熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日経平均株価は4万円直前で年越し

2024年12月31日 | 政治・経済・社会
   2024年の株式市場も、今日の大納会で終了した。
   世界全体が大変な危機に見舞われた激動の1年であったが、終わってみると、次の新しい年の動向が気にかかる。

   大手証券会社の株価予測では、日経平均株価が年末には4万円と言うことであったが、未達ながらも年末最高値でほぼ達成間近で年を越しており、
   年度末には4万2000円、25年末には4万5000円にと上昇トレンドで推移するとしている。
   来る春闘次第だが、賃上げに期待して実質賃金がポジティブに上昇する可能性が高く、企業業績が上向きであり設備投資の拡大傾向がみられると言うことで、日本経済の活力の復活を予測する向きもあって、25年の経済予測はかなり楽観的である。
   したがって、株価も上昇傾向だと言うのだが、さて、どうであろうか。

   今年、私の株式投資に関して変わったことは、銀行株が値上がりしたので、20年以上も塩漬け株であった三井住友が水面上に上昇したので現金化して、これに、旧NISAで満期になった三井物産株の現金化を加えて、新NISAの成長株投資に振り向けたことであろうか。
   8月の大暴落前後に切り替えたのだが、鳴かず飛ばずで赤字続きであったが、やっと、年末になって、プラスマイナス均衡し始めて、5%ほどプラスになって年を越すことになった。
   微妙な時期ながら、自動車株や鉄鋼株、それに商社株なので、先行き不透明で浮沈が激しいとは思ったが、長期保有のつもりなので、株価の変動にはあまり気にする必要はないと思っている。
   時流に乗った注目株や成長株には興味がない。興味がないと言うより、分からないと言うことであり、また、調べたいと思わないし、結局、この会社が傾くようでは日本も終りだという会社の株になる。

   いずれにしろ、私の株のポートフォリオは、やっと、プラスマイナスとんとんになった。
   来年は、また、沈むかもしれないが、成り行き任せである。

   確たる思想も哲学もないと言われるトランプ2.0がスタートすれば、何が起こるか分からない。
   行き当たりばったりの創造的破壊(?)が、吉と出るか凶と出るか、世界秩序が大転換する予感が新鮮でもある。
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年末年始の海外旅行の思い出など

2024年12月28日 | 海外生活と旅
   今日28日の土曜日から年末年始の9連休の正月休暇が始まった。
   テレビのトップ番組は、この休暇を利用した民族大移動ともいうべきニュースで賑わっている。
   しかし、歳をとって思うように長期の旅行に行けなくなってしまってからは、旅に対する感覚や思いが全く変わってしまった。
   あれだけ、世界各地を歩きまわって旅を生き甲斐のように感じていた自分ながら、まったく、海外旅行に出かけたいと思わなくなっているのである。

   正確に言えば、数年前、元気に海外旅行に行ける状態であったときには、このブログの「ニューヨーク紀行」のように、フィラデルフィアの母校を訪問して、ニューヨークでMETでオペラを楽しみ美術館や博物館を行脚するなど文化三昧のセンチメンタルジャーニーを計画していた。しかし、アメリカを自由に走り回る体力に自信が持てなくなったので諦めた。

   海外との関わりのある仕事をしていなければ、おそらく、あらゆる努力をして海外旅行に行こうと悪戦苦闘をしていただろうと思う。
   しかし、幸いにもアメリカへの留学の機会を得て、欧米などに14年在住して、海外関係の仕事を含めれば、サラリーマン生活の半分以上も外国と付き合ってきたので、その殆どは海外旅行と同じ経験であったようなものである。

   海外旅行と言う意味では、欧米に居ると、クリスマス休暇と夏休みに、毎回2週間ほどの休暇を取る習慣があって、私の場合、現法の社長であったので率先して休暇を消化する必要があり、意識して、海外や遠方への長期旅行に出ることにしていた。
   例えば、一例だが、アムステルダムに居た時には、車で、ドイツのローテンブルグなどのロマンテック街道を通ってノイシュバンシュタイン城にでて、ザルツブルグからウィーンに行き、リンツからハーメルンなどのメルヘン街道を経て帰ると言った調子で、ミシュランのレッド本とグリーン本、地図を頼りに自由気ままの旅を続けるのである。
   デンマークのコペンハーゲンやブレンナー峠越えくらいまでは、車で行けたが、イタリアやスペインや北欧へは、当然飛行機と鉄道を使い、イギリス国内は、ロンドンから車で、全土を回った。
   ラテン系の国は、危ないので車は使わなかったが、フランスだけは、ロワールの古城めぐりやノルマンディやモンサンミッシェルなど車でないと旅が出来ないので、装甲車のように頑丈なボルボをレンターカーして走った。
   スペインのパラドールや古城ホテルなどは事前予約をしていたが、特別なホテル以外は大概ぶっつけ本番の旅で、臨機応変の自由旅の醍醐味も旅の楽しみでもあった。
   英語が基本で、ブラジルでかじったポルトガル語と大学で学んだ第二外国語のドイツ語を、チャンポンに使いながらの旅であるから、まさに、無手勝流の旅であったが、当時は、Japan as No.1の時代で、日本人として誇りを持っていたので、不安も危険も感じなかった。

   とうとう行けなかった国が、お隣の韓国、インド、アフリカなど興味深いところが残っているのだが、諦めざるを得ない。
   それに、歩いたところが殆ど歴史や伝統のある文明地帯であったので、秘境や未開地への旅の憧れも残っている。
   年末年始の旅模様の映像を見ながら、思いだけは旅路を彷徨っている。
   
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夏ミカンマーマレードを作る

2024年12月26日 | 生活随想・趣味
   今年も、夏ミカンが実って綺麗に色づいたので、早速、数個捥いで、マーマレードを作った。
   ここ数年、JAPANマーマレード協会の國分美由紀理事長の「英国式簡単マーマレードレシピの紹介」の動画を参考にして作っている。
   これまで、インターネットで、「夏ミカンマーマレードの作り方」を検索して、色々試みてみたのだが、丁寧すぎて作業が大変であった。
   しかし、この「英国式簡単マーマレードレシピ」だが、イギリス人のことだから、手間暇掛けて込み入った複雑な方法でやるはずがないと思っていたので、やってみたら、まさにそうで、レイジーな私には格好の作り方であった。

