そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

そりゃ競争社会の生み出した産物ダロ

2008-06-10 | 市場経済

今回の秋葉原の通り魔事件を、いち早くほとんどリアルタイムで報道したメディアは、NHKでもなければTBSでないようである。アメリカのCNNテレビが驚きをもって報道していたらしい。02_2 銃規制の厳しい日本で、アメリカ以上の無差別殺人事件があったと報道している。

日本のメディアは、日曜日の馬鹿げたタレントのバラエティー番組が満載の時間である。誰もやらせの視聴率を稼げる番組を打ち切らなかったようである。CNNが報道専門の番組であることを、差し引いてもなんだか釈然としない。

その後の報道も、殺害された人たちへの同情や、犯人のその日の異常な行動と携帯ブログの公開などばかりである。

この男のブログを見ると、絶望的な境遇の「派遣社員」という身分を、やはり「敗者」と位置付けている。かつては、このような境遇の社会の底辺に位置する人たちを、無産者階級(プロレ01_2 タリアート)と呼び、労働者として団結して雇用者や社会に立ち向かう戦いがあった。

勝てなくても、何らかのはけ口があったのである。少なくとも、労働改善や僅かな賃金アップなどは勝ちえたものである。

今や労組の組織率は20%少々らしい。食料の自給率に連動しているわけではないが、この二つのデータは何故かしら、類似の動きを見せている。食料問題にも見られるように、その20%の中身も心もとない。

一部ではあるが、この男のブログを見ると、叫びをあげているのが分かるが、解決の方法を持たなかったのである。あるいは、小林多喜二の時代のように頑強な体制への反発力も今の若者にはない。

彼らには、正当な理由もなく解雇されることや、合意ない労働時間の延長も労働基準法に違反することをほとんど知らされていない。知っていたとしても、組織化されない個人では何の手だてもない。

非正規雇用者たちが、この国の企業を支えている。非正規雇用者たちが、バブル以降の不況時代から企業の収益を回復させた。むろん彼らには賞賛の言葉もなければ、対価に見合う賃金も支払われることもなかった。

この種の事件は、小泉・竹中による新自由主義を理念に描く連中の、競争原理を最大の原理とする新自由主義にもとづく「カイカク」が生み出した産物である。

コメント (1)
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