サピエンス全史の上巻を読んでいて、結構、面白いのだが、新鮮に感じた個所が、2か所あった。
一つは、巨大な恐竜など当時の大動物を殺戮して種の多様性を破壊して絶滅させたのは、サピエンスであった。と言うこと。
もう一つは、サピエンスが、狩猟生活から定住化して農業生活に入ったことによって、生活が苦しくなり、人類の将来にとっても必ずしも良いことばかりではなかったと言うこと。である。
まず、今回は、動植物の殺戮者サピエンスについて考えてみたいと思う。
ハラリは、「史上最も危険な種」と言う章で、サピエンスが、認知革命の後、アフロ・ユーラシア大陸から抜け出して「外界」に移住するのに必要な技術や組織力、先見の明さえも獲得して、約4万5000年前に、オーストラリア大陸に移住した。この時、特定の陸塊で食物連鎖の頂点に達した瞬間に、人類は地球と言う惑星の歴史上で最も危険な種になった。と書いている。
このオーストラリアへの航海は、コロンブスによるアメリカへの航海やアポロ11号による月面着陸に匹敵すると言っているのだが、サピエンスにとっては、広大な海洋を越えて新天地に到達すると言うのは、大変な偉業だったのである。
海と言う障壁は、人類ばかりではなく、アフロ・ユーラシア大陸の動植物の多くにとっても、この「外界」に行きつくことを妨げ、巨大な動物を有する特有の動植物群を形成していた。この新世界を激変させたのは、気候頼みのアリバイを崩して、サピエンスが、オーストラリア大陸の大型動物相を捕獲殺戮して絶滅に導いたと言う証拠が3つあると言うのである。
第1に、オーストラリアの気候はおよそ4万5000年前に変化したとは言え、あまり著しい変化ではなかった。
第2に、気候変動が大規模な絶滅を引き起こす時には、大抵、陸上動物と同様に海洋動物にも大きな被害が及ぶのだか、その消滅の証拠はない。
第3に、このオーストラリアでの原初の大量消失に類する大規模な絶滅が、その後の歳月で何度も繰り返されており、人類が、「外界」の新たな部分に住み付く度に、大絶滅が起こっている。
シベリアのマンモスの個体群も同じ運命を辿った。と言う。
なぜ、このような生態的大惨事を引き起こすことになったのか、3つの説明がある。
第1に、絶滅の最大の被害者である大型動物は、繁殖に時間がかかり、個体数の増殖も少ない。
第2に、サピエンスは、焼き畑農業を会得していたので、草地は獲物を狩りやすくした。
第3に、気候の役割も無視し得ない。
気候変動と人間による狩猟の組み合わせが、大型動物にとりわけ甚大な被害を与えた。と言うのである。
アメリカ大陸においても同様で、アリューシャン列島やアラスカを経由して渡ってきたサピエンスによって、1万4000年頃には豊かだった動物相、マンモスやマストドン、クマほどもある齧歯類、巨大ライオン、オオナマケモノ等々、珍しい種の大半が消えて逝ったと言う。
サピエンス移住の第1波は、生態学的惨事をもたらし、それは動物界を見舞った悲劇の内でも、とりわけ規模が大きく、短時間で起こったのだが、農業革命後も、この生態系の悲劇は規模を縮小して何度となく再現されて、今日に至っている。
先に書いたネアンデルタール人、それに、デニソワ人といったヒトの仲間さえも駆逐してしまっているのであるから、恐ろしい限りである。
参考のために、国立科学博物館の、ホモ・ネアンデルタールとホモ・エレクトスの模型を、下記に示すと、
ガラパゴス諸島のゾウガメなどは、サピエンスから隔離された貴重な生き残り動物だが、先日、中国の漁船が、罰当たりにも、このガラパゴス近海に乗り込んで何千ものサメを捕獲しているのをエクアドル政府に拿捕されたと報じていたが、懲りないバーバリアンの悪行で、種の多様性は危機に瀕し続けている。
もしこのままいけば、クジラやサメ、マグロ、イルカは、ディプトドロンやオオナマケモノ、マンモスと同じ運命を辿って姿を消す可能性が高い。
世界の大型動物の内、人類の殺到と洪水を唯一生き延びるのは人類そのものと、ノアの方舟を漕ぐ奴隷の役割を果たす家畜だけということになるだろう。
と述べて、ハラリは、この章を結んでいる。
私は、この我々人類も、地球環境とエコシステムの破壊によって、宇宙船地球号もろとも消えて逝くかも知れないと危惧している。
また、特に拘りがないので、何故、クジラやマグロ、それに、フカヒレに、日本人が執着するのか、全く、ナンセンスであり、養殖までもして、食文化を維持すべきだとは思っていないし、世界の趨勢なら、率先して種族保護に回るべきだと思っている。
庭に咲く美しい椿やバラの花や、花に群れる蝶や小鳥を見ていると、創造主が想像を絶するような長い年月を費やして創造して育んできたが故に今日の輝きがあることを、肝に銘じて実感し、毎日、感に堪えない程感動し続けているので、一層、種の消滅には胸が痛む。
そんな動植物を、食物連鎖の頂点に上り詰めたホモ・サピエンスが、生きて行くためとは言え、太古の昔から、どんどん、殺戮して種の多様性を破壊し続けているのだと思い知って、ショックを感じている。
