週末の夕刻、健康維持の意味も兼ねて、近くをサイクリングする。この数年、明らかに変わってきた光景がある。散歩やエクササイズをする人たちの数が増えてきたことである。健康志向の生活スタイルは歓迎すべきだが、圧倒的に高齢者だ。杖をついてゆっくり歩いている人も多い。孤独な影が濃く、斜陽の道を下る日本の姿が見え隠れする。
他方、公園などで子供たちが元気に遊ぶ空間は、生き生きとしている。ボールを蹴り、走り回る。にぎやかな笑い声が響き、見ている方も楽しくなる。子供たちはこれからの社会にとって宝物的存在だ。
高齢者と同時に、目につくようになったのは、ペット、とりわけ犬に散歩をさせている人々の姿だ。犬に連れられて歩いているようなお年寄りの姿も目立つ。かつてのように犬が元気に人を引っ張ってゆく光景は少なくなった。犬も飼い主に合わせてゆっくりと歩いている。犬も人間も活力が乏しい。
日本の2006年時点での推計飼育数犬は、6245万頭、他方、猫は55万匹だそうだが、全人口のほぼ18%に相当する。空前のペットブームといわれるが、動物に癒しを求め、孤独に老後を生きる姿はさびしい。
子供の育て方を知っている高齢者の力を借りて、元気な赤ちゃんや子供の声が聞こえる地域再生ができないものか。高齢者も子供も一緒に過ごせる新しいタイプのデイケア・センターなどが増やせないものだろうか。心豊かに日々を過ごせる社会の実現。身近なところから考えたい。