『物語』シリーズのファイナル・シーズン第一弾。
ネタバレ的な記述もあると思うので、未読の方は予めご了解いただきたく。
以下、少しスペースを開けておきます。
「よつぎドール」とあるように斧乃木余接が一応、主役というか、スポットが当たる役割。
で、ここのところ、要するにセカンド・シーズンだと何だか当たり前になってしまった、怪異とは何ぞや、ということに再び焦点が当たるような展開。そのために、「人形」である余接の話が挟まれる。
要するに、人外と人間との「境界」は何か、という話。
で、その境界線上にあった阿良々木くんに異変が起こり、自発的に吸血鬼化が進んでしまう・・・、という話が被さってきて、その吸血鬼化の進行を抑えるには、これ以上、忍を便利に使ってツーマンセルの吸血鬼コンビ(一時的)になってはならない、という制約条件が付きました、というのが今回の一番のポイントかな。
つまり、いわゆる変身ヒーローものにおける終盤に必須の、変身回数の制限が付けられたという設定。
あと一回変身したら、君はもう二度と立ち上がることはできないんだ!・・・という展開。
いやー、これは王道中の王道フラグだよね。
で、その制約条件を巡って、不死系怪異の壊滅(というかバトル)を信条とする影縫余弦と、元吸血鬼の忍の間で、完全吸血鬼化を巡って板挟みにあう阿良々木くん、という構図。
吸血鬼化したらガチで倒すぜと宣言する余弦と、二人して吸血鬼になることもまた一興とある意味で軽く誘惑する忍、の間で、とりあえずは、人外ではなく人間に留まることを選択する、優柔不断というか、状況に流されやすい阿良々木くん。
この構図の下で、では、阿良々木くんが吸血鬼に変身できないなら、代わりに僕が戦おう、と、従者というかカプセル怪獣的役割を買って出たのがおののきちゃん。
で、とりあえずある事件がおきて、その解決にまた奔走する阿良々木くん、という具合である意味で、化物語の初期のイメージに戻った感じ。
もちろん、途中で、また妹萌えみたいな、セカンド・シーズンですっかり定番化したシーンが挟まれ、というか、まずはサービスシーン的に物語冒頭で現れる、という構図。
あとは、これもセカンド・シーズンでクローズアップされてきた、忍野メメのかつての学友たちが、いわば阿良々木くんたちとはレイヤーの異なる外部から、この物語世界にちょっかいをだす役割として参加してくる。特に、臥煙伊豆湖の暗躍っぷりがほのめかされる。それと、もう怪しさ満点でちょこちょこ現れる忍野扇。この二人が、何となく、シリーズラスボス的なニュアンスをさらに漂わせてきた・・・。
以上が、概要?かな。
で、面白かったかどうかといえば、まぁまぁ。
「化物」語という怪異の話に焦点を当ててきて、その解明のために、もろもろ張ってきた伏線を、一応は解消しようという方向にあるようで。
これであと2回の「終物語」でこれらの伏線や謎をきちんと回収できたらオッケーかな。
とはいえ、結局、学習塾跡地炎上事件とか、相変わらず放りっぱなしのままなので、多分、ほとんど回収できずに終わると思うけどね。
なんだろうなぁ。
セカンド・シーズンの後半から感じてる、西尾維新、もうちょっと駄目か?
