兼題 鰯雲・雑詠
鰯雲(いわしぐも)三秋
【子季語】
鱗雲、鯖雲
【解説】
鰯の群れのように空に広がる雲。魚の鱗にも似ていることから、
鱗雲ともいう。この雲が見られると鰯の群れがやってくるともいう。
鰯雲は巻積雲のこと。雲自体は氷の細かな結晶で上層雲に分類され、高度五キロメー
トルから十五キロメートル程度に発生する。温暖前線や熱帯低気圧の接近時に現れる
ため、天候の悪化の前兆といわれる。台風や移動性低気圧が近づく秋によく見られる。
秋の象徴的な雲である。
9月「かめの会」9・17(土)行われた。
10名の参加44句集まり(1名欠)で、出句、清記、選句、披講、講評
とおこなわれました。
下に列挙した句は高得点順に並べました。
1、野仏の畔に火と咲く曼殊沙華
2、鰯雲同床異夢の旅の空
3、鰯雲置いてけぼりの三輪車
4、賑わいの消えし浜辺や秋の空尽き
5、ふり返る寅さん旅へ鰯雲
6、木道の尽きて一望大花野
7、鰯雲櫓のきしむ音波に消え
8、緩らかに空動かして鰯雲
9、鰯雲戦禍の子らも見ているか
◎ 今月の高点句(7点)
野仏の畔に火と咲く曼殊沙華 (T)
(評) 野中のあぜ道にぽつんと野仏がある。
寂しそうにそれでいて凛と咲き野仏を慰めているように、まるで真っ赤に、
火を噴くようにっ真っ赤に鮮やかに咲いている。写生句で目に映像が浮かぶ…。
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