   作り方だが、前に苦労したのは、夏みかんの皮の処理で、8等分にカットした皮の内側の白いワタを包丁で剥がして取り去る作業であったが、このレシペでは、8等分にカットした皮付きの実をそのまま水で煮て、柔らかくなるまで煮るだけで済む。それに、皮を千切りにするのも、煮立った皮をハサミで切り刻むだけで済むので、至って簡単である。
   その後の作業は、煮汁と千切りにした皮を鍋に戻し、砂糖を加えて煮詰めれば出来上がりである。
   時間の管理は、カンで処理する以外になかったが、まずまず、対応できたし、レシペで代えたのは、水の量を少し減らしたのと、砂糖の1㎏は多すぎるので7割程度に抑えたことくらいで、ほぼ、2時間くらいで出来上がる。 

   親しくしていたエンジニアリング会社の会長ジムの家を訪れると、訪れる度毎に、奥方マーゴが サーブしてくれる茶菓のジャムは庭の果物で作った自家製の物で、結構美味しかった。どうして作るのだと聞いたら、簡単なので教えてやると言っていたのだが、チャンスを失してしまった。 
   上等なジャムは、ピカデリーのフォートナム&メイソンで買うものと思っていたのだが、マーゴのジャムの方が風味があって美味しいので、帰国した時には、自分で手作りをしようと、フッと思った。

   幸い、鎌倉の庭には、果実の木が何本か植わっていたので、これまでに、キウイ、梅、枇杷などのジャムや果実酒を作って、楽しんできた。
   キウイは伐採したのでダメで、昨年は、梅と枇杷が不作で、僅かに実をつけた夏ミカンでマーマレードしか作れなかったのだが、来年は、素晴らしい梅酒と梅ジャムを作りたいと思っている。
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日本の1人あたりGDP、世界22位

2024年12月25日 | 政治・経済・社会
   朝日新聞レジタルが、「日本の1人あたりGDP、世界22位 円安や高齢化影響、韓国下回る」と報じた。

   内閣府は23日、2023年の国民1人あたりの名目国内総生産(GDP)は米ドル換算で前年比0.8%減の3万3849ドルとなり、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位だったと発表した。21位の韓国(3万5563ドル)を下回り、22年も1人あたりGDPで日本を上回っていたことが判明した。OECD加盟国の順位で韓国に抜かれたのは初めてだった。と言う。
   国民1人あたりGDPは、石破茂首相が就任後初の所信表明演説で「増加」を掲げるなど、政権が重視する指標の一つだが、日本の順位は00年の2位をピークに下落の傾向が続く。22年はイタリアに抜かれ、14年ぶりにG7で最下位に転落した。
   専門家の「円安や日本企業の競争力の衰えだけでなく、高齢化が進んで1人あたりの稼ぐ力が低下したことも大きい」との分析を紹介し、
 名目GDPは物価の変動分も反映されるため、日本も円ベースの金額は物価高もあって増えたが、円安が進んだことで、ドル換算時の目減りの影響のほうが大きくなった。と言う。

   韓国に抜かれたことは、既に、このブログの22年1月の記事で、日刊SPA!が、”韓国に追い抜かれる日本。平均賃金や一人当たり実質GDPも…韓国人の本音は?”を引用して報じている。
   GDPの国際比較は、購買力平価だと比較的現実的だが、通常の米ドル評価では、為替レートが大きく関わるので、今日のように極端な円安の場合には、日本の順位が大きく下がる。今現在1ドル156円くらいだが、円高の時には1ドル80円を切っていた頃もあった筈で、倍近くで雲泥の差である。

   問題は、そんなことではなく、日本経済が失われた30年間、GDPが、500兆円台に止まって、殆ど実質的に成長しなかったことで、人口減でありながら、一人当たりのGDP成長も果々しくなく、足踏みしておれば追い抜かれるのは自明の理である。

   なぜ、日本経済が成長から見放されてしまったのか、何度もこのブログで書き続けてきた。
   経済成長の原動力たる日本企業の労働生産性が、先進国で最下位であり目も当てられない位低いことが元凶である。
   経済成長要因は、「全要素生産性の上昇、労働の増加、資本の増加」の3要素だが、日本の場合、人口増は少子高齢化でマイナス要因であり、投資も低迷しているので、経済成長のためには、全要素生産性の上昇アップ、すなわち、技術革新・規模の経済性・経営革新・労働能力の伸長・生産効率改善など幅広い分野の技術進歩が必須要件である。
   特に、少子高齢化で、移民を活用しない限り、労働人口減が急速に進み経済成長の足を引っ張るので、全要素生産性上昇率と資本装備率の上昇で労働生産性を上げて国際競争力を涵養して経済の質を向上させることが重要である。のだが、このエンジンが一向に始動しない。

   何故か。
   日本の経済政策の問題は、競争を喚起して積極的な企業の参入・退出を図らずに、特に、競争力をなくしたゾンビ企業を温存させる愚をおかし続けてきたこと、この企業の新陳代謝を促してイノベイティブな新規参入を促進できなかったことが、日本の生産性上昇率の低迷や国際競争力の低下の最大の原因になってきた。
   既得利権を死守する時代離れした旧態依然たる経済体制を抜本改革して、無用な民間企業への過度なセーフティーネットやサポートを取り外すなど、ゾンビ維持体制を駆逐すべきである。  
   シュンペーターの説いた創造的破壊者をどんどん生み出せるような経済社会を醸成すること、これしか生きる道はない。

   経済は成熟老成化して成長力を失い、平安無事でそこそこの生活水準に満足して、もういいかと、太平天国を決め込んで、活力も敢闘精神もなくした国民心理が恐ろしい。
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鎌倉交響楽団:第九コンサート

2024年12月23日 | クラシック音楽・オペラ
   22日、鎌倉芸術館で、鎌倉交響楽団の「第九コンサート」が開催された。 
曲目は、ヴェルディ オペラ「ナブッコ」序曲
   ベートーヴェン 交響曲第9番二短調作品125「合唱付」
出演は、
   富澤裕(指揮)
   鎌倉交響楽団(管弦楽)
   川越未晴(ソプラノ)
   藤田彩歌(メゾソプラノ)
   山中志月(テノール)
   宮下嘉彦(バリトン)
   鎌倉芸術館第九合唱団(合唱)
   合唱指導:富澤裕、辻端幹彦

