このタイトル「TPP交渉参加 是か非か」は、日経朝刊の「日曜に考える」と言う記事で、賛成派の伊藤元重東大教授と、反対派の山田正彦前農相が討論している。賛否は別としてテーブルに着くのは当たり前で、世界の潮流への交渉参加の是非を問うなど、愚問中の愚問であると思うのだが。
NHKの「日曜討論」でも、「TPP交渉参加に賛成?反対?」をテーマに、両者分かれて討論していた。
議論の争点は、利害の衝突であろうが、要するに、日本国の開国か閉鎖かと言うことだと、私は思っている。
日経の飯田展久氏が、コメントしていて、「TPP参加の慎重派は、おおむね既得利権を守ろうとする立場の人たちが多い。・・・TPPに参加して閉塞感を打破したい。推進派にはこんな思いがある。既存のルールを変えるのは勇気がいる。不安に感じる人も多いだろう。だからといって交渉すら拒んでいては日本はますます縮んだ国になってしまうのではないか。」と言っている。
この見解に、賛成する人は多いのではないかと思う。
私は、人々の幸せを実現できるような民主主義を健全に維持することを目指した資本主義が理想だと思っているので、ある程度の厚生経済的な経済政策を重視すべきだとは思っているが、国家経済は、出来るだけ、門戸を世界に開放して、自由競争による挑戦と応戦に晒すことによって、絶えず、経済社会を若々しく維持して活性化すべきだと思っている。
丁度、世界市場を相手にして、なりふり構わず我武者羅に突っ走っていた戦後の日本や、今日の中国やインドのように、負けても叩かれても、必死になって熾烈な挑戦に対して応戦して行く活力を失ってしまったら、国家の成長も発展も止まってしまう。
それに、日本は、これまで、幕末から明治維新と第二次世界大戦後、外圧とは言え、2度の大きな開国を経験して来たが、益々、成長と発展を遂げてきた。
NHK・TVでの反対派の東大と京大の教授たちは、理路整然と、TPPに参加すれば、日本の農業は大打撃を受けると説いていた。この論点には、全く、異論はない。
しかし、これ程世界的に競争力のない米作りに象徴される日本の農業を維持して来たのは、集票マシーンであった農業を後生大事に過保護して来た日本の政治にあることは間違いないと思うのだが、それもこれも、政官財の癒着による鉄のトライアングルによって構築されて来た社会主義国家日本の蹉跌以外の何ものでもなく、その結果ではないのか。
私も海外に長く住んでいたので、その間は、殆どカリフォルニア米のお世話になったので、コメの何たるかを知っている心算だが、とにかく、資本主義の自由市場経済では、コメのような単純なコモディティの場合には、特別な差別化要因が働かなければ、価格が総てを制するので、日本のように、高い米価では、話にも何にもならないし、保護しようと競争に晒そうと、どう足掻いても、このままでは、日本国民に負担を強いるだけである。
日本の産業でも、国際競争力のあるのは、グローバルベースの激しい競争に晒されて来た輸出産業だけだが、その産業でさえ、例えば、ソニーやパナソニックが、TVで赤字に苦しんでいるように、国際競争力を、どんどん、落とし続けて居り、内需型の製造業やサービス業に至っては、競争力の涵養を怠って来たゆえに、生産性が低くて、国際競争力などは埒外で、日本の経済効率を著しく悪くしている。
日本のMNCたる輸出産業の凋落については、私は、これまで、何度も、知財保護や技術のブラックボックスに固守して自前主義を貫いて、ずっと以前から世界の潮流であるオープン・ビジネス・モデルに移行出来ずに、益々、後ろ向きの囲い込みに徹した企業の総合化に向かって、内向きになって行く経営戦略に警鐘を鳴らして来たが、改まる気配がない。
