そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

減反政策を検証する

2008-06-17 | 政治と金

町村官房長官の「世界的な穀物高騰で、日本の減反政策を見直すべき」との発言が、波紋を呼んでいる。主食の生産をやめると金を出す減反政策に対する純朴な意見であるが、与党の農水族議員からの反発も大きい。

彼らの反発は、減反をやめると生産過剰になって、コメ価格が下がる。現在60キロ当たり、13000円であるが8000円に下がり、農民を苦しめることになるというのである。米も余るというのである。

この意見は、現実を反映していない。減反政策とは、本来生産調整であり転作を奨励する政策であるが、現実には1000万haのうち、政府の指針通り転作しているのは、せいぜい30万ha程度である。残りのほとんどは、休耕地となっているのが現実である。

農水族の主張するように、仮に8000円ほどに下がるなら、その差額を補てんするとよい。EUのように、でカップリングとして市場価格との差額を補てんすればよい。

減反政策のように、生産しなければ払う政策に比して、生産する農家に対する補助なら、消費55 者もわかりやすい。仮にこの差額の5000円を国が払うとすると、1600億円ていどになり、ちょうど減反政策の金額に一致する。

日本の農家は、兼業農家が多い。収入が他にあるために、農産物の生産に積極的でない。結果的に、30年に及ぶ減反政策は、多くの票を抱える兼業農家を農業から追いやることになった政策であるといえる。

減反政策とは、生産調整に名を借りた農業者の生産への誇りをなくし、2,3次産業への人的な流動を促進させ、土地を放棄させる政策であったといえる。

世界で最も健康に良い食事情は、明治維新前の日本であったといわれている。我が国は、メルシーな伝統的な食事情を放棄してしまった。

減反政策は、生産(供給)の場だけでなく、消費(需要)の場の事情をも大きく変えてしまい、自給率を極端に下げることになった、犯罪的な政策であるといえる。

コメント (2)
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