   管弦楽は、素人楽団ながらかなり水準の高い演奏で、富澤裕の指揮のもと、本格的なオペラ歌手のソリストと300有余の重厚な合唱団に増幅されて、素晴らしい第九の世界を魅せてくれた。

   半世紀以上も、クラシック・コンサート行脚を続けているので、随分、色々なところで、第九を聴いてきた。
   フェスティバルホールでのカラヤン指揮ベルリン・フィル、アムステルダムのハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドンのロイヤル・アルバートホールでのアシュケナージ指揮ベルリン放送管、ロンドンのセントポール寺院でのクルト・マズア指揮のニューヨーク・フィル、その他内外楽団でいろいろ、
   演奏はそれぞれであり、その時々で感激し感動し続けてきたが、すべて忘却の彼方、
   この日も、改めて、鎌倉交響楽団の第九コンサートで、同じ感動を味わった。ベートーヴェンは凄い!
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小沢一郎「正に異次元の物価高」

2024年12月22日 | 経営・ビジネス
   インターネットを叩いていたら、日刊スポーツ新聞社の
「小沢一郎氏「クリスマスだというのにケーキは異様に高い…正に異次元の物価高」と私見」と言う記事が出てきた。
   「・・・都内や京都など観光地のホテル代も異様に値上がり。ラーメンなども相当値上がりしていると聞く。正に異次元の物価高」と記述。そして「アベノミクス=異次元緩和が元凶。円安で物価高は加速し、生活を破壊。賃上げだけでは追いつかない。政治を変えないと生活できなくなる」 と言う。
   アベノミクス論議はともかく、最近の値上げラッシュ、インフレの異常さについては、小沢一郎の論を待つまでもなく、日本社会の深刻な緊急課題である。
 
   さて、口絵の写真は、某グルメショップの日本酒の広告
しぼりたて新酒純米大吟醸生原酒飲みくらべ一升瓶3本組
日本酒最高種別の「純米大吟醸×生×原酒」のみ!
店頭では入手できない、プレミアムな3本組!◆限定2,000セット
   その価格が、◆21,470円 税込が、販売価格13,189円 税込
   なぜ、一気にこれだけ安くなるのか分からないのだが、同ショップの日本酒では一番上等であったので、新年にと思ってオーダーした。品数も豊富で選択肢も多いし、これまでにも買った店なので信用はしている。

   私がここで言いたいのは、庶民は如何にして、この不幸なインフレを少しでも回避することができるのか言うことである。
   私の一つの対策は、ネットサーフィングと言うか、安いものを探してネットを検索することだと思っている。丹念に渉猟すれば、同じものが、かなり安く買えることがある。
   この場合、留意すべきは、得体の知れない怪しい宣伝や広告が結構多いので、必ず、信頼出来る店なり商品を選ぶことである。

   一つの例は、
   MIZUNO(ミズノ) ノルディック・ウォーク 4段折りたたみウォーキングポールLITE 2本1組 ユニセックス
   を買おうと思って、ミズノのHPの後、アマゾンを検索すると、
   参考価格: ¥17,600が、-21% ¥13,834 税込 と安くなっている。
   普段はミズノ直販でしか買わないのだが、ディスカウントがないので、今回は、これでかなり安く買えたのである。

   アマゾンの価格は、絶えず変動していて注意が必要だが、まず、ほぼ押し並べて一般よりも低価格なので、価格コムなどと併用しながら、安値の基準と考えて参考にしている。値がさ商品を買うときには、良い方法だと思う。

   量販店に行っても、これらのネット情報の拡散のお陰で安く買えるようだし、実店舗なので実物を見て買える上に、アフターケアを考えれば、そこそこの値段であれば、この方が良いかも知れない。

   いずれにしろ、日用雑貨品や食品など、身近な商品とは違って、結構値が張る耐久消費財などの高額商品を買うときには、インターネット情報の活用が必須だと言うことである。
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令和七年元旦の年賀状を出す

2024年12月20日 | 生活随想・趣味
   イギリスとオランダへのシーズンズグリーティング・カードを出すために郵便局へ行って、ついでに、年賀はがきを買った。
   郵便料の値上げが響いて、一気に年賀状が減ったと言うことで、出しても今年で年賀状終いをする人が多くなったと、メディアが報じている。
   私への年賀状も、毎年、歳のために年賀状じまいをする人が何人かいて、それに、亡くなっていく人もいるので、少しずつ減っている。
   年賀状じまい シールなども売っていて、年賀状への逆風が勢いを増しているのが良く分かって面白い。

   私のような年寄りには、長い年賀状文化の歴史と伝統が染みついていて、時代が変わったからと言って、はいそうですかと、すんなりと止めるわけには行かない。
   それに、一年に一度だが、知人友人の消息が分かって嬉しいし、昔に帰って懐かしくなる。

   若かりし頃、と言っても、50年も60年も前のことだが、パソコンもなけれれば便利なプリンターもない、当時は、すべて手書きで準備したのだから、年賀状書きは年末の大仕事であった。
   私など、木版を掘って押していたが、毛筆で丁寧に書く人もいたり、一寸した芸術作品もあったりして、興味深かった。

   ところで、今の私の場合は、富士通パソコン添付のソフト筆ぐるめを使用しての年賀状作成。
   古いバージョンなので、サポート切れでダメだから新しいバージョンに切り替えろと催促通知が五月蠅いのだが、画像作成ソフトが使えて住所録さえ機能すれば全く問題はない。
   今春パソコンが機能不全になって初期化したので、全てのデータが消えてしまった。しかし、そのまま旧バージョンを起動して、住所録は再整備して、裏面の画像等通信面は新規作成したら、立派に令和7年年賀状が出来上がった。
  高いだけで、オーバースペックで、過剰機能の新規バージョンのソフトなど必要ないのである。

   私個人や家族との付き合いなどで、まだ、年賀状を80枚近く書いたのだが、来年も元気で、パソコンが叩けるかどうか、
   家内は出来ないので私の仕事なので、年賀状を出すか出さないかは私次第なのである。
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ホンダと日産が経営統合を検討

