BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない 感想: で、霧島透子って、結局誰なの? もう麻衣か美織しか候補は残ってないじゃんw

2023-07-08 17:29:14 | 青ブタ
前巻の『青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない』からほぼ半年後に、本巻『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』が刊行されるという奇跡w

しかし、真夏を迎える7月にサンタクロースとは、作者、絶対狙ってるよねw

赤城がもう一つの世界から警告してきた危機から、はたして咲太は麻衣さんを救うことができるのか?

とりあえず、スペース、空けときます。



























で、本巻を読み終わった後の第一声は、

なんだよ、これ、振り出しに戻っちゃっただけじゃないか?

というもの。

もっと本音を言えば、思い切り肩透かしを食らわされた、というもの。

だって、前巻で明らかにされた、霧島透子の正体は岩見沢寧々というのが、盛大なミスディレクションだったからw

正解は、
霧島透子が岩見沢寧々である、
ではなく、
岩見沢寧々が霧島透子(のひとり)である、
だった。

寧々はあくまでも多くの自称・霧島透子のうちのひとりでしかなかった。

サンタクロースのコスは、霧島透子になりきるための指標でしかなかった。

つまり、霧島透子の属性として明かされていたのが、サンタクロース全般への嗜好だけだった、ということ。

なので、「霧島透子」を騙るなら、サンタコスをすればいい、という安易な対応をした人が、寧々の他にも数多くいた。

そして、そのサンタ軍団wから麻衣を救ったのが咲太だった、というオチ。

これじゃ、マジで、ただの肩透かしだよねw

しかも、その寧々の恋人が、咲太の大学での知り合いの福山拓海だった、というのだから、そりゃ、さすがに安直過ぎない?って思うよね。

今回、霧島透子の真相が明かされる、と思っていたら、こんな感じなんだものw

結局、霧島透子の正体はわからずじまい。

でも、麻衣の危機は引き続き継続中で、咲太の心労は絶えない。。。


・・・にもかかわらず、次巻以降、青ブタは最終章に突入すると、作者あとがきにあった。

いま、次巻以降、って書いたけど、ぶっちゃけ、次巻が最終巻になってもおかしくはない。

なにしろ、冬には『ランドセルガール』の劇場版が控えているからね。

多分、そのタイミングで、次巻が刊行されるのだろうな、と思うじゃない。

となると、もう霧島透子の正体って、当初から疑問視されていた桜島麻衣か、あとは、大学編で登場していまだメインをはってない美東美織しか、候補が残っていないw


実際、本巻で美織は、咲太の他に寧々の姿が見えるため、咲太の相談役を務めるという活躍ぶりを示していた。

ただ、なぜ、美織も寧々が見えたのか、という謎は解明されずじまいで終わった。

普通に考えて、咲太並みの思春期症候群の経験をしたからなのか、あるいは、単純にスマフォを使っていないからなのか。

いずれにせよ、そのあたりの美織の過去を明らかにするのが次巻のポイントなんだろうね。

となると、牧之原翔子編の最後のように、最終章は、前後編扱いで2巻に分かれるのかも。

で、最初の方が、美織の話で、最後になるのが、麻衣さんの話、というか、「ランドセルガール」の話になるのかな。

個人的には、『ランドセルガール』の頃から書いてきたように、大学生編のラスボスは、翔子に嫉妬した麻衣が引き起こした事件だと思っているのだけどね。

ランドセルガールも霧島透子も麻衣が生み出した存在。

ただ、そう推測するのは簡単だけど、それがどういう理由で生じているか、だよね。

そこで、青ブタっぽい、量子物理学がらみのウルトラCなトンデモ解決が図られるのだろうけど。

問題は、麻衣がすでに思春期症候群を発症してそこから解放されていることなんだよね。

となると、思春期症候群以外の理由を考えないといけない。

もちろん、思春期症候群は一回で完治するわけではない、となれば簡単なんだけど。

もうちょっと複雑な気がする。

で、鍵を握るのは、あいかわらず「#夢見る」。

ヒントになりそうなのが、今回、郁美が言っていた「未来ではなく可能世界である」というものね。

皆が見ているのは「夢」と言う名の「可能世界」である。

これ、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で言ってた理屈そのものだけどね。

本巻の冒頭でも、未来の麻衣のコンサートで、別世界の、スマホを使う咲太と郁美がこの世界の咲太と郁美に警告をしていたわけだし。

ていうか、別世界の郁美を出している時点で、可能世界は存在するのが当たり前の世界になっているし。

となると、霧島透子の正体についても、こうした可能世界からなる舞台設定の影響をきっと無視できないのだろうな、

マルチバースってやつねw

咲太の界渡りも、マルチバース間の移動なのは間違いないし。

そうなると、存在の確定しない霧島透子は、他世界の麻衣の影、という可能性もある。

なにしろ、翔子ちゃんの「未来視」でも補足できなかったのが霧島透子だからね。

多分、マルチバース的には、別の世界線にある可能世界からの介入、ってことなんだろうな、霧島透子は。。。

あとは、本巻の自称霧島透子でサンタコスした人たちは、大なり小なり、桜島麻衣の存在によって、自分の承認欲求を満たす回路が絶たれた人たちだったようだから。

その点で、霧島透子って、「アンチ桜島麻衣」の集合意志みたいなものなのかなー。
うーん、全然違うかも、だけどw

結局、実存の危機に瀕すると人は思春期症候群を発症する、というのが、本作の公理だしね。

そこに、美東美織がどう絡むかだよなぁ。

彼女がスマフォを捨てた理由、が鍵なのかなぁ。。。


ちょっとまだ書き足りてないことはあるのだけど、ひとまず、ここで終わりにして、また思いついたり、整理できたりしたら書くつもり。

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青春ブタ野郎はマイスチューデントの夢を見ない 感想: やっぱり、霧島透子の誕生を含めて、桜島麻衣が大学編の全ての元凶なのではないか?

2022-12-13 11:19:29 | 青ブタ
実に2年ぶりの新刊。

あまりに時間が経ちすぎて、これまでの内容を綺麗さっぱり忘れていたw

なので、いつものように「前巻で・・・」というリードはなしで、いきなり感想ということで。

一応、スペース空けときます。








































実は「2年ぶり」というのも本巻を手に取ってから気づいたことで、てっきり1年ぶりだと思っていたので、本気でびっくり。

もっとも、だからといって前巻を読み直す、なんて殊勝なことはせずに、いきなり読み始めてしまったのだけど。

予想を超えて一気に読めてしまった。

いつもどおり、舞台設定があらかた終わった100頁過ぎる辺りからはあっという間。

気になっていた前巻までの内容についても、なんとなく触れる記述がいくつかあって、あー、そういえばそんなことあったなぁ、って思い出しながら、最後まで。

このリーダビリティの高さは凄いと思う。

実は、『メイジアン・カンパニー』の5巻も、発売後あまり時間を開けずに読未把持得ていたのだけど、こちらは一向に読み進めずにいるのに、青ブタはスルスルと読めてしまった。

まぁ、やっていることは、咲太がその巻のヒロインの思春期症候群を治す、という基本プロットの反復なので、当然といえば当然なのだが。

あとは途中、藤沢や江ノ島や鎌倉や逗子や金沢八景や横浜や・・・といった街の様子がちゃんと描写されて落ち着く、というのもあるからなのだけど。

これはラノベであって、なろうではない、って強く感じたw


それで、今回のヒロインは、咲太の塾の教え子で、咲太の高校の後輩でもある姫路紗良。

ただ、当たり前だけど、桜島麻衣という完璧ヒロインをすでに社会公認wの恋人にしている咲太が紗良を一人の女性としてみるわけもなくw

紗良の役割は古賀朋絵と同じ後輩枠の末の妹みたいな位置づけだった。

そもそも紗良の思春期症候群じたい、発症の経緯は朋絵のケースと似ていたしw

そのあたりは咲太も手慣れたもの。

なので、結果から見れば、紗良の役割は、いよいよ霧島透子が表舞台にあがる次巻に向けたムード作り、ってところかな。

そもそも紗良の目論見は、麻衣さんが完膚なきまで粉砕したしw

ただ、次巻以降の展開を考えた時、というか、『ランドセルガール』から始まった新章の流れを考えた時、むしろ、この麻衣さん無双のほうが書きたかったことなんだろうな、と思っていたりする。

それは前から(といってもそれも読みながら途中で思い出したのだけど)考えていたように、『ランドセルガール』以後の物語が、基本的に、それまでの牧之原翔子編の物語に対して著しく嫉妬した麻衣さんが生み出した世界の話だと思っているからで。

なので、あいかわらず、この大学生編は限りなくデカくて長い「夢」だと思っているのだけどw

でも、まぁそれは置いておいてw

今回、麻衣さんが強行した、いわば霧島透子の曲が誘う「#夢見る」による集団予知夢の粉砕、ということ自体が、今回の本当の事件だったと思うんだよね。

つまり、咲太が今いる世界そのものの成り立ちにおいて「桜島麻衣vs霧島透子」の対立がある。

ほとんど二律背反というか。

実際、本巻でどうやら霧島透子の正体が判明したし。

霧島透子の本名は岩見沢寧で、北海道出身の咲太たちの大学の2年先輩。

ね、「岩見沢(市)/北海道 vs 桜島/鹿児島」って、いかにも対立項っぽいじゃんない?

