BLACK SWAN

白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

七つの魔剣が支配する 第13巻 感想: さすがは物語の折返し。鬱展開に塗れる剣花団!

2024-01-10 14:33:51 | 七つの魔剣
ファーカー、そう来たかー。

まさか聖光教団の幹部だったとはね。

そうなると気になるのは、彼がどういう経緯で、オリバーの母と知り合っていたのか、ということだよなぁ。

それによっては、クロエが殺害された理由も、異端である聖光教団にそうと気づかずに迂闊に接近しすぎていたから、だったりしたのかもしれない。

つまり、それ相応にクロエを、あのタイミングで殺害しておく意味が、キンバリー的にはあった、ってことで。

多分、然るべきときにクロエを復活させることまで「込み」の殺害だったんじゃないかな。

だって、クロエって典型的な直観で動くタイプの善人だから、ちょっとやそっとの説得でなびくことはない。

だって、理屈や腹芸が通用しないから。

でも、このまま放っておくと、クロエ伝説にも陰がさすことになって、残念極まりない。

クロエの利用も含めて彼女を取り立てていた連中からしても、これ以上、クロエが人権派に突っ走ったら、引き立てようがない。

クロエは個人であると同時に、十分、公人だった、ってことだよね。

稀代の大魔法使いとして。

だから消された。
ただ、それもあくまでも一時的なもので、後日、復活させることを含めてのものだった。

それを主導したエスメラルダにとって誤算だったのは、クロエの「魂」の全てを引き受けることができなかったこと。

そこからこぼれたものが実子であるオスカーに届き、オスカーの復讐譚を生み出してしまった。

まぁ、それだけ、クロエの力が規格外だったってことだな。

ファーカーもそうしたクロエのポテンシャルに辟易としていたわけだよね。

それが、クロエと言動がそっくりなナナオに対してムカついたところなわけで。

しかし、そうなると厄介なのは、オリバー自身がそう思ったように、ファーカーの思想が、あまりにもクロエの思想とそっくりなこと。

このままだと、オリバーは、人権派としてのファーカーにひきよせられそうだよな。

実母のクロエの後を追うように、


まぁ、生年の長さから言えば、クロエのほうが、ファーカーの言葉をパクっていったのだろうけど。

そのあたりがきっとファーカーとしては癇に障って、それを思い出しながら、似たような「唯我独尊」を示すナナオにムカついてみせたのかもしれない。

で、異端狩りに、反逆者として弑されるくらいならキンバリーの仲間うちの手で、栄誉あるままにクロエを殺した、というのが真相なのかもしれない。

だから、魂だけ刈り取ろうとしたのも、後日、器=身体は違えども、魂を移植して、な魂としてのクロエを再臨させようと考えていたからだと思うのだよね

だったら、セオドールが、ナナオを一本釣りしたのも理解できる。

しかるべきときになったら、ナナオは、クロエの魂を降ろす先としての器=身体として選ばれた、というのが最も納得がいくから。

その意味で、エスメラルダとセオドールは「共犯者」なんだろうな。

で、クロエが復活すべき然るべき時まで、異端刈りとも伍していけるよう、キンバリーを戦闘力のある魔法士を育たる場にしたのではないのか?

というか、そもそも、キンバリーの地下迷宮が、異端の「ゲート」の残骸なのだから、まさに学園がそのまま異端接触のグラウンドゼロってことなのだろうけど。

なんか、そんな感じで、どんどんきな臭くなってきた。


今回の内容としては、もちろん剣花団の仲がギスギスしていったことが一番大き勝ったのだろうけど、でも、最後のファーカーの真意を知った後だと、そうしたいざこざも、然るべきときに向けた通過儀礼でしかないように見える。

