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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

魔法科高校の劣等生 第21、22巻  動乱の序章編〈上〉〈下〉 感想

2017-07-24 18:12:09 | さすおに
21巻が積読状態だったので、22巻の刊行とともにまとめ読み。
ということで、とうとう三年生になったお兄様の活躍はいかん?

いつも通りスペース、空けときます。































































・・・と書いたところで、20巻の感想も書いてなかったことに気づいた。

なのだが、20巻、ものすごくつまらなかったことを思い出した。
なんか、南海でヘンテコなオーストラリアの魔法師が現れる、なんていうか、つなぎ回?的な、どうでもいい内容。

てか、例の大亜連合の二人との共闘って、いくらなんでも、ありえねー、と思いながら読んだのを思い出した。あ、あと、ほのかの扱いがあんまりじゃない?と。

で、こんな感じの、なんかダラダラした感じの前巻を引き継いだ形の「動乱の序章編」だったわけだけど、これもなんかねー、イマイチだったなー。

てか、もう作者が何やりたいのか、わからないし、そもそも楽しんで書いてないよね、もはや。

個人的には、お兄様の物語の頂点は〈来訪者編〉の3冊だと思うのだけど、あれ以降、ずっとお話のレベルとしては下り坂を下っている。

そんな感じかなー。

いや、今回の話が、いわば怪獣大戦争的な、これまで登場したキャラの、オールキャストで行きます!という感じは、伝わってくるし、きっと、三年生編の最後は、物語的には大団円を迎えるのかもね―、とは思うのだが、

その結果が、22巻の最後にあった、達也と十文字の対決の予感・・・、ってのはなー。
なんか、無理やり、一高キャラで締めよう、という意図から作られた「対立」にしか見えなくて、正直白けた。

そもそも真夜が、今更ながら「十文字と十山には気をつけろ」って、いくらなんでも後出し設定すぎるでしょ。

加えて、十山改め遠山つかさの行動もわけわかんないし。
いや、政府要人の守護という目的はわかるけど、そもそも国を守るためにつくられた魔法師、そのための能力のために自らの感情を失っている・・・って、それ、傀儡廻しの自分が一番の傀儡でしかないじゃん、って感じで、なんだかなー、と思う。

その一方で、十三使徒のバーゲンセールみたいに、一気に「戦略級魔法」がこれでもかこれでもか、と出てくるわけで、それもいきなりだなー、と。

このあたりのパワーインフレも、怪獣大戦争っぽい、と思った理由の一つ。

まぁ、世界には、達也を危機に陥らせるような使い手がいる、あるいは、達也がどうにも相性が悪い魔法師がいる、ってことのデモンストレーションの一環なんだろうけどね。

そして、一年の頃とは真逆の、達也が四葉を正面か背負う格好になって、今まで身内だと思っていた風間や藤林の国防軍や、他の十師族と、袂を分かちそうなのもわかるけれど。。。

もっとも、こういう、なかば内輪もめのようなゴタゴタを沈めて再び共闘関係に持ち込むのが、三年生編の前半で、そうして再び日本国内の各種勢力との協調体制を築き直したところで、おもむろに、諸外国の戦略級魔法師と争う、というのが三年生編の後半なのかもしれないけれど。

今回、ちょびっと不穏な様子を見せたエリカの振る舞いなんて、まさに、あれもしかした仲間割れ?という気にさせておきながら実は違いました!、って展開の先駆けっぽいしね。

で、感じ的には、達也+リーネの日米合同軍が、ロシアと中国の魔法師と対決する、みたいな構図になりそうだけど。
それもちょっときな臭すぎるような気がするんだけど。
どうなんだろうね。

なんか、この先の予想みたいになってしまったけど、じゃあ、肝心の「動乱の序章編」はどうだったかというと、とにもかくにも、新一年の、侍郎と詩奈がウザくて、たまらなかった。
特に、詩奈ね。

あとがきで、この二人でスピンオフができるかもとか書いてあったけど、なんでそんなこと、思えるのか、全く謎だったな。

だって、二人ともただのガキじゃない。
まぁ、1年の時の七宝よりは全然ましだけどさ。
だからといって、そんなキャラが立ってる二人とも思えなかったな。

というか、役割的には、二人とも、ただの狂言回しでしょ。
エリカやレオ、幹比古たちが、物語に絡んでくるためだけの存在。
そして、四葉の係累であることで生じてしまった、達也+深雪との距離感の調整のために、エリカたちが達也たちをどう思っているかを吐露させるための聞き手としての役割。
それが、侍郎と詩奈の役割でしかない。
そういう意味では不幸な二人。
まぁ、それにしても詩奈のガキっぷりに、これで一高最優等で入学、というのだから、単純に、この二年間で、一高のレベルが大幅に、それこそ「ゆとり」並に下がったとした思えない。
だって、一応、真由美と深雪だったわけでしょ。首席入学。
まぁ、あずさもいたけどさ。
でも、その後が七宝と詩奈なわけだから、もはや躾のレベルが格段に下がったとした思えない。
いや、なにがいいたいかというと、そこまで幼稚なキャラにしなくてもいいんじゃない?とおもうわけで。 
でも彼らが幼稚なのは、まさに彼らが初登場する巻のお話のためだからでしょ。
逆に言うと、いくら十師族入りしたからといって、今回の七宝の態度は、ありえないでしょ。
1年で、こんなに変わるなら苦労はしない、って感じで、もうキャラ別じゃん、と思うし。