しかも、この霧島透子/岩見沢寧々は、昨年の、ということは、咲太と麻衣さんが入学する前年の大学ミスコンだったという。

となると、これ、単純に、今回の紗良と同じように麻衣に対する嫉妬としか考えられないのだけれど。

だって、麻衣が入学する前までは、岩見沢寧々が大学一の人気者の美人さんだったってことでしょ?

それが、麻衣が入学してきたことでナンバーワンの座は無条件で麻衣に決まってしまった。

で、それに対する挫折が寧々の姿を消してしまう、という思春期?症候群を発症させてしまったのではないか?

なので、岩見沢寧々からすると、霧島透子名義でのヒット曲のネット提供は、体の良い、桜島麻衣に対する意趣返しだと思うのだよね。

だって、わざわざ桜島麻衣の声を真似てまで歌っているのだから。

姿が見えなくても声なら似せることができるから。

というか、もともと、桜島麻衣をもとにして(憧れて?)、桜島麻衣似の美人キャラを演じていたのかもしれない、寧々がね。

その特性も含めて、霧島透子を麻衣と誤認させることで一矢報いたつもりでいた・・・とか?

次巻では再び、桜島麻衣が消失しそうだし。


・・・と最初は思っていたのだけど、よくよく考えると、実は寧々の嫉妬の対象が麻衣だったというのはミスリードで、本当の嫉妬対象は、日常的にナチュラル美人の美東美織だった、というオチではないかと思っていたりして。

その場合、むしろ、岩見沢寧々は、桜島麻衣という、いかにも自分と対になるような名前の国民的美少女に、勝手に運命を感じてしまっていたのかもしれない。

そういう意味では、桜島麻衣の究極の追っかけが岩見沢寧々。

だから、霧島透子のミニスカサンタの姿は、麻衣ラブの咲太にしか見えない。

そもそもミニスカサンタの姿すら、麻衣の真似だったのかもしれない。


ともあれ、岩見沢寧々が一連の事件の原因になってしまうとシリーズ的には困ってしまうと思っている。

だって、それだと『ランドセルガール』の麻衣の話につながらないから。

そもそも、霧島透子の本名が岩見沢寧々だというバレがない間は、『ランドセルガール』で始まった新章としては、霧島透子の正体は桜島麻衣に違いない!という思い込みで読ませることができるから。

でも、実は違った、ということなら、じゃあ、あの桜島麻衣の小学生版のランドセルガールは誰? というか何?、ということになる。

ランドセルガールはやっぱり、麻衣の潜在意識が生み出した、牧之原翔子に対する嫉妬の顕在化なんじゃないか、と。

まぁ、最悪のメタネタは、岩見沢寧々が、前回の赤城郁実のように別の世界からやってきた麻衣さんの生まれ変わりとかで、寧々が元いた世界では、この「青ブタシリーズ」が、普通にラノベとして売られていた世界だった、とかなんだけどw

さすがにそれはないと思うけどw

ただ、『ランドセルガール』の物語で、咲太は、平行世界の自分と入れ替わるという一種の「界渡り」を実現してしまったわけで、その触媒に当たるのがランドセルガールだったんだよね。

あの咲太の能力(というか思春期症候群)とランドセルガールは絶対関わっているので、となると、そもそも『ランドセルガール』以後の話は全部、咲太とランドセルガールで生み出した世界だった、というのも可能で。

気になるのは、ランドセルガールが頑なに咲太のことを「おじさん」と呼んでいたことで、これは、実は本当にそうだったんじゃないの?と思ったり。

つまり、未来の咲太と麻衣の娘が過去の咲太の前に現れた、という展開w

ただそうなると、牧之原翔子が言っていた「霧島透子のいる未来は知らない」という事実と同整合性がつくのか、がいまだに謎なのだけど。

そういう意味では、満を持して、翔子ちゃんが帰ってくる、というのもあるのかも。

ということで、続きがとても気になる。


あとがきを見ると、次作タイトルは『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』となっていて、あ、このタイトルだと続きは1年後?とか思ってしまったのだけど、どうなのだろう?

気分的には冬の間なら「サンタクロースの稼働期間」認定としてギリギリOKなので、春先くらいに『サンタクロース』が出てくれるといいのだけど。

さすがに2年も時間があくと、流れを忘れちゃうんだよね。

本当は『ランドセルガール』のあたりからまとめて読み直す必要があると思うのだけど、それも億劫なんだよなぁ。

なにしろ、咲太にかかわるヒロインたちが、麻衣さんの存在がある以上、どの人をとってももはや第2列の人たちにすぎないので。

ただ、霧島透子だけはもしかしたら正ヒロインの桜島麻衣に並ぶ存在なのではないかと思ったりしていて。

だから、次巻では、いきなり、岩見沢寧々が咲太の恋人になっていて、麻衣が消失した世界として始まるのではないかと思っているのだけどw

だって、次巻は、本巻の最後で皆が見た「#夢見る」で描かれた12月25日から始まるはずだから。

そこでは、桜島麻衣が消えて、岩見沢寧々が麻衣のいた場所を占めている世界になっているはずだから。

ただ、『麻衣さんが危ない』という表現は、本巻でも何度か冗談で言われていた「麻衣自身が危険要因である」という解釈の要素もあると思うのだよね。

その意味で、やっぱりラスボスは桜島麻衣その人ではないかと思ったりw


ということで、早めに『サンタクロース』を出してくださいね!

ていうかさ、「XXXの夢を見ない」というタイトルを付けたシリーズで、「#夢見る」なんてものが出てきたら、そもそもこのシリーズそのものが、咲太の見た夢だった、という十数巻に渡る壮大な「夢オチ」の危険性が常にあるのだと思っていてw

そういう意味でも『サンタクロース』のオチが今からとても気になっているのです!



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青春ブタ野郎はナイチンゲールの夢を見ない 感想: 終わってみれば、次巻に続く長い序章だった!・・・ハズ!

2020-12-15 19:45:44 | 青ブタ
前巻の最後に咲太の前に現れたミニスカサンタ姿の霧島透子。

果たして彼女は味方なのか、敵なのか、はたまた、ただの道化なのか?

だんだんなにをしているのかわからなくなりつつある咲太の大学生活はどうなるのか?

