人間の本質に迫る三浦文学の最高傑作
5月3日は、憲法記念日でした。あちこちで議論が盛り上がった。
憲法改正、3/2,集団自衛権。
今年は三浦綾子のデビュー作≪氷点≫から50年と言う記念の年です。
3年前の震災以降、三浦綾子の著書は多いものでそれまでの4倍も増刷されより
多くの人に読まれるようになり、再び注目されています。
三浦綾子さんは大正11年に旭川市で生まれる。
17歳 小学校の先生になる。 軍国教師として教える。
7年間小学校の先生をした後、昭和20年敗戦 GHQが入ってきた。
軍国主義的な教科書の本に墨を塗らなければならない事になる。
それを見ながら私がやったことはなんだったんだろうか、子供の心に墨を塗る、それは本当に大きな絶望の時でした。
(あすの言葉より)
あらすじ
昭和元年、北森竜太は、北海道旭川の小学4年生。
父親が病気のため納豆売りをする転校生中原芳子に対する担任・坂部先生の温かい言葉に心打たれ、竜太は、教師になることを決意する。
竜太の家は祖父の代からの質屋。日中戦争が始まった昭和12年、竜太は望んで炭鉱の町の小学校へ赴任する。
生徒をいつくしみ、芳子との幸せな愛をはぐくみながら理想に燃える二人の背後に、無気味な足音……それは過酷な運命の序曲だった
読後感
やや時代的に私とはづれていますが、戦争、銃後の守り、国家総動員法、治安維持法等の
幼少の頃に聴きかじった言葉がでてきた。
こんな世の中が・・・・!!、思われる官憲に強いられた暮らしがあった。
”北海道綴り方連盟事件”を、はじめて知った。
竜太は赤紙が来て戦場へ。
やっとのことで復員するが弟は戦死していた。
親戚にも、兄が軍服姿で帰り、弟は帰らぬ人、幼な心に聞いていたので
重ねあわせて涙した。
三浦綾子の文学は証しの文学、 体験の文学と言われる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
長野県の神社を訪ねたときに
神社の軒下に木片の版に掲けられ、消えかかった短歌の数点を見た。
・ 夫征く日一度のみ着しこの単衣
雪降る夜に解きつつ想う (笠井みさき)