ファーカーたちが仰ぐ「異端の神」は、例のカティが接触した神と同じだから、これ、どう考えても、カティは聖光教団入り、まっしぐらだよな。

その傍らにいるオリバーも、片足を突っ込みそう。

作者はあとがきで、次巻以降、戦争が始まる、って書いていたけど、だとすると、剣花団も敵味方に分かれる形になるのだろうな。

ホントはシェラの「出産マシン」の悲劇も重視しなくちゃいけないところなのだろうけど、他の展開が酷くて霞んでしまう。

むしろ、そうした「非人道的」な因襲を魔法界から排斥するために、オリバーたちは立ち上がる、ってことなのかも。

ただ、そのためには、異端狩りのように、戦闘員として魔法士が育成される理由を絶たないとだめで、そうなると、やっぱりまずは「全面戦争」ってことにしかならないのかもしれないけれど。。。

なんか、プロットとしては、司波達也の物語に似てきているようにも思ったり。

兵士として使い潰される魔法使いの運命からの脱出、というゴール。


ということで、次巻次第で、この先、5巻分くらいの物語が決まる気がしてきた。

しかし、結局、人権派、というのが、この物語では、厄介な狂言回しのポジションを確立している、という感じで。

そうなると、俄然、カティの立ち位置が怪しくなってくる。

やっぱり最初に魔に呑まれるのはカティなんだろうなぁ。。。

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七つの魔剣が支配する 第15話 『聖歌(ラストソング)』 感想: ラストソングのシーンはもう少し絵的にがんばってほしかった。。。

2023-10-14 17:23:15 | 七つの魔剣
15話とだいぶ変則的な編成だけど、いよいよ最終回。

オフィーリアが魔に呑まれて、それをカルロスが「お迎え」にいく、という構図。

最後にオリバーが言っていた通り、これこそがキンバリーの日常であり、それを愚直に描くのが、このオフィーリアのエピソードだったわけだけど・・・。

ただこれで終わるのは第1シーズンの終幕としてはどうなのか、と思ってしまった。

おいしいところをもっていったのは、結局、カルロスとゴッドフレイだから。

その直前までの「オリバーたちvsオフィーリア」の決戦?は何だったんだ?と、ちょっと思ってしまった。

せめてあの戦闘シーンと同じ画力の作画で、カルロスによる「お迎え」を描いてほしかったけどなぁ。

あの、カルロスとゴッドフレイが駆けつけたところは、物語的には、その前の戦闘シーンよりもはるかに重要で感動するはずの、盛り上がるところだったはずなのに、あのペラペラの作画でがっかりだよ。

まさか序盤の、え、これが最終回の作画?と思わせられてくらい紙芝居でしかない絵柄で、クライマックスが描かれるとは思ってなかった。

いや、そこはちゃんとクオリティコントロールしようよ。

作画のよいところと悪いところの差が激しすぎて、これ、もう少しなんとかならないものなの?って思ってしまった。

まぁ限られたリソースをどこに集中させるか、ということなのだろうけど。

でもなぁ、最終回くらいは最初から最後まで緊迫感のあるものにしてほしかった。

昔のJCならこんなこと、なかったのにね。。。


まぁ、そうしたアニメの出来としての不満はこれくらいにして。

第1クールの終わり方としてどうなの?というのでいくと、真面目に考えると、このオフィーリアとカルロスが消えた最期は、剣花団の行く末を暗示したものなのか?という気はしてくる。

端的に、将来の、カティとガイを暗示しているのか、ってこと。

原作最新刊まで読むと、剣花団の中で最初に魔に呑まれるのは多分カティだろうと剣花団のみなが思っているし、原作12巻の時点でカティのことを一番考えているのはやっぱりガイなんだよね。

