PSのジョセフ・E・スティグリッツ最新の論文「インフレと戦わない方法 How Not to Fight Inflation」が面白い。
当初から、FRBの金利引き上げは、百害あって一利無しと主張し続けているスティグリッツ教授であるから、
米国の経済状況を注意深く見ると、インフレは主に供給側の混乱と需要パターンの変化によって引き起こされたのであるから、さらなる利上げはほとんどまたはまったく影響を及ぼさず、それ自体が広範囲に悪影響を及ぼし問題を引き起こすだけである。と言うのである。
まず、好調な指数だが、インフレが抑制されたかどうかを判断するには時期尚早だとしても、最近の価格急騰から 2 つの明確な教訓が生まれた。
第一に、経済学者の標準モデル、特に経済が常に均衡していると仮定する支配的なモデルは事実上役に立たなかった。 第二に、システムからインフレを引きずり出すには 5 年間の苦痛が必要であると自信を持って主張した人々は、すでに反論されている。 インフレ率は劇的に低下し、2022 年 12 月の季節調整済み消費者物価指数は 6 月をわずか 1% 上回っただけである。
今回のインフレの主な原因は、過剰総需要ではなく、パンデミック関連の供給ショックと需要パターンの変化であって、パンデミック支出によって生み出された追加需要ではないことを示す圧倒的な証拠がある。 市場経済を信じている人なら誰でも、それがいつなのかは分からないが、供給の問題が最終的に解決されることを知っている。
パンデミックによる経済活動の停止とその後の急速な再開に耐えたことはないので、過去の経験に基づくモデルは役に立たないことが判明した。 それでも、市場は下方調整よりも急速に上方調整する傾向があるため、初期のインフレプロセスを即座にまたは完全に打ち消すとは限らないとしても、供給のボトルネックを解消することは、ディスインフレになると予想できる。
政策立案者は、少なすぎることと多すぎることのリスクのバランスを取り続けているが、 金利上昇のリスクは明らかである。脆弱な世界経済が景気後退に陥る可能性があり、多額の債務を抱える新興国や発展途上国の多くがドル高、輸出収入の減少、金利の上昇という三重苦に直面しているため、さらなる債務危機が発生する可能性がある。
金利の引き上げは、企業が現在の供給制約への解決策に投資する費用を高くすることにより、利益よりも害を及ぼす可能性がある。FRBの金融政策の引き締めにより、住宅建設はすでに抑制されているが、インフレの最大の原因の1つである住宅コストを引き下げるには、まさに供給の増加が必要である。さらに、住宅市場の多くの価格設定者は、ビジネスを行うためのより高いコストを賃借人に転嫁する可能性がある。 また、小売市場やその他のより広い市場では、金利が上昇すると、現在の価格上昇のメリットと比較して、失われた顧客の将来の価値を評価減するように企業が誘導されるため、金利の上昇は実際に価格の上昇を引き起こす可能性がある。
確かに、深刻な不況はインフレを抑える。しかし、パウエルと彼の同僚は、経済を犠牲にして楽しんでいるようである。FRBは、 3 兆ドル以上の銀行準備預金残高に 4.4% の利子を払い、年間 1,300 億ドル以上のきちんとした収益を上げさせて、商業銀行の彼らの友人達を盗賊のように振る舞わせている。
これらすべてを正当化するために、FRB は通常のおかしなことを指摘している。暴走するインフレ、賃金と価格のスパイラル、固定されていないインフレ期待である。 しかし、これらのボギーマンはどこにいるのか? インフレ率が低下しているだけでなく、賃金は物価よりもゆっくりと上昇しており (つまり、スパイラルは発生していない)、期待は抑えられている。 5 年間、5 年間のフォワード期待率は 2% をわずかに上回り、安定しているとは言えない。
また、2% の目標インフレ率に十分早く戻らないのではないかと懸念する人もいるが、 しかし、この2%と言う数はどこからともなく引き出されてきた数字で、経済的な意味はなく、インフレ率が 2% から 4% の間で変化した場合に経済に大きな負担がかかることを示唆する証拠もない。 それどころか、経済の構造変化と物価の下方硬直化の必要性を考えると、インフレ目標をわずかに引き上げることを勧めたい。と言うから面白い。
