熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

山下 範久 著「ワインで考えるグローバリゼーション」

2022年03月31日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   タイトルのグローバリゼーションとの関わり、その視点が面白いと思ったのだが、私にはワイン談義に興味があった。
   一寸古い本だけれど、北大なのだが、大学にも、このような講座があるとは、面白い話である。
   多少、ポメランツばりのワインの話を期待して読んでみたのだが、予想に反して、本来のグローバリゼーションについては、社会学者の議論展開と言うこともあってか、肩すかしであった。

   さて、ワインをネットショッピングすれば、必ずと言って良いほど目にするパーカーポイント、この記述については、参考になって面白かった。
   パーカーの推薦ワインは、100点満点で評価されて点数がラベリングされるので素人でも分かりやすく、メディアや消費者がこれに踊らされて、生産者もパーカー好みのワインを作るという、その権威が新しい独裁体制を生み、ワインの世界をスキューして行った。
   これに、反して生まれたのが、テロワール。大地を意味するフランス語「terre」から派生した言葉で、「土地に根ざす味わい」「ワインに表現された土地の個性」と言うことで、パーカーリゼイション批判の文脈では、ワインのローカルな個性の擁護の標語となる。と言う。テロワールには、二つの条件、第一には、生産地と消費地との間に物理的にも文化的にも距離があること、第二に、個々の消費地に、物理的・文化的に隔たった複数の生産地からの供給があることとという条件があり、多様のワインのなかからの選択の契機がなければならない。と言う。
   この背景には、流通規模の拡大というグローバリゼーションの上に、低価格化による大量生産から高付加価値化を目指す多品種生産へというポスト・フォーディズム化の流れが重なり合う構造があり、その多様性に価値を見いだすような認識が生じてきた。と言うのである。
   グローバリゼーションのお陰で、何処でもどんなワインでも取得できると言うことであるから、ワイン専門店のネットショップと変らないと言うことなのか、
   いずれにしろ、テロワールと雖も、消費者の多くは、何らかの指標が必用であって、パーカーポイントの高いワインを求め続けているように思う。

   もう、何十年も前のこと、私が、イギリスにいた頃には、Hugh Johnson の「Pocket Wine Book」が、ワイン選びの権威あるガイドブックで、毎年、新版が発行されるので、分かっても分からなくても、楽しみに見ていた。
   今でも、出版されているようで、世界的に、かなり手広く、ワインがカバーされていたので、私が買えるようなシンプルなワインでも記載されていた。
   この本に載っておれば、それなりに評価されているワインだと言うわけであり、パーカーはアメリカ人なので、イギリスでは、ジョンソンの方が権威があるのではないかと思う。
   世界最高の紳士用品店が並ぶジャーミンストリート(Jermyn Street)の外れにジョンソンのこじんまりとした店があって、知人だという友人と訪れたことがあったが、留守で会えなかった。
   ワインの市場が立つのは、本場のフランスやイタリアなどではなくて、ロンドンのシティだと聞いたことがあるが、大英帝国は凄かったのである。

   ところで、私がワインを、それなりに嗜むようになったのは、8年以上ヨーロッパに居て足かけ14年米国やブラジルにも居た海外生活のお陰で、会食やレセプションやパーティなどの度毎に、ワインワインと言うシチュエーションでは飲まざるを得なくなる。
   思い出深いのは、出張や個人旅行などの一人旅で、ヨーロッパ各地を回ったときに、ミシュランの星付きレストランを行脚したのだが、
   ワインは、ソムリエのアドバイスに従ったものの、一度だけだが、ヘビーなフルコースの特別ディナーで、料理毎にそれにマッチしたワインをサーブされたことがあり、非常に素晴しい時間を過ごして、グルメとはこう言うことかと嬉しくなったことがある。8時頃からはじめて、別室でのコーヒーが終った頃には、深夜を回っていたが、ベルギーの鄙びた田舎宿の夜は格別であった。
   また、イタリアのシエナかピサだったと思うが、高級レストランだったが、ソムリエに、その料理にはこれが合うと言って、かなり安い地元のワインを勧められて、これが、思いがけなく美味しかったこともあった。日本においても随分地方も回ったが、地方の料理を地酒で味わう至福の時間も、食と酒のマッチングの為せる技である。
   ヨーロッパ生活で、ワインが、食べる飲み物であることを知った。ワインは、食事の素晴しい伴奏者であって、相性が良いと、両方とも、時には、途轍もなく美味しく頂ける。酔いだけではない夢の世界さえ演出してくれる。

   さて、ロンドンのシティの大晩餐会の思い出だが、チャールズ皇太子のシティの乱開発糾弾の大演説の時と、フィリップ殿下のホワイトタイの晩餐会と皇室主賓の二回の経験があるが、ワインは、白と赤だったが、どんなワインだったか全く記憶にない。
   もう一度、今上天皇が皇太子殿下であった頃、シティのギルドホールで盛大な大レセプションが開かれて参加したが、確か、立食形式であっと思う。
   上等なワインであったのであろうが、十分にワインの知識があるわけではなく、美味しく頂いたと言うことであろうか。
   8年間、ロンドンなどヨーロッパで暮らしていると、公私ともに、随分多くのレセプションや宴会など、ヨーロッパ人との会食機会があり、ワインもそれぞれに思い出があり、ワイン選択の大半は、彼らに任せたのだが、結構良い勉強になった。
   尤も、自宅で接待することもあったので、この時は、ヒュー・ジョンソンのワインブックを繰って勉強して、Fortnum & Masonに行って、ワインを調達した。
   日本だったら、下戸が多いので、酒の銘柄を考えて食事を準備するかと思うと不思議な感じであった。
   蛇足ながら、欧米人やアフリカ人など外人は、消化酵素があって酒に強いが、これに競合する日本人は、ほんの2割で、8割は酒に弱くて酔われてダメで、残りの2割は酒を受け付けないと言われている。
   私は欧米人並みで、ヨーロッパ生活以前は晩酌さえしなかったが、今では、夕食に赤ワインを少々嗜むようになっている。
   酒を飲めない人は、人生の楽しみを半分失っていると言う人もいるのだが、さて、どうであろうか。
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わが庭・・・黒椿、そして、赤加茂本阿弥

2022年03月29日 | わが庭の歳時記
   いつも、椿としては、一番遅く咲く黒椿が綺麗に咲きだした。
   黒椿というタイトルで買ったので、椿の名前は分からないのだが、私が育てていたブラックオパールやナイトライダーと言った洋椿ではなさそうである。
   しかし、花付きが良くて、びっしりと蕾を付けたので、適当に蕾を間引いたのだが、生命力が強くて、先の洋椿とは全く違っていて、育てやすいのが良い。
   もう一つ、大輪の黒椿ブラックマジックは、残念ながら、今年は、蕾を一つも付けなかった。
   黒い花というのは、魅力的で、昔、オランダのキューケンホフで、黒チューリップを見て感激して、日本に帰ってから、わが庭に植えて楽しんだことがある。
   いくら黒い椿だ黒いチューリップだ言っても、漆黒の筈はなく、赤紫が限りなく黒くなったと言った感じで、赤色が残っているその色彩の深みが美しくて魅了するのである。
   さて、黒椿は結構花持ちが良くて、ナイトラーダーもまだ咲き続けている。
   
