そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

福岡正信さん死去

2008-08-18 | 政治と金

01 自然農法を提唱されていた、福岡正信さんが亡くなられた。福岡さんを知ったのは、1970年前後だったと思う。多感な時代に、彼のタイプライターで打った何の色気もない、薄いレジ締めの本を友人に紹介され取り寄せた。あれから40年も経つが、彼の思想は終生変わるこなく発展し続けた。

福岡正信さんを紹介する時に、多くの人は彼の農法を紹介する。それはそれで良いのだが、福岡さんはきっと忸怩たる思いだったに違いない。NHKに古くから共鳴する方がいて、遠隔地にいる者にとって福岡さんの主張が映像で見られるありがたさを十分感じていた。数本のビデオが残されている。

福岡さんの主張の根幹は、科学に対する人類の愚かさを訴えることであり、その手段として農業を用いていたのである。その農業が、農薬や化学肥料に漬けられ、土地が死んでゆく姿に対比した形で、福岡さんは「自然農業実践家」として紹介されることが多かった。

NHKで福岡さんに共鳴される方々は、かなり正確に取り上げてくれていた。福岡さんの放送が、宗教の時間だったり心の時代の中で放映されていたことでもわかる。

自然の循環の中で、私たち人間は生かされている。その姿を捉え、認識、自覚することなくして、私たち人類はいたずらの目先の効率だけを追い求めている。福岡さんは、その実践する姿として無耕起・無肥料・無農薬・無除草を行っているだけである。

福岡さんは、その手法として様々なアイディアを提唱された。米作りの除草にはクローバーを用いたり、多種の作物を組み合わせることで無農薬などを実践しているだけである。

アイディアの真骨頂は、粘土団子である。土を丸めて種子をその中に入れて、乾燥地帯でた だばら撒くだけで農地を広げていった。こうした働きは、1988年にアジアノーベル賞と言われるマグサイサイ賞を受賞されている。

福岡さんの思想は、まったく関係ないような分野の地球の歴史や、環境問題や地質学や平和論などをPhoto読んでいる時にも想起される。あらゆる分野に福岡さんの思想が伸びている。そうした意味でも福岡さんは偉大な人物であったといえる。

福岡さんの書物はたくさんの国々の言葉に訳されている。日本ではあまり評価されないのは、農業が軽視されているから他ならない。世界各国では、彼の業績や思想は高く評価されている。福岡さんは、自分のことはほとんど語ることはなかったが、そうした日本の現状を最も憂えていたように思える。

享年95歳だったそうですが、感謝の意をこめて福岡正信さんのご冥福をお祈りいたします。

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