ということでスペース、空けときます。





































とりあえず、今回の話のポイントは、終わってみれば、本巻は次巻のためのプロローグであり、そのための道具たてを用意するものくらいでしかなったことね。

ヒロインは、咲太の暗黒史たる中学時代の同級生で、いままた同じ大学に通うことになった赤城郁実。

お前は衛宮士郎かよ!、と思わずツッコまずにはいられないような正義ウーマンである赤城が抱えた傷は、中学のときに咲太が起こした「思春期症候群」事件に同級生としてなんの対処もできなかったことへの苦悩が生み出したもの。

つまり、中学時代の咲太の思春期症候群事件で傷ついたのは、当事者である咲太だけでなく、彼の同級生たちもそうだった、という、ちょっとなんとも言えない話。

当然、咲太からすればかつてのクラスメイトたちは簡単に許せる存在ではないわけだが、だがその中でただ一人苦悩し続けた赤城だけはなんとか救おうとする話。

実際、そういうオチで、赤城以外には容赦ないのは、いつもどおりの咲太クオリティw

で、赤城がかかった思春期症候群は、異世界線上の自分と入れ替わる、というものだったわけだけど、結局、最後に、それが消えるわけではなく、むしろ、その症状は、今後も理異様されることがほぼ決定しているw


赤城郁実の話はややこしいが、ちょっとここで、一度整理しておくと。

多分、牧之原翔子編から霧島透子編になって変わったことは、まず、

牧ノ原翔子編における量子力学の原理は、同一物理世界内における変化であったこと。

そこでは、一応、過去や未来との行き来もあったけど、それも同一物理世界内、いわゆる、同じ「世界線」の中で行われていた。

つまり、思春期症候群は、同一世界線上のものに限られていた。

けれども、牧ノ原翔子編の最後で、咲太と麻衣が、自分たちも生きることができて、かつ、翔子ちゃんも(咲太と麻衣から以外の心臓移植を受けて)生き残ることができる世界を見つけることができたことで、つまり異なる世界線へと移ることになるわけど、その際、利用される量子力学の原理は、いわゆる並行世界理論にまで、つまり「エヴェレットの多世界解釈」理論までになり、平行世界が普通に登場する世界に変わった。

ただし、その際に物語構成上アクロバティックだったのは、咲太と麻衣が翔子を再会することで、三人ともが、自分たちが不幸になるしかなかった世界のことを、あたかも同じ夢を見ていたかのように思い出したこと。

つまり、咲太、麻衣、翔子の三人だけは、平行世界の経験を記憶として引き継いだまま、今いる世界での生活を続けている。

加えて、その副作用として、この結末がきっかけになったのか、以後に続く霧島透子編では、咲太をはじめに、他の世界線へと跳躍することが可能になった。

その際の導き手は、咲太の目には、麻衣に似た「ランドセルガール」。

と同時に、翔子ちゃんが、かつての世界線から引き継いだ記憶――それには彼女の「思春期症候群」で見た、その世界線上での多分岐した未来のすべての記憶を含む――にはなかった「霧島透子」なる存在が登場する。

この人物は、SNSを通じてミュージシャンとして存在し、どうやら、SNS上に頒布する楽曲を通じて、狙った人物に「思春期症候群」を発症させる能力をもっている。

もっとも、これは霧島透子の自己申告に過ぎないので、真偽の程は定かではない。

霧島透子は、今の所、咲太の目にしか映らず、現れるときに20歳くらいの姿でミニスカサンタの格好で現われるという不届き者w

しかも、霧島透子が現れたあとには麻衣が現れることが多く、だが、麻衣が現れた途端、霧島透子は消えてしまうので、いまだに麻衣と霧島透子がはちあったことはない。


普通に考えれば、咲太との関わりを考えれば、麻衣、霧島透子、ランドセルガールが、それぞれの世界線上での「桜島麻衣」なる存在、すなわち「桜島麻衣」の同位体である可能性は高い。

となると、今回の最後に、異世界線上の咲太が警告してきた「霧島透子を探せ、麻衣が危ない」というメッセージは、麻衣と霧島透子が出会うと対消滅してしまう可能性がある、ということなのかもしれない。

しかし、今回、最後に笑ってしまったのは、いまだに思春期症候群が完治していないことをいいことに、赤城郁実の身体がまるで「異世界通信ボード」の様になってしまったことw

これは次巻でも間違いなく、咲太はもう一つの世界の咲太と、郁実の身体を使って連絡し合うようになるのだろうなw

いや、笑うしかないのだけど。

でも、まさか、今後のそんな役割のために、郁実が今回のヒロインになったとは思っていなかった。

作者、結構容赦ないなw てか、絶対、キャラで遊んでるよねw

ということで、次回は、

走れ!咲太!世界線を越えて麻衣を救え!

ということになりそうw


・・・ということで、一旦ここで終わりにしておく。

実は、読み終わったばかりでは、まだちょっと頭が整理しきれていないので。

細かいところで、過去の話とも関わっていることは間違いないので、そのあたりも見直してから、気づいたことがあれば、改めて書こうと思っている。

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青春ブタ野郎は迷えるシンガーの夢を見ない 感想: 霧島透子とは誰なのか? いや、何なのか?

2020-02-10 10:52:42 | 青ブタ
待ちに待った青ブタの新刊。

前巻の最後で、大学に進学した咲太。
でも、その時の感想にも書いたように、本当に「大学編」は始まるのか?
それが一番の疑問なのだけど・・・。

ともあれ、まずはスペース、空けときます。

































で、一応、大学編は始まった。

キャンパスは金沢八景にある、というから、これ、ほぼ実在の横浜市立大学(横市)が舞台。

咲太が通う「統計科学学部」も、名前こそ違え、「データサイエンス学部」というのが、実際に横市にはあるし(2018年の新設)。

ちなみに、この統計科学学部には、それなりに今後の展開を予感させるところがあるのだけど、それはまたあとで。

ともあれ、横市を新たな舞台に作者が選んだのは、神奈川県の名所として、江ノ島に続くものとしたらどこか?って考えて、あ、八景島があるじゃん? なら金沢八景の横市だ!、ってな発想で選ばれたのだろうね。

横浜といっても、金沢八景は、また独特の鄙びた感じがあるから。

作者は、どうしてもこの咲太の物語を湘南の香りとともに綴りたい、という思い入れがあるのだろうな。

実際、今回、咲太は、今回のヒロインである「ずっきー」こと卯月とともに、三崎まで電車で遠出して、そのままサイクリング・デートをしていたくらいだから。

確かに、三崎港の魚って美味いよね!、みたいな感じで。

なので、大学編を始めたかったことは、よくわかる。

・・・といっても、まだ、この大学編はほんとに大学編なのか?とも思っているけれど。それもまたあとで。


加えて、これも本巻を読むとわかるけど、まどかやずっきーを、咲太と日常的に出会う機会があるようにしたいから、みな、大学生にした、というのもあるのだろうな。

これは、作中でも説明されていたけど、大学は、高校と違って、固定された「学級」や「教室」があるわけではないから、その分、作中人物の出入りが自由にできる。

少なくとも、大学キャンパスが舞台でなければ、今回のように、咲太がずっきーと日常的に話す、なんてことは書けなかっただろうから。

しかも、進学ということで、いきなり距離を詰めることができる。

なんたって、ずっきーは、咲太と同じ統計科学部だったわけだから。

もっとも、最後に、ずっきーは、入りたての大学をあっさり辞めてしまうのだけどね。

それも含めて、モラトリアムの感じは強い。

そして、それゆえ、「え? 思春期症候群って、高校で終わりじゃないの?」という素朴な疑問にも答えようとしている。

そう、自分が進むべき道を探している段階にまだあるなら、それはみなまだ思春期のなかにあるのだ、ということ。

だから、どうどうと、この物語は、大学において「思春期症候群」を扱おうとする。

もっとも、咲太ですら忘れていた「思春期症候群」を思い出させたのは、大学で新たに知り合った美東美織だったのだが。

そして、多分、この美東が次巻のヒロインなのだろうけどね。


ということで、本巻は、基本的に、「大学編」という名でとりあえず始まった新章の、まさにプロローグ的な物語だった。

だから、その巻で、ずっきーがヒロインだったのも、まぁ、当然といえば当然の展開。

正直、え、ずっきーって誰?、って最初、思っていたものね。

で、最後に彼女は、再び、咲太の日常からは消えてしまうのだから、ホント、つなぎに使われたキャラという感じは否めない。

もっといえば、最後の最後で、今後の物語の鍵を握る謎の人物?「霧島透子」を呼び出すための鍵でしかなかった、ってことで。

いや、ホント、最後にミニスカサンタの格好で「梓川くん」なんて、いかにも咲太をよく知っている風を装って、突如として登場するのだから、ずるいw


でも、この霧島透子の登場まで含めて、この大学生編って、単純に、のどかや、今回のヒロインとなる卯月を、咲太の日常世界に組み込むための舞台設定だった、ってことじゃないの?って思ってしまうのだよね。