   
   
   
   
   

   ピンク加茂本阿弥の実生苗が、赤い花を付けた。
   私は、先祖返りの一環として、勝手に、赤加茂本阿弥だと思って育てている。
   中々、綺麗なシックな花で、気に入っている。
   
   
   
   
   日ごとに、何らかの椿の花が、開花してくれるので、楽しみに庭に出ているのだが、やはり、個人の小さな庭には、花期が長くて、比較的小さく育てられて、個々の花を身近に鑑賞出来る椿が一番似合っているように思っている。
   バラも良いのだが、陽当たりの良い広い庭が必用だし、それに、病虫害の心配や施肥、剪定など、結構、手間暇を惜しまずに世話をする必要があり、私のようなレィジーなガーディナーには荷が重い。
   
   
   
   
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わが庭・・・椿 ジュリア・バー、天賜咲く

2022年03月27日 | わが庭の歳時記
   近所の公園や学校などのソメイヨシノは、まだ、蕾が固かったのだが、咲き始めると、わが庭の椿は、毎日のように新しい花を開く。
   今日は、ジュリア・バーと天賜(てんし)。
   ジュリア・バーは、千葉から持ち込んだが、天賜は、大きくなったので、千葉の庭に残してきたので、鎌倉に来てから新しく買った椿だが、私にとっては、両方とも、古くからの愛好椿である。

   ジュリア・バーは、フランス生まれで、ピンク地に白の混じった八重咲きの大輪の派手な椿である。
   やはり、バラ好きのフランス趣味であろうか。
   しかし、椿姫の椿は、安達瞳子さんによると、アルバ・フィレ、乙女椿だという。一寸、イメージが違っていて興味深い。
   
   
   
   

   天賜は、ロンドンから帰ってからすぐに、近所の小さな園芸店で買った椿で、清楚なピンク地に、花弁の底に向かうにつれて少しずつ白くなって行くグラディエーションに魅力を感じたのである。
   最近では、大きなガーデニングセンターが主体だが、昔には、園芸好き花木好きの街角の小さな園芸店の主人がいて蘊蓄を傾けて花を売っていたが、そんな懐かしい牧歌的な世界が消えてしまって実に寂しい。
   8年間、ヨーロッパ生活で留守をして帰ってきたその春に、待ってくれていたかのように、わが庭に綺麗に咲いたピンクの乙女椿に感激して、椿栽培を始めた。この時、同時に植えた崑崙黒と共に思いで深い椿なのである。
   
   
   
   

   嬉しいことに、かなり、大きく育っていた挿し木苗のエレガンス・シュプリームが、はじめて、一気に花を開いた。
   まだ、咲き始めなので、全体の雰囲気はつかめないが、親木より、成長が早いようである。
   尤も、親木は、陽当たりに恵まれない半坪庭に植えてあるので、それは、それなりに存在感があって大切に育てている。
   
   
  
   下草に、ハナニラやシャガが咲き出した。
   何の手入れもしないのだが、毎年律儀に咲き続けてくれる。
   
   

   ウクライナの戦場にも、戦火を免れた草花が、春を待って咲き乱れているのだろうと思うと、胸が痛い。
   ヨーロッパを歩いていて、季節の到来を待って路傍に咲き乱れる草花や花木に感動した思い出が蘇り、無性に懐かしい。
   生きとし生けるものの崇高な息吹に感動できない邪悪な人々が、この21世紀に存在するとは思えない空しさ。
   わが庭の花々も、地続きでウクライナの花々と呼吸を共にしているはず、無事を祈っている。
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わが庭・・・椿 ナイトライダー、ハイフレグランス、鳳凰

2022年03月26日 | わが庭の歳時記
   昨日は急に寒さがぶり返したが、また、暖かさが戻ってくると、一気に、次々と椿が開花し始めてきた。
   遅咲きの筈の黒い椿ナイトライダーが咲いた。
   千葉の庭から移植したので、もう、10数年になるが、木の成長が遅く、それに、病気に罹りやすくてあっちこっち傷んで可哀想である。
   和製の黒椿は、比較的強くて花付きも良いのだが、やはり、このニュージーランド生まれの椿は、日本の風土には合い難いのであろうか。
   しかし、小輪ながら凜とした品のある花弁が魅力的である。
   黒椿が、つぼみを膨らませて、スタンドバイしている。
   
   
      

   鳳凰が一輪咲いた。
   この椿は、鳳凰の姿のように、切れ長の花弁に特徴があるのだが、この花はずんぐりむっくりでイメージが違う。
   蕾の花が、本来の花姿で咲いてくれることを期待している。
   まだ、木が小さいので鉢植えのままであり、水切れを起して、一部枯れさせたのが悪かった。
   椿を大切に育てているつもりでも、結構失敗が多くて、椿に詫び続けている日々である。
   
   
   
   

   淡いピンクの匂い椿のハイフレグランスが咲き出した。
   この椿もニュージーランド生まれなのだが、大輪の清楚な椿で、先に咲いたジュリア・フランスと良く似た花姿で、風雨にやられて傷まなければ美しい。
   
   
   
   
   
   
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わが庭・・・椿 式部、モクレン咲く

2022年03月25日 | わが庭の歳時記
   門扉の外の両脇に花壇があって、本来なら草花を植えるのだが、私は、思い切って、右側に椿の式部、その背後にモミジ獅子頭を植えた。左側には、椿エレガンスシャンパン、その背後に、椿カスケードエレナを植えた。
   当然、大きくは育てられないので、適当にトリミングすべきなのだが、今のところ、しっくりといっている。下草には植えっぱなしの草花が季節毎に咲いていて、いまは、クリスマスローズが咲き乱れている。
   真っ先に、椿は式部が咲き始めたのである。
   小振りの花だが、花芯の唐子が面白く、
   親木は卜半だが、唐子の縁に白い絞りが入っていて目を引く。
   
   
   
   

   わが庭には、モクレンが一株植わっていて、一気に咲ききった。
   シンプルな普通のモクレンだが、背が高いので、桜のエレガンスみゆきと共に、目立って春を演出している。
   
   
   
   
   
   日本スイセンは、咲き終わってしまったが、遅咲きのスイセンが咲いている。
   ギリシャ神話のヒヤキントス、
   可憐な花姿が好ましい。
   
   
   
   

   シャクヤクが、芽吹き始めている。
   桜が満開になれば、一気に、春たけなわとなる。
   
   
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ロシア経済、次の冬までもたない?