今話題のANAのボーイング787だが、ボーイングのホーム・ページでは、”この並外れたパフォーマンスは、ボーイングがリードする多国籍のチームが開発する先進テクノロジーにより実現しました。機体構造の50%には炭素繊維複合材を使用、オープンアーキテクチャーは現行の旅客機をより簡素化しながら、機能性の向上を提供する787型機のシステムの中核です。”と書かれており、日本のメディアは、この主翼部分などの相当部分は日本製だとして、鬼の首でも取ったかのように嬉々として報道していたが、あの誇り高きボーイングが、自力の限界を知って、外部のイノベーターの糾合によるコラボレーションを求めて、オープン・ビジネスに向かわざるを得なかった事実こそに、注目すべきなのである。
今や、MNCのグローバル競争は、このオープンアーキテクチュアを活用して、如何にして、オープン・ビジネスをマネジメントして行くか、プライム・システム・インテグレーターとしての経営能力、その経営戦略と手法ノウハウに移っているのだと言う厳粛なる事実を認識すべきなのである。
このマネジメント能力の涵養のためには、世界中に門戸を開いて、グローバルベースで最先端を行く企業とのコラボレーションを希求したオープン・ビジネスの追及以外に道はなく、一瞬の逡巡さえ許されなくなっている。
それでも、内向きになって、国際競争力を失ってしまった内需型産業を、既得利権者の保護と引き換えにまでして、後生大事に守り抜いて、まだまだ、国際競争力があり活力に漲っている先端産業まで道連れにして、日本の凋落を推し進めたいと言うのであろうか。
TPPやFTAに背を向けることは、日本の孤児化を進めることになると思うのだが、まだ、今の内なら、日本人の叡智を絞れば、TPPやFTAによって打撃を受ける産業や組織団体、或いは、個人等関係者を、日本トータルで救済し、活路を見出すべく抜本的な保護政策を打つことは十分に可能だと思われるが、時間が限られている。
グローバリゼーションの巨大な潮流は、日本人の足踏み逡巡を待ってくれないのである。
(追記)TPPに関しては、私の参加賛成論に対して、反対のコメントやトラックバックがあるが、私自身が納得できないような論点や意見なり、或いは、反対がらみの宣伝臭のあるものについては、削除することとしている。
NHKの「日曜討論」でも、「TPP交渉参加に賛成?反対?」をテーマに、両者分かれて討論していた。
議論の争点は、利害の衝突であろうが、要するに、日本国の開国か閉鎖かと言うことだと、私は思っている。
日経の飯田展久氏が、コメントしていて、「TPP参加の慎重派は、おおむね既得利権を守ろうとする立場の人たちが多い。・・・TPPに参加して閉塞感を打破したい。推進派にはこんな思いがある。既存のルールを変えるのは勇気がいる。不安に感じる人も多いだろう。だからといって交渉すら拒んでいては日本はますます縮んだ国になってしまうのではないか。」と言っている。
この見解に、賛成する人は多いのではないかと思う。
私は、人々の幸せを実現できるような民主主義を健全に維持することを目指した資本主義が理想だと思っているので、ある程度の厚生経済的な経済政策を重視すべきだとは思っているが、国家経済は、出来るだけ、門戸を世界に開放して、自由競争による挑戦と応戦に晒すことによって、絶えず、経済社会を若々しく維持して活性化すべきだと思っている。
丁度、世界市場を相手にして、なりふり構わず我武者羅に突っ走っていた戦後の日本や、今日の中国やインドのように、負けても叩かれても、必死になって熾烈な挑戦に対して応戦して行く活力を失ってしまったら、国家の成長も発展も止まってしまう。
それに、日本は、これまで、幕末から明治維新と第二次世界大戦後、外圧とは言え、2度の大きな開国を経験して来たが、益々、成長と発展を遂げてきた。
NHK・TVでの反対派の東大と京大の教授たちは、理路整然と、TPPに参加すれば、日本の農業は大打撃を受けると説いていた。この論点には、全く、異論はない。