つまり、

オフィーリア → カティ
カルロス → ガイ
ゴッドフレイ → オリバー

とすると、そのまま綺麗に並行関係が成立する。

ゴッドフレイを思慕していたオフィーリアは、その恋の夢に敗れて魔に呑まれ、そのお迎えをカルロスが担ったのだけど、それをそのままなぞると、

オリバーを思慕してカティが、その恋の夢に敗れて魔に呑まれ、そのお迎えをガイが引き受ける、という構図。

あまりにも綺麗すぎて、なるほど、ゴッドフレイの自警団って、オリバーの剣花団の先行事例、反面教師として設定されていたんだと思う他ない。

ということで、剣花団の将来が案じられる。

そういう意味では、オリバーがちゃんと主人公するのは5巻なので、1クールでいいから、2期までやって欲しいところ。

変則的だけど、そんな分割2クールであってほしいくらいだなぁ。

ただ、この先、どんどんカロリーの高いシーンが増えていくから、映像化するのは厳しいかもね。

作れば作るほどショボい映像にしかならない。

全編、あのVSガルダ戦のような立ち回りで見れるならもちろんありだけど。

どうなるかなぁ。

ともあれ、この作品については、原作に取り組んで思い切り楽しめているので、それでもういいかな。

『86』に騙されたので、もう電撃の新シリーズはいいかな、と思ってたけど、本作はマジで当たりだった。

続きが楽しみだ。

2期がやれるならぜひ。

でもなくても十分楽しめているから、いいかな。

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七つの魔剣が支配する 第14話 『淫魔の末裔(サルヴァドーリ)』 感想: ほとんどがオフィーリアとゴッドフレイの回想回。

2023-10-07 17:23:03 | 七つの魔剣
あれまだ続くんだ、と思っていたら、どうやら15回という変則的なクール編成らしい。

ということで次回が最終回なので、逆に、今回は、ゴッドフレイとオフィーリア、カルロスたちの過去回想でほとんど終わってしまった。

必要だから仕方ないのだけど、確かにこの3巻の内容は、オリバーたちよりもオフィーリアとゴッドフレイの描写が多すぎるよなぁ。

そういう意味では、4巻移行を間を空けずに2期としてやらないと、ちょっとこの作品の本当の雰囲気は伝わらないのでは?と軽く案じてしまう。

いや、ゴッドフレイたちは重要なんだけどね。

でも彼らが本当に重要になるのは、それこそ、物語が七合目くらいまで逝ったところだと思うんだよね。

なので、ここでこれだけ尺を使うのはちょっと。。。と思う。

まぁ、オリバーたちもまだ1年だから未熟なんだけどさ。

やっぱり、VSエンリコ戦までやって、オリバーの魔剣の苦しさを真ん中に置かないと見どころがいまいちわからないよなぁ。

ということで、次回が最終回だけど、それよりも早く2期に取り掛かって欲しいところ。

あ、あと、ティム・リンドンは、ある意味、ゴッドフレイよりも重要な役になるはずなのだけど、にもかからずあのCVはないなー。

もうちょっと経験のある人にやってもらえばよかったのに。

ボクっ娘の男の娘のティムは、その立ち位置も含めて、常に微妙な役をひきうけることになるので、もっとちゃんと声で芝居ができると納得させてくれるキャスティングにしてほしかった。

今はまだちょい役だけど、それで終わらないだけに残念。

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七つの魔剣が支配する Side of Fire 煉獄の記 感想:これはそう遠くない将来、ティム・リンドンが、ゴッドフレイかオリバーのどちらかを選ばなくてはならなくなる布石なのか?

2023-10-01 15:37:34 | 七つの魔剣
アルヴィン・ゴッドフレイとその仲間たち、である生徒会/旧自警団を扱った番外編。

なので単なるスピンオフと思っていたのだけど、実際には、キンバリーがどういうところか、本編の方ではもはやそこまで紙幅を割けない「物語の背景/設定」に関する情報提供の場だったw

基本、オリバー寄りの視点から書かれている本編と比べて、もっとフラットに、学園の様子、特にオリバーの復讐相手であるエスメラルダやギルクリストの、別側面から描写もあり、本編も含めてこの物語における善悪の有り様を揺さぶるような構成だった。

特に、ゴッドフレイが本来の才能を発揮できていない事実に即座に気づき、その時点で彼の入試合格を決めたギルクリストなんて、なんだ、普通にしてればいい先生じゃん・・・って思ってしまうような中身。

