そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

この半世紀農業予算が削られっぱなしで、食料の実質的、現実的な自給率は10%を切っている

2024-04-17 | 農業と食
上の表は、鈴木宣弘東大教授が本当の食料自給率を表したものである。公表されているカロリーベースの自給率は37.6%(下段の青)、これにほぼ100%輸入されている肥料が仮に半減した場合には更に下がり22.0%(下段の薄緑)、更に自民党が着々と進める種子の自由化、大企業依存が進んでしまって10%になった場合には僅か9.2%(下段の黄色)になるというのである。
農作物を巡るも環境を考慮すれば、日本の食糧事情がいかに悲惨な状況であるかがわかる。
これに加えて、この円安の結果も深刻である。特に大型機械は異常に高騰している。畜産を支える穀物価格もウクライナ戦争後世界的に高止まりの上に、円安で三割も高くなっている。
もっと大きな担い手の高齢化という現実がこれに加わる。農業従事者の平均年齢が、68.7歳という衝撃的な数字は計算外である。
「日本農業は過保護だ」という、何処から出たのか事実を踏まえないデマが巷間繰り返される。
下の表は立憲民主党の公開したものである。ただでさえ国家予算に占める農業予算は10%にも満たないのに、半世紀の間置いてきぼりであったことが分かる。この50年で国家予算は14.4倍になったのに農水予算は2.3倍で実質6分の1となり、15%ほどのになったことが判る。別の言い方をすれば、農水予算は85%削られたともいえる。
そして打ち出される政策は周辺企業が潤うばかりの、大型化奨励のものばかりである。労働力は都会に吸い上げられ、農産物価格は抑えられ、海外依存を高め、農村は体力を失い工業化してきたのである。
こうした半世紀にもわたる農業政策の失態を検証しないで、食料自給率など高まることはない。なのにいまだに、効率化やIT化などの取り組もうとし、農業・農村は周辺産業の収奪の対象に晒されたままである。


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