BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

メイドインアビス 烈日の黄金郷 第12話 『黄金』 感想: この第2期は冒険者ワズキャンの妄執こそがテーマだったんだな。

2022-09-29 12:35:57 | アビス
やっぱりアビスって場所がすでに魂と身体の混じり合った混沌空間なんだろうな。

2期最終話は2話分の長さだったけど、でもこれ、途中で分断することは話の流れ的に無理だから、大正解だった。

とにかく凄い。

もうなんていうか、ファプタが完全に、一種の幻想破りで、ワズキャンがイルミューイを使って生み出した「成れ果て村」というコロニーを、完全にぶち壊して終わり。

これ、イルミューイの子どもであるファプタからすると、完全に復讐なんだけど、でも、このアビスの深界6層までやってきたワズキャンからしたら、冒険を続けるためのベースキャンプだったんだよな、って改めて思った。

本来なら、成れ果てになって、人間性を喪失して終わり!のところを、とにかく知恵を使いまくって、ここまで生き延びたのだから、このワズキャンの執念は執念でちゃんと正当に評価しないといけないのだと思う。

キャラ的には完全にマッドサイエンティストだけで、でもマッドだろうがどうかに関わらず、謎の世界の扉を開けようとしてあがいたのだから。

冒険ってそういうものでしょ?という過酷さを表現した点で、結局、この第2期の話はワズキャンこそが裏主人公だった、ってことだよね。

というか、ワズキャンがゲーマスか。

状況次第では、ワズキャンは、黎明卿ボンボルドのように、白笛になっていたのかもしれない。

あー、そうか、だから、ナナチは、ワズキャンの策謀に気づけたのか。

ボンボルドの思考様式に通じていたナナチだからこそ、ボンボルドと同類のワズキャンの企んでいた、今度はリコを贄にして自分たちをアビスでも自由に活動できる身体に作り変えようとする計画に気づくことができた。