2022年03月22日 | 政治・経済・社会
   全国新聞ネットの47NEWSが、
   ”ロシア経済、その絶望的な未来予測 同国の著名経済学者「次の冬までに死に至る」”と報じた。

   編集長が昨年のノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、プーチン政権を批判してきた同国の著名な経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフ氏のインタビュー記事を掲載した。(共同通信=太田清)。 イノゼムツェフ氏は独立系シンクタンク、ポスト工業化社会研究センター所長。国内の他、米国や英国、フランスなどで多数の経済関係や社会評論の著作を出版し、ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきた。3月14日付のノーバヤ・ガゼータに掲載されたインタビュー記事で、制裁や、ロシアの国際的孤立化による企業の収益悪化、インフレにより、次の冬までにロシア経済は「死に至る」と予測した。と言う。
   「ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきた。」という見解は、私がこれまで主張してきた考え方とも、今回のウクライナ戦争という無謀極まりない戦争によって、ロシア経済が崩壊に向かうと言う見解も同じであり、ニュースソースもしっかりしていることもあって、非常に興味を持った。のである。

   私は、1993年までロンドンにいて、ベルリンの壁の崩壊から、ソ連の崩壊による冷戦の終結などについては、ヨーロッパ生活を通して、実感しており、帰国時にザンクトペテルブルク経由で帰ろうとしたのだが、ロシアの治安が異常に悪くて断念したこともあって、当時のロシアの異常な政治社会情勢はよく知っている。
   1991年に新世ロシアが誕生したので、ビジネスチャンス到来千載一遇のチャンスとばかりに、米欧の企業やビジネスマン達が大挙してモスクワに押しかけていて、ロンドンに居ても大変な熱気を感じたのを覚えている。
   資本主義経済やビジネス手法に全く経験と知識のないロシア人との頓珍漢なビジネス談義が興味深かったが、1990年代のロシア経済は、惨憺たる状態で国民は経済不況と貧困に喘いでいて、ソ連時代の面影さえなかった。
   ところが、初期に提携した米欧の石油大手との石油や天然ガス開発が、ようやく、成功して日の目を見始めたのが21世紀に入る頃で、世界的な石油価格の高騰による石油ガスの輸出収入の増加を背景に、ロシア経済は一気に活況を呈して復興して、塗炭の苦しみに喘いでいたロシア人の生活が急速に良くなっていった。
   これに呼応したように、2000年に、プーチンがトップに躍り出たので、ロシアが良くなったのは、須くプーチンのお陰であるとロシア人達は驚喜した。
   しかし、プーチンの国家運営なりリーダーシップが良かったと言うよりは、プーチンは、刈り取り時期にきていた石油ブームの恩恵に預かったと言うべきであって、それに乗っただけかも知れない。濡れ手に粟の天然資源の輸出に胡座をかいて、有効な産業育成政策を怠ってきたので、いまだに、輸出の過半を原油や天然ガスなどの鉱物資源に頼っており、典型的なモノカルチャー経済から実質的に脱皮し得ていない。ロシアの鉱工業は、中心は石油・天然ガスなどの資源産業であり、製造業では防衛産業および航空機産業が目立つ程度で、ロシア製の兵器・特に戦闘機などは国際的な競争力があるものの、自動車産業でも外資の傘下にあり、めぼしい産業は育っていない。石油やガスの好調な輸出の煽りを食ってルーブル高で輸出競争力が落ちた上に、投資に積極的ではなかったので設備は老朽化して工業力はドンドン下落していったという。
   プーチン自身は経済音痴なのは当然としても、経済学や産業政策に明るいテクノクラートの起用を怠った所為もあろうが、石油や天然ガスの輸出に依存しすぎて、経済構造や産業の高度化近代化をミスった失政の功罪は大きく、国力を過信して突入したウクライナ戦争のために死期(?)を早めたと言うことであろうか。一国で自立不可能な経済弱小国では、徹底的な世界規模の経済制裁を受ければ、ひとたまりもないはずなのである。

   イノゼムツェフ氏は、更に、次のように説く。
   米欧の石油禁輸については、中国への代替があるので、それ程落ち込みはないであろうが、深刻なのはロシア中央銀行が米国などに持つ外貨準備の凍結、銀行など金融機関に対する制裁、制裁を科した国の領空でのロシア航空機飛行禁止措置だと指摘した。
   特に金融制裁について、プーチン大統領が債務者の救済措置を約束し、2300トンもの金準備を持つ中央銀行が債務支払い猶予や金融機関への低金利融資などの対策に乗り出す可能性はあるものの、近年活発となっていた国内の消費者金融や、12兆ルーブル(約12兆円)まで膨れあがった国内の不動産担保融資へ与える影響は大きいとした。
   さらに、ハイテク機器の禁輸や、制裁措置には含まれないものの、外国企業の撤退やロシア企業との取引停止が与える打撃は大きく、供給網は途絶え、借入金利も高騰する中、海外への販路は絶たれ、国内消費もしぼむんだ国内の企業は追い詰められ大規模な破綻に追い込まれていくと予測。
   具体的にはインフレ率は年30%に近づき、為替相場は1ドル=200ルーブルとさらにルーブル安が進む。失業者は現在の2倍、貧困層は1・5倍になると絶望的な未来予測を唱えた。
   
   しかし、それよりももっとロシアが長期的に打撃となるのは、ロシアがカントリーリスクの最も高い国になってしまったことで、國際ビジネス環境を毀損して信用を失墜してグローバルビジネスの孤児となり、ロシア経済に大きな齟齬を来すと言うことである。誰もロシアを信用しなくなってしまった。
   プーチンが経済のケも知らないと言うのはこのことで、ロシア政府が撤退する企業の資産を接収すると口にしたことで、ロシアに投資したいとかロシアに進出したいという企業を遮断することになってしまった。
   この一時、取りざたされた撤退企業の「国有化」については、「国を100年前、1917年のロシア革命時に後戻りさせる」(新興財閥インターロス・グループのウラジーミル・ポターニン総裁)などの産業界の強い反対もあり、棚上げされたようだが、撤退企業の私権を制限する動きが、さらなる企業の不信を招き、将来的な海外投資を遠ざける結果に終わると懸念する声も根強い。と言うことである。

   戦争の推移がどうなるかにも依るのだが、このまま、泥沼状態に突入して戦争が継続する限り、次の冬を待つまでもなく、ロシア経済が、崩壊に向かって、1998年頃のような暗黒時代を迎えるのは必然のような気がする。そして、例え、何らかの形でロシアが戦争を止めたとしても、ロシアのグローバル地位はがた落ちとなってしまって、経済が壊滅的な打撃を受けることは否めない。
   経済制裁を受けても、自立に活力を投入するのでロシアはより強くなるとプーチンが強がりを言っていたが、それは、革新的かつ真面な経済システムを維持している国に言えることであって、愛国心など何のその、今や危機を察知したネズミのようにロシアを脱出して、既に20万人が頭脳流出してしまっていると言うロシアにとっては、ただの戯言にしか過ぎない。

