G20サミットで、米中トップ会談の結果が注目されたが、交渉再開と言うことで、どうにか当座を凌いだ。
しかし、米中の貿易は不均衡だとしても、元々は、トランプが押した横車が発端で、タダでさえ自由貿易には問題のある両国の貿易に更に波紋を投げかけて、世界中に経済危機を煽ってしまった。
さて、著者は、トランプの経済政策をどう考えているのか。
”トランプ大統領は、自由な貿易を否定し、伝統的な製造業をアメリカに復活させることによって、失業した労働者に職を与えようとしている。そして、移民や外国人労働者に対して非寛容な政策を取ろうとしている。こうした政策が失敗することは、火を見るより明らかだ。このような政策がアメリカを強くすることなど決してない。それは、確実にアメリカの産業力を弱めるだろう。”と言う。
”建国以来のアメリカは、古代ローマの再建を目指し、そのビジネスモデルを意識的に模倣し、その理念は、異質性の尊重と寛容だった。トランプ大統領の政策は、控えめにいっても時代錯誤の復古主義で、国のビジネスモデルの基本からみても明らかに誤りだ。”と切って捨てている。
IBMがサービス業に転換し、アップルが水平分業でファブレスを実現し、グーグルがインターネット時代のビジネスモデルを構築した後の世界において、モノを作ることに固守するのは無意味である。と言うことで、
自動車産業はまだしも、鉄鋼業など旧来の重工業を復興させようと、輸入関税を増税して貿易障壁を高くしても、無駄だと言う指摘で、既に時代遅れとなってゾンビ化してしまった産業の生き残り保護は、経済構造の近代化の邪魔となって、アメリカの経済力や国際競争力を削ぐ以外の何物でもないと言うことであろう。
トランプ大統領の票田と化したラストベルト(Rust Belt)、すなわち、五大湖東南岸から大西洋沿岸、そして、ペンシルバニアにかけてのかっての重工業や製造業の中心であった東部海岸工業地帯が錆地帯となって、アメリカ製造業凋落の象徴的な様相を呈して久しいのだが、最近では、液体水素燃料電池の開発、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術および認識技術などの産業を育成するなど、脱工業化に必死なようだが、これを見ても、経済社会の起死回生のためには、産業構造の高度化近代化以外に、アメリカの生きる道はないと言っても過言ではなかろう。
赤い地域がラストベルト(Rust Belt)、ウイキペデイアから借用
以前に、オバマ大統領が、スティーブ・ジョブズに、「iPhoneの生産は、何故、アメリカに戻らないのか?」と聞いたときに、「アメリカに戻ることはない」と答えたと言うのだが、これは、アップルがファブレスで、一切、自社で生産せず中国など国外に外注しているので当然で、トランプ大統領も、アメリカの製造業の実情が分かっていないような発言が多いのである。
尤も、これは一般論で、AIやIOT、ビッグデータが産業界に猛威を振るい始めて、ロボットや機械、インターネットなどが、プロ集団はじめ多くの労働者を駆逐し始めてくると、一気に、事情が変わってくる。
ロボットやAIなどの先端技術が、まず、単純労働から駆逐し始めてくると、新興国や途上国の単純労働が消滅し、労賃などの安いメリットが縮小してくるので、多少、本国回帰の現象も出てくるとする指摘もある。
しかし、ロボットや機械やインターネットなどに代替可能な労働は、自動運転がドライバーを必要としなくなるように、いずれにしろ、排除されて行くので、トランプ大統領が意図するような労働者の雇用増は、AIやIOTに駆逐されないような労働者の能力のアップや産業の高度化近代化を目指して経済政策を打たない限り実現は不可能であろうと思われる。
要するに、トランプ大統領の貿易政策は、自由貿易を排除する時代錯誤の保護主義への回帰であるのみならず、当座凌ぎにしかすぎず、アメリカの産業構造をさらに悪化させるだけで、何の益もない。まして、貿易赤字を目の敵にして、貿易収支の均衡のみを目的にして、相手を罵倒して貿易交渉を行うなど、Gゼロ時代とは言っても、覇権(?)国家のやる所業ではないと言うことであろう。
まして、破竹の勢いの上り龍の巨大な中国、そして、必死になって大唐帝国の再興を目指す中国を、窮鼠猫を食む状態に追い込めば、キャッチアップを促進するだけであって、アメリカの凋落を早めるだけであろう。
ところで、日米安保に触れて、「アメリカは日本の防衛義務はあるが、日本はアメリカを防衛する義務はない、不公平だ」と言っていることについてだが、これも、公平とはどう言うことか、全く分かっていない議論である。
アメリカが、これまで、世界の警察として、公共財としての世界の安全と秩序を維持してきたが、このことが、どれほど、アメリカの国益を守ってきたかを、理解してないとしか言いようがない。
損得を天秤にかけてビジネスをやってきた大統領の悲しさ、
野口教授の説いていたローマ帝国の偉大なアウグストゥス帝のような、高潔な哲人リーダーが、今こそ、求められているということであろう。
