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かつて南海高野線・大運転の要として君臨していたズームカー21000系は、1958年登場ということで、御年は何と62年。一昔・二昔前でしたら、車齢60年越えの車両といえば半鋼製の釣掛式電車と相場が決まっており、木製の車内と相俟って「なるほど、車齢半世紀超えだな」と納得したものですが、昭和30年代以後のノーシルヘッダー車ですと、往々にして流麗なデザインのため、車齢を知ってもなかなかピンと来ないこともしばしばです。車内に一歩入ったり、間近に眺めて車体の凹凸を確認したりして、初めて「あ、確かに古いわ」と思うという……。そんな車両の一つが、南海→大井川21000系であると言えましょう。
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去る7月に大井川を久しぶりに訪れた際、21000系は1本が運用入りし、1本が検査中。ただでさえ本数も減っており、1往復するにも時間がかかりますので、「撮って乗る」には非常にハードルが高く、来た際には絶対に失敗できないという緊張感もありますが、それだけに、高野線時代の「急」HMに範を取った「普」HMも凜々しい南海グリーンの21000系を撮った瞬間、内心ガッツポーズであったことは言うまでもありません。
この後、しばし新金谷と家山で撮影し、家山から千頭まで21000系に乗りましたが、車内は本当に昭和30年代そのものですね……。相当年季の入った化粧板、ゴツいつくりの転クロ座席、優雅なカバーで覆われた照明……。まさに戦後ロマンスカーの良き時代そのものでした。そんな車内から眺める雄大な大井川の眺め……短時間ではありましたが、旅の醍醐味が詰まっていました。