2024年12月18日 | 経営・ビジネス
   ホンダと日産自動車が経営統合を検討しているというニュースがメディアを駆け巡っている。
   産経の記事は、「ホンダと日産、苦境の統合協議 「助け舟」か「どろ船」か、難しい損得勘定」と言うタイトルで、現状の問題点を如実に示している。
   持ち株会社を設立し、それぞれの会社を傘下におさめる形で経営統合する想定で協議を進めるもようだ。両社は8月に次世代の電気自動車(EV)などの技術開発の協業で合意しており、統合でより大きな相乗効果を発揮できないかを探る。ただ、販売低迷による日産の業績悪化で統合協議の行方は予断を許さない。 と言う。

   これを反映して、株式市場は、後場寄り付きで、日産は「ストップ高」で、417.6円、ホンダは、一気に値を下げて、1,242.5円(-3.19%)
   トヨタは値を上げて、2,718.5円(+1.72%)

   窮地に陥った日産が、ルノーに救われたのはずっと昔の話、
   自動車王国のドイツでさえ、フォルクスワーゲンが経営不振にあえいでいる状態であるから、欧米先進国からの白馬の王子は期待できず、ハゲタカの餌食になる不安さえあったのであるから、ホンダのアプローチは千載一遇のチャンスである。
   問題は、日産を統合して新会社を順調に経営して行ける能力と体力がホンダにあるかどうかであろう。

   私は、建設会社のオランダ現法の社長であったので、幸い、日産の欧州本社や倉庫などの建設に携わったので、当時、破竹の勢いでヨーロッパに進出して盛業を謳歌していた日産をよく知っている。
   その後、日産を良くしたのも悪くしたのも、カルロス・ゴーン。
   サウジアラビアで仕事をしていたので、レバシリ・オリジンのビジネスマンが如何に熾烈で利に敏いか、ブラジルにも長かったので、ラテン資質のビジネスのモラル軽視や無軌道さなどもよく知っているのだが、ゴーンは謂わばこのレバノンとブラジル両因子の申し子。
   技術技術で、最高の自動車を追求し続けてきた日産には、このような異分子の経営には免疫がなかったと言うことか。

   全く私事ながら、日産のファンで、20年以上も持ち続けていた塩漬けの日産株を、先日、泣く泣く節税にと思って損切売却した。
   今日のストップ高で、2割ほど損をした勘定だが、これも、人生、面白いものである。
    ついでながら、大暴落を続けているホンダ株を、まだ下がると思ったが、2単位買い増した。日産への応援である。ホンダが傾くようなら、日本はもう終わりだと思っている。
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大河ドラマ「光る君へ」を見続けた

2024年12月17日 | 観劇・文楽・歌舞伎
   NHKの大河ドラマのファンと言えばファンなのだが、これまで、最初から最後まで完全に観続けたことはない。
   しかし、この「光る君へ」は、完全に観た。
   理由は、源氏物語、紫式部がメインテーマであったからである。
   京都の大学に通い始めてから、古社寺散歩に興味を持ったのが切っ掛けで、平家物語と同時に源氏物語を読み愛読書になったのである。
   源氏物語や紫式部に関する本は随分読んできたし、このブログでもブックレビューなどで触れている。

   さて、今回の「光る君へ」だが、平安の王朝絵巻と言うか華麗な舞台が展開されていて興味深かったのだが、私が期待していたイメージとは少し違っていた。
   意外だったというか、新しい発見があったり、教えられることも多かった半面、私が見たかったのは、「源氏物語」の醸し出す世界なり雰囲気であったので、それが殆どと言うほど感じられなかったのである。
   末尾で、まひろが道長がいたからこそ書けたのだと述懐していたが、殆どこの舞台では光源氏と道長のイメージのダブりはないし、道長にも光源氏ほどの強烈な個性の表出もなかったし、全く別人物であった。
   尤も、歴史の一角を切り取った紫式部と道長の物語であって、その殆どが大石静の創作のラブストーリーだと言うことであれば、私の期待外れも当然。
   素晴らしい大河ドラマとして楽しめたので、それで良いのであろう。

   このドラマのメインテーマは、まぎれもなく、道長とまひろの二人の恋物語である。幼い三郎とまひろの恋が導入部となり、道長がまひろに贈った幼い二人の出会いを描いた扇が何度もイメージアップされていたが、この直覚の愛が最後まで尾を引いているほど強烈であり、
   実際には、道長と紫式部との間に男女関係があったかどうかさえ分からない世界に、作者は正面切って踏み込んだのである。
   これはこれで創作の妙として面白いのだが、道長に対するまひろの思いが「光る君へ」と言うのなら、純愛一途の道長に対して、まひろの恋は半身であり腰が引けているのが気になっている。

   あまりにも不埒で徹頭徹尾ドンファンであった光源氏に比べて、このドラマの道長や一条天皇が純愛一途で如何に優しいオノコであったことか、
   それに、まひろが、あまりにも真っ当な平凡な常識人として描かれているので、あの強烈な源氏物語の作者だとどうしてイメージできようか、
   そう思えば、まひろが道長とクンズホグレツ愛の交歓に明け暮れて、男女関係に大らかであった平安王朝の世界にのめり込んでいたとしても、不思議でなかったのかも知れない。だから、源氏物語を構想できた。と妄想している。

   シェイクスピアが、なぜ、あれだけの凄い戯曲を書き得たのか、
   紫式部が、どうして、前代未聞のあの凄い源氏物語を書けたのか、
   私の疑問であり続けている。

  大河ドラマ「光る君へ」は素晴らしいドラマであった。
  まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)とのドラマチックで感動的な舞台展開、
  最初から最後まで、俳優ぞろいの凄い舞台が秀逸だが、源倫子役の黒木華の名演が印象に残っている。
  視聴率が問題となっているが、気にすることはない、それだけ、質が高くて観賞価値のある素晴らしいドラマであった証であって、大衆受けしなかっただけである。
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激動の世界で平安な幸せが如何に貴重か

