東大の安田講堂で、東大大学院経済学研究科経営教育研究センターが主催して「ITとものづくり:デジタル設計開発の課題と展望」が開催されたので聴講した。
日本産業の国際競争力を強化するためには、統合型ものづくりシステムの確立が必要不可欠である。そのために、先端的なものづくり企業が蓄積してきた高度な知識体系を、IT技術を積極的に活用して、統合型ものづくりシステムを構築することが大切である、と言う問題意識から、藤本隆宏東大教授の問題提起で、東大の工学技術系の教授や自動車等の産業界からこの道の一人者たちが参集してシンポジュームが開かれたのである。
従来のものづくりは、生産現場で製品を作ると言う考え方であったが、これからのものづくりは、「もの」ではなく「設計」から発想した「開かれたものづくり」で、生産から開発・購買・販売をも含め、また、製造業のみならず非製造業をも包含した広い概念でなければならない。
「開かれたものづくり」は、人工物に託して、設計情報を転写し、発信し、お客に至る流れを作り、顧客満足と経済成果を得ることである。
従って、「ものづくり」とは、「設計情報の良い流れ」を作る事であって、その製造された人工物の媒体が、有形であれば製造業であり、無形であればサービス業である、と言うのである。
そのために、東大の経営教育研究センターは、文科系だけではなく工学技術系の学者や技術者が共同して研究している。
ところで、特定の構造が特定の機能を生む因果知識としての「個別技術」ばかりが重要視されて来たが、これだけでは孤立するだけであって、異業種間でも共有出来るような顧客へ向かう「設計情報の流れ」を作るものづくり技術、即ち、業種を超えて技術移転できる汎用技術を開発しなければならない。
日本の製造業は、欧米のモジュラー型製品ではなく、自動車のようなインテグラルなすりあわせ型アーキテクチュア製品が得意だとされている。
言い換えれば、専門化細分化し、プロフェッショナリズムが強くて、順繰りに業務を下流に流していく移民の国アメリカでは分業型製品開発が主流だが、設計者が機能設計も構造設計も行う多能化・少数精鋭で対応し、未完のままに上流も下流も一緒になってチームワークで業務を推進する日本では統合型製品開発に強みを発揮して来たのである。
ところが、自動車においても益々複雑化し、急速な技術革新の波に洗われて激烈な変化を遂げつつあるが、今後、このようにものづくり技術が一層高度化・複雑化して行けば、すりあわせ型技術も高度化・複雑化し、或いは、モジュラー型、分業型技術に回帰する可能性も想定されるとなると、現在程度のすりあわせ技術なら対応できても、果たして、日本の技術がその変化に着いて行けるのであろうか、と言うような問題提起もなされていた。
設計ノウハウを構造と手順でデータベース化して、標準化・基準化して、自動化を進めるためにCADなどIT技術が活発かつ高度に活用されているが、統合型技術の開発やイノベーションの促進のためには、まだまだ、多くの課題と問題点を残しているようである。
日産自動車の大久保宣夫最高技術顧問が、「自動車の製品開発におけるIT活用」についてニッサンでの事例を、トヨタケーラムの荒木廣海社長が「日本のモノ・コトづくりとCAD/CAM」について語り、それぞれIT技術とものづくりの関わりと問題点などについて詳細な説明を行った。
イノベーション創造型に向けての更なるIT技術の開発が、求められているのである。
可なり空席があったが、大半は、製造企業の技術開発担当の役員や幹部社員であろうか、中年以上のサラリーマン風の熱心な聴衆が最後まで熱心に耳を傾けていた。
昼の休憩の時、初めて、安田講堂の地下の大きな学生食堂で、東大生に混じって昼食を取ったが、あっちこっちで外国語が聞えてくるのが印象的であった。
日本産業の国際競争力を強化するためには、統合型ものづくりシステムの確立が必要不可欠である。そのために、先端的なものづくり企業が蓄積してきた高度な知識体系を、IT技術を積極的に活用して、統合型ものづくりシステムを構築することが大切である、と言う問題意識から、藤本隆宏東大教授の問題提起で、東大の工学技術系の教授や自動車等の産業界からこの道の一人者たちが参集してシンポジュームが開かれたのである。
従来のものづくりは、生産現場で製品を作ると言う考え方であったが、これからのものづくりは、「もの」ではなく「設計」から発想した「開かれたものづくり」で、生産から開発・購買・販売をも含め、また、製造業のみならず非製造業をも包含した広い概念でなければならない。
「開かれたものづくり」は、人工物に託して、設計情報を転写し、発信し、お客に至る流れを作り、顧客満足と経済成果を得ることである。
従って、「ものづくり」とは、「設計情報の良い流れ」を作る事であって、その製造された人工物の媒体が、有形であれば製造業であり、無形であればサービス業である、と言うのである。
そのために、東大の経営教育研究センターは、文科系だけではなく工学技術系の学者や技術者が共同して研究している。
ところで、特定の構造が特定の機能を生む因果知識としての「個別技術」ばかりが重要視されて来たが、これだけでは孤立するだけであって、異業種間でも共有出来るような顧客へ向かう「設計情報の流れ」を作るものづくり技術、即ち、業種を超えて技術移転できる汎用技術を開発しなければならない。
日本の製造業は、欧米のモジュラー型製品ではなく、自動車のようなインテグラルなすりあわせ型アーキテクチュア製品が得意だとされている。
言い換えれば、専門化細分化し、プロフェッショナリズムが強くて、順繰りに業務を下流に流していく移民の国アメリカでは分業型製品開発が主流だが、設計者が機能設計も構造設計も行う多能化・少数精鋭で対応し、未完のままに上流も下流も一緒になってチームワークで業務を推進する日本では統合型製品開発に強みを発揮して来たのである。
ところが、自動車においても益々複雑化し、急速な技術革新の波に洗われて激烈な変化を遂げつつあるが、今後、このようにものづくり技術が一層高度化・複雑化して行けば、すりあわせ型技術も高度化・複雑化し、或いは、モジュラー型、分業型技術に回帰する可能性も想定されるとなると、現在程度のすりあわせ技術なら対応できても、果たして、日本の技術がその変化に着いて行けるのであろうか、と言うような問題提起もなされていた。
設計ノウハウを構造と手順でデータベース化して、標準化・基準化して、自動化を進めるためにCADなどIT技術が活発かつ高度に活用されているが、統合型技術の開発やイノベーションの促進のためには、まだまだ、多くの課題と問題点を残しているようである。
日産自動車の大久保宣夫最高技術顧問が、「自動車の製品開発におけるIT活用」についてニッサンでの事例を、トヨタケーラムの荒木廣海社長が「日本のモノ・コトづくりとCAD/CAM」について語り、それぞれIT技術とものづくりの関わりと問題点などについて詳細な説明を行った。
イノベーション創造型に向けての更なるIT技術の開発が、求められているのである。
可なり空席があったが、大半は、製造企業の技術開発担当の役員や幹部社員であろうか、中年以上のサラリーマン風の熱心な聴衆が最後まで熱心に耳を傾けていた。
昼の休憩の時、初めて、安田講堂の地下の大きな学生食堂で、東大生に混じって昼食を取ったが、あっちこっちで外国語が聞えてくるのが印象的であった。