だいたい、このシリーズにおいて「・・・の夢を見ない」っていうのは、要するに「・・・のような未来を求めない」ってことだから。

だから、相変わらず、いつか「本当の夢見人」が現れて、大学編の話が全部、その人がみた夢としての未来でした、というバレが来ても全然驚かない。

だいたい、思っていたとおり、声の感じから、霧島透子は桜島麻衣じゃないか説、すでに作中で登場してきているわけだしw

ミニスタサンタで現れるあたり、麻衣さんのバニーガール姿とかぶるところもあるし。

とはいえ、この霧島透子については、いまのところ、全然、情報がない。

いや正確には、前前巻の『お出かけシスターの夢を見ない』で、翔子ちゃんが少し触れているのだけど。

その時の話では、未来の記憶を全部持っている翔子ちゃんの記憶の中にも「霧島透子」という存在はまったくなかった、ということだった。

つまり、単純に考えて、いまある大学編は、牧之原翔子が夢見た、彼女の思春期症候群が得た「未来の束」からは外れているものであるということ。

そして、その鍵を握るのが、「霧島透子」という、なぞのシンガーだった、ということ。

まぁ、だから「迷えるシンガー」というタイトルを聞いたら、主人公はずっきーではなく霧島透子だと思ったのだけどね。

でも、それはミスリーディングでもあり、そうでもなかった。

結局、ずっきーは、霧島透子のナンバーをフィーチャーして、「空気が読める」自分になってしまったから。

そして、最後に登場した「ミニスタサンタの霧島透子さん・二十歳w」は、それが意図的であったことも明かしているから。

もっといえば、それは、どうやら、彼女の曲である“Social World”の歌詞に仕込まれていた暗示だったようだけど。

それは、本書の冒頭に引用された、歌詞を読めばわかるようになっている。

どこまでが「みんな」で、どこからが自分なのか?

LINEやインスタが横行しているSNSの現代では、この「自分」の境界線が曖昧になって、だから、ことさらに「空気を読む」よう同調され、その反動で「自分探し」にでかけてしまう、という展開。

まさにこの犠牲者が卯月だった。

でも彼女がそもそも、統計科学学部なんてところに進学したのは、この「みんな」の実態を統計科学を通じて理解することができるのではないかと思ったからみたいだし。

というか、それは、どうやら咲太がこの学部を志望した理由でもあったみたいだけどね。

でも、確かに、この方向性は面白くて。

なぜなら、ここまで「量子もつれ」のような量子力学の考え方が思春期症候群の根幹にあると説明してきたこのシリーズからすると、もともと量子力学の誕生の前には統計力学があった、という科学史の史実があるから。

そして、統計力学で説明できない現象が、量子力学を生み出すきっかけになったから。

その史実からすれば、咲太は、今後、統計科学の観点から、理央に頼るのではなく、自力で「思春期症候群」の発生理由に迫っていくように思えるから。

要するに、統計科学の臨界点に量子力学的な思春期症候群が生まれる、という発見。

そういう意味では、今回の卯月は、そのテストケースの第1弾だったことになる。

霧島透子いうところのSNSで満たされた「ソーシャル・ワールド」を通じて、自己の変革を強いられたのだから。

そういう意味では、この「ソーシャル・ワールド」そのものが、一緒の巨大な思春期症候群生成装置であり、そのシステムデザインを行ったのが霧島透子である、ということになる。


で、そこで嫌でも気になるのが、この霧島透子なのだけど。

でも、この霧島透子って、物語の扉裏にその歌詞が引用されているのを見ると、明らかにこれ、上遠野浩平のブギーポップシリーズに出てくる「霧間誠一」へのオマージュだよね?

ついでに、霧島透子という名前のほうは「水乃星透子」すなわちイマジネーター。

だったら、もう、この霧島透子が、この大学生編を「イマジン」していることは、物語の冒頭に明記されているようなものだと思ってきた。

そして、その霧島透子を生み出した存在が、前にも書いたように、牧之原翔子に嫉妬した桜島麻衣である、というのが、いまのところの推測。

そして、その霧島透子の一種の手先のような存在が赤城郁実。

なぜなら、赤城の「意識高い系」の呼びかけを見て、卯月は、自分の空気を読まない発言がいままで「みんな」の嘲笑の対象になっていたことを悟ってしまったから。

いわば、郁実は、透子の実行部隊。

とうのも、どうやら霧島透子は、咲太にしか見えない存在であるようだから。

だから、透子と郁実の関係は、アドミニストレータとカーディナルのような存在なのかもしれない・・・とも思うのだけど、まぁ、それは次回以降だよね。

ともあれ、霧島透子が今後の物語のゲーム盤を握っているのは間違いなくて、それは、ブギーポップの「霧間誠一」と「水乃星透子」の合体したような名前からも明らか、というのが、今回、最後に感じたことかな。


そういうことで、ようやくエンジンがかかり始めた「大学編」(という誰かの夢の世界w)、次巻も楽しみだ。

新登場の美東美織は、はたしてどういう役割を果たしていくのだろう?

麻衣さんの存在ゆえに、当初から霞んでしまう美織だけど、でも、それは、仕事柄、咲太を常時ベタベタできない麻衣さんの代わりを務めることになるのかな?

でも美織すら、麻衣さん=霧島透子がつくったテリトリー内における、咲太番のようにも見えるからなぁ。

なんか、すべてが霧島透子の手のひらの上にあるようで。

それはいうまでもなく桜島麻衣の手のひらの上であるようしか思えない。

ちょうど、まどマギの映画『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』の世界が、ほむらが夢見たせかいであったように。

だから、やっぱり、この「大学編」の解決の鍵を握るのは、咲太と理央に加えて牧之原翔子だと思うのだけど。

でも、それはきっとまだ、4-5巻くらい先のことなのだろうなぁ。

とまれ、次巻が楽しみ。

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劇場版 『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』 感想

2019-11-16 18:54:19 | 青ブタ
実はこの感想、もともとは原作の「青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない + 青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない 感想」として『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』の感想のエントリーをアップした直後に書き始めていたのだけど、途中まで書いてそのまま放ったらしになっていたもの。劇場版のあとに加筆して上げようと思っていたら、それも忘れていたw

ホント、アホだなぁ。

ぼちぼち劇場版のブルーレイも出る頃なので、補足して蔵出ししておきます。



テレビ版の青ブタの最終回があまりにも、淡々と投げっぱなしで終わってしまったので、そのまま続きとなる原作に手を出した。

で、読み始めたらいやはやもう最後まで行くしかないって感じでイッキ読み!

最新版の『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』については、すでに感想をアップ済み。

で、劇場版の『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』自体は、原作の
『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』と『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』の2冊に基づいたもの。

といっても、この2冊、基本的にはそれまで出ていた5冊分の原作の内容を踏まえた上での構成になっている。だから、いってみれば、青ブタ前半の集大成、という感じの物語。

もってはっきりいえば、この2冊のために、それまでの5冊が書かれていた、といってもよいもの。

内容は、いわずもがなの牧之原翔子編。
控えめにいっても、これ、ここまでの物語全部の総決算!となる話。

実際、この2冊で、原作は、第1部完!ということだった。

なにがいいたいかというと、この牧之原翔子編を、とにかく加速したまま、終わらせるために、それまでの物語の全部があったということ。

つまり、翔子編までの、桜島麻衣、古賀朋絵、双葉理央、豊原のどか、梓川かえで、の5つの物語が、全部、翔子編のための前座だった、ということ。

いやー、これはもうびっくりだよ。

なぜなら咲太は、これまでにこの5人の思春期症候群につきあってきたからこそ、たった1回の「やり直し」のチャンスを「間違わず」に、文字通り「奇跡的」にクリアすることができた。

加えて、今までの5つの物語があったからこそ、それぞれの少女たちが、それぞれ相応しい協力の仕方を、咲太に差し出すことができた。
裏返すと、5つの物語の蓄積があったからこそ、牧之原翔子編は、2冊めの「ハツコイ少女~」だけでキレイに完結することができた。