何が起こっているのか、どこで価格が下落したのかを注意深く観察すると、インフレは主に供給側の混乱と需要パターンの変化によって引き起こされたという構造主義的な見方が支持される。 これらの問題が解決されるにつれて、インフレは引き続き低下する可能性がある。
いつインフレが完全に抑えられるかを正確に判断するのは時期尚早であり、どんな新たな衝撃が私たちを待ち受けているかは誰にも分からない。 しかし、 インフレはそれ自体で大部分は治まる(そして、供給制約を緩和するための政策によってプロセスが加速される可能性がある)と主張する人々は、明らかに高額で永続的なコストを伴う措置を支持する人々よりもはるかに強力な根拠を持っている。しかし、その利益はまだ分からない。
以上が、スティグリッツ教授の主張であるが、需要サイドの問題なので、ケインジアンの出る幕はないのであろう。
いずれにしろ、アメリカ経済そのものが、それ程悪くないので、自然と落ちつくところへ落ち着きつつあると言うことであって、表題の「インフレと戦わない方法 How Not to Fight Inflation」が、機能していると言うことであろう。
ところで、日本だが、円安であろうとサプライチェーンのボトルネックであろうとサプライサイドの問題による急速な悪性インフレであって、政府は為す術もなくメーカーや企業の値上げを容認しており、異常な物価の上昇で国民生活を圧迫し始めている。
政府の物価上昇以上の賃上げというハーメルンの笛に踊って、経団連も総評も喜々として(?)お題目を唱えているが、日本経済の実情を注視すれば、中小企業など弱小経済はついて行けず、経済格差を益々悪化させて、窮地に追い込むだけである。インフレが4%オーバーだというのに、国民年金を23年度中に68歳以上になるケースで1.9%増ということだが、どの様に生きよと言うことであろうか。
トリクルダウンなどなくなった時代、弱者を切り捨てる政治から脱却すべきだが、言っても無駄であろう。
当初から、FRBの金利引き上げは、百害あって一利無しと主張し続けているスティグリッツ教授であるから、
米国の経済状況を注意深く見ると、インフレは主に供給側の混乱と需要パターンの変化によって引き起こされたのであるから、さらなる利上げはほとんどまたはまったく影響を及ぼさず、それ自体が広範囲に悪影響を及ぼし問題を引き起こすだけである。と言うのである。
まず、好調な指数だが、インフレが抑制されたかどうかを判断するには時期尚早だとしても、最近の価格急騰から 2 つの明確な教訓が生まれた。
第一に、経済学者の標準モデル、特に経済が常に均衡していると仮定する支配的なモデルは事実上役に立たなかった。 第二に、システムからインフレを引きずり出すには 5 年間の苦痛が必要であると自信を持って主張した人々は、すでに反論されている。 インフレ率は劇的に低下し、2022 年 12 月の季節調整済み消費者物価指数は 6 月をわずか 1% 上回っただけである。
今回のインフレの主な原因は、過剰総需要ではなく、パンデミック関連の供給ショックと需要パターンの変化であって、パンデミック支出によって生み出された追加需要ではないことを示す圧倒的な証拠がある。 市場経済を信じている人なら誰でも、それがいつなのかは分からないが、供給の問題が最終的に解決されることを知っている。
パンデミックによる経済活動の停止とその後の急速な再開に耐えたことはないので、過去の経験に基づくモデルは役に立たないことが判明した。 それでも、市場は下方調整よりも急速に上方調整する傾向があるため、初期のインフレプロセスを即座にまたは完全に打ち消すとは限らないとしても、供給のボトルネックを解消することは、ディスインフレになると予想できる。
政策立案者は、少なすぎることと多すぎることのリスクのバランスを取り続けているが、 金利上昇のリスクは明らかである。脆弱な世界経済が景気後退に陥る可能性があり、多額の債務を抱える新興国や発展途上国の多くがドル高、輸出収入の減少、金利の上昇という三重苦に直面しているため、さらなる債務危機が発生する可能性がある。