裏返すと、そんな人物たちがなぜクロエを殺したのか? どうしても気になってしまう。

この番外編は、同時期に本編の11巻が出されていて、その11巻では、オリバーたちの里帰りという設定で、初めて大々的にキンバリーの外の世界、とりわけ普通人と魔法使いがどのように共存しているのか、背景事情が説明されていた。

つまり、11巻が、空間的にいつもとは違う世界が扱われていたとすれば、このゴッドフレイを中心においた番外編は、時間的にいつもと違うキンバリーが扱われた。

そうすることで、オリバーたちの物語の舞台である現在のキンバリーをより立体的に理解することを可能にした。

どちらもきっと、この先の本編で活きてくる情報だったのだろう。

本編とのかかわりという点で言えば、一番気になったのは、ティム・リンドンの存在。

彼は、ゴッドフレイにご執心である一方で、相当オリバーも気に入っている。

でも、この番外編を見るとわかるのは、ゴッドフレイとオリバーの向かうベクトルが真逆であること。

下手をすると、将来、ゴッドフレイとオリバーが衝突する可能性もなきにしもあらず。

もちろん、それはオリバーに母の仇を取る、という暗い使命があるからなのだけど。

実際、2年生当時のゴッドフレイたちを、オリバーの同志でVSエンリコ戦で戦死したカーリー&ロベールの夫婦がいじっていたところを見ると、ゴッドフレイとオリバーとでは周りからも見られ方が真逆なんだろうな、と思った。

で問題は、ティムがその両名とも近しい存在であることで、これはきっと、将来、ティムを大いに悩ますことになるのだろうな。

場合によっては、板挟みにあったティムが、その結果、落命する展開だってありそう。

初期自警団のうち、カルロスもオフィーリアもすでに故人であるためすでに関係なく、ゴッドフレイとレセディの二人は異端狩りに加わってしまって当面の間は再登場の機会がない。

となると、本編で絡んでくるのは新学生統括でもあるティムひとり。

そのティム統括の下で、オリバーたちは4年生としての時間を過ごすわけだから。

どうしたって、ティムに焦点が当たるよね、自警団の中では。

問題は、今回、明かされたティムの実家の「蠱毒」を強いる様子を知ると、ティム自身は、オリバーの復讐心にかなり共感しそうなところ。

でも、その方向性はまさにゴッドフレイによって正されたわけで、となると、必然的に、ティムは、共感した上でそれでもオリバーに対して復讐とは違う道を歩め、という言い方をしてくるのかもしれない。

ともあれ、どうやらオリバーたちが4年生になって以後の展開では、オリバーの君主としての存在が、少しずつ周りにバレていきそうな予感がする。

その中で、剣花団だけでなく、オリバーの周囲にいる懇意の人たちとの間でも、復讐の是非を巡る口論が複数、起こりそうな気がする。

どうなるのだろう?


あ、そうそう、後半の「魔法絵画」の事件は、それを通じてゴッドフレイが《煉獄》の二つ名を得る重要な事件なわけだけど、そこで言っていた「未現実主義(ポストリアリズム)」というのはなかなか面白いコンセプトだと思った。

「未来」に代わり「未現実」を置くのは、平行世界ものが当たり前になった今風の物語設定に適しているし、それを魔法使いが当たり前のように抱く幻想としたのも面白い。

だったらたしかに「魔に呑まれる」ことも起こるはず。

仏教の等活地獄を紹介したことも含めて、キンバリーの魔法使いの闇の深さをよく表現していた。

ということで、想像していた以上に面白かった。

ただなぁ、やっぱりティム・リンドンの将来が不安だよなぁ。。。

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七つの魔剣が支配する 第13話 『賑わいの森(ノイジーフォレスト)』 感想: ピート救出作戦は続く・・・

2023-09-30 11:07:46 | 七つの魔剣
あれ今回で終わりじゃないんだ。

てっきり13話で終わりかと思っていたのでびっくり。

もしかして2クールなのかな?

