BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第11話 『あの夏に咲く花』

2011-06-24 17:58:24 | あの花
終わってしまった。
で、終わり方は・・・えー、微妙。
結果的には、評価が難しい作品になったなぁ。。。

ウェルメイドの物語、というには中途半端に思えるからなのだけど。
で、その中途半端さ、というのは、結局のところ、ノイタミナの踏ん切りの悪さに起因しているように思えるからなんだよね。

第一には尺の問題。
第二にはテーマの処理の問題。

簡単に言うと『東のエデン』の時に感じたのと似たフラストレーションを感じた。

つまり、尺が短いから物語が昇華しきれずに、尻切れトンボ的に突然終了する。
(ま、エデンの場合は、映画という続編はあったわけですが、それにしてもね)。

その分、テーマが、問題提起としては斬新なように思えて、解決=終幕がテンプレ的なものに見えてしまう。

あの花、の場合であれば:

前回の「花火」がめんまの願いではなかったというのは判明したものの、その願い(じんたんのお母さんからめんまが頼まれた「じんたんを泣かすこと」)はその過程で既に遂行されてしまっていたこと。

これはその終幕があまりに唐突であることから必然的に尺の問題に帰着させたくなってしまう。たとえば、これが11話、というか1クールではなく2クールであったらどうだったのか。

ノイタミナという「枠」があくまでも、1クールのアニメ二本を毎季積んでいく枠として機能しているようにしか見えない。そういう意味では、一度くらい、変則2クールを実際に試みてしまえば、物語の展開も予測しにくくなるはずなのだけど。何事も前例は大事。

特に、今回冒頭の、バスターズの告白シーンは、その告白が(予想できていたものとはいえ)赤裸々なだけに、この告白会を経たところで、皆で再度めんまに向きあうという展開が欲しかったかな。実際には、その脇で既にめんまは成仏しかかっている、という、いささか肩透かし的な展開だったのが、どうにも。

でも、これはどう考えても尺の問題だと思うのだよね。

で、テーマの処理の方は、一番大きなところで行くと、やはり、これをアニメでやる意味があったのか、というところだよね。思い切りテレビドラマ的展開で。

で、実は、ドラマ的展開そのものは大して気にならない。つまり、アニメだからこうあるべきだ、という見方は取らない方なので。

ただ、それにしても、ドラマとの拮抗の中で何をなすか、というのは結構大事だったと思うのだけど、今回のような終わり方で行くと、単に、めんまという幽霊の映像処理がアニメのほうが容易だったから、くらいにしか思えない。

ドラマとの対比で行けば、そういうところだけでなく、おそらくは、もはやアニメのCVのほうが長回しのセリフを繰り出すことができるところとか、そういうドラマ化の要素を最大限引き出せるのがアニメのほうだ、というので行って欲しかったな。

岡田磨里が注目を集めるのって、昔なら訓練を受けた俳優が長回しを行えたのだけど、最近はタレント出身の役者が増えてセリフ回しが単調になっているのに対して、CVの人たちのほうが、上手く演じきれてしまうから、だと思ってのだけど。

あと、アニメのほうが絵的に好きなことをできるからでもある。

だから、最終3話ぐらいでは、やはり失速したかな。
個人的には8話がやはりよかった。あそこまでだね、よかったのは。

ただ、最終3話の問題は、監督や脚本家の問題というよりは、ノイタミナの制約の方が大きいように見えるな。

もしかしたら、まずは佳作を重ねていくことが大事、ということなのかもしれないが、せっかくオリジナルで勝負するなら、もうちょっと腹くくってほしいな。

ノイタミナの不完全燃焼な感じがなくなるのを強く希望。

とはいえ、あの花、物語的には確かに佳作だった。
個々のキャラはどれも人物として生き生きしてたと思う。
ま、めんまを生き生きしてた、というのはちょっとアレだけど。

幽霊ものって、冒頭から物語の終焉が見えてしまうところがあるわけだから、それをなんとか突破して欲しかった。

ともあれ、めんま役の茅野愛衣の今後の活躍に期待かな。

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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第8話 『I wonder』

2011-06-04 17:40:16 | あの花
「みんな、ごめんね」
「じんたん、ちょっとたんまね」

*

うん、今回は素晴らしい。
めんまが皆の前に「存在」を示そうとする。
その存在が皆に理解されるかどうかは、次回を待たないとわからないのだけど、
でも、めんまは一つ意志を示した。