実のところ、さすがにそれは「ご都合主義的すぎるだろ!」ってところが満載なのだけれど、ただ、そのどれもが、これまでの5つの物語の展開から読者が予測できる範囲のものなので、あー、やっぱり!って感じで、テンポよく進んでしまうんだよね。

もっとも、最後の最後のところは、さすがにそこまでやるか?、ってくらい、都合が良すぎていて、多分、評価が分かれるところなのだろうけど。。。

正直、盛りすぎ、な印象もしたけれど、まー、これもありかなー、って感じ。

あとは、この牧之原翔子編で、このシリーズのタイトルが常に「~の夢を見ない」となっていることの理由も(それとなく)明かされていて、それがうまいなぁ、と思ってしまった。

・・・って、何言ってるかよくわかんないよね? (笑


で、じゃあ、本当にネタバレしてしまうと、

牧之原翔子という、咲太の危機をかつて救った高校生の少女と、咲太が麻衣とともに出会った中学生の少女は、実は同一人物。

ただし、高校生の翔子は、実は未来からやってきた「未来の翔子」。

では、なぜそんなことが起こるかというと、それは「双葉理央」編のドッペルゲンガー事件の応用みたいなもので、あれは「量子力学」的分裂だったわけだけど、これにさらに「相対性理論」的な味付けがなされて、時間差のある分裂体が生じてしまっているということ。

まぁ、このあたりの「説明」は適当に聞き流してねw

実は、この牧之原翔子編に対して、期待ハズレ!という感想もいくつか見かけたのだけど、多分、その理由の一つは、「思春期症候群」という量子力学的「トンデモ」理論が、SF設定的にあまりにもガバガバに見えるところにあるように思えるから。

なので、ここ、あまりマジで突っ込んじゃんだめだよ!とは思う。

でも、個人的にはうまいな、と思ったのは、とりあえず、物語世界内の「事実」としては、トンデモ量子力学的な理解でなんとかなってきた、という話があって、そのさらに積み上げのところで、今回の解決をしているから。

うーん、しかし、ちゃんと書こうと思うと、結構ややこしいな。
やっぱり、この物語。

牧之原翔子編まで読むと、この「ハツコイ少女」までの物語とは、とどのつまり、すべて牧之原翔子の思春期症候群の中、いわば彼女夢の中で起きているということなんだよね

夢という名の一種のシミュレーションなわけで。

ただ、この屁理屈自体は、一応、古賀朋絵編ですでに一度説明されていた。

裏返すと、朋絵同様、翔子も世界改変をできる能力をもっていた、

・・・というか、この劇場版までの世界そのものが、事実上、小学生時代の翔子が抱いた未来=夢の世界であったことになる。

ざっくりいえば、牧之原翔子は、涼宮ハルヒと同じ、世界構築力をもっていたことにある。

で、心臓移植を必要とする難病の翔子が助かる世界をなんとか引き寄せる話が、劇場版の骨子となる。

そして、原作既読者、あるいは、劇場版視聴者にはすでにわかっているように、最後に、世界は書き換えられて、翔子は、咲太でも麻衣でもないドナーから心臓を譲り受け、本来の年齢のまま、中学生として咲太と麻衣に、再び出会うことになる。

当然、世界は書き換えられたわけだから、咲太が中学時代に高校生の翔子さんに出会うこともなく、したがって、翔子さんが咲太の「ハツコイ少女」になることもないまま、この世界の翔子ちゃん、というか咲太的には「牧之原さん」と出会うことになる。

でも、この物語が、つくづく甘々だなぁ(←褒めてますw)と思うのは、その再会、というか、邂逅の瞬間、翔子も咲太も互いに、別世界=夢の世界の出来事を全部、記憶として思い出してしまうところ。

ここはね、原作を呼んだときに、一番、おお!、やっぱりそう来たか!とは思ったところ。

もちろん、世界が書き換えられてしまった以上、翔子と咲太はすれ違ったままになると思ってしまうし、実際、とても悲しいことだけど、その終わりもありだろうな、と思っていたところで、でも、二人は出会い、そして出会った瞬間、それまで忘れていた記憶を取り戻してしまう。。。

いや、これ、完全にもう、運命の赤い糸でつながった二人じゃんw

『君の名は。』の瀧くんと三葉じゃんw
いや瀧くんと三葉は、世界改変後も出会いでは、出会ったところでそれまでの物語の記憶は取り戻していないから(少なくとも劇終幕では)、翔子と咲太の場合は、それよりもよっぽど甘々の結末w

むしろ、世界がどう変わろうとも結局は出会える二人として、実は翔子こそが、咲太の運命の人ではないか、と思ってしまうほど。

そして、だからこそ、この翔子編のあとの物語については、『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』の感想で書いたように、むしろ、この翔子と咲太の「運命力」に対して、嫉妬し、抵抗し、世界のさらなる上書き、つまりは、自分の描く「夢=未来」で世界を再構成しようとしているのが、他でもない桜島麻衣!、と思ったわけで。

なので、よくこの牧之原翔子編の2冊、ないしは、劇場版の『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』について『涼宮ハルヒの消失』に近い、という感想を見かけることがあるけど、それは多分、違っている。

なぜなら、『消失』における長門のように、世界を自分の都合の良いように書き換えようと無意識の間に試みてしまっているのは、翔子ではなく、麻衣のはずだから。

つまり、青ブタシリーズにおいて、世界構築という点で、ハルヒのポジションをとるのは翔子であり、ハルヒ=翔子の構築した世界=夢を侵食しようとしているのは、長門の位置を占める麻衣だと思うから。

まぁ、今ある物語世界に干渉し、自分の都合の良いように侵食しようとしている点では、『ランドセルガール』の方でも書いたように、むしろ、劇場版のまどマギにおける「ほむら」の立場に近い。
劇場版まどマギでは、まどかに対するほむらの愛が重すぎて、結果として、まどかが守った世界をほむらが侵食していた。

だから、むしろ、劇場版の翔子編の話は、ハルヒの世界改変のほうに近い。

咲太は、一度麻衣を失った世界を経験した上で、咲太も麻衣も死なない、それゆえ少なくとも彼ら二人は翔子を見捨てる選択肢を取り、ある意味で、善意の第三者、ないしは運命の善いいたずらに賭けて、世界を書き換えようとしたわけで。
その点で、咲太は、自分本位でろくでなしの、文字通りの「ブタ野郎」なんだけど。

でも、自分本位の選択が結果として、翔子を襲ったデッドロックからも抜け出せる景気になったというのが話のミソ。それも大甘のミソw


ただ、こういうふうに解釈してくると、ちょっと面白いな、と思うのは、これは量子力学による並行宇宙論で説明がつくのかどうかはまったくわからないけれど、少なくとも青ブタの物語世界では、世界とはすべて夢=シミュレーションであって、ある特定の世界で得た経験や体験をすべて記憶し保存している、一段メタな世界=宇宙があって、物語の登場人物は、みな、その記憶のリソースにアクセスして、それぞれの個々の世界で「生きる」ことを演じているように見えること。

で、こうした世界を超えたメタ世界における「設定アーカイブ」に属するキャラクターがその都度、特定の世界の記憶をリロードされるという点では、構造的には、『東京レイヴンズ』の16巻で明らかにされた(←詳細はこの感想を参照)泰山府君祭の先にある人格記憶のアーカイブへのアクセスに近い。あるいは、量子力学的説明ということであれば、『ゼーガペイン』の設定にも近い気がする。

なんかよくわからないけれど、そうした時間を超越した「設定アーカイブ」の存在が想定される世界観って、いつの間にか、デフォルトになっているかな?

