
SRT PRESTIGEをはじめとしてホアラムポーン駅に停車している客車を激写していると、朝5時とはいえいつの間にか汗まみれになってしまうのは、さすが熱帯の朝……。というわけで、5時半頃に「そろそろ45分発・ウボン行のDC特急が入線して来る頃だろう。とゆーか、55分発・東線のアランヤプラテート行はとっくの昔に入線しているというのに、特急が客を蒸し暑いホームに待たせ続けるとは何事か。ほら……ホームには既に、客がこれだけ集まっているではないか……」と文句をタラタラつぶやきながら (キモッ!)、今か今かと入線を待っておりました。ところが、何ということでしょう……目の前にDCの検修庫があるというのに、DCが入線して来たのは発車時刻になってから! (鬱爆) というわけで、「ドヒャァァァ! この列車を途中下車して最初に訪れる撮り鉄活動地点での持ち時間は、定刻運転でも1時間40分。このうち少なくとも往復40~50分程度はバイタクに乗っている時間であることからして、特急が遅れれば遅れるほど持ち時間が削られて行く……。しかも、次に乗る快速ウボン行が同様に遅れるとは限らない。『どうせ次も遅れる』と余裕ブッこいて、ターゲットの駅でのんびるするわけには行かない……」という焦燥感に飲み込まれてしまったのでした……。
そんな激鬱な気分に追い打ちをかけたのは、さすがウリナラ製だけに、窓とシートピッチが全く噛み合っていないために自分の席は眺めが悪く、しかも自分の席だけリクライニングシートが壊れて完全に倒れてしまい、実に座り心地が悪いこと……(-_-メ)。車内の全体的な雰囲気は、台湾のPP自強に似ているのかも知れませんが、まぁとにかくこのDCも登場から約20年。ウリナラ的手抜きを痛感させられます……。まぁ唯一最大の救いは、クーラーがキンキンに効いていることでしょうか。

ともあれ、入線して客を乗せたらすぐに発車!ということであればまだ良かったのですが、その後も面食らう場面が続々と……。今から洗車がスタートするとは……。しかも、55分発のアランヤプラテート行がほぼ定時で発車して行ったという……。特急、しかも始発駅で、この屈辱感は半端なものではありません。結局20分遅れの6時5分に発車しましたが、この先ドンムアンあたりまでは延々と、各駅で客を拾ったり、あるいは踏切待ちに遭遇したり……遅延回復は全く見込めません。とゆーか、この踏切待ち遅延の恐怖があるからこそ、ホアラムポーンでは定時に発車して欲しかったのですが……。
結局、加速だけは爆発的に素晴らしいこともあって、停車→猛加速→疾走→急減速→停車のサイクルを繰り返し、やがてバンコク市街を抜けてアユッタヤーに到着しましたが、この時点でも20分遅れを保ったまま。あ~あ。
一方、車内に目を向けてみますと、いくら超豪華冷房高速バス網が発達したタイであるとはいえ、特急列車の旅は疲れないという認識があるためでしょうか、平日でも完全に満席です。これは恐らく、早い段階で満席になっていると思われますので、3両と言わずもっと増結すれば良いものを……。
そして特急列車につきましては、極めて簡単な軽食のサービスがあります。まぁ、緑豆入りのパンと、アイスコーヒーまたはオレンジジュースを配って回るだけですが、蒸し暑さの中で駅に来るだけでも少々疲れる国柄ではありますので、これが意外と有り難い。
また、ドンムアンを発車してほぼ満席になったというタイミングで、車掌氏によるアナウンス・ショーが始まりました。「ショー」と記しましたのは、単なる車内放送ではなく、銀河鉄道999の車掌氏よろしく、仕切りがある半室ごとに歩いて回って、非常に丁寧な挨拶と途中駅の停車時刻をアドリブで延々と語り出したから! 如何にも長年の優秀な勤務ぶりで特急列車の車掌という名誉を手にしたという貫禄ある風情の車掌氏が、両手を腹の前で組みつつ、制帽に取り付けたマイクに向かって語りかけると、ワイヤレスでスピーカーにも伝わって、いくら床下でゴォォォ~とエンジンが回っていても全ての客がアナウンスを明瞭に聞き取れるという……。
まぁ、今回DC特急に乗っていて面白かったのは、この車掌氏のショーだけだったと言っても過言ではありません (苦笑)。
というわけで、今回急遽途中下車することに決めたケーンコーイ・ジャンクションには、結局最初の遅延をそのまま引きずって、8時5分に到着……。名アナウンスの車掌氏は下車時に「貴方の切符はナコーン・ラーチャシーマまでではないか?! ここは全然違うが大丈夫か?」と強く呼び止めましたが、「No Problem!」と繰り返し強調して、大急ぎで駅前のバイタクだまりに向かったのでした……。次に乗る快速が定時でケーンコーイに到着するのは1時間20分後。果たしてそれまでに、無事キハ28・58の大量放置を激写して戻って来ることは出来るのか……? (続く)