最高に印象的だったのは、「湯」の字の書いてあるのれんが、フワッと動いたところ。

めんまが入ってきたからのれんが動いているわけで、
本来なら、つまり、いつもの「じんたん」目線のフレームなら、
めんまの姿が「そこ」にあるはずなのだけど、
でも、そこには何もない。
ただ、フワッとのれんが、風に押されたように動いただけ。

ここで初めて、視聴者の側も、「めんまが見えない」普通の世界を体験する。

絶妙の演出だよね。

なぜなら、じんたんを除いた四人にも、のれんが動いたのは「わかる」。
それを見て、じんたんだけが、「めんま」と呼びかける。
これでは、周りの四人は引くしかない。
あれだけじんたんを心配しているあなるですら「やめろ」といい、
つるこも、さすがにじんたんを詰る。

もちろん、その前の(めんまによる無言)電話もあってのことだけど。

でも、そこでめんまが、

「じんたん、ちょっとたんまね」

といって、日記帳に彼女のメッセージを記すわけで。

たぶん、依然として四人にはめんまの姿は見えないのだろうけれど、
状況証拠からしてめんまは「いる」と確信するしかないことになる・・・のだろう。
というか、そうなると信じたい。

今まで、じんたん目線で、じんたんとともにめんまの様子を見てきていたから、
何も不思議に思っていなかったけど、
じんたんの外の視点から見たら、
単にじんたんが狂言を述べているに過ぎないわけで。
今回は、そのことが強烈に示されたというわけで。

救いだったのは、じんたんが狂人扱いされそうな状況でめんまが現れ、
日記帳を霊界通信ノートに変えてしまったところ。
それがなければ、じんたんの扱いが過酷になるはずだったので。
これは、逆に1クールのテンポでよかった。
もっとも、これで、全員が信じるわけではないかもしれないが。

ともあれ、めんまがバスターズのみんなに「存在を明かす」ことになって、
ようやく、5人+1霊で結束、という方向に向かいそう。

となると、次の焦点は、めんまの願いは何か、だよね。

で、ここまでの描写を見ると、やはり、何らかの形で

じんたんのお母さん、ならびに、彼女の死

が絡んで来るのだろう。

めんまが亡くなった「あの日」の招集は、じんたんには内緒で、だったわけだから、
それは、みんなで、じんたんと、じんたんのお母さんを励まそう、というものだったのだろう。

(これは、今回のお墓参りの描写とか、お父さんがおそらくは心労で禿げてしまったと思わせる描写からもわかる。また、今まで何度か、じんたんのお母さんのことを、めんまがフラッシュバックのようにビジョンをみているところからも)

それを行えなかったのが、めんまの心残り。だから成仏できない。

(「あの日」の朝、弟に対して、世界の平和を守りにいく、というようなことをいっていたことからすれば、
じんたんを元気づけることが世界を平和にすることに繋がると、めんまは思っていたのかもしれない)。

でも、その願いは、「じんたんを除いて」行おうと思っていたものだから、
今のところ、じんたんにしか「見えない」めんまからは、じんたんに向かっては言えない。
多分、その縛りが「願いを思い出せない」ことに繋がっている。

ということは、じんたん以外のバスターズと「交信」できることが大切。
その役割を担うのが、今の感じだと、あなるの役になるのだろうな。

ただ、これは辛い。

今回、あなるがじんたんに指摘しているように、

めんまの願いを叶えたら、めんまは消えてしまう。

それを分かっていながら、めんまの願いを叶える方向に向かう。

おそらく、この先も、じんたんを除いて、めんまの姿を見ることはないのだろう。
であれば、なおのこと、あなるは、

あなるには見えないめんまが消えてしまうことで受けるであろう、
じんたんの悲しみを、具体的に共有することはできない。

ただただ、じんたんの気持ちを慮って、「私にもわかる」というしかない。
切ないね。

ともあれ、この、めんまの願いとじんたんのお母さんの繋がりは最終話に向けた大きな物語の柱。

そして、そのお母さん繋がりで行くと、めんまのお母さん=イレーヌをバスターズの面々がどう救うかが、もうひとつの見所で。

多分、こちら側で活躍するのがゆきあつなんだろうな。
めんまを失ったことが大きな心の空白になっているという点では、多分、イレーヌもゆきあつも同じだから。
そのことを視聴する側が理解できるために、例の(めんまになりきる)女装事件の描写があったのだろう。
さらにいえば、イレーヌがつるこの手を強く握りながら、バスターズに恨み節を述べる時のイレーヌの形相を見ることが出来る場所にいたのもゆきあつだったし。