人の道を踏み外したやつがどんなことをするのか。

未知の謎を解こうとする人の欲望には限りなんてないことに。

そう思うと、これまでの冒険があったからこそ、リコたちはこの危機を切り抜けることができた、ということだった。

ボンボルドが他人の命と身体を踏み台にして、自分の魂だけを転移させ続けることで、一応、人間の装いを保ったのに対して、

ワズキャンは、人間の身体そのものをアビスに適合したものに変貌させようとした。

要するに、ボンボルドは魂だけを取り出して別のボディにその魂を転移死綴ることでアビスでの生存を可能にしたのに対して、ワズキャンは、身体そのものの改造を考えた。

ともに冒険してきた者たち全員で、アビスの攻略を完遂しようと考えた点で、ワズキャンのほうが、ボンボルドよりもパーティリーダーだったのかもしれない。

ボンボルドが徹底した個人主義者であったとすれば、ワズキャンは集団があってこそのリーダーだった。

だからワズキャンには「成れ果て村」が必要だった。

実際、あの村には、あそこまでやってきた人たちがみな、成れ果てのまま、一応は意識を残しながら生活していたのだから。

あれはあれでものすごい快挙だよね。

もちろん、成れ果てであるから、もう半分は死の世界に足を踏み入れていたわけで。

それは、今更ながら成れ果てになってしまったヴエコの様子を見ればよくわった。

あのヴエコは、ナナチからしたらミーティの成れ果て化の再演のように見えて、だから、ちゃんとフォローできたのだろうな。

その意味では成れ果て村って、煉獄のような場所だったわけで。

その中二階のような場所が、その場所を生み出したイルミューイの最後の子どもである異形の子ファプタによって破壊されるという因果。

でもまぁ、ワズキャンも仕方ないな、それは、って思ってたんだろうな。

それでも、レグを使えばファプタを抑え込むことができると思っていたところが、さすがのワズキャンだったわけだけどw

いや、ほんとすごいや、ワズキャンのアビスの底を目指す執念は。

それにしても、イルミューイの体内であるがゆえの、アビスの呪いの解除が可能だった、というのはやっぱりすごい。

ただ、だんだん、このアビスというのが、一種リアルな物質でできたゲーム空間のように見えてきたのも確かで。

なぜなら、もう魂が魂だけで存在することは当たり前になっているし、魂は身体を移り変わることも当たり前になっている。

輪廻転生のサイクルが思い切り早くなっているように思えるし。

ナナチやレグ、あるいはファプタのように、人間とは異なる生命体も誕生している。

前から言っているように、アビスの底で死産の子だったリコが生き返っているのも、もはや異なる生命原理が働いているようだし。

なんていうかねー、もう、このお話は見てるだけで、ホント、いろんなことを考えさせられる。

だから面白いんだけどね。

今期で言えば、リコリコやエンキスのようにオリアニは、物語放棄のアトラクションものになってしまったし、

原作ありのもののほとんどは、なろうの焼き直しか、その反動で人気を博した漫画のになってしまったけど、

この『メイドインアビス』だけはもう、完全にカテゴリーエラーが起こってもおかしくない、唯一性の高い作品で驚愕する。

問題は、これでほぼ原作ストックを使い果たしてしまったので、下手をすると、このまま未完で終わる可能性もゼロではないこと。

この作品のテーマは、どんどん現実世界でもリアルになってきている気がするので(技術的にも、政治的にも)、不幸な賞味期限が来ないでほしいことも含めて、続きを早く転回してほしい、と思う。

デジタルなゲーム世界がリアルの物質で可能になったらどうなるのか。

アビスは、それを可能にする閉鎖生態系のように思うんだよね。

ダンまちのダンジョンと似たようなものとして。

生命のみならず生態系そのものを現出させる不思議物質。

そういう気がしてきている。


とまれ、2期すばらしかった!

どんな形であれ、続きが楽しみだ。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第11話 『価値』 感想: 「価値」とは生きる意志や意味ということなのかな?

2022-09-15 07:35:01 | アビス
烈日のファプタは止まらない…。

という具合で、あっという間に終わってしまった。

とにかく「成れ果て村」の全てを破壊し尽くす苛烈さ。

とはいえ、今回の一番の見せ場は、ベラフをつれてさっそうと現れたナナチ、なんだろうな。

勇者のリコ、戦士のレグに対して、ナナチはやっぱり賢者のポジションだから、ナナチが復活すると、途端にこの先の展開の可能性を読みつつ、事態が進展する、という流れになって面白い。

ベラフが保持していたイルミューイの記憶がファプタに流れ込むことで、ファプタの行動様式が変わっていくし、

それに合わせて、周りの成れ果て村の住人も、自らの身体を供物としてファプタに差し出していく。

といっても、もともとファプタの姉妹を食って成れ果て村の住人がいままで存続してきたことを思えば、イルミューイから預かっていたものをその末っ子であるファプタに返すだけ、というふうにも見えて。

完全に、これ、生態系の中の食物連鎖、物質循環でしかないよね。

となると、すでに一度もとの人間の身体から成れ果ての身体に変わっていることを考えれば、この深界6層においては、魂と身体は分離されうるもので、身体の方は任意に作り変えることができる、ということだよね。

そういう意味では、成れ果て、とは、アビスが用意する一種の生体ロボット身体のようなもの、ってことなんだろうな。

ただし、イルミューイの身体の内部というミクロコスモスでないと、アビスの呪いを免れることはないから、正確には、イルミューイの願いが、人間性を喪失しない成れ果ての存在を可能にしたってことなのかもしれない。

そのイルミューイ内部の小宇宙の生態系の中で各人が担ってきた役割がきっとここでいう「価値」なんだろうな。

広義の交換価値、ってことで。

その交換価値を誰もが担ってきたからこそ、成れ果て村という社会、コロニーが可能になっていた、ということなんだろうな。

そういう意味では、どこまでいってもワズキャンは、この成れ果て村が、最前線のベースキャンプだと思ってたんだろうな。

で、ナナチの推理の通り、リコを使って、成れ果て村の面々を、村を離れても活動が可能になる、ナナチのような成れ果てに変えようと思っていたのだろうな。


ということで、物語も終局。

次回が楽しみ。

けど、これで原作ストックも尽くされるのが悲しい。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第10話 『拾うものすべて』 感想:レグが探しに行ったハクってリコだったのかな?

