息子の親権を手放す事になってしまったソナに、彼女が一人になりたがっても、泣き叫んでも、最後まで寄り添うドンソク。
そんなドンソクの思いが伝わったのか、ソナは父と離れる事になってしまったあの学生時代の思い出をドンソクに語るのだ。「お父さんの辛さをわかってあげられなかった。辛いと言ってくれたなら・・・」
そんなソナに済州島では決して見せない饒舌な口調で自分の思いをソナに伝えるドンソク。母を拒絶し口も利かないドンソクがやさしくソナに寄り添い、自分も島では決して見せない笑顔を見せる。「前ばかりを見るのでなく、後ろを振り返ればいい。」と、ソナに帰る場所があることを、別の場所があることをさりげなく教えるのだ。相手がいることで、いつもの自分のはずなのに別の顔を見せる事が出来る自分がいる。
演じるイ・ビョンホンとシン・ミナは、二人の過去の関係を踏まえつつ、今の関係と、そしてこれから変わっていくかもしれない二人の関係を自然に感じさせてくれる。二人でいるときの姿と、別の人といるときの姿。違う姿を見せつつ、それでも又いつかどこかで交差するかもしれない二人の人生をも感じさせてくれるのだ。
プライベートでは、海女たちが漁に出る際の船の船長を演じるキム・ウビンのパートナーであるシン・ミナ。ドラマを見る前は、それが気になってドラマに集中できないのでは?とも思ったのだが、オムニバス形式のドラマ故、二人が同じ場面に出ることは殆どない。それよりなにより、イ・ビョンホンとシン・ミナの集中力が凄く、二人のパートだけ取り出してみたいと思わせるパワーがある。
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オムニバス形式のドラマのいいところは、それぞれの設定に自分の思いを当てはめて見られるところだ。親友の女友達との微妙なすれ違いに複雑な思いを見せる水産会社の社長であるウニの心模様もよくわかるが、今回はイ・ビョンホンとシン・ミナの「まだこれからやり直せるかもしれない二人の未来」の姿に心奪われる。