イランの核開発を巡って各国の対応が、まるで東西冷戦の再来の様相を呈してきた。イランは、平和目的と称しながらも、明らかに核兵器の開発 を手がけている。
世界の警察のアメリカは、経済制裁を同盟国に要請した。アメリカは、国交断絶状態にあり、イランから原油を輸入していない。そこでEUと日本と韓国に石油禁輸を要請した。
イランの石油輸出はEU18%、日本14%、韓国10%、それに中国22%、トルコ7%、インド13%となっている。仮に、EUと日本と韓国が輸入禁止に踏み切ると、42%程度になる。
イランに打撃にはなるが、中国とトルコが拒否している。更にインドが、伝統的な非同盟を貫き同調しないようである。これでは経済制裁として、十分に機能しない。
代わって、中国の中東での立場を強固にすることになる。世界の原油価格の高騰のきっかけになりかねない。
日本はこれまでイランと経済協力、油田開発などで良好な友好関係にある。これを断ってしまうことになる。このことのマイナスは大きい。
日韓はサウジアラビアに食指を動かしている。このことも長年敵対関係にあるイランを刺激する結果になっている。
何よりも先週、イランの核開発を担っていた、学者の車が何者かによって爆発し即死したことが、イラン国民の反米感情、反イスラエル感情を煽っている。
イランは、ホルムズ海峡の封鎖を示唆している。これにはアメリカが強く反発し、書簡を送っている。(国交関係がないため抗議もできない)イランは本気かもしれない。
来週にIAEAの査察があるが、イランがこれをどのように受け入れるかが焦点である。
イランを経済制裁したところで、意図する効果など出ない。国民が苦しみ、敵対感情を大きくするだけである。