   口絵写真は、この記事から借用した、閉店前のユニクロの、そして、下記は、イケアの店頭に集まる客の列である。
   ウクライナ戦争が、ロシア国民の生活を締め付け始めている。
   
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わが庭・・・椿 至宝が咲きだした

2022年03月21日 | わが庭の歳時記
   至宝が、一気に咲き出した。
   赤紫色が基調の美しい芸術的な造形の花で、わが庭に植え始めてから6年経っており、結構大きくなっているので、花付きが良い所為もあって、豪華に咲き乱れ始めている。
   園芸店で苗木を買って、翌年に新枝を取って挿し木を試みたのだが、そのうち2本が育っていて、これらも花を付けている。
   この椿至宝は、名前の如く、園芸店でもネットショップでも、比較的出品されることが少なくて、出ても結構高価なので希少椿と言うべきであろうか。
   丁度乙女椿のように、綺麗な花形に咲いたのは、苗木を買って翌年はじめて咲いた時くらいで、その後、花を付けるのだが、どこか花の形が歪になったり花弁の並びのリズムが狂ったり乱れたりして、完璧な花姿にはならないのが気になっている。
   花の色は、赤紫色で、咲く時期によって濃淡にバリエーションがあり、濃くなるときには青紫に近づくこともあって興味深い。
   この赤紫は、わが庭のバラのあおいに良く似た赤紫で非常に優雅でシックであり、私自身は、京都のイメージを感じて愛でている。
   
    
   
   
   
   

   桜やモミジなどと比べて、椿はヒッソリと咲く穏やかな花であるが、はるかに品があって、雰囲気のある風情が何とも言えず、民家の庭には格好の花木だと思っている。
   バリエーションが豊かで、侘助椿のように、こじんまりしたシンプルな花から、バラと妍を競うような華麗で優雅な花まで、初秋から晩春まで代わる代わる咲き続けて楽しませてくれる。
   殆ど手入れに苦労することなく咲き続けてくれるので、レイジーなガーディナーにとっては、非常に有り難い花木でもある。
   
   
   
   
   
   

   エニシダが、咲き始めた。
   
   
   
   ニューヨークタイムズは、次のように報じている。
   War Has Reached a Stalemate, Analysts Say
A study concluded that Russia has lost its initial campaign and does not have the weapons or manpower to seize Kyiv.
   あるアナリストや調査によると、ウクライナ戦争は膠着状態に陥っており、ロシアは、初期のキャンペーンを失い、キエフを占領するだけの武器や人員を保持していない。と言うのである。
   ロシアは、破れかぶれの最後の足掻きを強行するかも知れないが、何度も言及してきたように、経済弱小国であり国力の貧弱なロシアの限界が露呈して、転落の一途を辿って行く姿が見え隠れし始めている。
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WP:バイデン、習近平にウクライナに対するロシア加担に警告

2022年03月19日 | 政治・経済・社会
   米中首脳の会談について、ワシントンポストの「Biden warns China’s Xi not to help Russia on Ukraine」を読んだ。

   バイデン大統領は金曜日の約2時間のビデオコールで、中国の指導者である習近平に、モスクワが、世界中で避難が渦巻いているウクライナへの壊滅的な侵略を推し進めているこの緊急事に、ロシアに援助を提供すれば、中国は重大な影響に直面するであろうと警告した。
   中国がウクライナの都市や民間人に対して残忍な攻撃を行っているロシアに、物質的な支援を提供した場合の影響と結果を説明し、
   アメリカと同盟国が、金融ライフラインを閉鎖しロシアに厳しい制裁を課している現在、中国は依然として数少ない潜在的に強力なロシア支援国であるので、経済的または軍事的支援を提供しようとしている中国の動きを阻止しようとする米国の緊急的努力の一環である。
   バイデンが如何に説こうとも、中国が独自の決定を下すと言うことだが、
   現状は、3つの世界的な大国間の並外れた相互作用状態において、米国が同盟国を結集し、ロシアの支配範囲を拡大する努力に反対する一方、中国は、中立を維持し、西側を疎外することなくモスクワを支援し、両者との心のこもった関係を維持しようと努めてきたと言う。
   しかし、バイデン政権は、本質的に、こんなことが機能するはずがないと中国に警告した。
   また、米国政府は、ロシアが侵攻する前には、モスクワと北京が最接近しており、習近平がプーチンの行動に影響を与える独自の能力を持っており、プーチンとのこの影響力を利用して、中国が支持すると公言している国際的な規則と原則を擁護する責任があると信じている。と言うのである。

   バイデンは、習近平に、危機における外交的解決策として何が必要かを説いたと言うが、
   バイデン政権が、ロシアを支援することで中国を制裁することを決定した場合、それは地政学的および経済的に重大な影響を伴う。中国経済がすでに苦戦しているときに中国経済への制裁が表すレバレッジの大きさ、世界経済にもたらす可能性のある甚大なリスクを、アメリカは鋭く認識しているとして、オバマ政権の元国務次官補であるダニー・ラッセル氏が、中国に対する制裁の可能性についての警告は、「誰も使いたくない核兵器に少し似ている」抑止力を意味していると論じている。
   中国が直接かつ実質的に、プーチンの戦争努力を支援する場合、制裁を回避するためにサプライチェーンの混乱の亡霊の陰に隠れることはできないと言うことであり、バイデン政権は、中国のロシアとの強い連携についての「深い懸念」を北京に伝え続けている。
   しかし、今回の呼びかけ後に発表された中国の声明は、スタンスの変化を示すものではなかった。と言う。

   中国は、米国とNATOに対して、「ウクライナ危機の核心を解決する」ためにロシアとの対話を行うよう求めたが、ウクライナの平和を達成するために北京がどのような努力をする可能性があるかについては言及しなかった。中国は、「ウクライナ危機」を非難したが、「戦争」と「侵略」という言葉を避けた。ロシアとウクライナの両方が正当な安全保障上の懸念を持っていることを示唆した。中国はウクライナにさらなる人道支援を提供する用意があると述べた。と報じている。
  「習近平は、ウクライナの状況が中国がそれを見たくないほどに発展したことを指摘した」。 「中国は常に平和を主張し、中国の歴史的および文化的伝統である戦争に反対してきた。」と声明は述べているのだが、
   しかし、専門家たちは、北京が近いうちに大きな変化を示すことは疑わしいとみている。

