ディアフレンド」と表現されたはずで。
こうした、麻衣、翔子、美織の関係が、中途半端なままで終わったのは、素直に残念。
美織については、赤城みたいに、むしろ霧島透子の事件のあとでこそ活躍すると思えるだけに、惜しい。
でもまぁ、だからといって、後日談は特にいらないかな。
少なくとも、各キャラのその後を描く「アフターストーリー」なら不要。
青ブタが面白かったのは、あくまでも思春期症候群があったからで。
その発症理由が微妙に量子力学してたから興味深かったわけで。
そういうSF的建付けを取っ払って、ただのキャラ小説にするなら、いらないなぁ。
もしもやるなら、
帰ってきた美織と可能世界レスキューをする話とか、
女子大生になって時間ができた翔子ちゃんに引き回されて、探偵もどきの謎事件解決をしていく話とか、
そういうのならありだと思うけどw
そうそう、今回、物語の仕掛け上、理央が全く活躍できなかったので、理央を交えたサイエンスミステリーでもいいw
理央の場合は最初から恋愛感情が外れた友人なのもいい。
あ、でもそうか、「ディアフレンド」という点では、美織と理央はバッティングするのか?
そこはちょっと知恵の使い所だなw
可能世界レスキューに行く美織と咲太の、こちら側の世界での司令塔が理央、というならありかもw
なんかね、物語の関係上、もう思春期症候群は使えないから、それに代わるなにか「症候群」が流行って、その解決に向かう、とかでもいいかなw
せっかく赤城とキグルミグマ咲太も、向こうにはいるわけだしw
そういうちょっとコメディタッチのミステリーSFなら、続編として読んでもいいかもw
感想1では、最終巻、ちゃんときれいに着地できてよかったね、というトーンで書いたけど(実際、読後はそんな感じだった)。
でも、一晩過ぎて、頭がスッキリしたところで振り返ると、やっぱり、うーん、「ここは・・・」というところがいくつか浮かんでくる。
特に、本巻がシリーズ最終巻であることを考えると、あれ、ちょっと?と思うところも少なくなくて、そこをいくつか、忘れないうちに書いておきたい。
ひとつは、とにかく、シリーズ最終巻なのに、麻衣の活躍がなかったこと。
それは最終巻の表紙が美東美織だから仕方がないところでもあるのだが、それにしても麻衣の出番がなさすぎた。
あれ、麻衣って、一応、メインヒロインだよね? ・・・ ここが一晩明けて、一番疑問に思ったところ。
それから、咲太が「大人」になれば、思春期症候群の囚われから解放される、というのは、この大学編の話の解決策としては、やっぱり、あまりに陳腐で安易だと感じたこと。
その意味では、「子どもの頃は天井のシミがお化けに見えた」という説明は、それこそ子供だましすぎて、どうなの? それで納得していいの?と思わずにはいられない。
少なくとも、量子力学や可能世界論まで引っ張ってきて、もっともらしくSFしてたシリーズのオチとしては、え?そんなんでいいの?と思ってしまうくらい、率直に言って「残念」な解決策。
このオチのための、麻衣のアドバイスがただ「咲太、大人になりなさい」ということに落ち着いたのもガッカリ。
これも含めて、ホント、最終巻の麻衣の扱いはひどい。
これまでのシリーズの流れからすれば、麻衣は自分が早くから役者をやってたせいで、妙に世間ずれしていることを心のなかでは悔いていて(なぜならまともな青春を送れなかったから)、むしろ咲太に対しては、咲太が大人と子どもの気持ちの双方に気づくことができる繊細さの持ち主であることに惹かれていた、
そんなふうに麻衣の心情については思っていたので、正直、今回の麻衣の言動には違和感を覚えるところが多かった。
だって、思春期症候群についてデリケートに対処できる繊細さが、麻衣にとっても咲太の魅力だったんじゃないの?って。
その流れでいえば、咲太が教師になるのも安易すぎ。
むしろ、せっかくデータサイエンスを大学で学んだのだから、思春期症候群の対処の経験を活かして、IT企業の心理カウンセリング部門とかに進む、とかでも良かったと思うけど。
その方が、将来、美東美織と再会できる機会も増えそうな気がするし。
