レーガン大統領時代のアメリカ。農場経営をすべく、まだ小さい子ども2人を連れてカルフォルニアからアーカンソーに移り住む韓国出身の若い家族。
隣接する家もなく、地下水が使えるのかも分からない広大な土地。
不安を口にする妻に、「一生を養鶏場での下働きで終えるつもりはない」と言い、「これからは韓国からの移住者も増える」と、自分たちと同じように韓国からやってくる同胞向けの農業に未来をかける夫。
水は思うように出ず、自分たち家族以外に頼れる者もいない。未来は見えず、辛い気候を前に不安を膨らませる妻の為に、妻の母を韓国から呼び寄せる。しかし子供たちは、料理もせず、テレビのプロレスに声を上げ、挙句に自分たちに花札を教える祖母に「普通のおばあちゃんらしくない」と拒否感を示すが、肝っ玉おばあちゃんはそんな事を少しも気にする風でもない。
「韓国で生きづらかったからアメリカにやって来たんじゃないか・・・」
夫婦の会話から、二人が明るい未来だけを夢見てアメリカにやって来たわけでないことが何となくわかる。二人にもう帰る場所はない。自分たちが選んだこの場所で信じて生きていくしかないのだ。
なんとか成功したいという夫と、成功よりも家族の幸せを思う妻の間の諍いはやむことがない。妻の母はそんな二人に干渉するわけでもなく、孫に優しい祖母の姿を見せるわけでもなく、ただただ普通に家族の中に居続けるのだ。
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去年のアカデミー賞作品賞を受賞したパラサイト同様、この映画も家族を描いた映画だ。ただ、パラサイトが、底の見えない格差をどこまでもドメスティックにどこまでも家族だけで乗り切ろうとする恐ろしい程の内向きのエネルギーを秘めた映画だったとしたら、この映画はなんとかアメリカの地で生活していこうとし、たとえ少しであっても他人(それがどこか可笑しい自己流悪魔祓いにハマる男性であったとしても)を受け入れようとする姿を見せる。韓国人だけが通う教会を作るのでなく、地元の教会に行くことを選ぶ。
家族で生きていく事だけでなく、彼らなりに移民として生きていく覚悟を見せることで、外に向けたエネルギーを感じる事が出来るのだ。
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祖母役のユン・ヨジョンがアカデミー賞助演女優賞にノミネート。
こんなおばあちゃん嫌だ!トランクス姿でプロレス観戦するなんて/映画『ミナリ』 本編映像
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