一つは、巨大な恐竜など当時の大動物を殺戮して種の多様性を破壊して絶滅させたのは、サピエンスであった。と言うこと。
もう一つは、サピエンスが、狩猟生活から定住化して農業生活に入ったことによって、生活が苦しくなり、人類の将来にとっても必ずしも良いことばかりではなかったと言うこと。である。
まず、今回は、動植物の殺戮者サピエンスについて考えてみたいと思う。
ハラリは、「史上最も危険な種」と言う章で、サピエンスが、認知革命の後、アフロ・ユーラシア大陸から抜け出して「外界」に移住するのに必要な技術や組織力、先見の明さえも獲得して、約4万5000年前に、オーストラリア大陸に移住した。この時、特定の陸塊で食物連鎖の頂点に達した瞬間に、人類は地球と言う惑星の歴史上で最も危険な種になった。と書いている。
このオーストラリアへの航海は、コロンブスによるアメリカへの航海やアポロ11号による月面着陸に匹敵すると言っているのだが、サピエンスにとっては、広大な海洋を越えて新天地に到達すると言うのは、大変な偉業だったのである。
海と言う障壁は、人類ばかりではなく、アフロ・ユーラシア大陸の動植物の多くにとっても、この「外界」に行きつくことを妨げ、巨大な動物を有する特有の動植物群を形成していた。この新世界を激変させたのは、気候頼みのアリバイを崩して、サピエンスが、オーストラリア大陸の大型動物相を捕獲殺戮して絶滅に導いたと言う証拠が3つあると言うのである。
第1に、オーストラリアの気候はおよそ4万5000年前に変化したとは言え、あまり著しい変化ではなかった。
第2に、気候変動が大規模な絶滅を引き起こす時には、大抵、陸上動物と同様に海洋動物にも大きな被害が及ぶのだか、その消滅の証拠はない。
第3に、このオーストラリアでの原初の大量消失に類する大規模な絶滅が、その後の歳月で何度も繰り返されており、人類が、「外界」の新たな部分に住み付く度に、大絶滅が起こっている。
シベリアのマンモスの個体群も同じ運命を辿った。と言う。
なぜ、このような生態的大惨事を引き起こすことになったのか、3つの説明がある。
第1に、絶滅の最大の被害者である大型動物は、繁殖に時間がかかり、個体数の増殖も少ない。
第2に、サピエンスは、焼き畑農業を会得していたので、草地は獲物を狩りやすくした。
第3に、気候の役割も無視し得ない。
気候変動と人間による狩猟の組み合わせが、大型動物にとりわけ甚大な被害を与えた。と言うのである。
アメリカ大陸においても同様で、アリューシャン列島やアラスカを経由して渡ってきたサピエンスによって、1万4000年頃には豊かだった動物相、マンモスやマストドン、クマほどもある齧歯類、巨大ライオン、オオナマケモノ等々、珍しい種の大半が消えて逝ったと言う。
サピエンス移住の第1波は、生態学的惨事をもたらし、それは動物界を見舞った悲劇の内でも、とりわけ規模が大きく、短時間で起こったのだが、農業革命後も、この生態系の悲劇は規模を縮小して何度となく再現されて、今日に至っている。
先に書いたネアンデルタール人、それに、デニソワ人といったヒトの仲間さえも駆逐してしまっているのであるから、恐ろしい限りである。
参考のために、国立科学博物館の、ホモ・ネアンデルタールとホモ・エレクトスの模型を、下記に示すと、
ガラパゴス諸島のゾウガメなどは、サピエンスから隔離された貴重な生き残り動物だが、先日、中国の漁船が、罰当たりにも、このガラパゴス近海に乗り込んで何千ものサメを捕獲しているのをエクアドル政府に拿捕されたと報じていたが、懲りないバーバリアンの悪行で、種の多様性は危機に瀕し続けている。
もしこのままいけば、クジラやサメ、マグロ、イルカは、ディプトドロンやオオナマケモノ、マンモスと同じ運命を辿って姿を消す可能性が高い。
世界の大型動物の内、人類の殺到と洪水を唯一生き延びるのは人類そのものと、ノアの方舟を漕ぐ奴隷の役割を果たす家畜だけということになるだろう。
と述べて、ハラリは、この章を結んでいる。
私は、この我々人類も、地球環境とエコシステムの破壊によって、宇宙船地球号もろとも消えて逝くかも知れないと危惧している。
また、特に拘りがないので、何故、クジラやマグロ、それに、フカヒレに、日本人が執着するのか、全く、ナンセンスであり、養殖までもして、食文化を維持すべきだとは思っていないし、世界の趨勢なら、率先して種族保護に回るべきだと思っている。
庭に咲く美しい椿やバラの花や、花に群れる蝶や小鳥を見ていると、創造主が想像を絶するような長い年月を費やして創造して育んできたが故に今日の輝きがあることを、肝に銘じて実感し、毎日、感に堪えない程感動し続けているので、一層、種の消滅には胸が痛む。
そんな動植物を、食物連鎖の頂点に上り詰めたホモ・サピエンスが、生きて行くためとは言え、太古の昔から、どんどん、殺戮して種の多様性を破壊し続けているのだと思い知って、ショックを感じている。