しかし、米中の貿易は不均衡だとしても、元々は、トランプが押した横車が発端で、タダでさえ自由貿易には問題のある両国の貿易に更に波紋を投げかけて、世界中に経済危機を煽ってしまった。
さて、著者は、トランプの経済政策をどう考えているのか。
”トランプ大統領は、自由な貿易を否定し、伝統的な製造業をアメリカに復活させることによって、失業した労働者に職を与えようとしている。そして、移民や外国人労働者に対して非寛容な政策を取ろうとしている。こうした政策が失敗することは、火を見るより明らかだ。このような政策がアメリカを強くすることなど決してない。それは、確実にアメリカの産業力を弱めるだろう。”と言う。
”建国以来のアメリカは、古代ローマの再建を目指し、そのビジネスモデルを意識的に模倣し、その理念は、異質性の尊重と寛容だった。トランプ大統領の政策は、控えめにいっても時代錯誤の復古主義で、国のビジネスモデルの基本からみても明らかに誤りだ。”と切って捨てている。
IBMがサービス業に転換し、アップルが水平分業でファブレスを実現し、グーグルがインターネット時代のビジネスモデルを構築した後の世界において、モノを作ることに固守するのは無意味である。と言うことで、
自動車産業はまだしも、鉄鋼業など旧来の重工業を復興させようと、輸入関税を増税して貿易障壁を高くしても、無駄だと言う指摘で、既に時代遅れとなってゾンビ化してしまった産業の生き残り保護は、経済構造の近代化の邪魔となって、アメリカの経済力や国際競争力を削ぐ以外の何物でもないと言うことであろう。
トランプ大統領の票田と化したラストベルト(Rust Belt)、すなわち、五大湖東南岸から大西洋沿岸、そして、ペンシルバニアにかけてのかっての重工業や製造業の中心であった東部海岸工業地帯が錆地帯となって、アメリカ製造業凋落の象徴的な様相を呈して久しいのだが、最近では、液体水素燃料電池の開発、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、情報技術および認識技術などの産業を育成するなど、脱工業化に必死なようだが、これを見ても、経済社会の起死回生のためには、産業構造の高度化近代化以外に、アメリカの生きる道はないと言っても過言ではなかろう。
赤い地域がラストベルト(Rust Belt)、ウイキペデイアから借用
以前に、オバマ大統領が、スティーブ・ジョブズに、「iPhoneの生産は、何故、アメリカに戻らないのか?」と聞いたときに、「アメリカに戻ることはない」と答えたと言うのだが、これは、アップルがファブレスで、一切、自社で生産せず中国など国外に外注しているので当然で、トランプ大統領も、アメリカの製造業の実情が分かっていないような発言が多いのである。
尤も、これは一般論で、AIやIOT、ビッグデータが産業界に猛威を振るい始めて、ロボットや機械、インターネットなどが、プロ集団はじめ多くの労働者を駆逐し始めてくると、一気に、事情が変わってくる。
ロボットやAIなどの先端技術が、まず、単純労働から駆逐し始めてくると、新興国や途上国の単純労働が消滅し、労賃などの安いメリットが縮小してくるので、多少、本国回帰の現象も出てくるとする指摘もある。
しかし、ロボットや機械やインターネットなどに代替可能な労働は、自動運転がドライバーを必要としなくなるように、いずれにしろ、排除されて行くので、トランプ大統領が意図するような労働者の雇用増は、AIやIOTに駆逐されないような労働者の能力のアップや産業の高度化近代化を目指して経済政策を打たない限り実現は不可能であろうと思われる。
要するに、トランプ大統領の貿易政策は、自由貿易を排除する時代錯誤の保護主義への回帰であるのみならず、当座凌ぎにしかすぎず、アメリカの産業構造をさらに悪化させるだけで、何の益もない。まして、貿易赤字を目の敵にして、貿易収支の均衡のみを目的にして、相手を罵倒して貿易交渉を行うなど、Gゼロ時代とは言っても、覇権(?)国家のやる所業ではないと言うことであろう。
まして、破竹の勢いの上り龍の巨大な中国、そして、必死になって大唐帝国の再興を目指す中国を、窮鼠猫を食む状態に追い込めば、キャッチアップを促進するだけであって、アメリカの凋落を早めるだけであろう。
ところで、日米安保に触れて、「アメリカは日本の防衛義務はあるが、日本はアメリカを防衛する義務はない、不公平だ」と言っていることについてだが、これも、公平とはどう言うことか、全く分かっていない議論である。
アメリカが、これまで、世界の警察として、公共財としての世界の安全と秩序を維持してきたが、このことが、どれほど、アメリカの国益を守ってきたかを、理解してないとしか言いようがない。
損得を天秤にかけてビジネスをやってきた大統領の悲しさ、
野口教授の説いていたローマ帝国の偉大なアウグストゥス帝のような、高潔な哲人リーダーが、今こそ、求められているということであろう。