だとしたら、5巻のエンリコ戦までやることになりそうだけど。

てか、そのほうが、終わり方としては面白いけどね。

でもきっと変則的だけど14話で終わりなんだろうな。

ともあれ、ピート救出のために迷宮に潜ったオリバーたちの魔物との戦いは続く。

で、その中でミリガンは、凡庸なオリバーの奇妙な強さに気づいてしまった。

このくだりのやりとりは原作でもなるほどね、と思っていたのだけど、しかし、こういってはなんだけど、ミリガンくらいでもオリバーの「異常さ」に気づいてしまうということは、実は、上級生から上の経験ある魔法使いたちも当然、気づくことになるはずで。

となると、遠からずオリバーの不可解さがキンバリーの中で話題になりそうなのだけど、どうなのだろう?

原作では4年生になって上級生の仲間入りをしたわけだけど、今後、そういうオリバー自体に皆の関心が集まるようなことも増えるのだろうか?

ちょっとそのあたりが気になった。

ミリガンという人が結構やんちゃでおかしな人ではあるのだけどw

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七つの魔剣が支配する 第12話 『生還率(ポッシビリティー)』 感想

2023-09-23 18:31:35 | 七つの魔剣
ピート救出作戦に向けたあれこれ。

で、結局、ミリガンの監督の下、オリバー、シェラ、ナナオの三人が救出組に。

一方、カティとガイは戦力外通告で居残り組に。

当然といえば当然の切り分けだけど、迷宮に潜ったオリバーたちが実戦を通じて成長する一方で、カティとガイは戦力外となった自分たちが有用になるにはこれからどうすればいいのか、考える機会になる。

そうした忸怩たる思いが後々の成長につながるのだから、シリーズものはやはりいい。

実際、この作品のよく練れているところは、ハリポタを参考にしていることからもわかるけど、キンバリーでの学園生活が7年間あること。

つまり、中高一貫校みたいなものだよね。

その7年間を通じて、それぞれのキャラが成長を経験する、という基本的な構成がある。

しかもそれが剣花団の6人だけでなく、それこそロッシやオルブライト、ステイシーたちまで含めてのもの、というのがいいんだよね。

各人の成長のエピソードは、そのときはお話的には寄り道っぽくなるけど、あとでその経験がちゃんと活きてくる。

この作者はそのあたりの制御がとても上手。

なので、安心して読める。

残念なのは、尺の関係で、どうしてもゴッドフレイたち先輩組の説明が欠けがちになるところ。

まぁ、彼らが活躍するのは、もっと物語が進んでからだから、今の段階では仕方ないのだけどね。

多分、次回が最終回だと思うけど、これ、2期はやるのかな?

原作を最新の12巻まで読んでみた感想では、よく出来たジュブナイルでもあるから、できれば続けて欲しいのだけど、どうなるかなぁ。。。

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七つの魔剣が支配する 第11話 『責務(デューティー)』 感想: 剣花団の戦い方の原型がここで見られた!

2023-09-16 16:15:24 | 七つの魔剣
なるほどねー。

ガイが植物でバリケードを作って、そこを一旦拠点にし、そこでカティが魔獣用のあれこれのアイテムを駆使して三下の魔獣を駆逐し、その間にオリバーが敵の本丸を崩す策を練る。

で、魔法出力に勝るシェラが反抗作戦の口火を切り、それで開かれた活路をナナオの箒が突破し剣で両断する。

ピートだけまだ出番がないけど、いずれ彼はドローンを飛ばして索敵を行うようになる。

という具合に、いつの間にかちゃんと役割分担ができているんだよね、剣花団の面々は。

このときの布陣が、後まで続く基本的な役割分担になって、チームとしての強さを発揮する。

まぁ、ピートは今回、囚われの姫のポジションだから、役割がなくても仕方がないのだけどw


ただ、ここで原型が示された剣花団の布陣が、一体いつまで続くのか?