ちょっとそんなことも、この青ブタシリーズを読んでいると思ってしまう。

てか、そのような世界観が読者の間でも共有されていると確信できないと、こんな話、つくれないよね。

ともあれ、青ブタは、牧之原翔子編たる劇場版を経た後に続く作中世界の物語展開についてもそのような形になっているようで、『ランドセルガール』ではそれが徐々に頭をもたげてきたように思う。

どこまで、この「世界を書き換える」話を続けるのかはわからないけれど、願わくば、ハルヒのように作者が物語世界を畳むのを放棄するような、情けない事態にならないように。

で、牧之原翔子編の劇場版に戻れば、とにかく咲太を支える他の登場人物たちの動きも、ミニマルなものに留まるものの極めて効果的な動きを見せてくれていて、ホント、隙がないと思った。

どうやら、『ランドセルガール』の続きは、来年2020年の2月には出るみたいだから、そこでこれまで書いてきた仮説がどこまで通用するのかについても、楽しみにしたい。

もちろん、物語の向かう先についても、

でも個人的には、やっぱり翔子ちゃんが本編に再登場してほしいし、もっといえば、翔子さんが、何らかの形で絡んできてほしいと思うのだけど。

でも、キャラクターに関するあらゆる可能性についてすでに書かれたアーカイブがメタ宇宙としてあるのなら、それも可能のように思うのだよね。

ぜひとも、青ブタには、ハルヒを越えてもらいたい。


とにかく『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』、素晴らしかった!

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青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない 感想 本当に「大学生編」は始まるのか?

2019-01-09 12:31:46 | 青ブタ
最後まで映像になったものが面白かったので、結局、原作に手を出してしまった。
久しぶりのアタリ!

で、とりあえず最新作について、の感想を

翔子編となる6巻、7巻については、追って書くつもり。
あの完成度の高さは、確かに神なので!

ということで、以下は9巻の感想。
とりあえず、スペース空けときます。






















































で、最初に問いたいのは、9巻のラストで示された大学生編は本当に始まるのか?って疑問ね。

で、いや始まらないでしょ、
これ、ランドセルガールが見せている(夢としての)「未来」じゃないの?

ってのが、あれこれ考えた結果ね。

6巻、7巻の用意周到さを考えれば、多分、これくらいの込み入った構造は、この作者なら新たに仕掛けてくるのではないか。

で、これも先に書いてしまうと、多分、この込み入った思春期症候群を引き起こしているのは、他でもない桜島麻衣であるのではないか、ということ。

それも、顔には出さないけど、牧之原翔子に思い切り嫉妬した麻衣さんね。

多分、理央が咲太にしていた、今回の現象は、2つ以上の思春期症候群が複合的に重なりあって生じたものなのではないか、という助言も、こうした見方をしてよいヒントのように思える。

なんだかんだいって、理央は、このシリーズの「物語の構造」を示唆する、メタ発言キャラであるから。結局のところ、彼女のいう「量子なんちゃら・・・」がすべての不思議事件のトリックとして示されるからね。

となると、たとえば、ランドセルガール、霧島透子、赤城郁美、の思春期症候群の3重掛け、とか、思いついてしまう。

そこで根っこにあるのは、多分、麻衣自身の翔子に対する嫉妬から生じた、翔子が咲太にとっての初恋の相手にならない世界の構築だと思うんだよね。

だって、翔子編である6巻、7巻における麻衣って、描写としては物分りがよすぎていて、彼女の内面のドロドロしたところには、一切触れられていなかったから。

あれは、物語の進め方として、徹頭徹尾、咲太の「焦り」に焦点を当てていて、周りの人物たちがどう思ったまで書いている余裕がなかったからだと思うんだよね。そこまで書いていたら、7巻のような速度で物語を進めることができなかった。

その結果、麻衣も、非常にものわかりのよい、いわば「都合の良い先輩」として描かれていた。

でもね、麻衣って、きっとそんなに聖女ではないんだよ。
もっとドロドロとしたものを抱えている。でも、それを表に出さないことを身に着けてしまった人だと思うんだよね。

そういう意味では、麻衣は、『化物語』における羽川翼のポジションに近いと思う。

登場時からあてがわれていた麻衣の女優という位置づけや、咲太よりも年上という事実は、必要以上に、麻衣を大人の「気配りのできる」女性のように、作中で描写されてもおかしくないような予断を与えているし。

さらに言えば、周りの他の女子たちが、朋美にしても、のどかにしても、理央にしても、もちろん花楓にしても、年相応に幼く、頼りなく描写されてしまっている分、麻衣の「大人っぷり」は際立ってしまうわけで。

でも、その麻衣からしても、マジで翔子には敵わないと感じたと思うんだよね、あの6巻、7巻で示された牧之原翔子の圧倒的なヒロイン力に対しては。

だって、6巻、7巻を読めば、それまでの5巻の中身が、全て6巻、7巻のための前座であったことがわかるから。ただただ、牧之原翔子編を加速した物語として完成させるために、そのための予備知識や作中内の「事実」を積み上げるべく書かれていたのが、5巻までの内容だったわけで。

その点では、桜島麻衣とて、主演の牧之原翔子の前では、ただの脇役の一人に過ぎない。

なにしろ、真ヒロインの翔子は、心臓病という難病を抱えた(咲太からみても)年下の女の子であり、にもかかわらず、咲太が最も精神的に厳しかったときに、咲太の心を支えた存在なのだから。

その上で、「未来」までわかってしまっているというチート級の能力の持ち主だったわけだから。

だから、咲太にとっての初恋相手という、翔子の特権的地位を、麻衣が心底嫉妬し、咲太と翔子の関係を根本から書き換えたいと思ってもまったくおかしくないと思うんだよね。


それから、あともう一つ、麻衣については、そもそも第1巻の、彼女が皆に「観測されなくなった」ときに、どうして咲太は、彼女の姿を見出すことができたのか、ということもあって。

というのも、7巻で、未来から過去に戻った咲太が、1巻の麻衣同様、皆から観測されない存在となってしまったけど、その咲太を「観測」してくれたのが朋美だったという事実があって。

あそこで、朋美が見つけてくれたのって、多分、2巻にあった例の「量子もつれ」としての「尻の蹴り合い」があったからだよね。

となると、似たような「蹴り合い」を1巻の時間軸以前に、咲太と麻衣の間でも行われていないと、1巻における咲太のように、麻衣をギリギリまで観測し続ける、なんてことは不可能になるように思えたんだよね。

なので、朋美との間にあったような事前の接触が、麻衣と咲太が1巻で出会う以前にあったのでないか。

そして、それも含めて、ランドセルガールとしての麻衣の「夢」なのではないか。

さらにいえば、取ってつけたように突然現れた「赤城郁美」って、わざわざ、ランドセルガールの背負っている「赤い」ランドセルとかぶる「赤城」なので、これは実は、女優の麻衣が演じている「咲太の同級生」なんじゃないのか、って思うんだよね。

で、そんな麻衣の相当こじらせてしまった思春期症候群の発症の発端となったのが、霧島透子の楽曲だった、ということではないのかな?

だから、この「霧島透子」については、咲太の未来についてのエキスパートwである翔子ちゃんでも、全く知らなかったのではないか。

なぜなら、この世界は、すでに麻衣によって、「翔子と咲太の初恋関係」という事実を書き換えるために発動した世界であるから。

なんだったら、翔子が沖縄に療養に向かい、藤沢近辺から消えてしまった、という動きですら、この世界=夢の創造主である麻衣の意向が反映された結果、と見ることもできると思う。

麻衣にとって、翔子は、端的に邪魔な存在なんだよ。

その分、徹底的に、麻衣にとって都合の良い「未来」が生み出されている。

それは、もちろん、今回、咲太が患った「思春期症候群」を完治?させるために最も活躍したのが麻衣であったからでもあるわけだけで。

だって、麻衣からのプロポーズ?によって、咲太は救われたのだから。
でも、あれは、麻衣自身が、素直に最もいいたかったことだと思うんだよね。

女優という手かせや、年上という足かせを、かなぐり捨てて、素直に一人の女の子として、咲太に自分の思いの丈を伝えたくて仕方がなかった。

実際、彼女の「お姉さまぶり」から、読者の方も、咲太と麻衣の間の会話は、咲太が常に麻衣にやり込められるものであっておかしくないと思ってしまっているけれど、でも、それが麻衣の本心かというと、実のところ、かなり怪しいと思えるわけで。