2024年12月15日 | 政治・経済・社会
   朝起きると、インターネットを立ち上げ、日経を開き、テレビを見るのだが、悲惨な世界情勢の報道が後を絶たず、益々酷くなっていて、胸が痛む。
   ウクライナ戦争からパレスチナイスラエル戦争、これに、シリアのアサド政権の崩壊が加わって中東が一気に混沌としてきた。
   さらに、平穏であった韓国も揺れ始めた。
   来年から始動するトランプ政権が、アメリカのみならず、ヨーロッパの政治経済社会を再編成するであろうし、
   欧米先進国と中露専制国家との軋轢対立の激化、新興中進大国の台頭など、国際情勢が不透明になってきた。

   一番文化文明が発展して頂点に達している筈の今日の人類社会において、信じられないようなバンダリズムが跋扈しており、
   まだ、第3次世界大戦の兆候の足音は遠いが、いつどこかの火薬庫が爆発して大惨事を引き起こして宇宙船地球号を窮地に追い詰めるかも知れない。

   それに比べれば、対岸の火事とは言いながら、わが日本は、如何に平和で平安無事であるのか。
   5歳で終戦を迎えたので、第二次世界大戦の悲惨さを微かに覚えている。
   防空警報が鳴ると頭巾をかぶって防空壕に逃げ込む。西宮に居たので、毎夜、大阪と神戸方面の夜空は空襲で赤く染まっていた。ある日、梅田に出た時には、焼け爛れて廃墟と化した大阪駅前の惨状を見て脳裏に焼き付いている。米軍機に撃墜された日本の戦闘機の破片が、銀紙のように輝きながら舞い落ちてきた。空襲が激しくなったので、隣の宝塚に移転して、しばらくして西宮に帰ったら、家の周りは跡形もなく焼失してしまっていた。
   思い出したくない。

   随分経ってから、アメリカへ留学してMBA教育を受けたので一宿一飯の恩義は感じているが、広島長崎への原爆投下や悲惨な常軌を逸した爆撃など許せないので、アメリカに対しては愛憎半ばで複雑な気持ちである。
   さて、アメリカなど連合国による戦後処理が幸いしたのか、日本は民主主義、資本主義の恩恵を受けることとなって、今日に至っている。

   幸いと言うか、少数与党となったお陰で自民独走が解消して少数者の見解も考慮される雰囲気が生まれて、政治の風通しも良くなった。
   103万円の壁が喫緊の課題、
   年明けには、日経平均株価が4万円越えだという。
   日本は殆ど無風状態で、中ぐらいの幸せ感であろうか、
   太平天国を決め込んで新春を迎えようとしている。

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中国はコーヒーブームだという

2024年12月12日 | 学問・文化・芸術
   NHKがニュース9で、コーヒー価格の高騰のニュースの中で、中国で最近一気にコーヒーブームが起こっていると報じた。

   私が、最初に中国で、喫茶店でコーヒーを味わったのは、このブログの「初春の上海・江南紀行」でも書いているのだが、2017年2月で、
   上海の南西15キロ、明清時代の街並みが残っている典型的な江南水郷の面影を残した七宝古鎮の運河「蒲匯塘」のほとりのライオン・コーヒー店でである。
   コーヒーショップに入って、小鳥が、川面を渡ってきた一寸した絵になる風景を運河越しに眺めながら、小休止した。
   カフェラテが、31元、600円ほどだが、口絵写真のように店員が綺麗に模様を描いてくれた。 
   

   

   その後、上海の繁華街の豫園商城 に、スターバックスがあったので、人混みをかき分けて入って、定番のカフェラテを頂いたのだが、全く、日本やアメリカと同じで、違和感がなく、中国社会に、コーヒーが、かなり浸透しているのを感じた。
   

   細かい情報は記憶に残っていないので、(日経BP 総合研究所)のレポートを借用すると、
   中国ではコーヒー市場が熱を帯びている。若者にとってコーヒーは生活習慣の一部になり、社交ツールにもなっている。コーヒー消費の中心は20~40歳の都市に住むホワイトカラーで、1人あたり年に326杯を飲んでいる計算になるという。現在、中国にはコーヒー関連企業が約17万4000社あり、そのうち22年に新たに登録された企業は約3万2000社で、新規登録企業の増加ペースは23.1%に達している。コーヒー界のトップであるスターバックスは中国市場で事業を拡大しており、25年に中国での総店舗数を9000店にするという。一線・二線都市のコーヒー市場は競争が激しく、ここ2年間近く、スタバなどは三線・四線都市へと急速に事業を拡大している。微博(ウェイボー)などのSNS上では、「火鍋レストランの海底撈火鍋もないような福建省の小さな県にもスタバができた」などの投稿が増えている。と言う。

   イギリスでは、国民的飲料であった筈の紅茶を、スタバが凌駕し、
   茶の国中国でも、辺鄙な田舎でもスタバが開店するという。
   世界全体が、スタバの飲料、と言うよりも、食文化革命が起こっている。
   しかし、そのスターバックスも、イタリアで美味しいコーヒーに感激した創業者が、1971年にアメリカ合衆国ワシントン州シアトルで開業した 新参者。
   私がアメリカに留学していた1972~74年には、喫茶店などある筈がなく、MACやケンタッキーなどの不味いアメリカンしかなくて、真面なコーヒーを味わうためには、高級レストランで高級料理を食す以外になかったのである。
   経営学の神様ドラッカーが、麗々しくもスターバックスをイノベーションだとの賜ったが、ずっとずっと前から、日本には、全国に素晴らしい喫茶店が沢山あって、遥かに美味しくて文化価値の高いコーヒーの喫茶文化を醸成育成していた。
   アメリカや中国やほかの国が、コーヒー音痴で、やっと目覚めたというだけの話である。
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鎌倉に住み始めて早10年に

2024年12月10日 | 生活随想・趣味
   今年ももう師走も半ば、新しい年がそこまで近づいている。
   鎌倉で迎える新しい年も、これで10回目になる。
   緑に包まれた鎌倉山の西麓の静かな住宅街で、少し南に下れば江の島である。
   かなり余裕のある日本庭園風の庭に、私好みの椿や梅、モミジなどの花木を植え加えたので、結構季節の変わり目には、華やかになり、小鳥や蝶が訪れる。
   今日のように、風が穏やかで少し暖かい日には、庭に出て、コーヒータイムを楽しむ。