という感じが改めてしなくもない。
いや、ベストセラー作家であることは間違いないのだけど、もう、なんていうのかな、ただただ、ひたすら出版社側の都合で物語を引き伸ばしているだけじゃないのかな、と思えている。この印象はやっぱり拭えない。
だからかもしれないけど、今回、途中まで読んでてて、あれ、これ、どこかで読んだことがあるなぁ、という既視感があって、何かなー、と思ってよく考えてみたら、構成が『戯言』シリーズの最後だった、ネコソギラジカルに何か似てる感じがしたんだよね。
吸血鬼化をしないで要は口八丁手八丁で何とかしようとする阿良々木くんはいーちゃん。
横で何とか彼をサポートしようとする忍は、青色サヴァンの玖渚友。
阿良々木くんの盾になろうと献身的になる斧乃木ちゃんは、闇口崩子ちゃん。
で、どうも人間としては最強臭い余弦は、人類最強の哀川潤。
ついでに言えば、ラスボス臭のする、忍野扇や臥煙伊豆湖は、西東天。
・・・という感じかな。
で、そう考えると、今回は、というかここのところのこのシリーズの話は、臥煙ネットワークの話がチラチラしすぎるんだよね。
だから、一応昇天したことになってる八九寺や、蛇神で一時ラスボス化した千石が、登場しないことはもとより、戦場ヶ原や羽川まで出てくる余地がない(いや、戦場ヶ原は最後にちょっとだけ登場するけど、もはやキャラが違いすぎる)。
なんというか、物語の世界観が変わってしまったというか、
むしろ、なんだか、戯言シリーズのコピーになってきているというか。
そう考えると、八九寺は姫ちゃん(紫木一姫)、千石は想影真心みたいにみえてくるし。
そういう既視感も含めて、ちょっと西尾維新、大丈夫か?という気になってくる。
出がらし感が強いというか。
なので、残り二冊でどうこのコピー感、というか既視感を拭ってくれるか、が鍵かな。
今回の流れを素直に受ければ、メメの再登場はほぼ確定だと思うので、そのあたりで、戦場ヶ原や羽川がもう一度絡んでくるのかな、とか。
忍野忍と臥煙伊豆湖をどこまでマジで扱うのか、とか。
(セカンド・シーズンの勿体つけた感じの伏線の多くは、この二人関連なので)。
そもそも、セカンド・シーズンって、途中、結構時系列バラバラになってたのだけど、あれはあのまま放置されるの?とか。
あとは、残り一回しか変身できないヒーロー設定になってしまった阿良々木くんが、いつ、どこで、その一回を使うのか、・・・とか。
ただ、今回の書かれ方でいうと、阿良々木くんの吸血鬼化は、何となく月火の不死鳥属性を取り込んだだけじゃないのかな、という気もするんだよね。だから、吸血鬼になるのではなく、単に不死属性が増した、ということかな、と。
一応、忍=吸血鬼とは違う不死性を匂わせる記述があったし(だから、一種のこれは叙述トリックだよね)。そもそも忍の吸血鬼化(というか復活)とは独立した現象として阿良々木くんの吸血鬼化が進行していたわけだし。
その吸血鬼化の徴候が現れたのも、全て月火と関わった後のことだしね。
互いに代謝が異常にいいことをわかった上で、その代謝の良さの象徴である髪を洗いあったら、まぁ、何か、怪異の転移とか起こりそうだしね。
というか、月火が何か願をかけて髪を伸ばしっぱなしにしてる、ってことだけど、状況的に考えて、阿良々木くんの大学合格を願ってるわけでしょ、きっと。
だから、その願かけの象徴である髪を扱ったら、やっぱり何かがその願をかけた相手である阿良々木くんに転移すると思うんだよね。
そうやって、つきひフェニックスの話を絡ませてくると思うんだよね、今後。
つまり、もう一度吸血鬼になっても、多分、人外になるわけではないということ。
そういう風に捻ってくるんじゃないかな。
そう考えると、一応、ファイナル・シーズンだから、今まであったことは奔流のように一気に組み合わせてくることもあり得るな、と思えてきて。
だとすると、今回やたらと思わせぶりだった、火憐の空手の師匠が実はあっさり臥煙伊豆湖だったとかで、火憐と神原の繋がりも一気に出てくるとかね。