しかし、これ程世界的に競争力のない米作りに象徴される日本の農業を維持して来たのは、集票マシーンであった農業を後生大事に過保護して来た日本の政治にあることは間違いないと思うのだが、それもこれも、政官財の癒着による鉄のトライアングルによって構築されて来た社会主義国家日本の蹉跌以外の何ものでもなく、その結果ではないのか。
私も海外に長く住んでいたので、その間は、殆どカリフォルニア米のお世話になったので、コメの何たるかを知っている心算だが、とにかく、資本主義の自由市場経済では、コメのような単純なコモディティの場合には、特別な差別化要因が働かなければ、価格が総てを制するので、日本のように、高い米価では、話にも何にもならないし、保護しようと競争に晒そうと、どう足掻いても、このままでは、日本国民に負担を強いるだけである。
日本の産業でも、国際競争力のあるのは、グローバルベースの激しい競争に晒されて来た輸出産業だけだが、その産業でさえ、例えば、ソニーやパナソニックが、TVで赤字に苦しんでいるように、国際競争力を、どんどん、落とし続けて居り、内需型の製造業やサービス業に至っては、競争力の涵養を怠って来たゆえに、生産性が低くて、国際競争力などは埒外で、日本の経済効率を著しく悪くしている。
日本のMNCたる輸出産業の凋落については、私は、これまで、何度も、知財保護や技術のブラックボックスに固守して自前主義を貫いて、ずっと以前から世界の潮流であるオープン・ビジネス・モデルに移行出来ずに、益々、後ろ向きの囲い込みに徹した企業の総合化に向かって、内向きになって行く経営戦略に警鐘を鳴らして来たが、改まる気配がない。
今話題のANAのボーイング787だが、ボーイングのホーム・ページでは、”この並外れたパフォーマンスは、ボーイングがリードする多国籍のチームが開発する先進テクノロジーにより実現しました。機体構造の50%には炭素繊維複合材を使用、オープンアーキテクチャーは現行の旅客機をより簡素化しながら、機能性の向上を提供する787型機のシステムの中核です。”と書かれており、日本のメディアは、この主翼部分などの相当部分は日本製だとして、鬼の首でも取ったかのように嬉々として報道していたが、あの誇り高きボーイングが、自力の限界を知って、外部のイノベーターの糾合によるコラボレーションを求めて、オープン・ビジネスに向かわざるを得なかった事実こそに、注目すべきなのである。
今や、MNCのグローバル競争は、このオープンアーキテクチュアを活用して、如何にして、オープン・ビジネスをマネジメントして行くか、プライム・システム・インテグレーターとしての経営能力、その経営戦略と手法ノウハウに移っているのだと言う厳粛なる事実を認識すべきなのである。
このマネジメント能力の涵養のためには、世界中に門戸を開いて、グローバルベースで最先端を行く企業とのコラボレーションを希求したオープン・ビジネスの追及以外に道はなく、一瞬の逡巡さえ許されなくなっている。
それでも、内向きになって、国際競争力を失ってしまった内需型産業を、既得利権者の保護と引き換えにまでして、後生大事に守り抜いて、まだまだ、国際競争力があり活力に漲っている先端産業まで道連れにして、日本の凋落を推し進めたいと言うのであろうか。
TPPやFTAに背を向けることは、日本の孤児化を進めることになると思うのだが、まだ、今の内なら、日本人の叡智を絞れば、TPPやFTAによって打撃を受ける産業や組織団体、或いは、個人等関係者を、日本トータルで救済し、活路を見出すべく抜本的な保護政策を打つことは十分に可能だと思われるが、時間が限られている。
グローバリゼーションの巨大な潮流は、日本人の足踏み逡巡を待ってくれないのである。
(追記)TPPに関しては、私の参加賛成論に対して、反対のコメントやトラックバックがあるが、私自身が納得できないような論点や意見なり、或いは、反対がらみの宣伝臭のあるものについては、削除することとしている。