リヒャルト・シュトラウスの作曲したオペラ「ばらの騎士」 Der Rosenkavali 18世紀ハプスブルグ王朝ウィーンの貴族の館を舞台にした華麗な作品である。
今回の舞台のキャストは、次の通り、
指揮:シモーネ・ヤング
演出:ロバート・カーセン
出演:
元帥夫人(マルシャリン)陸軍元帥ヴェルデンベルク公爵夫人 ソプラノ:リーゼ・ダーヴィドセン、
オクタヴィアン ロフラーノ伯爵・元帥夫人の愛人 メゾソプラノ:サマンサ・ハンキー、
オックス男爵 貴族・元帥夫人のいとこ バリトン:ギュンター・グロイスベック、
ゾフィー ファーニナルの娘 ソプラノ:エリン・モーリー、
ファーニナル 金持ちの新興貴族 バリトン:ブライアン・マリガン
さて、この「ばらの騎士」の同じカーセンの演出の舞台が、17年のMLで放映されていて、オクタビアンはガランチャ、マルシャリンはフレミングだが、オックス男爵とゾフィーは代わっておらず、何となく雰囲気が殆ど同じ感じがして、楽しませてくれた。私は、録画で観ているのだが、勿論、主役が頂点を極めた二人の最後の舞台だと冒頭でゲルプが紹介していたので謂わばこれが決定版だとすれば、今回の舞台は満を持しての公演なのであろう。
脂の載りきったグロイスベックとモーリーの老練な味のある演技に加えて、匂うように美しい元帥夫人のダーヴィドセンと初々しくてパンチの利いたオクタヴィアンのハンキーの魅力満開の舞台で素晴しい。ダーヴィドセンは、このMLの19年の「ナクソス島のアリアドネ」のアリアドネの美しい舞台が印象に焼き付いている。
ハンキーは、松竹のHPをそのまま引用すると、
マサチューセッツ州出身。豊潤な歌声、独創的でドラマティックなパフォーマンス、舞台映えする容姿で注目株の若手メゾ。2017年METナショナル・カウンシル・オーディションに優勝し、翌年《メフィストーフェレ》のパンタリス役でMETデビュー。欧米の主要な歌劇場や音楽祭で次々とデビューを果たし、オクタヴィアン役は昨年バイエルン国立歌劇場でも歌い好評を博した。
17年デビューと言うから、非常に若くて、アメリカのメゾでありながら、バルセロナやグラインドボーンやバイエルンなどヨーロッパでも活躍し、 not only the handsomeness of hankey's rich mezzo, but also its power,で尊敬されていると言う。ガランチャのように年の功は出せないが、若々しくて一途に入れ込んだパワーの効いた演技が感動的で、タイトルロール演じきった。
グロイスベックとモーリーの好演は言うまでもなく、ホーフマンスタールと同郷のウィーンの諧謔笑いを共有したオックス男爵のろくでなし貴族、
モーリーの美しくて響き渡るソプラノの美しさ、
指揮は、オーストラリアの女性指揮者シモーネ・ヤング、30年以上も振っていると言うから超ベテランの冴え。
歌劇場で観たのは、入場に遅れてイタリア人歌手のパバロッティを見損なった苦い記憶があるので、METでの1回は覚えている。
このブログでも書いたが、第1幕は客席に着けず、暗い地下の小部屋の貧しい白黒ディプレイで観た。
METのデータベースで調べると、その時のキャストは、
DER ROSENKAVALIER October 2, 1982
Octavian.....................Tatiana Troyanos
Princess von Werdenberg......Kiri Te Kanawa
Baron Ochs...................Kurt Moll
Sophie.......................Judith Blegen
Faninal......................Derek Hammond-Stroud
Italian Singer...............Luciano Pavarotti
凄い歌手陣である。余談ながら舞台で一番多く観て聴いたソプラノは、キリ・テ・カナワであることを思いだした。
アンネ・リーゼ・フォン・オッターのオクタビアンが記憶に残っているので、ロイヤル・オペラのデータベースにはないので、どこかの劇場で観たのであろう。
リヒャルト・シュトラウスのオペラは、「サロメ」「エレクトラ」「ナクソス島のアリアドネ」「アラベラ」「影のない女」「イドメネオ」などを歌劇場で観ているが、やはり、この「ばらの騎士」が一番興味深くて、ウィンナワルツの軽快なサウンドにのった美しい音楽が流れていて楽しい。
このオペラは、若くて溌剌としたオクタヴィアンの恋の成長物語だが、マルシャリンの徐々に忍び寄る老いを感じながらの恋との決別という陰影のある心理描写も秀逸で、主役の二人が実に上手い。その集大成の終幕真際の三重唱が素晴しい。
ところで、この演出は、18世紀のウィーンを第一次世界大戦前に移した現代劇だと言うので、オックス男爵が軍人として描かれていて、軍服姿で押し通しており、今までの品の悪い俗人丸出しの年配の貴族姿と全く雰囲気が違うので、印象がそっくり変る。
しかし、華麗な古いウィーンの雰囲気を彷彿とさせる舞台設定で、セットや衣装など細かいところにも色々工夫が熟されていて非常に美しい。
興味深いのは、第3幕の「ウィーンの居酒屋の部屋」が、娼館にアレンジされていて、一気に卑猥な雰囲気となり、オクタビアンも娼婦姿でオックスに対応する砕けたいたぶりが面白い。ところで、騒ぎを聞いて警官が駆け込んできた時のシーンでの次の注意書きが意味深、
Content Advisory: This production contains scenes that include nudity.