だから、この先は、

あなるがじんたんをケアし、ゆきあつがイレーヌをケアする、

その二つの軸が鍵になるのだろう。

で、最終的には、めんまがじんたんを思って叶えようとする「願い」の向かう先を、イレーヌの方にも向かわせようとするのが、じんたんの役割、ということになるのだと思う。

だから、ここから先は逆に、皆がじんたんに対して「嘘を付く」や「情報を全部伝えない」というような、もどかしさの描写が増えていくように思う。

・・・ということで、『あの花』、このまま突っ走って欲しい。

大林宣彦や岩井俊二の作品を彷彿とさせる物語・構成・演出だけど、もうそれでもいいから、むしろ、アニメでもそういうのはガンガンやれるんだというのを示して欲しい。

残り3話?4話?に、激しく期待。

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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第2話 『ゆうしゃめんま』

2011-04-22 19:31:55 | あの花
うん。やっぱりいい話だね、これは。

ぽっぽの登場によって、じんたんとあなるの接点が回復した?エピソード。

ぽっぽ、ホント、ムードメーカーだな。
あなるも、実は、じんたんのことをずっと気にかけていたわけだね。うん。

結局、彼らが子供の時は、めんまがいわばお姫さまとして、
みんなの中心にいた、ということだよね。

で、そのめんまがこの世から去ったことで、
めんまを中心にできていた繋がりが自然と消えてしまった。

そう考えると、めんまの願いって、

超平和バスターズがもう一度仲良くなること、

って考えるのが自然だよな。

だから、それくらい、ベタベタに分かりきった展開にどんどん突き進むのかどうか。

とはいえ、どうも、ゆきあつやつるこは、一筋縄ではいかなそうだね。
じんたんの登校拒否というのもあるし。

ゆきあつに至っては、めんまへの想いがねじれた形で残っていて。
その姿をつるこはよく知っている。
今回、つるこがあなるに指摘したように、
自分でめんまのことに言及したそばから、その思い出に泣き崩れていたら世話はないわけで。

基本的には、

じんたん と めんま との良好な関係がかつてあって、
多分、二人とも両想いだった。
だって、ブス女!ってじんたんに言われたときの、めんまの表情ったらないからw

ただ、そのエピソードがあるから、
じんたんは、めんまにある負い目を感じているし、
あなるは、めんまとじんたんの二人に引け目を感じていて、
ほんとうはじんたんを想っているのにそのことを切り出せない。

そして、このエピソードについては蚊帳の外にあったゆきあつとつるこは、
しかし、あなるの死によって、蚊帳の外であったがゆえに、
蚊帳の外から、このエピソードを詰る立場に放置されたままになっている。
特に、ゆきあつはね。

めんまの気持ちを踏みにじったまま、めんまを死なせやがって、
というのがゆきあつの心情で、これは消えなくなった。

そして、その様子に感づいたつるこは、そのままゆきあつとともにあることを選んだ。

・・・って感じかな。概ね、彼らの人間関係は。

こう捉えると、めんまが今、現れたのは、

(「secret base ~君がくれたもの~(10 years after Ver.)」で歌っているように
 ホントに10年後なのかね?)

自分の死によって捻れた関係のままで時間が止まってしまった幼なじみたちが
もう一度、仲良くなってくれることを願ってのことなのだろうな、と。

だとすれば、今後の展開で気になるのは、
とりあえず、皆で集まり、ヨリをもどすのが、物語展開上、
中間目標になるのか、それとも、最終目標になるのか、というところだよね、やっぱり。

じんたんの登校拒否のことも考えると、できれば、中間目標にしてもらって、
5人+1幽霊がもう一度仲間として集まったところで、
めんまが求めるホントのこと、を探して成就させるところで終幕、というのを期待したいな。

というか、今回の最後の様子だと、じんたんが「ヒトゴトだよなぁ」と言っていたように、
めんま自身、自分が何をして欲しいかわからないまま、じんたんの前に現れたようだから、
その、めんまの「本当の願い」を皆で探すことがゴールとなるのだと思う。

ゆきあつとじんたんのわだかまりとかも、むしろ、その過程で解消されていく気がするな。


なんにせよ、いい第二話だった。
ポケモンもどきで、昔の思い出とともに、じんたんとあなるの溝が何となく埋まり始めたのもいい。

いやー、ホント、岩井俊二世界であり、大林宣彦世界だね。

それはそうと、めんまのCVの茅野愛衣さんは、きっと本作でブレイクするのだろうな。
ちょうど早見沙織さんが『東のエデン』でブレイクしたように。

そう思ってしまうくらい、めんまがカワイすぎるのだけどねw

いやー、いい話だ。

来週が楽しみ。

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あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第1話 『超平和バスターズ』 

2011-04-20 20:09:40 | あの花
よかったよ。 最後にやっと一つグッと来るものを見つけられた。。。

『あの花』、いいじゃん!!!