2022-09-08 00:49:19 | アビス
いやー、もうすごいね。

烈日のファプタは一切進撃をやめず。

しかし、本当に成れ果て村って、イルミューイの体内だったんだな。

なんていうか、生命って何?って思うよね。

要するに、カジャさんたちって、人間の体のなかにいる腸内細菌のようなものだったわけだよね?

それを含めて生態系。

人の体が腸内細菌にとっては生きるための基盤で、その外に出たら生きてはいけず、何かあったら腸内で調整される。

そういう意味では、あのファプタのグロい、レグの腹の中への口からの攻撃って、いろいろと象徴的だったんだな。

あの巨大版が、イルミューイの体内たる成れ果て村を襲うファプタ、ってことでしょ?

よくこんなこと、考えつくよな、全く。

ファプタとレグの因縁は、さすがにちょっと悲しいけど。

しかし、なんでレグは記憶を失くしちゃったんだろう。

それで、微妙に気になったのは、レグもハクを探しに行っていた、ということで。

多分そのハクってリコのことだよね?

でも、ハクとは、レグみたいな自動機械のことを指しているんだよね?

だとすると、リコが、あの遺物のなかで生き返ったのって、実は、ゼロから生体を作り直して、そこに本来なら人間の体に定着すべきリコの魂を入れ込んだ、ってことなのかな?

つまり、リコって、実は生体ロボだったのか?ってこと。

で、そこから振り返ると、レグが、機械型のハクと生体型のハクの中間形態だった、ってことになるんじゃないのかな。

つまり、リコのような生体ロボ(仮)のプロトタイプになるように開発されたのがレグだった。

なんかね、もう、ナナチやこの成れ果て村の住人を見たあとだと、リコが生体ロボだったって言われても全然驚かないし、むしろ、ここまで来ると、そのほうがスッキリする。

ナナチやレグがリコに惹かれるのも、実は「人外」という点でリコも同類だから、ってことじゃないのかな。

あとは、ナナチ、えらいよね。

ちゃんと、夢のミーティとお別れできて。

夢が実体を持つ桃源郷のような場まで作れてしまうのだから、イルミューイの願望って、ホント強固だったんだな。

そのことには多分、ベルフは気づいていたんだろうなぁ。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第9話 『帰還』 感想:ファプタ最強伝説の開幕かぁ。

2022-09-01 15:56:59 | アビス
もうなんかね、凄いね、この展開。

いろいろと容赦がなさすぎ。

・・・って主には作者の各キャラに対する仕打ちのことだけど。

これ、ファプタとワズキャンたちの因縁をどう解決するか、って話にならざるをえないし、そこに遅まきながらナナチも次回から絡んでくるって流れだな。

しかし、なんていうか、やっぱりリコの存在があまりにも天使めいてるな。

ワズキャンの本意まで見抜いてしまうところとか。

リコは深層で死産だったのが復活?した存在だから、魂の姿により敏感になるのだろうか?

リコがアビスの使者みたいに見える時があるんだよね、あまりにも慧眼で。

もっともナナチと出会うきっかけになった、もう少しで死にそうだったリコというエピソードもあったから、もう少し複雑なのだろうけど。

でもそこに、干渉機という呼ばれる半分生体で半分ロボっぽい、いわばサイボーグなレグと、成れ果てのナナチ、それに白笛になったプルシュカも、リコに同行しているわけで。

これはもう、魂って何?て思わないではいられないよね

で、その中心にいるリコが、いわば死に戻りなわけでしょ。

これ、原作の終着点ってどこまで行くのだろう?