   さて、この鎌倉が何度目の住居なのか、よく考えてみると、80余歳の長い人生において、随分、あっちこっちと住居を移り替えてきた。
   色々なところで、悲喜こもごもの生活を送ってきたことに感慨を覚えている。

   西宮の戎神社のそばで生まれて、宝塚伊丹と阪神間で育ち、宇治、茨木高槻で過ごした根っからの関西人だったが、東京への転勤で関西を離れて、埼玉の上尾に居住。
   その後、留学や赴任で海外生活となり、フィラデルフィア、サンパウロ、アムステルダム、ロンドン、キューガーデン、この間にも何度か移転。
   帰国してからは、東京新宿に住み、千葉の佐倉に自宅を構えて定住したのだが、縁あって、今の鎌倉に移った。

   それぞれの住居で、生活状態の変化もあって、色々な経験をしてきたのだが、殆どはすでに忘却の彼方、
   時々、かすかに残っている記憶の片鱗が、脳裏をかすめて懐かしくなる。
  
   モミジの紅葉ももう終わり、冬も最盛期。
   ジョウビタキが、今年も訪れて来てくれた。
   晴耕雨読、書を読むのも楽しいが、穏やかな冷気の爽やかな初冬に、温かい陽を浴びながら、庭の自然と対話するのもまた良しである。
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IMF世界経済見通し2025年

2024年12月07日 | 政治・経済・社会
   IMFは、2024年10月に、「政策の転換、高まる脅威」として、「世界経済見通し」を発表し、「世界経済の成長は、今後も安定し続けることが見込まれるものの、勢いが欠けそうだ」と報じた。
   2024年と2025 年はともに、成長率が3.2%となる予想だ。これら予 測値は、2024年4月の「世界経済見通し(WEO)」お よび2024年7月の同改訂版から実質、変わりない。 しかし、水面下では大きな変化が見られる。今般、欧 州の大国諸国を中心に、先進国の成長率予測が下 方改定された。一方で、こうした下降分を相殺するか たちで、米国の予測値が上方改定された。新興市場 国・発展途上国についても同様に、石油を中心とし た一次産品の生産・供給の寸断、紛争、社会情勢不 安、異常気象現象にともなって、中東・中央アジアと サブサハラアフリカの成長率予測値が引き下げられ た。一方で、アジア新興市場国の見通しは上方改定 され、中東・中央アジアとサブサハラアフリカの下方 改定分を相殺している。アジア新興市場国では、人 工知能への大規模投資によって半導体や電子機器 に対する需要が急増しており、成長が促進されてい る。世界経済の5年後の成長率は、最新予測で3.1% と見込まれており、パンデミック前の平均値と比べる と依然さえない数字だ。高齢化や生産性の低迷など 構造的な逆風が根強く残り、多くの国で潜在成長率 が 抑 制 さ れ て い る 。と言うのである。 

   インフレについては、
   主要経済国では、年初と比較して、循環的な不均 衡が緩和しており、潜在GDPと経済活動が前より一 致している。この変化によって、各国の物価上昇率が 収斂しつつあり、総じて、世界のインフレの減速に貢 献してきた。世界の総合物価上昇率は、年間平均値 が2023年の6.7%から2024年は5.8%、2025年は 4.3%へと低下していくことが予想されている。インフ レ率の物価目標への回帰は、新興市場国・発展途上 国よりも先進国で早く達成されることになるだろう。 ベースラインと概ね合致するかたちでディスインフレ が世界的に進行していく中でも、物価安定への道が 平坦ではない可能性がまだある。財の価格は安定し たが、サービス価格は今も、多くの地域で高止まりし ている。この点を踏まえると、部門別の力学を理解し たり、金融政策を適切に調整したりすることの重要 性が窺える 。

   また、構造改革について、
   世界が低成長や人口動態の変化、グリーン経済への移行・技術的移行に関連する課題に取り組む中で、構造改革が急務となっている。しかし近年、改革の取り組みは、強まる市民の抵抗を前に後退しつつある。構造改革の社会的受容性を詳しく掘り下げ、世間の態度の原動力や、支援を拡大するさまざまな戦略の有効性を調査した結果、市民の抵抗は経済的な自己利益よりも、認識、誤情報、そして信頼の欠如にしばしば原因があることが明らかになったので、改革の必要性に関する意識の喚起や、政策の仕組みに関する誤解の是正といった情報戦略が大衆の支持を促進する必要がある。効果的な戦略は、信頼を育む強固な制度的枠組みや、関係者と一般市民による双方向の対話で補完するべきである。 
   

   以上が、IMF報告の要旨であり、参考として利用できる。
   新春に、イアン・ブレマーが、どのような「世界10大リスク」を発表するか楽しみである。

   さて、この予測を踏まえて、かんべえ(吉崎 達彦)が、「2025年はトランプ構文がわかれば意外に怖くない 3つの視点で来年の世界経済を展望してみよう」と論評しているのだが、私が気になったのは、
   エド・ハイマン氏は2017年3月のレポートでこんなことを書いていた。
「トランプの成長戦略には3つのチャネルがある。①Fiscal Stimulus(財政刺激策)、②Deregulation(規制緩和)、③Animal Spirits(アニマル・スピリッツ)――楽観度の平均、つまり消費者、住宅建設業者、中小企業、CEO のアニマル・スピリッツは過去最高レベルに達している」。と言う点。
   このアニマルスピリットである。

   アニマルスピリット(デジタル大辞典)は、ケインズが、「雇傭・利子および貨幣の一般理論」のなかで使用した用語。経済活動の多くは合理的動機に基づいて行われるが、その一方で、将来の収益を期待して事業を拡大しようとする、合理的には説明できない不確定な心理によって左右されるとし、その心理をいったもの。「血気」「野心的意欲」「動物的な衝動」などと訳される。
   ジョージ=アカロフとロバート=シラーは2009年に発表した共著「アニマルスピリット」の中で、人の心理が世界金融危機に及ぼした影響を分析し、アニマルスピリットを取り込んだマクロ経済学の必要性を説いている。