というか、これは、日本の映像文化(映画+ドラマ)の王道展開だね。

ノイタミナは、今までいい思いをしたことがなかったので、
実は、放っておいて、ノーマークだったんだけど。

今回のオリジナルはいいじゃん!

というか、

夏、同級生、亡くなった少女、・・・

って、さっきも書いたけど、映像的には超王道。

ま、ちょっと昔の岩井俊二っぽい感じがしないでもない、ってことも含めてフジ的。

でも、これならいいんじゃないかな。

多分、こういった光線の扱い=カメラワーク的なものや、
少しばかり、ケレン味もある(岡田磨里的)セリフ回しや、
自由自在に「動き」を作る感じは、

今ではもう、実写だと厳しいしね。
タレントばかりでいい俳優・女優はいないから。

ある意味、懐かしい岩井俊二的なフジ的映像世界をアニメで再現する、

という感じで。

いろいろな意味で、現代的でしょ。


第一話で示されたことは:

昔仲が良かった同級生が、仲間の一人である「めんま」の死によって、散り散りになった。

そのバラバラが今後、もとに戻ることができるのか。

そして、今はじんたんにしか見えない(幽霊?の)めんまが、
他のメンバーの目にもきちんと映るようになるのか。

多分、めんまを視認できるかどうかが、今あるわだかまりを捨てされるか、ということと並行してるのだろう。

それから、

当然、物語の終幕で予期されるのは、めんまはどうなるのか?

「成仏」という道か、「転生」という道か、・・・

とにかく、皆のもとから去って、そして、再度現れるのか。

そのあたりに集約するはずだよね。

で、この筈だよね、と思わせる王道的なプロットを、どう実際にシャッフルしてくるのか。
そこが、各回の見所になる、って感じかな。


ここまで、第一話でわかりやすく舞台設定と物語の方向感を示したのだから、

それを王道のまんま突き抜けるのか、

それとも、

あえて斜め上を行く方向を目指すのか、

そのあたりを見極めるのが3話ぐらいまでの見所かな。


それはさておき、

第一話は、よかったよ。

最初は何が始まったのかわからなかったけど、
とにかく、めんまとじんたんを軸にして物語を立ち上げた。

それがよかった。

ホントによかった。 やっと安心して見れそうなのが見つかって。




でも、今期のを見て思ったのは、

結局、個人的には、物語がある映像作品、つまりは、映画+テレビ的なものの方が好きで、

データベース化されたフラグの順列組み合わせで作られるアニメ・ゲーム的なものはあまり好かない、

ということのようだ、というのがよくわかってきた。

あるいは、物語的=小説的、でもいいと思うのだけど。

この間、まどマギを特集している雑誌をパラパラ見てたら、

ある人が、虚淵玄さんについて、

「日活ロマンポルノ」のような作品を作る人

と言ってるコメントがあって、あぁ、なるほどなぁー、と思った。

要するに、美少女とか、戦闘とか、魔法とか、その他ガジェットを、
いわば誘引剤というか誘蛾灯にしながら、
そこで、まずは客を集めた上で、
その上で、自分が本当に描きたい世界を仮託して描いてしまう。。。

つまり、見かけの感じと、その見かけの下で進められる物語の間が、徐々に乖離し、
けれども、その乖離が、何か今まで見たこともなかったような、
新しい物語を、結果的に産み出してしまう。

そういうコトなんだと思う。

で、結局、そういう、いわばフュージョン料理=物語を作る手腕を讃えていた。


で、そういうのが見たい、というのが個人的に思っていたことだったんだな、とその時思ったのだった。


そして、今期はどうやら、そういうコトを仕掛けてくるものが、
不特定多数の人達の視聴を重視する地上波局制作のオリジナルもの、ということで
フジになった、ということみたい。

あえていえば、

テレビ vs パッケージ

という構図が明確になった感じ。

というか、その間を埋めるような作品のグラデーションがなくなってきた、ってことだよね。

それが、今期に特殊なことなのか、今後も続くものなのか、というのには、

ちょっと気にしておくことにしようかな。


ともあれ、『あの花』、見つかってよかった。
ホント、ほっとしたよ。

一見するとリアリズムっぽい構成だけど、
既に、めんまが幽霊、というところで、リアリズムを越えてベタにフィクションだから。

そのリアルとフィクションの混在を容認した不思議世界で、
ベタベタな青春世界を描ききって駆け抜けていくことに期待!

王道設定には、是非とも、王道展開!w で応えて欲しい。

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