一番怖いのは未完で終わることだ、と最近、マジで思い始めてきた。

いや、ホント、素晴らしい。

こんなに見るたび脳ミソをガツンと叩かれる作品はいまどきないからね。

で、次回は、兄弟姉妹の無念を晴らすファプタの暴虐、ってことになるか。。。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第8話 『願いの形』 感想:こうして成れ果て村は誕生した!

2022-08-25 07:06:01 | アビス
うーん、 何をどう受け止めろ、というんだ? とずっと思いながら見てた。

欲望の揺籃、怖いな。

これ、イルミューイは子どもを生みたい、という欲望がかなった、ということだろうけど、ワズキャンはどうだったのだろう。

何が何でも生き続けたい、ということだったのだろうか。

となると、イルミューイがワズキャンたち冒険隊の命をつなぎ、ワズキャンによってみな「成れ果て」になることができた、ということなのか。

でも、それなら、一応、ナナチが成れ果てでいられたのもミーティの願いがあったあら、ってことになるのかな。

このあたり、展開の胸糞悪さや、慣れ果ての造形のおぞましさから、そして、すでに成れ果て村の行き着く先を、いままさにリコたちが経験しているものになっているという情報を知っているので、読んだり見たりしているときは、なんとなく勢いでスルーしてしまうのだけど、アビスがどんな環境にあるのか知るためには重要なところだよね。

誰もが欲望の揺籃を使えるわけではないけれど、その欲望によって、いわばどろどろになった生命の素?が一つの形をなすようになる、ということなのかな?

そんなことを考えてしまった。

ともあれ、この成れ果て村の住人の生態系の鍵を握っているのが、イルミューイの成れ果て、ということなのだろうな。

いわば世界という成れ果て。

その世界の使徒にあたるのがファプタ、ということなのかな。

でも、ファプタにも個体としての自由意志があるのが不思議なところ。

なんていうか、生命って何? って考えさせられるよね。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第7話 『欲望の揺籃』 感想: 何を見せられているのかイミフ過ぎて気持ち悪い。。。

2022-08-18 00:41:01 | アビス

いきなりヴエコの回想回になったわけだけど・・・

これは辛い。

てか、こんな鬱、ないでしょ?

植民に向かった人びとが現地の風土病に犯される、というのは、それこそ、西欧人がアメリカ大陸やアフリカ大陸に上陸したときに実際にあったことだとはよく言われるけれど、

ヴエコたちの場合は、病気というよりも生命体そのものによる侵食、という感じだよね。

水の中にいる、人間の目には見えない細菌の類が、風土病発症の原因だということを、そもそも、その水と思っていたものが、いわば巨大な細菌だった、ということになるわけで。

要するに、大腸菌が水になったようなもので、その分、視覚的にはわかりやすく描かれてはいるけれど、

でも、そんな巨大なアナロジーを考えつく作者って、それだけでもうイッちゃってるよね?

カワイイ顔でグロテスクなことをやるという、アビスの初期にあった醜さがここに来て全面展開した、って感じで。

その上で、「欲望の揺籃」なる願望器を使うことで、イルミューイに、彼女の母になりたかったという後悔から、とにかくなんか食用に足る生命体、すなわちタンパク質の塊を生み出させる、という役をさせるわけだから。

ホント、この世界のネジのぶっ飛びぶりには心底、反吐が出る。

でも、その方向を選択したのがワズキャンだったっていうのだから、ワズキャンの頭って、黎明卿と大差ないよね。


ということで、今回だけでなく次回も、このヴエコたちの地獄絵図が引き続き描かれる、ということだよね。

いや、原作は、以前に読んだはずなのだけど、見事にディテールを忘れている。

多分、まともに記憶するには、あまりにもしんどかったからなのだろうな、と今更ながら思う。

そうそう、レグの原初形態ともいえる干渉機の存在も気になるところ。

なんていうか、レグって、ロボットからアンドロイドへと、機械体から有機体へと、人工生命体のスペックが変更になる途上にあった試作体、って感じがする。

問題は、そんな干渉機たちを誰が作ったのか、ということになるけれど。

それもまたアビスの意志であるとか言われると、もう何がなんだか、だよなぁ。。。

いや、しかし、ホント、ぶっ飛んだ話だ。

生命とは何か、これほど考えさせられる物語って、今まであっただろうか???