ていうか、「主人公が職業として高校教師を選択する」というオチは、『響け!ユーフォニウム』とかもそうだけど、ラノベではありがちな結末で、それだけで萎える。
これって結局、ラノベ作者の社会経験として、大きな企業で働いたことがないという事実から来る安易な選択でしかないと思うのだよね。
それをいったら、麻衣が女優というのも、なんとなく芸能界のことは知ってるし、編集者経由でマスコミのことは取材できるから・・・みたいな、これも安易な方法で。
いや、一応、最後の、「教育実習」のところは、咲太が、高3に進級した翔子ちゃんと、つまりは、物語の一番最初に登場した「翔子さん」になった姿を自然に見せるためだけの、いわばサービスタイムのためイベントだっただけだと思うので、そのまま咲太が教師にならなくてもいいんだけどねw
ちょっと脱線すると、これも含めて、最終章は、麻衣よりも翔子ちゃんの存在感がすごくて、もうこのまま、咲太を奪っちゃえよ!と思わせられたw
翔子ちゃん、どんだけ作者に愛されてるんだよ!ってねw
実際、咲太がどういう思いでどういう行動を取るのか、そのあたりの咲太の心理の機微を理解しているのは、麻衣よりも翔子ちゃんなんだよね。
まぁ、それは、咲太の行動原理の基礎となる教えをしたのが「翔子さん」だったりするから、ある意味、完全に咲太が調教された結果でもあるわけだけど。
でも、人の痛みを我がことのように感じる咲太の美徳は、かえでの件で憔悴していた咲太だからこそ養えたものだとは思うので、翔子さんはそのきっかけを与えただけでもある。
で、その点で、麻衣は、絶対的に、翔子さんには勝てない、だから、麻衣はずっと焦っていたわけでw
いきなり婚姻届に麻衣が執着し始めたのもそういうことでしょ?
なので、そんな麻衣が咲太に対して「大人になれ」は、ちょっと違うかなぁ、って。
で、こうした咲太をめぐる「麻衣vs翔子」の対決構図の間に割って入ったのが、美東美織だったと思うので。
将来的に美東美織を含めた三角関係があと10年くらいは続くといいなとw
なんていうか、美東美織って、その可能世界に対する特異体質wから、「観測者」という同じく特異体質の咲太と同類なので、その同類としてのつながりはどこまで行っても消えないと思っている。
ちょうど、阿良々木暦と忍野忍が、吸血鬼の眷属という血の繋がりから逃れられないように。
ある意味、咲太と美織の出会いは「運命」なんだよね。
出会うべくして出会った二人、という感じで。
だからこそ「ディアフレンド」と表現されたはずで。
こうした、麻衣、翔子、美織の関係が、中途半端なままで終わったのは、素直に残念。
美織については、赤城みたいに、むしろ霧島透子の事件のあとでこそ活躍すると思えるだけに、惜しい。
でもまぁ、だからといって、後日談は特にいらないかな。
少なくとも、各キャラのその後を描く「アフターストーリー」なら不要。
青ブタが面白かったのは、あくまでも思春期症候群があったからで。
その発症理由が微妙に量子力学してたから興味深かったわけで。
そういうSF的建付けを取っ払って、ただのキャラ小説にするなら、いらないなぁ。
もしもやるなら、
帰ってきた美織と可能世界レスキューをする話とか、
女子大生になって時間ができた翔子ちゃんに引き回されて、探偵もどきの謎事件解決をしていく話とか、
そういうのならありだと思うけどw
そうそう、今回、物語の仕掛け上、理央が全く活躍できなかったので、理央を交えたサイエンスミステリーでもいいw
理央の場合は最初から恋愛感情が外れた友人なのもいい。
あ、でもそうか、「ディアフレンド」という点では、美織と理央はバッティングするのか?
そこはちょっと知恵の使い所だなw
可能世界レスキューに行く美織と咲太の、こちら側の世界での司令塔が理央、というならありかもw
なんかね、物語の関係上、もう思春期症候群は使えないから、それに代わるなにか「症候群」が流行って、その解決に向かう、とかでもいいかなw
せっかく赤城とキグルミグマ咲太も、向こうにはいるわけだしw
そういうちょっとコメディタッチのミステリーSFなら、続編として読んでもいいかもw