って、もちろん、この先の、原作でも最新の12巻以後についての話だけどね。

いつかはこの仲良しグループが、敵味方に別れた対峙することになる、あるいは、その前に魔に呑まれてしまうことになる。

そういう病んだ場所がキンバリーだから。

いずれにせよ、その原点がこのオフィーリア事件、ということだよね。

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七つの魔剣が支配する 第11巻 感想: 休暇の外遊がいつの間にか外患との接敵になった!

2023-09-13 18:56:00 | 七つの魔剣
12巻と感想の順番が逆になったけど、11巻は物語の転機となる巻だった。

それもこれも進級前の休暇に剣花団の面々で実家を巡る旅に出たからだけど、結果としてキンバリーの外の、物語が依拠する魔法世界の現状を描写する巻だった。

まぁ、とにかく、情報量がめちゃくちゃ多いw

キンバリーの外に出ることで、これまで何度か出てきた「魔法産業革命」の実態が描かれていた。

なんていうか、この世界では、魔法使い、って、そもそも「人間」じゃないんだね、厳密には。

「人間」とは別カテゴリーの「超人」とでも言うべき存在。

生物としての質がそもそも異なる。

だからなのだろうけど、魔法使いの総数と人類の総数が相関する、という、一種の「人口法則」まで存在する始末。

魔法使いと人間(普通人)の間にも、一種の生態系が成立している。

で、それだけ人間と魔法使いの間で生物としての質の違いが設定されているのなら、そりゃ、カティのアールト家のように、「魔法使いと普通人との関係」に準じた生体系が、トロールやゴブリンのような亜人種との間で成立していてもおかしくないと推測するはずだよね。

そして、だからこそ、12巻でピートの実家で起こったような、普通人が魔法使いに対して慇懃無礼な態度を徹底させようとするのも理解できる。

要するに、ガンダムSEEDにおける、コーディネーターとナチュラルのような生物種としての違いが横たわっているわけで。

普通人がネアンデルタール人で、魔法使いがホモ・サピエンスのようなものだよね。

進化の過程で分岐した生物種。

もっとも、魔法使いと普通人の間に人口総数の相関法則があるから、魔法使いのほうが能力が高いからといって普通人の口減らしを徹底できるわけでもない。

一応は相互依存を確認して共存関係が保たれる。だからこその生態系。

その結果、亜人種の見え方もこれまでとは変わってくるわけで、それを象徴するように、終盤には、シェラの実母のエルフだけでなく、ケンタウロスやドワーフまでも登場する。

しかも彼らとは普通に交流が可能という事態。

シェラの存在が示すように、魔法使いとエルフの間では生殖も可能。

となると、結構、この世界、なんでもありじゃね?と思ったw


しかし、こんなペースで書いているといつまで経っても終わらないので、ここで気になったことを先に思いついたところから書いておくと、

とにかく、テレサの寿命がオスカー同様、短い、というのには驚いた。

加えて、そもそも彼女が「半霊」的存在であるということも。

でも、上で書いたように、そもそも魔法使いが一種の「超人」なのだから、その存在にも様々なバリエーションがあってもおかしくはない。

でも、そうなると、「半霊」については、リヴァーモアが、まさにファウとの子どものような存在としてすでに、半霊存在のウーファを誕生させていることの意味は大きい。

なによりリヴァーモア自身とウーファがすでにテレサと少なからず縁を築いているので、そうなると、今後、テレサの寿命問題についても、なんとか対処法が見つかるのかもしれない。

あわせて、芋づる式にオスカーの寿命についても。

というか、魂魄融合の背後にあって然るべきの「魂魄学」的なものが今後、見出さされる可能性があるよね。

だって、キンバリーの地下の迷宮は、すでにかつての魔法文明の跡地であることがわかっているし、その喪失された文明から、半霊の扱い方を継承したのがリヴァーモアなのだから、いつか、その古代魔法文明の遺産に手が届くかもしれない。