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第6話 『呼び込み』 感想: なんだか『はたらく細胞』を想起させる、久しぶりのリコ活躍回だったw

2022-08-11 12:35:24 | アビス
あいかわらずナナチはおねむ状態。

で、レグもいないから、ひとりリコが奔走する回だったけど、

なんていうか、リコの観察眼のスゴさ、そして作戦立案能力の高さ、つまりは、リーダーとしての敵性の高さを明らかにしたような回だった。

で、途中の戦いでは、とにかくみんな動く動く。

しかし、途中で、巨大な外部からの不気味な闖入者たる「呼び込み」を異形の存在たちがみなでアタックしている様子は、なんか『はたらく細胞』を見ているようだった。

で、思ったけど、この「成れ果て村」の話は、完全に、生物個体のあり方のメタファーだよね。

外部環境から隔絶されているという点で、成れ果て村自体が、ひとつの生態系であり生命体である。

「呼び込み」自体が、細胞壁内に取り込んで外部からエネルギーを摂取する食事に相当するのは明白だし。

なんていうか、生命と物質、生物と非生物、の境界上にある世界が、深界六層なのだろうな。

そういう意味では、六層全体が、物質と生命の混合状態としてのカオスというか。

あ、でも、そういう意味では、アビス全体が、リコたちのような外部侵入者を取り込んで生命活動を続けている一種の生命体=生態系のようなものなのかもしれない。

アビスが食虫植物のようなものと思えばよい。

摂取されるばかりだから、深く潜れば潜るほど後戻りできない。

だって、あとはアビスに捕食されるだけだから。

にしても、いろいろと考えさせられるなぁ。。。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第5話 『秘匿』 感想: これはもう冒険ではなく世界創造の話だよね。

2022-08-04 11:01:15 | アビス
改めて、この物語の主人公がリコであることを思い出さされた回。

ここのところすっかりパーティの仕切り役になっていたナナチがミーティの確保と引き換えに自分の魂を売ってしまい、

レグはレグで、ファプタの出会いから急遽、自分探しのようなループに入り込んでしまった。

その中で、消えたナナチとレグを探そうと、現地の人、ではなく「成り果て」たちに協力をお願いしながら、行動を起こすリコ。

何が言いたいかというと、物語を動かすのはリコだった、ということ。

今回は、この「成れ果ての村」の創造に立ち会って、まだ一応、人の身を残している?ヴエコにたどり着くことで、この村の秘密にも迫ろうとしている。

リコの探究心が物語を動かし、その意味では、レグもナナチもそんなリコのサポーターでしかない、ということ。

で、そのリコに対して、ナナチを取り戻したいなら、相応の対価として身体(の一部)を差し出せ、と迫るベラフの非情さ。

これ、もう完全に悪魔の契約だよね。

対価主義の世界の厳しさという点ではハガレン的でもあり。

ただ、気になったのは、この第六層の話が、第五層までの話とぜんぜん違うこと。

五層までの話は、基本的に、世界は冒険すべき、つまり観察して手にとることのできる客観的な世界としてあった。

でも、この六層の話は、すでに、目の前にあるものが自分の身体や魂とのかかわりで、というか、さじ加減で存在しているものになっている。

その意味では世界そのものがすべて「成れ果て」の論理で回っている。

これはちょっと厳しい。

いわば、世界そのものの変転=進化に、自分自身の選択=意志によって、リアルタイムで関わってしまっている。

そんなもの、もはや冒険ではないよね。

悪魔契約といったのはそういうことで。

自分の意志で文字通り世界を変えることができる。

そんな生態系的変転が可能なのが六層。

いやー、なんて不気味な世界なんだ。

で、そんな不条理な世界をサバイブできるのが、鉄の意志をもったリコというのだから。

この第六層は、人間の欲望が試される場所だね。

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第4話 『友人』 感想: リコ、レグ、ナナチと三者三様で、自らの願望と向き合っていく・・・そんな感じ!?