   ブリンケンは、中国は中立的な仲裁者として自らを描写しようとしている一方で、モスクワの侵略を非難することを拒否していると言う。
   中国は、平和と抑制についての決まり文句の煙幕の後ろに逃げ隠れているが、戦争を止めるためには何もしておらず、民間人の死傷者を避けるための対話の必要性について語るが、プーチンとの対話もせずに、民間人の死傷者を出し続けている。
   中国は、西側諸国との関係を維持するために、ロシアとの「無制限」の戦略的提携のバランスを取るのに苦労してきているが、侵略に対する圧倒的な国際的非難の中で、北京の沈黙は、批評家に、中国をクレムリンの行動の共犯者と呼ぶように促して来ている。と言う。

   今回のアメリカの呼びかけだが、中国の立場に実質的な変化をもたらす可能性は低いと考えられており、北京も、ワシントンとの関係が改善されるとも思っていない。
   一部の専門家によると、侵略が第4週に入ると、プーチンへの影響力と中国のロシアとの経済関係を利用して停戦を強制するよう北京に圧力がかかるため、ロシアも西側も両方を不快にさせないとする中国の努力はますます受け入れられないようになってくる 。
   北京はすでに試練に直面している。今週、株式市場は21か月ぶりの安値まで下落し、ガス価格は高騰し、コロナウイルスの症例は全国で新たな封鎖に拍車をかけている。この戦争は、中国にとってひどい時期に大規模な混乱を招いていると言うことである。

   ウクライナに加えて、台湾についても話し合った。一部の外交官は、中国が、ある時点で台湾に言及するための選択肢を維持したいという理由から、ロシアのウクライナへの侵入を批判することを躊躇していると信じている。
   台湾国防省は金曜日、中国の空母山東が、首脳会談の直前に、挑発的な動きとして、台湾海峡を航海したと述べた。
   北京は、ウクライナ危機以来警戒を強めている米国のパートナーである民主的な台湾は中国の領土の一部であり、必要に応じて強制的に支配すると主張している。と述べている。

   私は、これまでにも言及したように、経済的にも軍事的にも、弱体であることを世界中に露呈してしまったロシアの歴史的な凋落は、火を見るよりも明らかである。と思う。
   例え、このウクライナ戦争で、ロシアが、辛くも勝利らしい結果を収めたとしても、
私は、ロシアの国力が持たずに途中で頓挫すると考えているが、
ロシア自身が満身創痍状態となってしまい、その政治経済社会の壊滅的打撃は図りがたく、それにも増して、グローバルベースで、世界中から威信と信用を失ってしまった代償の大きさは想像を絶し、ロシアの国家の尊厳さえ、根底から葬り去ってしまったと言っても過言ではないような気がしている。
   ロシアの信用と威信の回復は至難の業で、営々と築き挙げてきた偉大な歴史と文化文明、素晴しい貴重なロシア民族の遺産を棒に振ってしまった。
   まして、今回のウクライナ戦争で、例え僅かでも中国に援助を得たとすれば、国力の疲弊に加えて、GDP10分の1のロシアが、中国の従属国状態の地位に落ちることは必定で、プーチン皇帝が夢見たエカテリーナ女帝のロシア帝国も旧ソ連の復興も儚く消えてしまった。

   さて、中国だが、チベットに始まって、ウイグル、香港、台湾の人権を徹底的に無視して、自由と平等、平和を重んじる意識の希薄な中国が、ウクライナに対するロシアの侵攻や戦争犯罪に対する抵抗感なり国際法違反に対しては、米欧日など西方民主主義国ほど罪悪感なり忌避意識なりが少ないであろうから、バイデンの警告に対しての対応も、崇高な価値観とは程遠く、中国にとっての損得勘定が優先されるであろう。
   目の上のたんこぶであり、仮想敵国のアメリカへの対抗意識がすべてであろう。アメリカへの対抗力になり得るバランス・オブ・パワーの力学なら何でも活用する方針であるから、アメリカに面と向かって対抗するロシアの存在は、貴重であり、絶対に見捨てるはずがなく、米欧日が如何に説得しようとも、西側に立ってロシアに反対することは考えられない。西側との直接的な軋轢や紛争が生じない程度に、西側とロシア両方に付きつ離れつ、コウモリの姿勢を貫くはずで、中国に有利とならないような形のロシアの説得や仲介はあり得ないように思う。
   また、今回の中国のウクライナ戦争への対応なり姿勢なりが、中国がクレムリンの行動の共犯者と見做されて、一帯一路戦略の眼目であったはずのヨーロッパ諸国の離反を決定的とし、アジアの国でも民主主義的な国の警戒感を醸成したことは間違いなく、国際的な信用の失墜も大きい。
   新冷戦の深刻な幕開けが、ウクライナ戦争で切って落とされた感じで、悲しい限りである。
   
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わが庭・・・椿仙人卜半・菊冬至・バレンタインデー

2022年03月17日 | わが庭の歳時記
   急に暖かい日が続いたので、椿が次々と咲き出している。
   まだ数輪咲きかけただけだが、仙人卜半は、花弁がピンク色の唐子咲きの椿で、蘂が花弁化した複雑に入り組んだ形が気に入って育てている。
   先に開花したマーガレット・ディビスやエレガンス・シュプリームなどと相通ずる唐子咲きで、卜半のように単色のシンプルな唐子ではなくて、形や色がグチャグチャ入り組んでいるほど面白いのだが、昔、某椿園で見た多様な色彩が入り交じった唐子の椿が忘れられずに、探し続けている。
   
   

   時期が遅れた感じだが、咲き始めたのは、バレンタインデー。
   濃いピンクの千重咲きで、かなり大輪で欧米人が喜びそうな椿である。
   まだ、開ききっていないので豪華さは出ていないのだが、わが庭では、派手な存在である。
   
   

   紅地に白斑入りの千重咲きで、やや小振りながら綺麗な椿が、菊冬至。
   何故、「菊冬至」という名前なのか、気になったのだが、京都植物園によると、
   1859年の「椿伊呂波名寄色附」に載る古い品種。
「菊冬至」という名は 「菊綴(きくとじ)」からとか。「菊綴」というのは 直垂や水干、行司の装束などに 縫い目の補強のために付けられた 実用と装飾を兼ねた房飾り。
   
   
   

   最近は、自動車免許を返上して足がなくなって、園芸店やガーデニングセンターに行くことがなくなってしまって、新しい椿を探す機会がなくなった。
   インターネットを叩いて、直感で選んでネットショッピングすることになるのだが、やはり、現物を見て、気に入った椿を見つける楽しみには勝てない。
   千葉に居た時には、暇を見ては、園芸店などをハシゴして、花木の苗木を見つけて育てていて、四季の花々を楽しんでいた。
   年々、少しずつ成長しながら、花の姿を変えて行く、その移り変わりを期待しながら愛でるのも、ガーデニングの楽しみなのである。
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わが庭・・・椿青い珊瑚礁・久寿玉、そして、ボケ