加えて、その古代魔法文明には、きっと、異界からの知恵が関わっているのだろうし。

要するに、異界ならびに異界の神と、滅びた魔法文明とのあいだで何らかの関係があったのではないかということと、彼らの知恵の中には魂魄学も存在したのではないかということ。

なので、異界とのかかわりや、古代文明とのかかわりを通じて、テレサやオリバーの寿命問題にも何らかの対策が将来、練れるのではないか、ということ。

で、びっくりなのは、そうなると、ここで「異界との関係の構築」にものすごい執着をもつカティが、俄然重要な役割を担うこと。

つまり、異界まわりでカティが、半霊・古代魔法文明まわりでテレサが、将来、オリバーの救命のために重要な役割を果たしそうだ、ということ。

それがこの11巻を読んで最初に思ったことかな。

実際、カティの実家での話も、そんな感じのものだったし。

カティの母親からなじられていたけど、カティが選んだ道ならそれを阻むことなど出来ないという判断をしたオリバーは、実は正解を引き当てているわけで。

もしかすると、カティ母はそうした未来を直感したのかもしれない。

あー、でも、ここから先の感想は、もう11巻の範囲を超えて、この物語全体に関わるものになりそうなので、ちょっと機会を改めようかな。

とにかく、カティとテレサだけでなく、剣花団のみんなは、そう遠くない将来、オリバーの存命のためにそれぞれがものすごく重要な役割を果たしそうだと思った。

今までは、ナナオが、オリバーの運命を握る存在だと思っていたのだけど、それだけじゃない、ということ。

今回の亜人種の紹介を知った後だと、エルフと魔法使いのハーフであるシェラの存在も俄然、大きな意味を持つし。

ガイは、今後、呪いを自らの力にするわけだけど、そもそも呪術師がその能力を最大限に発揮するのは、自らの体に潜ませた呪いを相手に挑ませる一種の自爆技だったりするので俄然この先が心配にある。

リバーシのピートは、今後、まさに賢者の道を歩むのだろうし。

意外にも、リヴァーモアは、半霊の扱いという彼の利害も含めて、思い切り今後、関わってくるだろうし。

異界の神の存在を考えると、ゴッドフレイ先輩なんて、もう名前からしてヤバいじゃんっと思うしw

もうなんかね、世界観もキャラ配置も用意周到にねられたものなんだろうな、って感じで、ちょっとびっくりしてきた。

ということで、物語全体の行く末についてはまた別の機会に。

にしても、上級生編、この先、荒れそうだなぁw

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七つの魔剣が支配する 第10話 『主従(マスターアンドナイト)』 感想:オリバー、ナナオ、シェラの活躍を見ながら、ガイ、ピート、カティの3人は何を思っていたのだろう?

2023-09-09 17:51:37 | 七つの魔剣
スーがシェラに喧嘩を売るのは、要するにシェラのバックアップのために分家に出されたことで、実父であるセオドールのみならず義父からの愛も受けずに育てられたことへの恨みつらみなわけだけど、それだけ聞くと、Fateの凛と桜みたいなわけで、やっぱり魔道の一族って、血を絶やさないというのが最上級の配慮事項になるから面倒だな、と思ったり。

一方、雑魚呼ばわりして舐めプしてくるオルブライトに意外なまでにたてついたオリバーは、きっと自分だけの力で極められたわけでないラノフ流に対する誇りを傷つけられるのがきっとたまらないのだろうな。