   アニマルスピリットについては、これまでにも何度も書いてきたので、説明は省略するが、
   シュンペーターの「創造的破壊」の原動力であり「イノベーション」を誘発する。巨大な機動力で炸裂すれば、旧体制を破壊して、政治経済社会の世界を、一気に、革命的に変革する。

   トランプ自身のアニマルスピリットがどのようなものか分からないが、問題は、今や世界最大のアニマルスピリットの体現者であり稀有な創造的破壊者のイーロン・マスクの巨大ダイナマイトの炸裂が、どれほど強烈なものかと言うことで、大いに見ものである。
   これ以上望むべくもないほどの創造的破壊者なので、秩序破壊的なマイナス要因を引き起こして、政治経済社会を混乱に陥れるかも知れない。
   しかし、これまで、アメリカの歴史では、有効なカウンターベイリング・パワーが働いて、窮地を救って、健全なアメリカ社会を維持してきている。
   アメリカの良心が働いて、素晴らしい創造的破壊を発揮することを祈りたい。

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日本製鐵に対するトランプの横車

2024年12月05日 | 経営・ビジネス
   トランプ次期大統領は、自身のSNSに投稿し、
「かつて偉大で力強かったUSスチールが外国企業に買収されることに私は完全に反対だ」。 「一連の税制優遇措置や関税政策によって、USスチールを再び強く偉大にする。速やかにやる」「私は買収計画を阻止する。買収者は注意することだ」」。と大統領として買収の実現を阻止すると警告した。 
   また、全米鉄鋼労組(USW)のマッコール会長は3日、トランプ次期米大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収を阻止すると明言したことを歓迎する声明を出し、国内経済や安全保障上のリスクになるとして、「全員が未来に目を向けられるよう、今こそ買収を拒否する時だ」と訴えた。

   これに対して、日本製鉄は3日、トランプ次期米大統領が同社によるUSスチール買収に反対する投稿をしたことを受け「買収はUSスチールを支え成長させるとともに、アメリカ産業界並びにアメリカ国内のサプライチェーンの強靭化、そしてアメリカの国家安全保障を強化するものと考えている」 とのコメントを出し、買収の意義を改めて強調し、さらに、USスチールの製鉄所などに計27億ドル(約4千億円)以上の投資を行う方針を重ねて表明した上で、USスチールの米国人従業員が米国の顧客に最先端の鉄鋼製品を提供するために日本製鉄の世界トップクラスの技術を導入し、雇用を守る」と約束した。
   また、森高弘副会長兼副社長は、トランプ次期米大統領が阻止する考えを表明したUSスチール買収について、バイデン政権の間に正式な手続きにのっとって買収が承認されれば、トランプ氏でも覆せないなどとして年内の実現について改めて意欲を示した。と言う。石破総理のバイデン大統領への嘆願書が功を奏するであろうか。
   日鐵の方が正論だが、アメリカは聞く耳を持たない。

   さて、このブログの口絵写真は、USスチールのHPの冒頭のページである。
   日本製鐵とUSスチールのロゴマークと社名を併記して
   MOVING FORWARD TOGETHER AS THE 
   BEST STEELMAKER
   WITH WORLD-LEADING CAPABILITES
   と大書されている。次のページからは、両社の合併によって如何にUSスチールが甦るか明るい未来が展望されている。
   両社の合併決議はすでに完了済みで、その価値の重要さを、死ぬか生きるか、誰よりも、沈みつつあるUSスチールの経営者は、痛いほど熟知している筈なのである。
   何も知らない部外者が、なぜ、茶々をいれ横車を押すのか。

   トランプが言うように、USスチールは、「かつて偉大で力強かった」が、既に時代遅れの衰退企業で、「一連の税制優遇措置や関税政策によって、USスチールを再び強く偉大にする」など、アメリカの実力では、不可能である。
   鯛は腐っても鯛、誇り高きヤンキー気質も分かるが、最先端を行く製鉄業のテクノロジーは遥かにアメリカを凌駕しており、自力再生に拘れば拘るほど墓穴を掘ることになる。

    ラストベルトの衰退企業はその典型だが、アメリカのオールド製造工業が在来の業態で再興する可能性はゼロに等しい。
   優良企業であったインテルやボーイングでさえ窮地に立つほど、技術革新や国際競争力の進化は激しく、一たび経営に失敗すれば一気に命運が傾く。レッドオーシャンの世界で、後塵を拝しているような企業には明日がない。

   いずれにしろ、トランプが日本製鐵の買収を妨げてUSスチール再生の千載一遇のチャンスを失すれば、USスチールの更なる落日は明白となり、外資参入に対するトランプ政策の晩鐘となろう。
   「MAGA」が、アメリカの衰退を加速する。
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PS:ケネス・ロゴフ「欧州経済は停滞している Europe’s Economy Is Stalling Out」

2024年12月04日 | 政治・経済・社会時事評論
   プロジェクトシンジケートのケネス・ロゴフ「欧州経済は停滞しているEurope’s Economy Is Stalling Out」が興味深い。

   ドイツとフランスが、ほぼ経済ゼロ成長で新年を迎えるのだが、ケインズ派の景気刺激策だけでは現在の不調から抜け出せないことは明らかで、トランプ次期米大統領の関税を乗り切るために必要なダイナミズムと柔軟性を取り戻すには、欧州最大の2大経済大国は、広範囲にわたる構造改革を進めなければならない。
   欧州の経済停滞はケインズ派の景気刺激策が不十分なためなのか、それとも肥大化し硬直化した福祉国家のせいなのか?いずれにせよ、ドイツは2年連続でゼロ成長に突入し、フランスは2025年に1%未満の成長を見込と言った惨状では、財政赤字の拡大や金利の引き下げといった単純な経済対策で欧州の問題を解決できると信じている人たちは現実離れも甚だしい。と説く。

   ロゴフの見解は、極めて明快なので、抄訳を記す。

   フランスは、積極的な景気刺激策により、すでに財政赤字はGDPの6%にまで達し、債務対GDP比は2015年の95%から112%に急上昇している。2023年マクロン大統領は定年年齢を62歳から64歳に引き上げる決定をめぐり、広範な抗議に直面した。この措置は意義深いものだが、同国の財政上の課題の表面をかすめたにすぎない。欧州中央銀行のラガルド総裁が最近警告したように、フランスの財政軌道は抜本的な改革なしには持続不可能である。
   多くの米国と英国の進歩主義者はフランスの大きな政府モデルを賞賛し、自国でも同様の政策を採用することを望んでいる。しかし、債務市場は最近、フランスの膨れ上がる債務がもたらすリスクに目覚めつつある。驚くべきことに、フランス政府は現在、スペインよりも高いリスクプレミアムを支払っている。