そういう意味で、やっぱり、この作者は、キャラづくり、というか、キャラの回し方が下手だよね。
一人のキャラをちゃんと描けないから、しかたなく、その場しのぎのために、どんどんキャラの数が増えていく。

そういう意味では、もはや単行本のページ数の一割を占める、人物や設定紹介のページもいらないんだけどね。開いたら30ページもただの、それももはやほとんど参照されない設定のページが続くのって、あり得ないよ。せいぜい4頁で納めろよ!と言いたい。だってもはや森崎なんて出てこないでしょ?本編には。必要ないじゃん、そんな設定w

ということで、ホント、惰性だよなぁ、もはやお兄様の話も。
だんだん、禁書目録の酷さに近づいてきている気がするぞ。

で、ともあれ、今回の話は、達也、というか、四葉が孤立していく「序章」という感じで。
もっとも、本家と分家を含めて、四葉の内輪が結束していくという流れは、あえていえば、二年生編の展開があればこその情報量とも言えるので、この「四葉家の人びと」の結託は、ちょっと気になる。
そして、そこに光宣がどう絡んでくるのかもね。当然、水波も関わってくるだろうし。

そういう意味では、もう十文字だけでなく、徹底的に、今までの敵・味方が入れ替わってしまうくらいの展開のほうが良いかな。かつてのコードギアスみたいにw

十文字サイドに、まりや七草姉妹がついて、達也サイドに、今回、達也を恨んでいるわけではないと一応ははっきりしたエリカたち、達也の級友たちがついて、潰し合うとかね。

てか、もはや七草姉妹、特に真由美なんて、そんな使い方くらいしか絡みようがないんじゃない?
むしろ、21巻の最後で提案された、魔法師アイドル化作戦も、言い出しっぺの七草家が、真由美を人身御供に差し出します!って言ったら、丸く収まっていたんじゃない?と思うし、きっと、真由美もまんざらではないよね。

なんていうか、そういうところで、気持ちよくくだらない方向に遊べないのが、この物語のいささか息苦しいところだよね。
あるいは、そもそもアイドル化路線!みたいなネタを持ち込んだのが失敗だったというか。

だって、達也の孤立化、四葉の孤高化の原因が、深雪に魔法師の広告塔として表舞台に上がれ、という話なのだから、いくら「青年部会」の提案としても、頭、悪すぎ。

むしろ、そんなアホな連中が魔法師だ、という理由で特権を持っている方が危ないというか。

どう考えても、20代?ないしは30代の七草兄よりも、10代の、たとえば黒羽文弥の方が、頭、冴えてるでしょ。

七草が、こんなアホばかりなくせにでしゃばってくるから、四葉が、めんどくさいからもう我が道を歩むわ、ってなるわけでしょ。

ホント、七草、いらねー。

真由美にしても、双子の姉妹にしても、22巻のエリカじゃないけど、美味しいところだけ持っていく、って感じで、マジで空気読まないから、嫌になってくる。

てか、真由美って最初はもっと賢かったと思うのだけど、どんどん世話好きなだけの「おばちゃん」に堕してしまっているのがなんだよねー。いやー、マリじゃないけど、面倒だ、ついていけん、と思うよね。

なんていうか、ここに至って、良家の子女のそこの浅さをこれでもか、とばかりに描写してきているようにも思える。七草だけでなく、十文字の、突然のアンティークオーディオ趣味の紹介も含めて。

こいつすごいなぁ、と最初思わされたキャラが、描写が増えるほど、どんどん矮小化されていくってどうよー、と思うぞ。
十文字は、最初からのおっさんキャラでいいじゃん。
今回みたいに、変に悩ませるなよなぁ、と思う。

そういう意味でぶれてないのが、マリだけ、というのは意外なところなのだが。

・・・とまぁ、こんな感じかなぁ。

ともあれ、今後は、USNAと新ソ連が絡んできて・・・という話になるんだろうけどね。

個人的には、レオとエリカのドイツ話が本編に絡んできてくれると、自然と、達也たちの四葉フィールドに、級友たちも巻き込まれていくことができるようで、それに期待していたのだけど、どうも、それはなさそうな感じだなぁ。

お兄様の物語が、軍事的には、現代の日本を取り巻く政治状況のパロディであることを思うと、やっぱり、USNA(アメリカ)と大亜連合(中国)、そして新ソ連(ロシア)が絡むくらいで、欧州諸国が直接関わることはないんだろうなぁ、と思ってきた。

まぁ、わざわざ新ソ連なんて名前をつけているくらいだから、全体的に右翼的空気の漂うお兄様の世界では、敵役になるんだろうね、きっと。

そういう意味では、最後を上手くたためるのかな、このお話。
・・・とちょっと心配になる。

ともあれ、次の、トーラス・シルバーバレ回に、まずは期待かな。
でもさー、あれ、達也と牛山の連名だったはずだから、
別に、達也がのこのこと出かけずとも、牛山がでればいいだけなんじゃない?と思うけど
どうなんだろうw

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