2022年03月16日 | わが庭の歳時記
   青い珊瑚礁は、まだ、小木なので、鉢植えのままなのだが、昨年水切れを起して木を痛めたので、花つきが悪く、やっと、最初の花が咲いた。
   非常に綺麗なネーミングの椿で、結構希少価値のある種類なのだが、青い色の雰囲気は中々出にくい。
   濃い赤紫色の花弁が、やや、青みを帯びてくる神秘的な色が出ると嬉しくなるのだが、花形は平凡ながら、花の色が非常にシックで、素晴しい椿だと思っている。
   挿し木を試みているのだが、銘椿の至宝やエレガンス・シャンパンなどと比べて、成功率が何故か低いのが気になっている。
   
   
   

   久寿玉も咲き始めた。
   わが庭には、吹き掛けの椿は殆どないのだが、この椿は、淡桃地に紅吹掛絞八重咲きの綺麗な花で、タキイのネットショップで、買い求めて、結構気に入って育てている。
   椿は、どんどん咲き続けていて、これから、1ヶ月ほどは咲き乱れる。
   
   
   
   

   ボケも咲き出した。
   わが庭には、この単色のボケだけなのだが、何故か、結構、小さな苗があっちこっちに広がっている。
   自力では割れないくらい固い頑丈な殻を被った種なので、どうして、飛び火したのか不思議に思っている。
   
   
   

   TVのチャンネルを回し、インターネットを叩きながら、ウクライナの状況を注視し続けている。
   春を謳歌して咲き乱れている花々を愛でながら、ウクライナの惨状と悲嘆に胸が痛い。
   営々と築きあげてきた人類の貴重な遺産を叩き潰そうとする愚かな人類を、やっと咲き始めた戦火に拉がれたウクライナの春の草花は、どの様な憐憫の思いで見ているのか、実に悲しい。
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わが庭・・・椿エレガンス・シュプリーム、ジュリア・フランス、そして、サクランボ暖地

2022年03月13日 | わが庭の歳時記
   エレガンス・シュプリームの親木の方が、咲き始めた。
   エレガンス系では、一番ピンクが濃い品種で、大唐子咲きが優雅で美しい。内弁の唐子弁は、白に近い極淡桃色から淡い桃色のものと外弁と同じ色のものが混ざっているのだが、同じ花はなくて花によって変化があり、今回咲いた最初の花は、赤色が勝っていて変化に乏しい。
   エレガンス・シャンパンとエレガンス・スプレンダーは、まだ、蕾が固いが、シャンパンから咲き出しそうである。
   
   
   

   ピンクが匂うように美しい八重椿が、ジュリア・フランス。
   いつの間にか、2㍍近くになって、沢山の蕾を付けていているのだが、日本の曙椿のように、か弱いところが惜しくて、まさに、美人薄命である。
   
   
   

   椿が咲き続けている。
   
   
   
   
   

   来週末、東京は、桜の開花宣言のようだが、わが庭では、エレガンス・みゆき桜が咲き続けている。
   
   
   
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キエフ:レジスタンスとしての音楽

2022年03月11日 | 政治・経済・社会
   ワシントンポストが、Music as resistance: Kyiv’s orchestra plays onThe Kyiv-Classic Symphony Orchestra’s musicians remaining in Kyiv have tried to stay ready until they could play together again. That day arrived this week.を、口絵の写真など数枚の演奏風景写真を添えて報じた。
   NHKのニュース番組でも、ベートーヴェンの第九の歓喜の歌の演奏と共に放映されていたのでお馴染みである。
   残留の寄せ集め楽団なので、楽器が揃わず、ブラスバンド風のサウンドが涙を誘う。

   第二次世界大戦後、長い間東西交流が閉鎖されていたベルリンの壁が崩壊した直後、確かベルリンの国会議事度前の広場で、チェルビダッケ指揮するベルリンフィルが演奏した劇的なシーンを思い出した。四国の鳴門で、ドイツ人捕虜たちが、第九を演奏したのも、これに似た感動であろう。

   さて、このキエフクラシック交響楽団による野外コンサートの会場は、キエフの中央広場のマイダンで、2014年に親モスクワ大統領を追放し、ウクライナの西側へと政治的方向づけをした象徴的な革命の中心であり、まさに、反抗を象徴したMusic as resistanceであった。厚いコートとジャケットに身を包んだミュージシャンは、戦争が第3週に入り、ミサイルや爆弾が落下するという絶え間ない脅威にもかかわらず、氷点下で、この全国的に放映された25分間のコンサートを屋外で演奏した。キエフの中心部でオープンエアーで、このコンサートを開催することを恐れていないことを全世界に示し、音楽を通してウクライナ人の強さを示した。と言うのである。

   午後1時過ぎに、殆どがキエフを退避したので、残った20人のミュージシャンが、バイオリン、フルート、クラリネット、その他のクラシック楽器を持って広場に集まり、指揮者マカレンコがタクトを振った。コンサートは、高揚するウクライナの作曲から始まった。指揮者がタクトを素早く振ってウクライナの国歌を奏すると人々は旗を振った。続いて、ベートーベンの「歓喜の歌」、そして、ウクライナで最も有名な作曲家の1人であるコンスタンティン・ダンケビッチのバラード「リレヤ」を演奏した。
   約100人の聴衆が集まり、そのほとんどがフレークベストを着てカメラと電話を持ったジャーナリストで、その中には約25人のウクライナ人がおり、国の青と黄色の旗を握っていた。市内中心部とその周辺での爆発がひっきりなしで、ウクライナ人の殆どが、オープンエリアでの生活を避けている激戦下でのコンサートである。

   世界の他の地域での過去の戦争においてと同様に、音楽と詩は戦いと切っても切れない関係で、ウクライナでは、兵員募集、喪失を慰め恐怖を和らげ、愛国心を喚起してかき立てるために使用されている。従軍聖職者は、空爆の危険下での説教中に賛美歌を歌い、兵士の葬式では、牧師がメロディックな祈りを捧げる。ソーシャルメディアでは、バイラルビデオに、ウクライナの民謡をヒップホップのビートに合わせて歌うウクライナの兵士や、リヴィウの駅で「What a Wonderful World」を歌う心に響く若い女性の歌声が流れている。と言う。

   今日のテレビニュースで、ニューヨークで公演中のロシアのバレエ団が、ロシア人もウクライナ人も日本人もいる民族混交の団体で反戦に一致団結しているので、芸術に国境はないと、公演を続けている模様を放映していた。
   ところで、先のキエフの楽団は、チャイコフスキーを演奏するのかと聞かれた時、ウクライナの音楽を演奏したいのだと、やんわりとイナシテイタのが印象的であった。

   さて、定期公演のチケットを持っていて、2年間、コロナで行けなかった都響の新年度の年間予約を更改した。
   4月から始まるのだが、是非、行きたいと思っている。

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わが庭・・・椿マーガレット・ディビス、そして、沈丁花、しかし、気になるウクライナ