金利の引き上げは、企業が現在の供給制約への解決策に投資する費用を高くすることにより、利益よりも害を及ぼす可能性がある。FRBの金融政策の引き締めにより、住宅建設はすでに抑制されているが、インフレの最大の原因の1つである住宅コストを引き下げるには、まさに供給の増加が必要である。さらに、住宅市場の多くの価格設定者は、ビジネスを行うためのより高いコストを賃借人に転嫁する可能性がある。 また、小売市場やその他のより広い市場では、金利が上昇すると、現在の価格上昇のメリットと比較して、失われた顧客の将来の価値を評価減するように企業が誘導されるため、金利の上昇は実際に価格の上昇を引き起こす可能性がある。
確かに、深刻な不況はインフレを抑える。しかし、パウエルと彼の同僚は、経済を犠牲にして楽しんでいるようである。FRBは、 3 兆ドル以上の銀行準備預金残高に 4.4% の利子を払い、年間 1,300 億ドル以上のきちんとした収益を上げさせて、商業銀行の彼らの友人達を盗賊のように振る舞わせている。
これらすべてを正当化するために、FRB は通常のおかしなことを指摘している。暴走するインフレ、賃金と価格のスパイラル、固定されていないインフレ期待である。 しかし、これらのボギーマンはどこにいるのか? インフレ率が低下しているだけでなく、賃金は物価よりもゆっくりと上昇しており (つまり、スパイラルは発生していない)、期待は抑えられている。 5 年間、5 年間のフォワード期待率は 2% をわずかに上回り、安定しているとは言えない。
また、2% の目標インフレ率に十分早く戻らないのではないかと懸念する人もいるが、 しかし、この2%と言う数はどこからともなく引き出されてきた数字で、経済的な意味はなく、インフレ率が 2% から 4% の間で変化した場合に経済に大きな負担がかかることを示唆する証拠もない。 それどころか、経済の構造変化と物価の下方硬直化の必要性を考えると、インフレ目標をわずかに引き上げることを勧めたい。と言うから面白い。
何が起こっているのか、どこで価格が下落したのかを注意深く観察すると、インフレは主に供給側の混乱と需要パターンの変化によって引き起こされたという構造主義的な見方が支持される。 これらの問題が解決されるにつれて、インフレは引き続き低下する可能性がある。
いつインフレが完全に抑えられるかを正確に判断するのは時期尚早であり、どんな新たな衝撃が私たちを待ち受けているかは誰にも分からない。 しかし、 インフレはそれ自体で大部分は治まる(そして、供給制約を緩和するための政策によってプロセスが加速される可能性がある)と主張する人々は、明らかに高額で永続的なコストを伴う措置を支持する人々よりもはるかに強力な根拠を持っている。しかし、その利益はまだ分からない。
以上が、スティグリッツ教授の主張であるが、需要サイドの問題なので、ケインジアンの出る幕はないのであろう。
いずれにしろ、アメリカ経済そのものが、それ程悪くないので、自然と落ちつくところへ落ち着きつつあると言うことであって、表題の「インフレと戦わない方法 How Not to Fight Inflation」が、機能していると言うことであろう。
ところで、日本だが、円安であろうとサプライチェーンのボトルネックであろうとサプライサイドの問題による急速な悪性インフレであって、政府は為す術もなくメーカーや企業の値上げを容認しており、異常な物価の上昇で国民生活を圧迫し始めている。
政府の物価上昇以上の賃上げというハーメルンの笛に踊って、経団連も総評も喜々として(?)お題目を唱えているが、日本経済の実情を注視すれば、中小企業など弱小経済はついて行けず、経済格差を益々悪化させて、窮地に追い込むだけである。インフレが4%オーバーだというのに、国民年金を23年度中に68歳以上になるケースで1.9%増ということだが、どの様に生きよと言うことであろうか。
トリクルダウンなどなくなった時代、弱者を切り捨てる政治から脱却すべきだが、言っても無駄であろう。