なにしろ、婚姻届という「ワイルドアイテム」を今回の物語の中に持ち込んできたのも、他でもない麻衣だったわけだし。

これ、かなり咲太との未来において強制力のある「縛り」だと思うんだよね。

で、そんな「咲太に対する麻衣の独占欲」が全面展開したのが、実は翔子編に続いて始まった8巻からの世界なのではないか、と。

なにしろ、6巻、7巻の世界では、咲太が将来、翔子と結婚する未来も示されたわけで、けれども、そんな未来を麻衣が許すわけがない。

だって、あの世界では、麻衣は、咲太の命を救うために、自らの命を差し出したくらいなのだから。

いや、麻衣さん、あなた、どんだけ咲太が大好きなの?って感じで。

だって8巻や9巻って、いくら咲太の父親の前だからって、麻衣さん、「私の咲太に対する愛情のほうが、咲太が私に対する愛情よりも、はるかに上です」なんて趣旨のことまで言ったりしてるくらいなんだから。

もう、麻衣は、咲太にベタぼれ、ってことばかりが、呆れるくらい強調されている。

とりあえず、8巻、9巻は、一見すると、花楓の解離性障害にまつわる積み残しの問題と、そんな花楓によって生じた梓川家の家庭不和の問題についての着地点を見出す話であったわけだけど、それはあくまでも表側の話でしかなくて、

その裏側では、実は、作中世界のなりたちが、いつの間にか、麻衣主導のものに書き換えられていたのだと思う。

あくまでも、そのための導入部分として、花楓と梓川家の話が、後日談的エピソードとして記されていただけで。

だって、8巻の花楓の高校進学の話なんて、ほとんど思春期症候群って関係ないわけで。
ただの登校拒否児童問題の紹介でしかないわけで。

要するに、簡単にいえば、麻衣が8巻、9巻の世界の造物主でありゲーマス。
麻衣にとっての、都合の良い世界への作り変えの序章。

そして、だからこそ、9巻の最後で、唐突に、咲太とのどかが、麻衣と同じ大学(横浜市立大学?)に入学する場面が描かれる。

しかも、麻衣は咲太の先輩ではなく、はれて「同級生」になる、という、麻衣にとっては、まさに夢のような世界が実現する。

多分、麻衣からすると、それくらい「同級生」という位置に、つまり、咲太を並んで歩ける世界を望んでいたと思うんだよね。

で、そのための麻衣の願望が、今の世界で形になったものが、咲太の中学時代の同級生(という設定)の赤城郁美なのではないか。

中学時代に、咲太の抱えていた問題を理解していたと、今更ながら主張する「赤城郁美」という存在によって、咲太の悩みは、ひとり翔子のみが知るものであった、という関係に、楔をうつことになるわけで。

まさに、翔子と咲太の「初恋関係」という絶対的関係に介入する存在が赤城郁美だから。
それこそ、麻衣が演じる中学生のキャラなんだよ。

要するに、6巻、7巻が、完全に翔子のターンであったとすれば、
8巻以降は、麻衣のターンである、ということ。

そもそも、「思春期症候群」という「病」が大学生になっても続く、というほうが、言葉の定義上、どう見てもおかしい。

だって、さすがに、大学生はもう思春期ではないよ。
思春期は、高校生とともに卒業するもの。
つまり、思春期症候群も発症するのは、高校生まで、ということ。

ということで、多分、大学生編にはならない、と思う。

となると、3重掛けの思春期症候群を、咲太がいつ、どのように気がつくのか、が問題で。

それを解く鍵は、やっぱり翔子ちゃんの再登場にあるんだろうな。

そもそも、翔子に確認すれば済みそうないくつかの疑問についても、なぜか抑圧されてしまっていることも、この世界が麻衣が作り出したものだからなのだと思う。

つまり、「犯人はあなたなんですね、麻衣さん」と、いつ咲太が麻衣に告げるのか?

そして、その指摘に、無自覚にそんなことを発動させていた自分の「嫉妬心の根深さ」に思い悩む麻衣。

きっと、そんなドロドロの世界が始まるんだよ!この先w

ということで、次巻が楽しみ。


というか、実のところ、こんなふうにでも読まないと、8巻、9巻、って、あの6巻、7巻の後では、死ぬほど退屈でしかなかったから。

8巻、9巻って、後日談というよりも単に蛇足にしか見えなかったわけで。

正直、こんな家族問題とか登校拒否問題とか、ガチで扱われても、全然おもしろくないじゃん!って思ってしまったわけで。

まぁ、『CLANNAD』とか好きな人たちには、そのノリで、8巻、9巻の、「梓川家」家族ゲームも楽しめたみたいだけど、『CLANNAD』って、個人的には全く面白いとは思えなかったから。

まぁ、この作者、全体的に左っぽいところはあるとは思うけど。
咲太に教師になることを勧めちゃうところとかね。

ともあれ、6巻、7巻の後で読むものとしては、あまりにフツーで、あれ、これ、全然盛り上がらないじゃん!って感じで。

少なくとも、こんな後日談、外伝でいいじゃん、本編の後で書くものじゃないよね、って思っていた。

だから、9巻の最後まで読むのも実は苦痛だったわけだけど、9巻の最後で唐突に大学生編らしきものが始まったところで、あれ、これもしかしたら?と思ったのだった。

で、上に書いたように、8巻、9巻が、基本的に、麻衣の描いた理想の未来の世界の物語だったら、どうなる?と思えてきて。

そこまで考えると、そもそも、翔子が、咲太でも麻衣でもない人物から心臓移植を受けることになった、という、ご都合主義的なハッピーエンドすら、麻衣の世界構築力の賜物のように思えてきてしまえるのだけど。

まぁ、そこまでいくと、むしろ、まどマギの映画の「ほむら」のようにすら思えてくるけど。
あー、麻衣さんの情念が重いわー、って感じw

でも、こんなふうに考えると、いや、もうあと2、3回、大ドンデン返しがあるかも?って気になって楽しみになってきたんだよね。

ということで、続きがとても気になる。

ほんとに、大学生編は始まるのか?

麻衣さん、そこまで咲太に対する独占欲が強いのってどうして?

謎は、むしろ、ますます深まるばかりなのだった!


しかし、ここまで書いてきて今更ながら気づいたけど、このシリーズのスゴイところは、目の前で読まされている物語のプロット自体が、登場キャラのだれかの「夢」であってもおかしくはないと思わせながら読ませる舞台装置として「思春期症候群」という仕掛けを作ったところにあるんだろうな。

量子力学、スゴイな!万能だな!

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青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 第10話 「コンプレックスこんぐらっちゅれーしょん」

2018-12-09 17:29:27 | 青ブタ
いやー、今回は、あまりに予想範囲内の展開すぎて、率直なところ、あまりおもしろくなかった。

今思うと、最初の麻衣センパイの話と、朋絵の話がよくできすぎていた、と思えるくらいで。

今回の、のどか回でだいぶ失速してしまった、って感じ。

唯一びっくりしたのは、魂?が麻衣とのどかの間で入れ替わっていたわけではなく、二人の見た目が入れ替わっていた、ってところかな。

あれは、素朴に驚いたw

そして、あくまでも「観測」にこだわるのが、青ブタ流なのだな、というのを痛感した次第。

ここまで量子力学的「不思議」現象にこだわるのだから、この先も、一応、それで説明がつくようなお話が待っているのだろうなぁと。

かえで回も牧之原翔子回もきっとそうなのだろうな。

とりあえず、かえで回から、また3話構成になって、ちゃんと幕間の出来事も扱えるのだろうから、そこを楽しみに待とう。

で、のどか回については、つまるところ、この異変を通じて、麻衣が咲太に、ふだんなら話さないような彼女の個人史を、照れる暇も与えることなく、やむなく話せたのがよかった、ってことかな。
いわば双葉回と似たようなもので。
もう一歩、相手の領分に踏み込んでいくために。

その意味では、次回以降の展開で、うまい具合にのどかがヘルプ要員として、朋絵同様、活躍してくれるのに期待。

あ、でも、もしかした、のどか回に向けて、妹つながりのネタがあったりするのかな。

ともあれ、続きはやはり気になる。

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青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 第8話 「大雨の夜にすべてを流して」

2018-11-23 00:30:50 | 青ブタ
江ノ島を眺めながら、夜中に浜辺で花火なんて、マジ、青春だよねーw
いやー、ホント、ズルい。
江ノ島が舞台なんて、江ノ電が背景なんて、藤沢が地元なんて・・・
湘南は、ホント、絵になるよね!