2022年03月10日 | わが庭の歳時記
   3株庭植えしてあるマーガレット・ディビスが咲き始めた。
   白地に紅覆輪が入る牡丹咲きの、かなり大輪の派手な椿で、オーストラリアで作出されたという。 
   3株ずつ、花の姿形が微妙に違うのだが、育種家では、挿し木で増やしているので、雑種であるから、枝変わりなどで変化が起きるのであろう。
   勿論、同じ木の花でも、咲く時期によって花が変ってきて面白い。
   待っていた椿の至宝も、固かった蕾が色付いて、開花寸前にスタンドバイしている。
   
   
   
   
   

   急に温かくなってきたので、沈丁花が、一気に咲き出して、甘い芳香を放ち始めた。
   春の沈丁花と、秋のキンモクセイは、良い香りで、季節の訪れを知らせてくれるので、目に見えなくても季節の移り変わりを一気に感じさせてくれる。
   
   
   
   

   急に芽吹き始めたのは、バラと牡丹、
   ほんの少し前に、寒肥を施したと思ったら、もう、芽吹き、
   2ヶ月ほど経てば花が咲く。
   わが庭では、この1ヶ月ほどは、色々な椿の花が、一気に咲き乱れる。
   草花の世話を厭って、チューリップもヒヤシンスもないわが庭では、スノードロップとハナニラくらいだが、椿が代替してくれるので、月末くらいから、桜と競って華やかになる。
   
   
   

   さて、春と言えば、私には、オランダの春が強烈な印象として残っている。ヨーロッパの冬は長くて厳しいので、皆春を待ち望む。
   転機を迎えるのはクロッカスホリディで、クロッカスが咲き始めると一気に春の到来で嬉しくなる。
   オランダには梅雨がないので、草花の球根は腐らないので植えっぱなしで、公園の緑地や道路縁や空き地に一斉に咲き始める。
   まだ、結構寒いのだが、その頃には、牧場に生まれたばかりの子羊がよちよち歩きし、畑の小川の畔に、白鳥が子白鳥の群れを引き連れて移動する。
   もう少し温かくなると、チューリップの季節となり、東京や大阪と違って、ヒヤシンスやムスカリなど春の草花だけではなく、菜の花も桜も、須く春の花は同時に咲き乱れる。
   キューケンホフ公園は賑わうが、私は、その近郊のリセの広大な球根畑に出かけて、周り360度が極彩色に輝く花畑に飛び込んで、時を過ごすのが好きで、多忙を押して寸暇を惜しんで出かけていた。不思議に、殆ど人影はなかった。
   公害のアムステルフェーンに住んでいて、オランダが、ほんの数分車で走れば、畑や緑地で運河が広がっていたので、毎日が田園地帯での生活であったので、自然との触れ合いは生活そのものであったのである。

   そんなとき、1986年4月26日午前1時23分にチェルノブイリ原子力発電所事故が発生して、ヨーロッパが震撼した。
   ウクライナについては、世界有数の工業地帯のドンパスと肥沃な穀倉地帯と言うことくらいしか知らなかったのだが、一気に関心を持って、Britannicaを引っ張りだして、ウクライナやキエフを調べた。
   それから殆ど記憶から消えていたウクライナが、焦臭くなり始めて、だんだん気になってきた。
   毎日、TVや新聞、インターネットで、ウクライナ戦争の記事を追って、心を痛めている。ヨーロッパに長くいて、戦争の世紀を身近に感じているので、信じられないような悪辣な戦争、殺戮暴挙が勃発していて慚愧に堪えない。

   ウクライナは、敗色濃厚になっても降伏することはなくゲリラ戦争を戦ってでも耐え抜くと思う。
   米欧が有効なアクションを取らなかったら、ロシアの国民的反戦運動なり、ロシアの経済の崩壊なり、プーチンの失脚なり、いずれにしろ、ロシア帝国の終焉で片がつくような気がしている。
   
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夏ミカン・マーマレードを作る

2022年03月09日 | 健康
   今年は、夏ミカンの裏年で、いつもなら、何十個もたわわに実がつくのだが、大きな木に、10数個しかついていない。
   しかし、数が少ない所為か、大きな立派な夏ミカンなので、そのままにしておくのも勿体ないので、マーマレードを作ってみようと思った。
   梅とキウイのジャムづくりで慣れているので、マーマレードも同じであろうと、やることにしたのである。

   800㌘のジャムの瓶にと思って、とりあえず、大きな夏ミカンを二つ選んで、作業に入った。 
   いつものように、インターネットを叩いてレシペや作り方の動画をいくらか見て、自分のやりやすい方法を編み出してやるのが私の手法である。

   まず、大変なのは、夏ミカンの皮の処理である。この皮の一寸歯ごたえのあるシャキシャキ感が、マーマレードの命である。
   夏ミカンを綺麗にあらって、包丁で、皮に8等分くらいの輪切りに切り口をつけて皮を剥く。
   目の形になった皮に横から包丁を入れて、2枚に切り離して、白い綿の方は捨てて、皮の部分を残す。
   皮の方を、細かく千切りにする。
   水の入ったボウルで手洗いして、綺麗な水に一晩寝かせる。
   翌日、千切りにした皮を煮沸して、吹きこぼれる瞬間に差し水をして、これを2~3回繰り返して、適度に煮込む。
   綺麗な水に付けて揉み洗いして、苦みを抜く。
   水に浸かっていた皮を揉み洗いして苦みを抜いて搾って鍋に入れて、それに、別に皮を剥いて綺麗に取りだしておいた夏ミカンの実を加える。実は、少し切り刻んで小さくしておくと良い。
   この皮と実をあわせた重量の8割程度の砂糖を用意する。
   皮と実を入れた鍋に、カップ1杯の水を加えて、煮込む。
   私は、最初は中火で少しグツグツする程度に煮込み、アクを取りながら10分ほどしてから、砂糖の3分の1を加えて混ぜながら煮続ける。
   この間に、一緒に煮込んでいた種を丁寧に取り出す。
   更に10分煮て3分の1の砂糖を加え、これをもう一度繰えして砂糖を全部入れて煮続ける。この間、少しずつ火力を抑える。
   飴色の綺麗なジャム状になり、とろりとした段階で火を止めて出来上がり。この辺りは、経験というか阿吽の呼吸である。
   熱いまま、ジャム瓶に移して蓋をしっかり閉めて冷めるのを待つ。

   多少、皮の部分が、煮込みが不足したのか、固い感じだったが、食感が味わえる分、まずまずであった。
   もう一つ、気を使ったのは、砂糖の量をセーブしたことである。市販のジャムは、相対的に砂糖気が多くて甘いのだが、やや甘さを抑えて、果実自体の固有の味を残した方が良いことは、梅やキウイのジャムづくりで経験している。
   コロナでの巣籠もり生活の影響でもないが、昨夏から、梅とキウイのジャム作りを始めたので、最近は、ブルーベリージャムを含めて、市販のジャムを買うことが少なくなった。
   良いのか悪いのか、しかし、自分で思い通りにジャムを作って食するのも悪くはない。
   
