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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

魔法科高校の劣等生 第9話 『九校戦編 II』 + 原作読み始めたw

2014-06-02 23:22:36 | さすおに
ここからは面白くなる!と呼声の高い?「九校戦編」の第2話だけど、なんか、相変わらず盛り上がらない。

冒頭の「御曹司!」の連呼には、もう苦笑せざるを得ない。
なんというか、これは、やっぱり、アニメスタッフの原作読み込み不足なんではないかと思ってきた。なんというか、力点を置くべき場所を間違っているんじゃないかと。

あの、飛行魔法式のところ、あんなに尺を使う必要があるのか?

その後の、司馬父+感じ悪い執事、との会話もあんなに尺を使う必要があるのか?

更には、一高代表の壮行会の部分も、あんなに尺を使う必要があるのか?

もっといえば、達也がバスガイドよろしく、点呼のために炎天下立ちっぱなしで真由美を待つシーンとか。。。。

このあたりをもっとコンパクトにテンポよく扱えば、今回で、最後のバスへのテロ場面も部分も次回に持ち越しでなく、今回だけで完結したと思うんだよね。

だから、これは、完全にアニメスタッフ側のミスだよね。

多分、横浜騒乱編(7巻)までをアニメにするって決めたところから逆算して、概ね一つの「編」に7-8話を当てればいい、ってことになったからだと思うのだけど、どうにもテンポが悪すぎ。

これなら、多少詰め込むことになるかもしれないけれど、その後の「来訪者編」までやることにして、それぞれの尺を4話-6話ぐらいにすればよかったんじゃないか、と思う。

というのも、ここまであまりにアニメがつまらなさ過ぎたので、これは原作のせいなのか、アニメ化の翻案のせいなのか、気になったから、原作をちょっと読み始めてみたんだよね。

それも、横浜騒乱編まではアニメでやるっていうから、その後の来訪者編から読み始めたのだけど。

で、これが、結構、普通に面白く読める。

ただ、同時に、この面白さの本質は、いわゆるラノベ的なものではないんだよね。
だから、普通のラノベに見られる、「ハーレム」や「萌え」のテイストで作りなおしてもつまらないにきまっている。『劣等生』の面白さはそこにはないから。

どちらかというと、警察小説や軍事シミュレーション小説に近い。

しかも、その「軍事」の中身については、一高とか三高とか、戦前の旧制高校を出してきてるところからもうかがい知れるように、米中の間で両国の謀略に翻弄される日本、という具合に、科学技術の設定上は2090年代だけど、地政学的にはその二百年前の1890年くらい、つまり日清戦争前くらいの頃の情勢をなぞるような話。

だから、この原作がオンライン小説で受けたというのもよくわかる。なぜなら、多分に愛国的な話でもあるから。実際、物語が進むと、達也の同僚である、真由美や十文字のような十師族のように、それぞれの愛国心に従って、国内でたぬきの騙し合いを行うような場面も増えてくる。だから、この十「師族」というのも旧武家の意味での「士族」と等価なものと考えたほうがよい。

あと、物語が進むと、一科の学生よりも、達也たち二科の学生の活躍が目立ってくるのだけど、それも、結局のところ、一科がエリートであるのは国が定める基準に従ったものでしかなくて、実践では、その「基準」から外れても結果が出せる奴らが結局生き残れる、ということになって、これもまた、今風の、学歴があってニートになるより、学歴はなくてもヤンキー魂で仲間と成功する方がいい、というような風潮にあっている。要するに、一科の学生は「秀才」だけど、ほんとに世の中を変えるのはニ科に集う「異能の、器楽外の、天才たち」だよね、ということ。微妙に入試とかに失敗した人たちの心を救う内容になっている。しかも、ここで「異能」に分類されるものには、古式魔法のような、日本古来の魔法・・・なんてものまで出てきて、要するに「和魂」が大事!なんてことにも繋がりやすい。

なので、単純に中二的設定が好きな連中が支持する物語、というだけでは足りなくて、むしろ、物語を通じて「世界を手中に収める」ような、戦略シミュレーション、ないし、陰謀ものが、好きな人たちにも読ませる内容になっている。

もちろん、魔法設定もしっかりしていて。
この世界の魔法は、一種のプログラミング言語のようにきっちりと体系化されていて、その中で「現実的に実現可能/不可能」が厳格に示されている。このあたりは、ちょっとしたSF並に(似非)科学の中での整合性がとられている。しかも、時折、量子論や余剰次元など、現在の科学論的にも結構もっともらしいことが書かれている。その意味で、SF的でもある。

で、ようやく、高校ハーレムもの、の要素も入ってくる。

なので、この物語は、実は読者のための間口がものすごく広いつくりになっている。

にも関わらず、アニメの方は、いわゆるラノベアニメのテンプレートに則って、無理矢理、ハーレムもの、あるいは、テロ陰謀もの、の鋳型にはめようとしてして、原作の守備範囲を著しく狭めてしまっている。

原作については、一通り読んだら、改めて感想を書こうかな、とは思うけど、基本的にはこんな感じ。

達也の無駄に高いスペックも、高校が舞台だと全く無用の長物。戦略シミュレーションという状況に置かれて初めて生きてくる設定。

日常生活ではせいぜい、深雪の警護に有用なくらい。にもかかわらず、、萌えやハーレムを強調して映像にしようとするから、恐ろしくつまらなくなる。

その意味では、確かに「入学編」に無駄に時間を割きすぎ。
あれは、もっとコンパクトに3話ぐらいにまとめて、そこで余った尺を使って、達也の裏の顔や、達也/深雪の過去話を断片的に示せば随分と見え方が変わったろうに。

もっとも、ラノベのアニメ化って、基本的には原作を売るための宣伝材料だから、むしろ、原作を読まないとわからないくらいでちょうどいいのかもしれないけれど。

それでも、同じ監督でホライゾンはきちんと見れるものであったのに、「劣等生」はどうにもちぐはぐなものになっているのはやっぱり、どうかと思う。

察するに、ホライゾンの場合は、原作がバカの3乗くらい長――――い物語なので、嫌でも、アニメ化にあたって、プロット上どうしても必要な箇所を抽出したり、あるいは前後を縮めて要約したりしないとそもそも尺に収まらないので、大胆なカットができて、物語のスリム化(と同時に、その範囲での物語の整合性の再調整)ができたのだと思うけど、「劣等生」の場合は、そうするには、ちょっと半端だった、ってことなのだろうな。

でも、ホライゾンの成功のことを思えば、2クールなら、達也たちが高1であるときに起こった「来訪者編」までをアニメ化の範囲におさめて、冗長なところを思い切ってカットすれば、もっとアニメ単体でも面白いものになったように思う。

ということで、頼みの九校編、次回からの盛り上がりに一応は期待したい。

ただまぁ、CVの割り振りも含めて、ちょっとキャラに頼った物語になってしまっているようにも思えて、実際には、ここから盛り返すのは難しいんじゃないかな。

ホント、入学編、長すぎたよ。

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