そういう意味では、オリバーは、自分のことではなく他人の尊厳が損なわれることをなにより嫌う。

もちろん、同志たちの君主として十分な実力を身に着けているのだけど、それとは別の文脈で、本質的に誇りのために戦うんだよな。

その結果が、絶対に負けない剣を極めているオリバーなわけで。

だんだんこのあたりからオリバーのいぶし銀のようなスゴさが表現されていく。

同時に、オリバー、ナナオ、シェラの3人が剣花団の中で別格なのがはっきりしてくる。

その結果、第2列にされたガイ、ピート、カティが、この先、オリバーたち3人に追いつこうと努力し、それぞれの特性を活かして能力を伸ばしていく。

序盤の物語としてはよく出来てるよね。

ただ、その成長のあり方は、どうも原作12巻まで読むと、やっぱり焦りの結果、少し歪なものになっているようにも感じて。

その分、この序盤におけるもろもろの事件が、ガイ、ピート、カティの3人に与えた影響がだんだん気になってきた。

もちろん、目下の物語の中心は、オリバー、ナナオ、シェラの3人と、彼らと対決しているオルブライト、スー、フェイの3人なのだけど。

でも、その戦いをガイ、ピート、カティの3人がどう受け止めたのか、というのがあとあと大事になっていくんだよなー、と思うと、やっぱり構成がよく練られているよね。

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七つの魔剣が支配する 第9話 『迷宮探索(エクスプロア)』 感想:きっといつか今回咲かせた「剣花」も散る日が来るのだろうな。。。

2023-09-02 18:40:42 | 七つの魔剣
いまだに原作も続いているから、どうなるかは不明だけど、でも、この、迷宮1層につくった秘密基地で咲かせた「剣花」がきっといつか裏切られる日が来るのだろうな。。。

まぁ、まだ遠い話だろうが。

なにせ原作最新刊である12巻でもようやく4年生となり上級生の仲間入りを果たしたばかりだから。

でもねー。。。

母クロエの復讐のために〈同志〉たちの君主としてキンバリーの怪物教師たちを成敗するために動いているオリバーがいる以上、学年が上がれば上がるほど、剣花団の6人の結束が内部から崩れる可能性は高まっていくはず。

というか、そもそも、ナナオとシェラの立ち位置が怪しい。

どちらもシェラの父セオドールが仕込んだ「クロエがらみの傀儡」のような存在だと思うから。

いや、最初はナナオが、学園長のエスメラルダからクロエの魂を引き剥がし収めるために世界中をセオドールが旅して見つけた器だった、とだけ思っていたのだけど。

でも、その一方で、実の娘のシェラを、わざわざハーフエルフとして生まれさせたことの意味も少なくないと思っていて。

もともとセオドールもクロエに懸想していた、ということだから、彼の手にクロエが収まらなかったところで、何らかの思惑を持ちながらエルフと婚姻したとしか思えない。

もともとクロエを超える魔法使いを生み出すことを目指してシェラが誕生したのではないか。

それこそ、一種の交配実験の結果として。。。

・・・なんてことを思ってしまうので、いつか、シェラの出生秘話を含めて、オリバーの真意に気づいた彼女が、オリバーのもとから去らざるを得ない展開もあるんじゃないかな、と。

その一方で、ピートとかカティとかは、無条件で〈同志〉の仲間入りを果たしそうだし。

そのとき、ガイがどう動くか、によって剣花団の崩壊がギリギリのところでおさえられるのかもしれない。。。

ともあれ、今回咲かせた剣花は、いつか必ず朽ち果てる危機に瀕するはず。

そのときがいつ来るのか、その結果、オリバーを核にして残りの5人がどのような立ち位置をとるのか、今から気になってならない。

まぁ、その特大の時限爆弾を抱えながら7年間の学生生活を過ごさせるのが、この物語のマゾヒスティックなところなので、仕方ないのだけれどw

ただ下手をすると、7年すら無理かもしれない。

というのも、魂魄融合を強いる結果、どうやらオリバー自身の心身がどれだけの期間、生きられるのか、わからないから。

下手をすると、もっと前倒しで、最終局面がやってくるかもしれない。

ただ、4年生の時点で、もうオリバーはどう見ても同級生のリーダーの筆頭なので、彼が学園に対して行う謀反は、同級生全体を巻き込んで敵味方に分ける可能性すらある。

その全面的な対立状況の到来が今から楽しみでならないのだけどw

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