   
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ポール・クルーグマン:ウクライナ戦争、中国は何故ロシア経済を救済できないのか?Why China Can’t Bail Out Putin’s Economy

2022年03月08日 | 政治・経済・社会
   ニューヨークタイムズのコラムで、ポール・クルーグマンが、「Why China Can’t Bail Out Putin’s Economy プーチンの経済を中国が救済できない理由」と言う興味深い見解を示した。
   ウクライナ侵攻で、追い詰められたロシア経済を、中国が救済可能かと言う問いに対して、「No」と応えて解説しているのである。
   ロシアに、どのような形で中国が関わるのか知りたかったんで、興味を感じた。

   まず、その前に、
   ウラジーミル・プーチンは、ウクライナへの侵攻を決定するにあたり、明らかにすべてを誤解した。彼は自国の軍事力について過大評価した。(ロシアは、経済力においても弱小の張り子の虎で、)さらに、彼はウクライナの士気と軍事力を大幅に過小評価し、民主主義政府の決議を予測することができなかった。特に、バイデン政権が、ウクライナの武装から経済制裁をめぐって西側を結集することなどまで上手くなし得たことに気づいていない。
   と、戦争の帰趨は明確だと言わんばかりである。
   クルーグマンは、この論文の前に、「Russia Is a Potemkin Superpower 」を書いていて、ロシアが見かけ倒しの弱小国であると説いていて、これは、私が、これまでに何度も書いていた見解と同じである。ロシア経済の弱小規模と脆弱性、一国では自立不可能な経済体制を理解しない限り、経済制裁の強力なブロー効果は理解できない。ロシアの石油と天然ガスばかりに脚光が当たっているが、この輸出で得た利益で、工業製品や原材料を輸入して、負んぶに抱っこで米欧に依存していたロシア経済のアキレス腱は実に脆いのである。
   いずれにしろ、誇大妄想に取り憑かれたプーチンの夢が、ロシアの命運を危機に陥れていて、どんどん首を絞めていると言うことである。
   2~3日で決着がつくと思われていた戦争でありながら、世界屈指の軍事大国であったはずのロシアが、開戦10日を経ても苦戦続きで、暗殺を恐れたプーチンが雲隠れしたと言う珍情報まで飛び交う戦局、
   早く戦争を止めてウクライナを解放して欲しい、その一念である。

   さて、問題の、中国は、代替貿易相手国として自らを提供することによって、プーチンの経済を救済することができるか?との問いに、出来ないと応えて、その理由を説明している。

   まず、経済制裁の影響だが、ロシア産原油輸入禁止については、アメリカにとっては5%なので影響は少ない。
   しかし、西側諸国はロシアの世界銀行システムへのアクセスを大幅に遮断しており、これは非常に大きな問題である。ロシアの輸出業者は、商品を海外に持ち出せても、支払いを受けるのは難しいうえに、おそらくもっと重要なのは、ロシアが輸入品の代金を支払うのは難しいことである。実際、法的に許可されたままのロシアの貿易でさえ、さらなる制限と政治的反発を恐れる欧米の企業が「自己制裁」に従事しているため、枯渇してくる。
   ロシアの貿易で、消費財はロシアの輸入の約3分の1にすぎないが、残りは資本財、中間財、つまり他の財の生産に使用される部品、そして原材料である。これらはロシアが経済を動かし続けるために必要なものであり、それらの欠如は重要なセクターを停止させる。たとえば、スペアパーツのカットオフとサービスは、ロシアの国内航空をすぐに台無しにする可能性がある。

   それでは、中国はプーチンに経済的なライフラインを提供することができるかという問題だが、クルーグマンは4つの理由をあげてNOと言う。
   第一に、中国は経済大国であるにもかかわらず、欧米製の飛行機のスペアパーツやハイエンドの半導体チップなど、ロシアが必要とするものを供給する立場にはない。
   (これと関連して、今日の日経が、「航空リース、ロシア撤退 民間半数、運行困難に」という記事を掲載した。いずれにしろ、米欧のハイテク製品の輸出禁止の影響は、ロシアの軍需産業にも壊滅的な打撃を与えるであろう。)
   第二に、中国自体は制裁に参加してはいないが、世界経済に深く統合されているので、中国の銀行や欧米企業のような他の企業が自己制裁に従事する可能性があることを意味する。つまり、より重要な市場の消費者や規制当局からの反発を恐れて、ロシアとの取引に消極的になる。
   第三に、中国とロシアは地理的に非常に離れている。ロシアの経済のほとんどはウラル山脈の西にあり、中国の経済のほとんどはその東海岸の近くにあり、北京はモスクワから3,500マイルの距離にあり、その広大な範囲を横切って物を移動する唯一の実用的な方法は、すでに過大なストレスがかかっている少数の列車を経由するしかない。
   最後に、ロシアと中国の経済力の極端な違いである。プーチンはソビエト時代の偉大さを取り戻すことを夢見ているかもしれないが、30年前のロシアとほぼ同じ大きさだった中国の経済は現在ロシアの10倍の大きさである。今や、ロシアはジュニアパートナーに過ぎず、実際には中国の従属国に非常に近い国であり、おそらくそれは、プーチンが夢見る彼の帝国ではない。
   したがって、中国はウクライナの侵略の結果からロシアを隔離することはできない。中国が、侵略を罰するために民主主義側の世界に加わった場合には、ロシアの経済的圧迫はさらに厳しくなる。しかし、ロシア経済危機への圧迫は、中国の参加がなくても非常に深刻となろう。
   プーチンの誇大妄想のために、血だけでなく経済的にも非常に高い代償を払うことになる。
   と、クルーグマンは結論づけている。

   さて、今回のウクライナ戦争では、中国は、態度を明確にせず傍観者の立場に終止しているが、戦争に反対する自由主義陣営からは、プロロシアと見做されて距離を置かれており、特に、経済協力のみならず経済支配を目論んで推進していた一帯一路戦略で、終点を意図していた西欧の反発離反は明白であり、苦しい立場に立たされるであろう。
   グローバル経済から距離を置いて孤立化するのか、GDP10分の1経済のロシアに擦り寄って恩を売って経済従属国に取り込むのか、どっちつかずの中途半端な対応をしてお茶を濁すのか、それとも、方向転換して西側に協力するのか、中国の誠意が問われている。
   バイデン大統領は、民主主義陣営と専制国家主義陣営との戦いだと言っており、近年では、民主主義陣営の退潮傾向にあったが、平和という視点が重要性を増してきたので、逆転する良い機会になりそうでもある。
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