   先進国の政府債務の実質金利は、景気後退がない限り高止まりすると見込まれるため、フランスは債務と年金問題から単純に成長して抜け出すことはできない。むしろ、その重い債務負担は、ほぼ確実に長期的な経済見通しに重くのしかかるだろう。過剰な債務が経済成長に悪影響を及ぼすと主張する2つの論文を発表したが、その後の学術研究が示しているように、ヨーロッパと日本の低迷し債務を抱えた経済は、この力学の代表的な例である。

   重い債務負担は、景気減速や景気後退への政府の対応能力を制限することで、GDP成長を阻害する。対GDP債務比率がわずか63%のドイツには、崩壊しつつあるインフラを再生し、低迷する教育システムを改善する十分な余地がある。効果的に実施されれば、こうした投資は、そのコストを相殺するのに十分な長期的成長を生み出す可能性がある。しかし、財政余地は賢明に使われた場合にのみ価値がある。現実には、年間赤字をGDPの0.35%に制限するドイツの「債務ブレーキ」は柔軟性に欠けることが判明しており、次期政権はそれを回避する方法を見つけなければならない。
   さらに、大幅な改革がなければ、公共支出の増加は持続的な成長をもたらさない。具体的には、ドイツは2000年代初頭にゲアハルト・シュレーダー前首相が導入したハルツ改革の主要要素を復活させなければならない。ドイツの労働市場をフランスよりも大幅に柔軟にしたこれらの措置は、ドイツを「ヨーロッパの病人」からダイナミックな経済へと変えるのに役立った。しかし、経済政策の左傾化により、この進歩の多くを事実上逆転させ、ドイツが誇る効率性を大きく損なってしまった。切望されていたインフラを生産する能力は明らかに損なわれている。その顕著な例は、予定より10年遅れ、予想の3倍の費用をかけてようやく2020年にオープンしたベルリンのブランデンブルク空港である。
   ドイツは最終的に現在の不調を克服するだろうが、肝心なのはそれがどのくらいかかるかということだ。今月初め、ショルツ首相はクリスティアン・リンドナー財務大臣を解任し、脆弱な連立政権の崩壊につながった。2月23日に選挙が予定されているが、カリスマ性に欠けるショルツ首相は今や退陣し、別の社会民主党員に党首を任せるか、党の崩壊の危険を冒すしかない。

   この政治的混乱の中、ドイツはヨーロッパの経済大国としての地位を脅かす課題の山積と格闘している。ウクライナで続く戦争が投資家の信頼を損ない続け、ドイツの産業基盤はロシアからの安価なエネルギー輸入の喪失からまだ回復していない。一方、自動車部門はガソリン車から電気自動車への移行に苦戦し、世界の競合に遅れをとっており、経済も低迷している中国への輸出は急減している
   これらの問題は、来年、より保守的で市場志向の政府が政権を握れば、おそらく対処できるだろう。しかし、構造改革に対する国民の支持が依然として低いことを考えると、ドイツを正しい軌道に戻すことは決して容易ではない。劇的な変化がなければ、ドイツ経済は、トランプの差し迫った関税戦争の影響に耐えるために必要なダイナミズムと柔軟性を取り戻すのに苦労するだろう。

   他のほとんどの欧州経済が同様の課題に直面しているのだが、イタリアは、大陸で最も有能なリーダーと言えるジョルジャ・メローニ首相の下で、若干良いパフォーマンスを発揮するかもしれない。スペインやいくつかの小国、特にポーランドは、ドイツとフランスが残した空白をいくらか埋めるかもしれない。しかし、EUの2大経済大国の弱さを完全に埋めることはできない。
   ヨーロッパが観光地として、特にドル高で観光産業を支えているアメリカ人旅行者の間で根強い人気を誇っていなければ、経済見通しはもっと暗いものになっていただろう。それでも、2025年の見通しは冴えない。ヨーロッパ経済はまだ回復する可能性があるが、ケインズ派の景気刺激策では力強い成長を維持するのに十分ではないであろう。

   ロゴフの論文の要旨は、
   ヨーロッパの経済は、成熟化して制度疲労を起こして暗礁に乗り上げ、さらに、過剰な債務が経済成長を阻害して、深刻な停滞状態にあるのだが、従来の景気循環対策的な財政金融政策による成長戦略では救いようがない状態まで来ており、根本的に構造改革を行わない限り回復はありえない。 
  
   ここで、気になったのは、
   ヨーロッパの重い債務負担は、ほぼ確実に長期的な経済見通しに重くのしかかり、経済成長に悪影響を及ぼすとして、低迷し債務を抱えたヨーロッパ経済をジャパナイゼーションと指摘していることである。
   MMT理論によれば、別な世界が見えてくるのだが、過剰債務が悪だとする主流派経済理論から言えばそうであって、有効かつ適切な抜本的経済対策を打たなければ起死回生は望めないと言うことであろう。

   ここで、ロゴフは、ヨーロッパのトランプの増税対策への懸念に言及しているが、そんな生易しい対応ではダメである。
   トランプの新経済政策は、異常尽くめで何が起こるか分からない。場合によっては、ヨーロッパの経済に激震を与えて大改革を迫るほど強烈な破壊力を持っているかも知れない。
   吉と出るか凶と出るかは分からないが、トランプ爆弾の炸裂は、世界の政治経済社会に、創造的破壊を引き起こす可能性が高く、新秩序を生み出すであろうから、それに対応した体制を構築して臨まなければならない筈である。
   私はトランプには与しないが、一方では、トランプの打つ創造的破壊に期待もしており、その起爆力が強力であれば強力であるほどよいと思っている。
   そうでなければ、中露などの専制国家やBRICSの台頭に抗して、わが民主主義陣営の世界、すなわち、貴重な虎の子の文化文明、歴史伝統を守り切ることは不可能だからである。
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