そういう、ああ、あれとこれはそんなふうにつながっていたのか、というような、荒業的設定開示をしてくるように思える。
なんたって、ご都合主義的な辻褄合わせは西尾維新の十八番だからね。
それをご都合主義的にみせないところが、あるいは、見えても、だってしかたないじゃん、と思わせて強引に物語を畳むのが西尾維新だから。
なので、残り二冊で、そうした西尾維新的豪腕/辣腕が発揮されることに期待したい。
でないと、さすがにセカンド・シーズンの、伏線の散らかしっぷりは問題だと思うんだよね。作家というか、小説家として。
西尾維新には、タダの、萌えラノベ作家にだけはなってほしくないので、是非ともウルトラ級の大団円を期待したい。
そうでないとさすがに、今回の手折正弦の登場と退場は、彼自身が述べた通り、あまりに都合の良い、出来過ぎたドラマだから。
そろそろ、西尾維新も、もう少し大人の作家になって、ちゃんと物語を終わらせることをしてもいいと思うから。
ネタバレ的な記述もあると思うので、未読の方は予めご了解いただきたく。
以下、少しスペースを開けておきます。
「よつぎドール」とあるように斧乃木余接が一応、主役というか、スポットが当たる役割。
で、ここのところ、要するにセカンド・シーズンだと何だか当たり前になってしまった、怪異とは何ぞや、ということに再び焦点が当たるような展開。そのために、「人形」である余接の話が挟まれる。
要するに、人外と人間との「境界」は何か、という話。
で、その境界線上にあった阿良々木くんに異変が起こり、自発的に吸血鬼化が進んでしまう・・・、という話が被さってきて、その吸血鬼化の進行を抑えるには、これ以上、忍を便利に使ってツーマンセルの吸血鬼コンビ(一時的)になってはならない、という制約条件が付きました、というのが今回の一番のポイントかな。
つまり、いわゆる変身ヒーローものにおける終盤に必須の、変身回数の制限が付けられたという設定。
あと一回変身したら、君はもう二度と立ち上がることはできないんだ!・・・という展開。
いやー、これは王道中の王道フラグだよね。
で、その制約条件を巡って、不死系怪異の壊滅(というかバトル)を信条とする影縫余弦と、元吸血鬼の忍の間で、完全吸血鬼化を巡って板挟みにあう阿良々木くん、という構図。
吸血鬼化したらガチで倒すぜと宣言する余弦と、二人して吸血鬼になることもまた一興とある意味で軽く誘惑する忍、の間で、とりあえずは、人外ではなく人間に留まることを選択する、優柔不断というか、状況に流されやすい阿良々木くん。
この構図の下で、では、阿良々木くんが吸血鬼に変身できないなら、代わりに僕が戦おう、と、従者というかカプセル怪獣的役割を買って出たのがおののきちゃん。
で、とりあえずある事件がおきて、その解決にまた奔走する阿良々木くん、という具合である意味で、化物語の初期のイメージに戻った感じ。
もちろん、途中で、また妹萌えみたいな、セカンド・シーズンですっかり定番化したシーンが挟まれ、というか、まずはサービスシーン的に物語冒頭で現れる、という構図。
あとは、これもセカンド・シーズンでクローズアップされてきた、忍野メメのかつての学友たちが、いわば阿良々木くんたちとはレイヤーの異なる外部から、この物語世界にちょっかいをだす役割として参加してくる。特に、臥煙伊豆湖の暗躍っぷりがほのめかされる。それと、もう怪しさ満点でちょこちょこ現れる忍野扇。この二人が、何となく、シリーズラスボス的なニュアンスをさらに漂わせてきた・・・。
以上が、概要?かな。
で、面白かったかどうかといえば、まぁまぁ。
「化物」語という怪異の話に焦点を当ててきて、その解明のために、もろもろ張ってきた伏線を、一応は解消しようという方向にあるようで。
これであと2回の「終物語」でこれらの伏線や謎をきちんと回収できたらオッケーかな。
とはいえ、結局、学習塾跡地炎上事件とか、相変わらず放りっぱなしのままなので、多分、ほとんど回収できずに終わると思うけどね。
なんだろうなぁ。
セカンド・シーズンの後半から感じてる、西尾維新、もうちょっと駄目か?