ヌードと言うよりも、舞台の後方で、何組もの男女が乱交パーティ紛いで組んず解れつ、
その方が気になって、真面目腐って取り調べに右往左往する当事者たちの演技が、まさに、カリカチュア、喜劇である。
松竹のHPから写真を借用すると、
今回の舞台のキャストは、次の通り、
指揮:シモーネ・ヤング
演出:ロバート・カーセン
出演:
元帥夫人(マルシャリン)陸軍元帥ヴェルデンベルク公爵夫人 ソプラノ:リーゼ・ダーヴィドセン、
オクタヴィアン ロフラーノ伯爵・元帥夫人の愛人 メゾソプラノ:サマンサ・ハンキー、
オックス男爵 貴族・元帥夫人のいとこ バリトン:ギュンター・グロイスベック、
ゾフィー ファーニナルの娘 ソプラノ:エリン・モーリー、
ファーニナル 金持ちの新興貴族 バリトン:ブライアン・マリガン
さて、この「ばらの騎士」の同じカーセンの演出の舞台が、17年のMLで放映されていて、オクタビアンはガランチャ、マルシャリンはフレミングだが、オックス男爵とゾフィーは代わっておらず、何となく雰囲気が殆ど同じ感じがして、楽しませてくれた。私は、録画で観ているのだが、勿論、主役が頂点を極めた二人の最後の舞台だと冒頭でゲルプが紹介していたので謂わばこれが決定版だとすれば、今回の舞台は満を持しての公演なのであろう。
脂の載りきったグロイスベックとモーリーの老練な味のある演技に加えて、匂うように美しい元帥夫人のダーヴィドセンと初々しくてパンチの利いたオクタヴィアンのハンキーの魅力満開の舞台で素晴しい。ダーヴィドセンは、このMLの19年の「ナクソス島のアリアドネ」のアリアドネの美しい舞台が印象に焼き付いている。
ハンキーは、松竹のHPをそのまま引用すると、
マサチューセッツ州出身。豊潤な歌声、独創的でドラマティックなパフォーマンス、舞台映えする容姿で注目株の若手メゾ。2017年METナショナル・カウンシル・オーディションに優勝し、翌年《メフィストーフェレ》のパンタリス役でMETデビュー。欧米の主要な歌劇場や音楽祭で次々とデビューを果たし、オクタヴィアン役は昨年バイエルン国立歌劇場でも歌い好評を博した。
17年デビューと言うから、非常に若くて、アメリカのメゾでありながら、バルセロナやグラインドボーンやバイエルンなどヨーロッパでも活躍し、 not only the handsomeness of hankey's rich mezzo, but also its power,で尊敬されていると言う。ガランチャのように年の功は出せないが、若々しくて一途に入れ込んだパワーの効いた演技が感動的で、タイトルロール演じきった。
グロイスベックとモーリーの好演は言うまでもなく、ホーフマンスタールと同郷のウィーンの諧謔笑いを共有したオックス男爵のろくでなし貴族、
モーリーの美しくて響き渡るソプラノの美しさ、
指揮は、オーストラリアの女性指揮者シモーネ・ヤング、30年以上も振っていると言うから超ベテランの冴え。
歌劇場で観たのは、入場に遅れてイタリア人歌手のパバロッティを見損なった苦い記憶があるので、METでの1回は覚えている。
このブログでも書いたが、第1幕は客席に着けず、暗い地下の小部屋の貧しい白黒ディプレイで観た。
METのデータベースで調べると、その時のキャストは、
DER ROSENKAVALIER October 2, 1982
Octavian.....................Tatiana Troyanos
Princess von Werdenberg......Kiri Te Kanawa
Baron Ochs...................Kurt Moll
Sophie.......................Judith Blegen
Faninal......................Derek Hammond-Stroud
Italian Singer...............Luciano Pavarotti
凄い歌手陣である。余談ながら舞台で一番多く観て聴いたソプラノは、キリ・テ・カナワであることを思いだした。
アンネ・リーゼ・フォン・オッターのオクタビアンが記憶に残っているので、ロイヤル・オペラのデータベースにはないので、どこかの劇場で観たのであろう。
リヒャルト・シュトラウスのオペラは、「サロメ」「エレクトラ」「ナクソス島のアリアドネ」「アラベラ」「影のない女」「イドメネオ」などを歌劇場で観ているが、やはり、この「ばらの騎士」が一番興味深くて、ウィンナワルツの軽快なサウンドにのった美しい音楽が流れていて楽しい。
このオペラは、若くて溌剌としたオクタヴィアンの恋の成長物語だが、マルシャリンの徐々に忍び寄る老いを感じながらの恋との決別という陰影のある心理描写も秀逸で、主役の二人が実に上手い。その集大成の終幕真際の三重唱が素晴しい。
ところで、この演出は、18世紀のウィーンを第一次世界大戦前に移した現代劇だと言うので、オックス男爵が軍人として描かれていて、軍服姿で押し通しており、今までの品の悪い俗人丸出しの年配の貴族姿と全く雰囲気が違うので、印象がそっくり変る。
しかし、華麗な古いウィーンの雰囲気を彷彿とさせる舞台設定で、セットや衣装など細かいところにも色々工夫が熟されていて非常に美しい。
興味深いのは、第3幕の「ウィーンの居酒屋の部屋」が、娼館にアレンジされていて、一気に卑猥な雰囲気となり、オクタビアンも娼婦姿でオックスに対応する砕けたいたぶりが面白い。ところで、騒ぎを聞いて警官が駆け込んできた時のシーンでの次の注意書きが意味深、
Content Advisory: This production contains scenes that include nudity.
ヌードと言うよりも、舞台の後方で、何組もの男女が乱交パーティ紛いで組んず解れつ、
その方が気になって、真面目腐って取り調べに右往左往する当事者たちの演技が、まさに、カリカチュア、喜劇である。
松竹のHPから写真を借用すると、