2022-07-28 09:26:03 | アビス
なんかすごいなぁ。

原作は読んでいたはずなのだけど、間があいていたので、あまり細部を理解していなかったみたい。

とにかく今回は、リコ、レグ、ナナチの3人が、これまで忘れたことにしてきたものをあれこれほじくり回される、そんな感じの回だった。

レグがかつてファプタと出会っていたこととか、

ちゃんと葬ってあげたはずのミーティと再会するナナチとか、

白笛絡みの様々な問題がここに来て噴出しているリコとか、

なんかもうね、大変。

これは、アビスが基本的に下降のみ可能な道行であることから想像できることだけど、どんどん心の奥底へ、深層へと迫っていく感じで、

今回の深界六層は、どうも、魂ってなに?って、身体って魂を容れる器でしかないよね?と、のっけからずっと言われ続けているようで、なんかもう、半分、夢を見ているような気にさせられるのがなんとも。

しかもそこでは、やたらと食事と排泄が併置されるかたちの語りが続くしw

なーんか、完全にフロイトだよなー。

黎明卿の基地が、イド・フロントだったのもわかる。

その先に潜るともうイド=自我は固定できない、ってことでしょ?

上昇負荷で死んだりするのって、もう、無意識で起こったことは、意識のあるレイヤーには持ち込めない、と言われているようなもので。

それでも無理やり上昇しようとすると、成れ果てのような、異形の存在に転じられて、にっちもさっちもいかなくなってしまう。。。

まぁ、だから、ミーティとの再会があったり、白笛となったプルシュカと夢の中で話せたり、なんてことも起こるんだろうな。

人間と生き物の境界を撹乱させ、生き物とモノとの境界も無効化させる。

ホント、面白いなぁ。

レグはきっと、そうした魂を機械に取り込んだ、まさにハイブリッドなんだろうな。

特急遺物のあれこれも、そうした不思議アイテム。

もちろん、そうなると、一体誰がそんなものを作ったのか?ってことになるけど。

その真相がちゃんと明かされる日、すなわち結末は、この物語に本当に訪れるのだろうか?

やっぱり深いよ、メイドインアビス! アビスなだけにw

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メイドインアビス 烈日の黄金郷 第3話 『成れ果て村』 感想: どうしてこんな不可解な生命的存在を創造できるのだろう???

2022-07-21 15:57:53 | アビス
いやースゴイなぁ。

どうしてこんな物語、考えつくんだろう?

もともと『アビス』についてはそう感じるところがあったのだけど、でも、この深界六層に来てからは、もうずっとそう思っている。

それは、リコたちの相手をするのが、もう成れ果てしかいないからだよね。

映画の時までは、黎明卿のように、頭のネジが緩んでいても、相手は一応、人間だったから。

なので、あくまでも、冒険者どうしが、不可解なアビスの現象や生命、謎に挑む、という構図が保てていたけど。

でも、六層の話は違う。

もう相手は、人間やめた奴らばかりだからw

それでも、リコやレグが気が狂わないのは、彼らのバディにすでに成れ果てであるナナチが同行しているからなんだろうな。

そうして少しずつ、感覚が麻痺し、生命のあり方への寛容度が上がっていくw

なんか、そういうとんでもないものをずっと見せられている気が、深界六層ではする。

もっとも、その異様さを多少はマイルドにするために登場したのが、先行して六層を訪れたヴエコたちのパーティの描写なんだろうな。

当然、その過去話も、どこかで現在のリコたちの話に合流してくるのだろうけど。

にしても、ホントスゴイわぁw

これだけ、生命が生きていく上での代謝の諸相について執着している作品もそうそうないよね。

あとは、清算のところで現れる、アビスの意志、のようななにかについても。

アニメだと彩色されているからぼやけてしまうけど、すでにもう、死と生の境目のような、煉獄のような世界に足を踏み入れているのだろうな。

毎回が短くて困るw

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