という感じが改めてしなくもない。
いや、ベストセラー作家であることは間違いないのだけど、もう、なんていうのかな、ただただ、ひたすら出版社側の都合で物語を引き伸ばしているだけじゃないのかな、と思えている。この印象はやっぱり拭えない。
だからかもしれないけど、今回、途中まで読んでてて、あれ、これ、どこかで読んだことがあるなぁ、という既視感があって、何かなー、と思ってよく考えてみたら、構成が『戯言』シリーズの最後だった、ネコソギラジカルに何か似てる感じがしたんだよね。
吸血鬼化をしないで要は口八丁手八丁で何とかしようとする阿良々木くんはいーちゃん。
横で何とか彼をサポートしようとする忍は、青色サヴァンの玖渚友。
阿良々木くんの盾になろうと献身的になる斧乃木ちゃんは、闇口崩子ちゃん。
で、どうも人間としては最強臭い余弦は、人類最強の哀川潤。
ついでに言えば、ラスボス臭のする、忍野扇や臥煙伊豆湖は、西東天。
・・・という感じかな。
で、そう考えると、今回は、というかここのところのこのシリーズの話は、臥煙ネットワークの話がチラチラしすぎるんだよね。
だから、一応昇天したことになってる八九寺や、蛇神で一時ラスボス化した千石が、登場しないことはもとより、戦場ヶ原や羽川まで出てくる余地がない(いや、戦場ヶ原は最後にちょっとだけ登場するけど、もはやキャラが違いすぎる)。
なんというか、物語の世界観が変わってしまったというか、
むしろ、なんだか、戯言シリーズのコピーになってきているというか。
そう考えると、八九寺は姫ちゃん(紫木一姫)、千石は想影真心みたいにみえてくるし。
そういう既視感も含めて、ちょっと西尾維新、大丈夫か?という気になってくる。
出がらし感が強いというか。
なので、残り二冊でどうこのコピー感、というか既視感を拭ってくれるか、が鍵かな。
今回の流れを素直に受ければ、メメの再登場はほぼ確定だと思うので、そのあたりで、戦場ヶ原や羽川がもう一度絡んでくるのかな、とか。
忍野忍と臥煙伊豆湖をどこまでマジで扱うのか、とか。
(セカンド・シーズンの勿体つけた感じの伏線の多くは、この二人関連なので)。
そもそも、セカンド・シーズンって、途中、結構時系列バラバラになってたのだけど、あれはあのまま放置されるの?とか。
あとは、残り一回しか変身できないヒーロー設定になってしまった阿良々木くんが、いつ、どこで、その一回を使うのか、・・・とか。
ただ、今回の書かれ方でいうと、阿良々木くんの吸血鬼化は、何となく月火の不死鳥属性を取り込んだだけじゃないのかな、という気もするんだよね。だから、吸血鬼になるのではなく、単に不死属性が増した、ということかな、と。
一応、忍=吸血鬼とは違う不死性を匂わせる記述があったし(だから、一種のこれは叙述トリックだよね)。そもそも忍の吸血鬼化(というか復活)とは独立した現象として阿良々木くんの吸血鬼化が進行していたわけだし。
その吸血鬼化の徴候が現れたのも、全て月火と関わった後のことだしね。
互いに代謝が異常にいいことをわかった上で、その代謝の良さの象徴である髪を洗いあったら、まぁ、何か、怪異の転移とか起こりそうだしね。
というか、月火が何か願をかけて髪を伸ばしっぱなしにしてる、ってことだけど、状況的に考えて、阿良々木くんの大学合格を願ってるわけでしょ、きっと。
だから、その願かけの象徴である髪を扱ったら、やっぱり何かがその願をかけた相手である阿良々木くんに転移すると思うんだよね。
そうやって、つきひフェニックスの話を絡ませてくると思うんだよね、今後。
つまり、もう一度吸血鬼になっても、多分、人外になるわけではないということ。
そういう風に捻ってくるんじゃないかな。
そう考えると、一応、ファイナル・シーズンだから、今まであったことは奔流のように一気に組み合わせてくることもあり得るな、と思えてきて。
だとすると、今回やたらと思わせぶりだった、火憐の空手の師匠が実はあっさり臥煙伊豆湖だったとかで、火憐と神原の繋がりも一気に出てくるとかね。
そういう、ああ、あれとこれはそんなふうにつながっていたのか、というような、荒業的設定開示をしてくるように思える。
なんたって、ご都合主義的な辻褄合わせは西尾維新の十八番だからね。
それをご都合主義的にみせないところが、あるいは、見えても、だってしかたないじゃん、と思わせて強引に物語を畳むのが西尾維新だから。
なので、残り二冊で、そうした西尾維新的豪腕/辣腕が発揮されることに期待したい。
でないと、さすがにセカンド・シーズンの、伏線の散らかしっぷりは問題だと思うんだよね。作家というか、小説家として。
西尾維新には、タダの、萌えラノベ作家にだけはなってほしくないので、是非ともウルトラ級の大団円を期待したい。
そうでないとさすがに、今回の手折正弦の登場と退場は、彼自身が述べた通り、あまりに都合の良い、出来過ぎたドラマだから。
そろそろ、西尾維新も、もう少し大人の作家になって、ちゃんと物語を終わらせることをしてもいいと思うから。