しかし、結局、双葉が分裂した理由ってなんだったんだろう?
「思い当たる節がある」と前回、コンタクト双葉のほうが言っていたけど、それが何か、結局、明らかにはされていないよね。

原作を読めば何か書いてあるのかもしれないけれど。

ただ、それとは別に、今回の構成からすると、これもまた前回、コンタクト双葉のほうが言っていた「タイミングなんだよ」というのが気になっていて。

これ、要するに、双葉が国見が好きだ、というのは、あくまでも偶然のいたずらで、違うタイミングだったら咲太を好きになっていたかもしれない、という気持ちの表れだよね?きっと。

となると、自分が好きなのは国見なのか、咲太なのか、という迷いが双葉の中にはあったけど、多分、告白して三人の関係のバランスが壊れるのを、人見知りの双葉としては一番恐れていて、それで、国見に彼女ができたことをいいことに、国見が好きだということにして、というか、自分自身もそう思い込むことで、咲太への恋心をうまく封印して、逆に、あくまでも友達として咲太といい関係を築いていたんだろうな。

まぁ、このあたりは、ホント、微妙な、三角関係だよね。

友情と恋愛感情の差がどこにあるのか、実はよくわからない、という。

ところが、あろうことか、咲太にも桜島先輩、という恋人ができてしまって、咲太はフリーだからこそ維持できていた三人の関係が維持できなくなってしまった。

しかも、そこで咲太からは、国見に告白しろ、と迫られてしまうと、実のところ、双葉としては、自分の気持が咲太と国見のどちらにあるか、わからなくなった、ということなのだろうな。

で、だから、その決断を不要にするために自分自身を2つにした、というのが真相だったんじゃないかな。

あとは、双葉自身、咲太がもちこんだ思春期症候群を複数回、見たことで、とりわけ、朋絵の「量子もつれ」のケースから、あ、ほんとに起こるんだ、と確信してしまったんだろうな。

いや、もちろん、思春期症候群のネタ元が、いずれも量子力学なり量子論だということなのだけど、それに確信を見出してしまったのが双葉だった、ということで。

となると、彼女は彼女で、今後は、思春期症候群のそれぞれの症候の発生理由の解明者なり解説者の役割を果たしていくのかな。そんな気はするね。

ともあれ、最後の花火大会を三人で見に行くところで、双葉が髪はポニテで、でもコンタクトではなくメガネにしてたというので、分離した二人の性格を両方きちんと調和させたということで。

それはとりもなおさず、どちらも彼女持ちの国見と咲太と三人の同級生で、今後も仲良くやっていこう、ということをはっきりさせた、ということでもあるよね。

ある意味で踏ん切りがついたというか。

ただ、それで逆に気になるのは、咲太に対する不分明な恋心を、双葉は結局、封印したままにしてしまったけど、それが今後、どこかで噴出したりはしないか、ということ。

それはそれでなんかありそうな気もするんだよね。。。

まぁ、やっぱり、これは原作を読むのはご法度にしておいて、やっぱりこのまま映像の方でまずは見ていこう。

となると、牧之原翔子編が映画になってしまったのは、微妙にもったいなかったなと思うのだけど。。。
うーん、2クールあればなぁ。
久しぶりに、普通に楽しめるラノベ原作作品だったのになぁ。

とりあえず、次回は、どうやら桜島麻衣先輩が入れ替わりしてしまうみたいだけど。。。

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青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 第6話 「君が選んだこの世界」

2018-11-11 01:09:41 | 青ブタ
あー、なるほど。
これ、要するに、『ハルヒ』の設定で『化物語』をやってるのね。
加えて、10年前の設定では、さすがに古くなってるところを今風に変えてきてもいる。

いや、単純に、久しぶりに、おお普通に面白い、と思ってたものだから、
その理由が気になっていたのだけど、今回ので確信。

ちなみに、原作は未読。
これは、手を出したくなるところだけど、
しかし、一方で、これは映像の美味さのような気もするので、どうするかなぁ、ってところ

にしても、いいねー。

『化物語』の阿良々木くんが、要は咲太で、
戦場ヶ原にあたるのが、麻衣先輩で
神原が、朋絵ってことね。
もちろん、朋絵の気持ちは、咲太の方を向いているから、神原とは違うのだけど、咲太を「親友」として全幅の信頼を寄せる点では、同じだよね。
どうやら、シスコンは、今後、麻衣先輩の妹がでてくるみたいだから、機能的役割は、若干、シャッフルしているということで。

あとは、咲太の胸の傷の話が、どう考えても前日譚としてあって、それが阿良々木くんにおける『傷物語』だったのと同じなんだろうな。
そのあたりは今後の楽しみだけど。

あ、あとは、双葉が羽川ポジションか。
彼女によって、思春期症候群の概要が毎回、語られる。

要は、怪異にあたるのが思春期症候群で、
その思春期症候群のネタが、ハルヒ的「人間原理」的な物理的説明としてある。

そういう意味では、最初は6月まで、まさに振り出しに戻るのか?と思ったけど、これってループ設定ではなくて、双葉が言ってたとおり、「ラプラスの悪魔」のように、朋絵が、様々な未来をシミュレートさせていて、そのシミュレーションの筋書きに沿って咲太たちが振る舞っていた、ということだよね。

だから、最後の6月27日だっけ?、から始まるものだけが、一応「現実」で、それまでの、朋絵が盛大に失恋してしまうところまで、すべてシミュレーションを見せられていた、ということだよね。

ただし、咲太たちは、神ポジションを占める「ラプラスの悪魔」たる朋絵の「サイコロの振り方」には一切干渉はできない。その意味で、彼らが自由にできる余地はない。

もちろん、双葉のように、悪魔=神の采配が関与している、と推測することはできるけど。

でも、それを証明することはできない。

このあたりは、一見すると、エンドレスエイトみたいなループものに見えるけれど、それとは違う、ということだよね。

エンドレスエイトの場合は、神様は別にいて、単にハルヒがハルヒの力で時間を何度もループさせていただけど、青ブタの場合は、朋絵がまさに神であって、彼女が全ての未来シナリオを書いてしまう。だから、リセット、というか、リブートの日時は、最初の6月27日になる。
(この場合、「戻る」という表現は妥当でないわけで)。

一応、最後にちゃんと、双葉が、朋絵のもった未来シミュレート力について、念を押すようにふれていたしね。

ともあれ、こういうところが、今風。
もちろん、咲太がイケメンなのも。

てか、咲太に限らず、この作品は、CVがいずれもぴったりだと思うところがあって、それが理由で原作に手を出せないのもある。

多分、映像が与える、全体の物語的色気を感じることができないだろうなぁ、と。

あ、そういう意味では、ハルヒにしても、化物語にしても、CVの人たちがやはり10年前の人達だから、もはやベテラン過ぎて、面白みにかけるわけで、そのあたりの、演技のリアル若返り感も大事だと思っている。

いや、そう思うのは、『禁書目録』の3期が、あまりにイタイからで。もちろん、多くは尺の関係もあるわけだけど、さすがに8年前のキャストを踏襲されても、それだけど、もう学芸会というか同窓会というか、そういうセルフコピーにしか見えないよね。

その意味でも、CVも今の布陣で行ってるのは大事。

一応、ここまでの6話で、咲太、麻衣先輩、朋絵、双葉、かえで、翔子、とキャラをちゃんと配置してきたのうまいし、咲太が、基本ぼっちだけど、だからといって、社会に対して背を向けているわけではないところもいい。

そのあたりは、多分、原作として、ハルヒ的なオタク臭は外して、化物語的なイタさ、たとえば、阿良々木くんの「人間強度が下がるから」なんてスカした表現を使ったりしていないところがいいんだろうな。

ともあれ、1クールだけど13話まであるから、残り7話が楽しみだな。
その後に映画も続くようだけど、でも、そこまで力を入れるなら、2クールやってくれればよかったのになぁ、と思ったりもする。

いやー、しかし、久しぶりに、続きが楽しみな物語だ。
すばらしい!

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