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白鳥のブログ - 日々の世界を徒然と

ありふれた職業で世界最強 ウェブ版本編 感想 「これはもう全方位型闇鍋の魅力!」

2019-10-14 18:53:17 | ありふれ
なんか13話があまりにいいところで終わってしまい、結局、気になってしまったので、ウェブ版に手を出してしまった。どうやら書籍版とウェブ版とで基本的なプロットは変わっていないという評判のようなので、まずはこちらでいいかなー、と。

で、なんとなく7章の初めの方を読んでいたら面白くなってしまって、そのまま最終章まで読んでしまったw

なにしろ、最後のエヒト戦のところの、二転三転する展開は、結構前のめりになった。マジで読み応えあったから。

だから、途中、まだ読んでいないところもあるにはあるのだけど、終盤の部分を読みきった印象で、あぁ、これは人気出るの、わかるなー、という感じだった。

だって、これ、基本プロットは、宮﨑アニメ、なんだよ。
特に、最終章は、完全にそれ。
ノリはラピュタw

だって、最終章って、囚われの姫ユエを、一敗地に塗れたハジメが、断固たる意志で奪還に向かう、って展開なのだから。
しかも、最後に、異世界の悪の総帥である「自称・神」のエヒトを倒すところは、ハジメとユエの合わせ技なんだから。
もう、「バルス!」って叫んでるようなものでw

で、しかも、そのユエの救出に向かうところに、それまで出会った縁のある人物たちが、一致団結していく、という展開。
つまり、基本的には、悪人がいない世界ね。

いや、まぁ、もちろん、本気で醜悪な敵もいるのだけど。
でも、大半はハジメ側につく。

で、そうして最後まで読んで、あー、なるほど、と思ったのは、最初のオルクス大迷宮で、ハジメが幽閉されたユエを見つけたところは、あれ、王道中の王道である「ボーイ・ミーツ・ガール」だったんだな、ってこと。
だから、ラピュタであり、ナディアである。
あまりにも冒頭のハジメに対する試練が陰惨すぎたので、気が付きにくかったのだけど。

宮﨑アニメとちがうのは、ハジメという存在が全く健全ではなく、むしろ逆方向の「魔王」の方に振れてしまっていたことで。

つまり、ハジメのキャラ造形は、ルルーシュ的な中二病全開設定だったんだよね。

ただ、ルルーシュには身体的な負荷はあまりかかっていなかったけど、ハジメの場合は、マジで生死の境を歩んだわけで。。。

その意味では、神水を飲みながら魔獣の肉を食らったことで物理的に肉体に変化が生じた、というのが、物語のギミックとしてはうまかった、ってことになる。
メチャクチャな設定なんだけど、でも、その変貌ゆえに、性格の大変化に説得力があった。もっとも性格の変化といっても、実のところ、中二病を「地で行く」ことにしただけともいえるので、普通に見ればただのイタイ奴にすぎないのだけどね。

ということで、このハジメの物語は、とにかく「全方位型闇鍋」なんだよ。
過去の人気作品のいいところをパクりまくり。
でも、あまりにパクリの範囲が全方位すぎて、そこで変な魅力を帯びてしまったってことなのだと思う。

基本プロットは、宮﨑アニメ。
加えて、最後のエヒト戦の部分は、あれ、『ジョジョ3部』のディオと承太郎の決戦のところのオマージュにも見えた。互いに慎重に裏を書こうとするところがね。
ハジメの、ブラフをかませつつも、冷静に手札をきっていくあたりは承太郎そっくりw

主人公のキャラ造形は、コードギアスとハガレン

特に、「錬成」の部分は、ハガレン的痛みを含んでいて。
あと、あまりいうとネタバレになるけど、エヒト戦で切り札になるのが、ハジメの天職である「錬成士」というのは、上手いなぁと思った。
もっとも、彼の強さの秘密が、敵対者の技能や癖を読み込んだ上での適切なアーティファクトの開発力にあった、というところには、思わず、ネギま!のネギ先生を思い出したけどw
だから、ハジメも、ギークに注目が集まったギーク世代の主人公の一人。
その点で非力なオタクキャラが豹変できたのも、知恵が勝敗を決するゲームの時代だから、ってことになる。

で、ハジメを取り巻くクラスメイトたちの配置は、多分、うる星やつらw
特に、本編終了後の「アフター」の話になると、雰囲気は、ホント、うる星やつら、だと思った。勇者(笑)の光輝とか面堂終太郎だなー、とか。

今回、ウェブ版の本編を読んでみて、あれ?と思ったのは、実はクラスメイトたちが、最後まで出張ってきてたところで、それもあって、これ、うる星やつら、だと思ったw

アニメ13話の終わり方だと、てっきりこの先、ハジメたちはクラスメイトとは別ルートの冒険をするのだとばかり思っていたのだけど、意外とそこに香織だけでなく他のクラスメイトも絡んでくる。

まさか勇者(笑)が最後まで絡んでくるとは思わなかったからね。
あんなウザキャラ、早く退場してほしいじゃない。
けれども奴が最後まで天然のウザキャラの地位を維持したことで、最終決戦にハジメと同行するチームに、龍太郎と鈴まで加わることになるのだから。かわりに香織が留守番組になるのだからw

だから、そこまで読んできて、あーこれ、クラスメイトの物語でもあったんだな、と思った次第。

で、その我が道を行くはずのハジメを、結局、神殺しに向かわせるのがユエだった、という展開は、まんま王道の「セカイ系」w
でもそれが、あまり鼻につかないのは、唐突にそれが起こったわけでもなかったから。

その意味では、7つの大迷宮の攻略が物語を転がすためのよいギミックだった。
挑戦者に対する表向きのインセンティブと、攻略後に気付かされる真実のセットの点で。

だって、この攻略過程を通じて、かつて神に反逆した解放者たちの物語、特にミレディたちの物語も語られるのだから。ミレディの無念が最後に晴らされるカタルシスとかね。

ということで、よくできた物語だよ。
というか、既存のよくできた物語のよいところだけこれだけパクって一つの完結した物語にしたところは、割と真剣にすごいと思うな。

まだ、全部読んでないのに書くのもなにかなー、と思ったものの、でも終盤の展開には、素朴に感心したので、先に書いてしまったw

ちなみに、アフター編は、そのよくできた本編を作者自身が個別キャラ小説化していくわけで、これはこれで、容赦がないなぁを思ったw いやいい意味でw

ともあれ、雫がラスボス、というのはなるほど納得だったw

残念なのは、盾くらいのクオリティで映像化されていたらぁな、というところかなぁ。
盾よりも圧倒的に面白いのに。

ということで、また書くだろうな、多分。
とにかく、何でもありな、全方位型の闇鍋としてのウマさかなw

そうそう、終盤になればなるほど、他のヒロインたちのバイプレイヤーとしての魅力が増すわけだけど、なかでもシアの上昇っぷりはすごいw

ていうか、途中から、これシアが影の主人公なんじゃない?と思ったものね。
稀代のトリックスターw
まぁ、ティオもいい味だしてくるんだけどw

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